うつ病で退職すると失業保険は受け取れる?300日受給する条件や流れを解説
「うつ病になったら失業保険が300日支給される」このような言葉を聞いたことはありませんか?
うつ病になると、多くの場合「働きたくても働けない状況」に陥ってしまいます。
そのようなケースでも受け取れる失業保険の条件や給付金額を知っておけば、安心して再就職に向けて動けるでしょう。
この記事では、うつ病による退職で300日の失業保険を受ける方法や、給付期間・給付金額などを解説します。
さらに、失業保険以外に受給できる制度も紹介するので、うつ病によって身体からSOSのサインが出ている方は、最後まで読んで参考にしてみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたい⇒退職後にもらえる給付金にはどんな種類がある?給付金の一覧と受け取り条件を紹介
失業保険(雇用保険の基本手当)は、退職後の生活を支える国の制度です。離職前6ヶ月の月収をもとに、月収の約50〜80%が、最大で約1年間にわたって支給されます。
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うつ病の程度によっては失業保険を300日受け取れる可能性がある
医師によりうつ病の診断がされた場合、300日の失業保険を受け取れる可能性があります。
うつ病により半年以上の療養が必要な場合、「就職困難者」と扱われて一定期間の失業保険が受け取れるのです。
失業保険の給付期間は、年齢と雇用保険の被保険者期間によって変動します。
就職困難者として認定されるためには、精神障害者保健福祉手帳を取得するか、医師の診断書が必要です。
うつ病により失業保険が受給できるケースとできないケース
ここでは、うつ病による失業保険が受給できるケースとできないケースを紹介します。
「働ける状態」であれば受給できる
失業保険を受けるためには「心身ともに働ける状態であり積極的に求職活動を行っていること」という条件があります。
うつ病とはいえ、療養しながら求職活動を行い就労できる状態であれば失業保険を受給することができます。
自己都合退職でも受給できる
うつ病により自己退職した場合でも、失業保険を受け取ることができます。
さらに、ハローワークから「特定理由離職者」もしくは「就職困難者」に認定されると、給付制限期間がなくなるなどの優遇措置を受けることができます。
受給資格別の給付期間は次の表のとおりです。
一般の離職者の給付日数
特定理由離職者・特定受給資格者の給付日数
うつ病により退職した場合は、失業保険申請の際に診断書を持参して「特定理由離職者」または「就職困難者」としての手続きを行いましょう。
「働けない状態」にあると受給できない
先述の通り、心身ともに働ける状態でないと失業保険は受給できません。
そのため、うつ病によりまったく働けない状況の場合は失業保険を受け取れないことに注意しましょう。
もし、うつ病と診断されて働けない状態になってしまった場合は、まず治療に専念して、回復を待ってから失業保険を受け取る流れとなります。
雇用保険の被保険者期間が短いと受給できない
失業保険を受給するためには、雇用保険の被保険者期間の条件をクリアする必要があります。
受給資格別の被保険者期間は、次のとおりです。
| 受給資格 | 雇用保険の加入期間 |
|---|---|
| 一般の離職者 | 離職前2年間の被保険者期間が12ヵ月以上 |
| 特定受給資格者 特定理由離職者 就職困難者 |
離職前1年間の被保険者期間が6ヵ月以上 |
うつ病により退職して、特定理由離職者または就職困難者と認められた場合は、直近1年間で半年以上の被保険者期間が必要となります。
このように、うつ病と診断されたからといって、かならず失業保険を受給できるわけではありません。
「自分は失業保険を受け取れるのか」が気になる場合は、ハローワークか失業保険の申請をサポートする機関へ相談してみましょう。
うつ病で退職した場合の失業保険の給付金額と期間
うつ病により退職した場合の給付金額は、以下の計算式で算出されます。
- 賃金日額=離職前6ヶ月の賃金合計÷180
- 基本手当日額=賃金日額✕給付率
- 基本手当総額=基本手当日額✕給付日数
「賃金日額」とは、退職前の直近6ヶ月間に支払われた賃金の合計を180で割った金額のことで、たとえば前職場での賃金が月額15万円の場合は「15万円✕6ヶ月÷180=5,000円」と算出されます。
また、「基本手当日額」は実際に受け取る1日あたりの給付額のことで、この金額を算出するための「給付率」は年齢や退職前の賃金によって変動します。
