この記事の監修者
ゆら総合法律事務所
阿部 由羅 弁護士
埼玉弁護士会所属。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。*監修者は本記事のプロモーション部分以外の部分を監修しています。
そもそも退職代行サービスとは?
退職代行サービスとは、労働者の代わりに会社に退職の意思を伝えてくれるサービスです。
退職意思の伝達のほか、退職代行サービスによっては退職日や有給休暇の消化についての交渉や、退職金・未払い給与の請求まで対応してくれます。
対応しているサービスは、退職代行業者によって異なるので、退職代行サービスごとの違いをよく確認してから依頼するようにしましょう。
退職代行サービスを利用する4つのメリット
退職代行サービスを利用するメリットを紹介します。
ブラック企業をすぐに辞められる
退職代行サービスを利用すると、すぐに会社を辞められるのがメリットです。
会社を辞めようと退職意思を伝えると、退職させないように引き止められ、説得された結果辞めにくくなってしまうというケースもあるでしょう。
また、企業によっては部下が辞めると上司のマネジメント能力がないと判断されます。上司が評価を落としたくないという気持ちから、退職しないように説得するケースも少なくありません。
強い意志があっても上司や同僚から説得があれば、辞めにくくなったり、辞めるまでの期間が長引いたりする可能性があります。
退職代行を利用すれば引き止めに合う心配もないうえ、退職代行サービスの中には、即日退職に対応しているところもあるので、今すぐ仕事を辞めたいという方には最適でしょう。
辞めると言ったあとの会社の人との気まずさがない
通常は、退職を希望する2カ月ほど前に会社に退職意思を伝え、引き継ぎなどの事務手続きをしたのちに退職します。
しかし、退職意思を伝えたあとの期間に、上司や同僚に対して気まずい思いをしながら働きたくないと考える人も多いです。
退職代行サービスを利用すれば最短で即日退職も可能なので、気まずい思いをする必要はありません。
苦手な上司や同僚に顔を合わせる必要がない
たとえば、パワハラなどがあった場合、パワハラの加害者とこれ以上顔を合わせたくないと考える人もいるでしょう。
また、怖い上司がいる場合も「なるべく仕事場の人と顔を合わせずに辞めたい」という気持ちになるでしょう。
退職代行サービスを利用すれば、退職の意思を伝えたあとに出社する必要がありません。
退職意思を確実に示せる
期間の定めのない雇用契約の場合、従業員が会社を辞めたいと思ったときは、民法では退職希望日の2週間前までに伝えれば辞めることができます。
第六百二十七条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:民法627条
しかし、実際には退職しないように説得されるなどしてスムーズに辞めることができないケースもあります。
会社の規定を根拠に、数カ月以上前に伝えなければ退職を認めないと主張される例もあるようです。
退職代行サービスを利用すれば、代行業者が退職の意思を代わりに伝えてくれます。
会社の上司や人事と直接話すことなく、不必要に引き止められることもないため、スムーズに辞められることが多いです。
【関連記事】退職代行は即日退職できる?退職代行が行う即日退職の仕組みと注意点
退職代行サービスを利用するデメリット
退職代行サービスを利用するデメリットについても紹介します。
依頼費用がかかる
退職代行サービスを利用すると、3万円~10万円ほどの費用がかかります。
自分で退職手続きをすれば一切発生しない費用なので、資金に余裕がない場合にはデメリットと感じるでしょう。
引き継ぎ無く退職するため迷惑はかかる
退職代行業者を利用する場合、会社からすると突然退職の意思を伝えられることになります。そのため、後任者への引き継ぎが不十分となるケースが多いでしょう。
後任者が退職者からの説明がないまま後任業務をおこなうのは、対応状況を把握するだけでも相当の時間がかかります。
引き継ぎをせずに会社を辞めたことで、上司や後任者に迷惑がかかってしまい、もやもやしてしまう可能がある点はデメリットといえるでしょう。
会社からの連絡を100%止めることはできない
退職代行サービスを利用しても、会社からの連絡を100%阻止することはできません。
退職代行業者が仲介に入っていても、労働者に対して直接連絡する行為は法的に禁止されていないからです。
退職代行業者経由で「連絡は直接しないでください」と依頼することは可能ですが、会社が確実に約束を守ってくれるわけではありません。
【関連記事】
退職代行が失敗するケースとは?失敗時のリスクを極力抑える3つの方法
退職代行で損害賠償請求をされるリスクはある?リスクを極力軽減させる方法
退職代行サービスは運営元によって対応範囲が異なる
退職代行業者には、大きく分けて弁護士運営・労働組合運営・民間企業運営の3種類があり、それぞれで対応できる範囲に違いがあります。
対応内容 |
弁護士運営 |
労働組合運営 |
民間企業運営 |
退職意思の伝達 |
〇 |
〇 |
〇 |
会社との交渉 |
〇 |
〇 |
- |
訴訟の対応 |
〇 |
- |
- |
最も対応範囲が広いのは弁護士運営の退職代行サービスで、退職意思の伝達のほか、有給休暇取得や未払い給与、退職日等の交渉や、万が一損害賠償などで訴えられた場合でも対応してもらうことができます。
次に対応範囲が広いのは、労働組合運営の退職代行サービスです。
労働組合運営の退職代行サービスでは、訴訟などの対応はできないものの、有給休暇の取得や退職日、退職金の交渉などをおこなってもらえます。
最後に、対応範囲は狭いものの、民間企業運営の退職代行サービスも存在します。
民間企業運営の退職代行サービスでは、基本的に退職意思の伝達のみしか対応してもらえませんが、その分費用は安めなので、退職にお金をかけられない方には選択肢となるでしょう。
どの運営元を選ぶかは状況にもよりますが、トラブルを避けたいなら、弁護士が運営する退職代行サービスを選ぶのがおすすめです。
弁護士監修の退職代行とは?
民間企業や労働組合が運営する退職太鼓サービスの中には、「弁護士監修」と記載のあるものもあります。
弁護士が監修している退職代行サービスは、弁護士運営と同じことができると勘違いされがちですが、「業者自身が違法行為をしてしまわないように弁護士に監修してもらっている」というケースが多く、「弁護士監修=弁護士が対応してくれる」というわけではないので注意しましょう。
退職代行サービスの依頼費用はいくらかかる?
退職代行サービスの依頼費用の相場は、3万円~10万円前後です。
料金相場は運営元によっても異なるため、以下の費用を参考にするとよいでしょう。
運営元 |
費用相場 |
弁護士 |
50,000~100,000円 |
労働組合 |
25,000~30,000円 |
民間企業 |
10,000~50,000円 |
なお、費用相場に幅がある理由は、業者によって細かいサービスに差があるためです。
たとえば、退職後の転職活動や、退職に伴う引っ越しサポートなど、サービスによっては退職後のアフターフォローが充実したものもあります。
費用で悩んだときは、退職意思の伝達以外にどんなサービスがついているかを確認しましょう。
退職代行サービス利用の流れ
それでは、退職代行サービスを利用する流れについて説明します。
相談
まずは、退職代行サービスに利用したい旨を相談します。基本的に無料で相談に乗ってくれる代行業者が多いです。
各代行業者によって価格が異なるので、複数の業者に相談し、信頼できそうな業者へ依頼しましょう。
なお、相談の段階で有給休暇を消化したいのかどうかや、退職日はいつがよいか、退職金はどれくらいほしいのかなどを代行業者との間ですり合わせをしておきましょう。
有給取得の希望や退職日を決めておくことで、代行業者から退職意思を伝達する際にトラブルになることなく会社を辞めることができるでしょう。
サービス料金の支払い
利用が決まったら、退職代行業者へサービス代金の支払いをします。
基本的には先払いになることがほとんどですが、中には後払いを採用している退職代行サービスもあります。
退職代行会社が会社へ連絡
退職する意思を固めたら、退職代行サービスが会社へ連絡してくれます。
退職希望者は退職代行サービスに任せて、特にすることはありません。
退職に関する手続き
退職代行サービスから、会社との対話内容について報告を受けます。
会社との調整が済んだら、退職届を提出し、会社から借りていた備品の返却などをします。
そのほか、離職票の受け取り等についても確認しておくとよいでしょう。
会社が退職を拒否した場合でも、退職通知から2週間が経過すれば退職できます。
トラブルへの対応が必要になった場合は、弁護士に相談しましょう。
退職完了
すべての退職手続きが終わったら、退職日に退職できます。