給付率は、以下の表を参考にしてください。
引用元:厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」
年齢が35歳で賃金日額が5,000円の場合は「5,000円✕80%=4,000円」という計算式で4,000円が基本手当日額です。
最後に基本手当日額と給付日数を掛けて、失業保険の給付総額を算出します。
たとえば、就職困難者として認められた30歳、雇用保険の被保険者期間8年の方は、失業保険の給付期間が300日となります。
基本手当日額が4,000円の場合は「4,000円✕300日=120万円」で総額120万円の失業保険が受け取れる計算です。
上記のように、計算式に数字を当てはめることにより、失業保険の給付期間を算出することができます。
うつ病による退職で失業保険の金額を前もって知りたい方は、ここで紹介した計算式を覚えておきましょう。
うつ病で退職して失業保険を受給する流れ
うつ病で退職する場合の失業保険は、次の流れで受給します。
- 医師からうつ病の診断を受ける
- 会社に退職届を提出して退職する
- 必要書類を準備する
- ハローワークで給付の申し込みを行う
- 雇用保険受給者初回説明会に出席する
- 求職活動を行い失業認定を受ける
- 失業手当が給付される
- 治療しながら求職活動を行う
それぞれのステップを解説します。
医師からうつ病の診断を受ける
始めのステップは、病院に行き医師からうつ病の診断を受けることです。
インターネット上でできる自己診断チェックシートなどもありますが、正式にうつ病かどうかを判断するのは医師にしかできません。
うつ病と診断された場合は、ハローワークへの証明として診断書を発行してもらいましょう。
ハローワークへの申請と並行して、自分の症状をきちんと理解し適切な治療を受ける事が重要です。
会社に退職届を提出して退職する
次に、退職する意図を会社に伝えて退職届を提出します。
一般的には、上司や人事部に相談をした後に退職届を提出する流れとなります。
退職届の退職理由は「一身上の都合」で問題ありません。
ただし、特定受給資格者や特定理由離職者、就職困難者に該当すると思われる場合は、それに合わせた退職届の作成が必要です。
退職届を提出する期限は会社の就業規則により異なりますが、退職日の2週間〜1ヶ月前が一般的です。
就業規則がわからないときは、人事部に相談をして会社の制度を確認しましょう。
以下の記事では、うつ病で退職する流れや復帰に向けて利用できる支援制度について詳しく解説しています。気になる方はあわせてご覧ください。
関連記事:うつ病で退職する際の流れと傷病手当の受給条件や支援制度も詳しく解説
必要書類を準備する
退職した後は、失業保険を受けるための書類を用意します。必要書類は主に次の6点です。
- 雇用保険被保険者離職票
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のうち1種類)
- 身分証明書(aのうちのどれか、ない場合はbのうちの2種類)
a.運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
b.公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など - 写真(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)2枚
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 医師から発行された診断書
雇用保険被保険者離職票とは、退職したことを証明する書類です。一般的に、退職から10日以内に前の職場から送られてきます。
もし会社の嫌がらせなどでどうしても離職票を入手できない場合は、ハローワークに失業保険の仮申請ができないか相談してみましょう。
ハローワークで給付の申し込みを行う
書類が揃えば、今の住まいを管轄するハローワークへ出向き、失業保険の給付申し込みを行います。
その際に、失業保険の受給資格を満たしているかどうかの確認を受けます。
あわせて、退職理由が自己都合なのか会社都合なのかの判定も行われますが、そのときにうつ病による退職だと伝え、適切な受給資格を得られるようにしましょう。
ただし、無理をして失業保険を受けようとしないようにしてください。
失業保険は働く意志と能力がある人に支給される給付金です。
そのため、体調が安定していない状況で無理をして働こうとすると余計に体調が悪化するおそれがあります。