退職代行サービスを利用する際の注意点
退職代行サービスを使う際に気を付けたいことを紹介します。
会社から私物は持ち帰る
退職代行サービスを利用する場合、基本的には会社に出向く必要なく退職手続きを進めることができます。
そのため、退職代行を利用すると決心しているのであれば、あらかじめ私物は持ち帰りましょう。
私物を置いておくと、会社の人に私物を送ってもらわなければいけないからです。
この場合、会社がすぐに私物を返却してくれるとは限りませんので、特に大切な私物は必ず持ち帰るようにしましょう。
会社からの借り物は会社へ置いておく
会社から制服やパソコンなどを借りている場合、退職を決めたら会社においておくようにしましょう。
会社からの借り物は当然返却する義務があります。持ち帰ってしまっている場合には、返却にあたり宅急便などを利用する必要が生じるため、注意しましょう。
社宅などに住んでいる場合は転居先を確保しておく
社宅などの会社の施設に住んでいる場合、退職日までの転居が必要です。
できれば退職代行利用時には引っ越し先を確保して、速やかに引っ越しできるように準備しておきましょう。
引き継ぎのメモなど作成しておく
通常の退職では、退職者から後任の担当者へ引き継ぎをおこないます。
具体的には、取引先への挨拶周りやマニュアルを作成などを、通常1カ月程度かけて引き継ぎをします。
しかし、退職代行サービスを利用する場合には、引き継ぎは十分にできません。
少しでも会社の負担を減らすために、最低限、引き継ぎのメモなどは残すことが望ましいです。
バックレは絶対にNG
退職代行業者の利用を考えている人の中には、今すぐに会社を辞めたい方もいるでしょう。
しかし、絶対にやってはいけないのが「バックレ(=全く連絡せずに会社へ行かなくなること)」です。
会社をバックレると、会社から直接連絡がくることはもちろん、上司が家まで来たり、最悪警察沙汰にまで発展してしまう可能性があります。
退職代行サービスを利用すれば、実質的な即日退職が可能なので、「翌日から仕事に行きたくない」という方も、すぐに会社や上司から解放されることができます。
退職代行サービスがおすすめなケース
退職代行サービスの利用を検討している方の中には「退職代行なんて使ってもよいの?」とためらっている方もいるでしょう。
退職代行の利用は、「悪」と捉えられがちですが、一概にそうとはいえません。ここでは、退職代行サービスの利用がおすすめのケースを紹介します。
退職の意思を伝えても会社を辞めさせてもらえない
すでに自分で退職意思を伝えていても、会社によっては退職を認めてくれないケースもあるでしょう。
労働者には、民法第627条第1項によって退職の自由が認められているため、会社は原則退職を拒否することはできません。
しかし、一度退職意思を伝えた際に拒否されたとなると、もう一度自分で退職意思を伝えるのはハードルが上がってしまうものです。
退職代行サービスを利用することで、スムーズな退職が期待できるでしょう。
ハラスメントを受けていて会社の人と会いたくない
会社でパワハラ・モラハラ・セクハラなどを受けていて、会社の人には会いたくない、という方にも退職代行はおすすめです。
退職代行サービスを利用すれば、会社の人に会わずに退職できます。
上司が怖くて退職することを言い出せない
怖い上司になかなか退職の意思を伝えられないときも退職代行の利用を検討してよいでしょう。
退職代行を利用することで、退職することが決まったあとも上司と連絡を取る必要はないので、気まずい思いをせずに会社を辞めることができます。
今すぐにでも退職したい
過度な残業やハラスメントが原因で、翌日にでも会社を辞めたいというケースでは、退職代行の利用がおすすめです。
退職代行を利用すれば、有給休暇の取得や欠勤を組み合わせることで、即日で退職することもできます。
ただし、退職日について会社側から交渉される可能性がある場合は、民間企業運営の退職代行サービスでは対応できない点に注意しましょう。
ゆら総合法律事務所
阿部 由羅 弁護士
仕事に対して大きなストレスを抱えている方は、退職代行を利用してもよいと思います。何よりも、ご自身の心身の健康を優先しましょう。
特にハラスメントなどが原因で、出勤や会社の人と話すことに強い抵抗感を覚えている方は、積極的に退職代行の利用をご検討ください。
退職代行サービスに関するよくある質問
ここからは、退職代行に関するよくある質問について回答します。
退職代行を利用するのはダメ?やばい?