失業保険以外にも受けられる支援制度はあるので、失業保険にこだわらずに現状に合った制度を選びましょう。
雇用保険受給者初回説明会に出席する
給付の申し込みが完了すると、「雇用保険受給者初回説明会」の日程が知らされます。
雇用保険受給者初回説明会では、失業保険の概要や支給に関することが説明されます。
雇用保険受給者初回説明会が終了すると、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が渡され、ハローワークから失業状態であることを確認してもらう、初回の「失業認定日」が決定します。
求職活動を行い失業認定を受ける
失業認定日が決定した後は、その日に向けて求職活動を行います。
失業保険を受給するためには、失業認定日までにハローワークでの職業相談や職業紹介などの求職活動を原則2回以上(給付制限期間が3ヶ月の場合は原則3回以上)行う必要があります。
失業認定日では、雇用保険受給資格者証と一緒に、求職活動の状況を記入した失業認定申告書を提出してください。
失業手当が給付される
失業認定日にハローワークから失業認定を受ければ、通常5営業日後に、指定の口座へ失業保険が振り込まれます。
その後も失業保険を受け続けるのであれば「原則4週間に1回の認定日に失業の認定を受けて給付を受ける」というサイクルを繰り返しながら求職活動を続けます。
治療しながら求職活動を行う
失業保険の受給を続けるのと並行して、医師の指示を受けながら治療を受けます。
うつ病の治療には十分な休養が不可欠のため、決して無理をせず体調管理をしながら求職活動を行わなければいけません。
再スタートに向けて、徐々に身体を慣らしていきましょう。
以上が、うつ病で失業保険を受給する流れです。確実に失業保険を受け取れるよう、全体像を把握して1つずつステップを進めていくことが重要です。
失業保険以外に受給できる可能性のある3つの制度
うつ病になってしまった場合に受給できる可能性がある制度には、以下の3つが挙げられます。
- 傷病手当金
- 障害年金
- 生活保護
この3つの制度について詳しく解説します。
傷病手当金
1つ目の制度は傷病手当金です。
傷病手当金とは、業務外のケガや病気により仕事ができなくなった際、会社から給与が支払われない場合に支給される給付金です。
傷病手当金は、支給が始まった日から通算して、18ヶ月を限度に受給することができます。
傷病手当金を受給するための条件は以下のとおりです。
- 業務外でのケガや病気が原因である
- 働けない状況にある
- 連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいる
- 休んでいる期間について給与の支払いがない
傷病手当金は、休んだ日が「連続した3日間」でなければいけないことに注意が必要です。
ケガや病気が原因で休んだ日を1日目とし、3日連続の休業(待機期間)を経て4日目以降に休んだ日が傷病手当金の受給対象です。
また、傷病手当金と失業保険は同時に受給できない点にも気をつけましょう。
会社を退職した後に傷病手当金を受給する場合は、事前にハローワークに失業保険の受給期間延長の申請を行う必要があります。
傷病手当金の申請には多くの書類が必要で手続きが複雑なため、うつ病など体調不良の方には負担が大きい制度です。
確実に受給するためには、社会保険労務士や申請をサポートする会社へ申請を依頼すると良いでしょう。
障害年金
うつ病の症状の重さによっては、障害年金を受給できる可能性があります。
障害年金とは、病気やケガなどで障害状態になってしまった20歳から65歳までの方を対象にした年金制度です。
障害年金は1級から3級に分かれており、1級のほうがより高額の年金が支給されます。
それぞれの等級に該当する条件は、以下の表のとおりです。
| 障害等級 | 障害の程度 |
|---|---|
| 1級 | 入院や在宅介護が必要で、身の回りのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない。 |
| 2級 | 必ずしも介助は必要ないものの、入院や在宅で活動の範囲が病院内・家屋内に限られている。 |
| 3級 | 日常生活に支障はないものの、労働はおこなえない。 |
うつ病の程度が重く働くことができない方は、障害年金の受給を検討してみましょう。
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生活保護
うつ病で働けなくなった場合、生活保護を受けることもできます。
生活保護とは、国が最低限の生活を保障するために生活費を支給しながら経済的な自立を支援する制度です。
うつ病により障害者手帳を持っている場合は、通常の生活保護に「障害者加算」と呼ばれる金額が追加されます。
生活保護で支給される金額は、住んでいる地域や生活状況により変動しますが、月額10万円〜13万円程度が一般的です。
障害者加算の金額は、1万5,000円〜2万6,000円程度となります。
生活保護を受けると最低限の生活を送ることができますが、受給者の生活が制限されるデメリットがあります。
原則、家や車は所有できず、生命保険などは解約しなければなりません。
また、ブランド品などの高価なものを持つことが許されず、ケースワーカーによる家庭訪問も定期的に行われます。
生活保護を受給することで生活に影響が及ぶこともあるため「本当に働けないのか」「親族からの援助は受けられないのか」を考え、慎重に受給を検討することが必要です。
まとめ
この記事では、うつ病により失業保険を300日受給できるケースや受給までの流れを解説しました。
うつ病になってしまった場合、診断書を用意しハローワークで「就職困難者」と認定されることで、300日の失業保険が受け取れる可能性があります。
ただし、受給者が心身ともに働ける状態であることや、雇用保険の被保険者期間などの条件があるため、申請前にしっかり確認しておかなければいけません。
劣悪な労働環境や人間関係の悪化などでうつ病になってしまうと、現場復帰まで時間がかかることがほとんどです。
安定した経済状況の中で求職活動を行うためにも、この記事を参考に失業保険の手続きを進めてみてください。
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可能です。企業に勤めており、雇用契約の中で働いている一般労働者から、自衛隊、警察等の期間で働いている方でも、弁護士の退職代行はご利用できます。
【弁護士監修】退職代行とは?今使っても大丈夫?【2026年7月最新版】
退職代行業者と、弁護士による退職代行業務に大差はありません。いずれも、労働者の代わりに退職の意思を伝えるサービス概要において、両者に違いはないと言えます。ただ、退職代行業者が自社の持つ権限内で適切にサービスを運用しているとは限りません。退職代行業務の中には『弁護士資格』を持つ弁護士にしかできない業務も多分にございます。
その点、弁護士を通すことで上記違反(弁護士法違反・非弁行為)のリスクはありませんし、確実に適法範囲で対応できます。また、未払い残業代や不当解雇、万が一懲戒解雇等の扱いを受けたとしても、弁護士がおりますので、相談によって具体的な解決策の提示を受けられる可能性は高いと思います。
退職代行を利用したことが損害賠償の理由となることはありません。しかし、在職時の労働者の行いや退職の仕方によっては労働者側に損害賠償義務が認められる可能性もゼロではありません。退職にあたって、会社から損害賠償を請求されるのは、退職にあたって労働者側に何らかの義務(注意義務)違反があり、同違反により会社に具体的損害が生じている場合に限られます。
たとえば、労働者が退職に至るまでの間、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、退職にあたっても何ら必要な引継ぎ・連絡をせず代行業者を通じて本人が一切出てこないという場合、労働者の会社に対する義務違反を構成することはあり得ます。
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とはいえ、通常は退職したことで直ちに会社に損害が生じることはありませんので、過度の心配は不要かと思います。
状況にもよるかと思いますが、引き継ぎをせずに退職することは多くの場合は可能と思われます。例えば、引継ぎをしないことが会社に対する義務違反とならないような場合や、引継ぎをしないことで会社に具体的な実害が生じないような場合は、引継ぎは必須ではないといえそうです。ただし、『労働者が退職前から、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、会社の出頭要請にも応じていない』『そのまま退職した結果、会社業務に具体的な支障が生じ、取引先を失うなどの実害が生じている』というケースであれば、労働者が退職代行を入れて引継ぎもなく退職したことについて、損害賠償を求められるリスクはまったくないとはいえないでしょう。
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