退職代行を利用するのはダメではありません。
労働者には退職の自由が認められているため、退職代行で会社を辞めたとしても法律違反になることはありません。
加えて、会社を辞めたくても辞められないのは、精神的にも身体的にも良くない状況です。
心や体を守るために退職代行を利用することは悪くないことだと覚えておきましょう。
とはいえ、退職代行を使って突然会社を辞めると、同僚や先輩、上司に多少なりとも迷惑がかかる可能性があります。
また「人に迷惑をかけて辞めた」と思うと、どうしてもモヤモヤした気持ちが残って後悔してしまうものです。
最低限の引継ぎ資料を作成しておく、お世話になった人にはあとからでも連絡するなど、配慮をしておくのがよいでしょう。
退職代行は違法?
退職代行サービスを利用することは違法ではありません。
しかし、退職代行サービスが認められた業務範囲を超えて業務に当たった場合は、違法となる可能性があります。
特に、民間企業が運営する退職代行サービスがおこなえるのは「退職意思の伝達」のみなので注意が必要です。
民間運営の退職代行サービスが会社との交渉などの法律行為をおこなった場合は非弁行為となり、違法となります。
もちろん、依頼者自身が罪に問われることはありませんが、事情聴取などに時間を取られることがあるほか、別の退職代行業者に依頼する必要が出てきます。
ゆら総合法律事務所
阿部 由羅 弁護士
退職代行サービスを利用する際には、必ず運営者の情報を確認しましょう。
弁護士(法律事務所)・弁護士法人・労働組合以外が運営する退職代行サービスでは、有給休暇や退職金に関する交渉や、未払い残業代の請求をおこなうことはできません。
「弁護士監修」であっても、運営者が弁護士・弁護士法人・労働組合でなければ同様です。
違法業者の退職代行サービスを利用すると、非弁行為に加担することになるほか、利用料金も高額となることが多いので十分ご注意ください。
退職代行は即日で会社を辞められる?
退職代行を利用すれば、実質即日で退職できる場合があります。
退職をする際には原則2週間前までに退職意思を伝える必要がありますが、有給休暇が残っていれば、それを消化することで、「実質」即日で退職ができます。
有給休暇が残っていなくても、退職意思の伝達後2週間にわたって欠勤すれば、その時点で退職できます。
ただし、欠勤期間は無給となるほか、懲戒処分を受けて退職金などに影響する可能性もあるので注意しましょう。
また、民法629条ではやむを得ない理由がある場合は即日の雇用契約解除が認められているため、パワハラやいじめ、過度な残業等が原因の場合には、即日退職も可能です。
退職代行の利用は転職先にバレる?
退職代行の利用は、転職先にバレることはまずありません。
なぜなら、個人情報保護法によって企業は採用活動の際に、本人の同意なく前職について調査をすることを禁止されているからです。
また、退職代行業者も個人情報の保護を遵守しているため、業者から第三者に退職代行の利用がバレる心配もないでしょう。
ただし、前職を退職した理由については、採用面接の際に質問されることがあります。
その際、退職代行を使ったことを伝える必要はありません。「家庭の都合」などと濁すか、「自分により向いている仕事を探すため」など前向きな理由を伝えればよいでしょう。
まとめ
退職代行サービスにはさまざまな種類があります。
弁護士・労働組合が運営するものは有給休暇や退職金などの交渉ができますが、料金は高めです。弁護士・労働組合が運営するもの以外は、料金は安めな傾向にありますが、基本的には退職の意思を伝えることしかできません。
しかし、このような業者でも退職実績が100%で転職サポートがあるものもあります。自分が必要なサポートを受けられるサービスを選ぶようにしましょう。
ランキング評価の算出方法
本ページの退職代行おすすめランキングでは、各退職代行サービスについて以下4つの評価項目について独自の基準で5点満点で評価をおこない、それぞれの項目に評価ウェイトを乗じて総合点を算出しています。
評価項目や評価ウェイトは以下のとおりです。
【評価項目とウェイト】
- 料金の安さ:15%
- 運営元の信頼性:40%
- 実績:30%
- その他サポートの有無:15%
なお、各サービスの評価は2023年10月20日時点の情報をもとにおこなっています。
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阿部 由羅 弁護士
退職意思を伝えるだけなら、一般業者の退職代行サービスを利用するのがもっとも安く済みます。有給休暇の交渉や未払い残業代の請求なども行ってほしい場合は、弁護士に依頼するのがよいでしょう。
一般業者の中には、無資格で未払い残業代の請求などを行う違法業者も存在します。一般業者の退職代行サービスについて疑問がある場合は、弁護士に意見をお求めください。