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愛知県で労働審判に強い弁護士 が2件見つかりました。
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未払いの賃金を求めても会社が返事をしない、解雇の撤回を申し入れたのに話し合いの席すら用意されない。こうした行き詰まりを、裁判所で原則3回以内の期日に区切って決着させる手続きが労働審判です。愛知県でこの手続きを受け付けるのは名古屋地方裁判所の本庁(名古屋市中区三の丸)の1か所だけで、令和7年に新しく申し立てられた237件は東京・大阪に次ぐ全国3番目の件数です。豊橋市や岡崎市、一宮市の会社が相手でも名古屋へ通うことになるので、何をそろえ、いくら納め、どう通うかを押さえてから申し立ててください。
名古屋地裁に申し立てる前に押さえる4点
労働審判に向いているのは、働く人ひとりと会社との間で、解雇や賃金の支払いをめぐって言い分が食い違っている争いです。名古屋地方裁判所でも期日は非公開で開かれ、職場の人や取引先に傍聴されることはありません。訴訟と比べてどこが違うかを押さえたうえで、どちらで進めるかを決めてください。
| 比べる点 | 労働審判 | 労働関係の訴訟 |
|---|---|---|
| 期日の数 | 原則3回以内(労働審判法15条2項) | 上限はなく、争点が整理されるまで続く |
| 審理にあたる人 | 裁判官1人と、労使それぞれの実務に通じた労働審判員2人 | 裁判官 |
| 平均の審理期間(令和6年・全国) | 96.7日 | 16.1か月 |
| 公開かどうか | 非公開 | 公開の法廷 |
| 請求300万円の手数料 | 10,000円 | 書面で訴えると22,500円 |
| 結論に不服なとき | 2週間以内の異議で審判は効力を失い、名古屋地裁の訴訟へ移る | 控訴して名古屋高等裁判所で争う |
出典:e-Gov法令検索「労働審判法」、最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)」、裁判所「手数料額早見表」
持ち込めない争いもあります。労働組合と会社の間の争い(団体交渉や不当労働行為)は愛知県労働委員会が扱う分野で、公務員の懲戒処分の取消しも行政事件として扱われます。事実関係が込み入っていて3回では審理しきれないと判断された事件は、その時点で労働審判を終え、訴訟へ移ります(労働審判法24条)。証人を何人も呼ばなければ事実が固まらない事件なら、最初から訴訟を選ぶ道も弁護士と比べてください。
出典:裁判所「労働審判手続」、e-Gov法令検索「労働審判法」
名古屋でこの手続きを使う人は少なくありません。最高裁判所の司法統計年報によると、名古屋地方裁判所が令和7年に受け付けた労働審判は237件で、前年の213件から24件増えています。全国3,447件の6.9%にあたり、東京地裁の1,050件、大阪地裁の327件に次ぐ規模です。名古屋高等裁判所の管内6県(愛知・三重・岐阜・福井・石川・富山)で受け付けた341件のうち、約7割が名古屋地裁に集まっています。
| 地方裁判所(新受件数) | 令和6年 | 令和7年 |
|---|---|---|
| 名古屋 | 213件 | 237件 |
| 東京 | 961件 | 1,050件 |
| 大阪 | 315件 | 327件 |
| 横浜 | 231件 | 222件 |
| 全国 | 3,359件 | 3,447件 |
出典:最高裁判所「司法統計年報(民事・行政編)」令和7年・令和6年 第4表
令和7年の末には名古屋地裁で72件が審理の途中にあり、1年前の54件より多くを抱えています。最高裁判所の検証報告書は、準備が足りないまま申し立てて補充の書面を何度も出すような進め方を防ぐことを、申立人の代理人に期待しています。名古屋地裁に出す時点で主張と証拠を仕上げておき、期日の途中で書面を継ぎ足さずに済む形にしてください。
出典:最高裁判所「司法統計年報(民事・行政編)」令和7年・令和6年 第4表、最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)」
令和7年に全国で申し立てられた3,447件を種類別に見ると、解雇などの無効を求める地位確認が1,656件(48.0%)で最も多く、賃金・手当(解雇予告手当を含む)が1,110件(32.2%)、退職金が68件です。愛知の職場の相談にも同じ構図があり、愛知労働局が令和6年度に受け付けたあっせんの申請239件のうち、最も多いのは解雇の52件(16.4%)です。労働局の話し合いで決着しなかった解雇の争いを次に持ち込む先が、三の丸の名古屋地裁です。
出典:最高裁判所「令和7年 司法統計年報(民事・行政編)」第91表・第92表、愛知労働局「令和6年度 個別労働紛争解決制度等の施行状況」
どの裁判所に申し立てられるかは法律で決まっていて、会社の本店の場所だけで決まるわけではありません。労働審判法2条は、相手方である会社の所在地のほか、自分が今働いている、または最後に働いていた事業所の所在地を管轄する地方裁判所にも申し立てられると定めています。本社が東京や大阪にある会社でも、豊田市や刈谷市の工場、名古屋市内の営業所で働いていたなら名古屋地方裁判所に出せます。
| 裁判所 | 所在地・窓口 | 労働審判の受付 |
|---|---|---|
| 名古屋地方裁判所 本庁 | 名古屋市中区三の丸1-4-1。申立ては高地裁庁舎1階の民事事件係 052-203-9047 |
県内で唯一受け付ける |
| 名古屋地方裁判所 一宮支部 | 一宮市公園通4-17 民事受付 0586-73-3127 |
なし(民事訴訟・民事保全は扱う) |
| 名古屋地方裁判所 半田支部 | 半田市宮路町200-2 民事受付 0569-21-0259 |
なし(民事訴訟・民事保全は扱う) |
| 名古屋地方裁判所 岡崎支部 | 岡崎市明大寺町奈良井3 民事事件係 0564-51-8811 |
なし(民事訴訟・民事保全は扱う) |
| 名古屋地方裁判所 豊橋支部 | 豊橋市大国町110 民事受付 0532-52-3154 |
なし(民事訴訟・民事保全は扱う) |
出典:e-Gov法令検索「労働審判法」、裁判所「労働審判手続」、名古屋地方裁判所「管内の裁判所の所在地」、名古屋地方裁判所「窓口案内」
労働審判を受け付ける支部は全国に立川・浜松・松本・福山・小倉の5か所しかなく、愛知県内の4支部はどれも指定されていません。岡崎支部や豊橋支部の窓口案内にも、労働審判の申立ては載っていません。三河や知多、尾張西部で働いていた人も、申立書は三の丸まで届けることになります。
名古屋地方裁判所本庁の最寄りは、地下鉄名城線の名古屋城駅(旧・市役所駅)です。5番出口から西へ歩いて10分で着きます。ほかに鶴舞線の丸の内駅1番出口から北へ10分、名鉄瀬戸線の東大手駅から西へ15分の道順もあり、名古屋駅桜通口からはタクシーで約10分(約2.5km)です。構内の駐車スペースは限られているので、期日の日は電車かバスで向かってください。
| 出発する地域 | 乗り換えの目安 | 降りる駅・バス停 |
|---|---|---|
| 豊橋・豊川・岡崎・安城(三河) | JR東海道線か名鉄名古屋本線で金山駅へ出て、地下鉄名城線に乗り換える | 名城線 名古屋城駅(5番出口から西へ徒歩10分) |
| 豊田・みよし | 名鉄豊田線の電車が地下鉄鶴舞線に乗り入れている | 鶴舞線 丸の内駅(1番出口から北へ徒歩10分) |
| 半田・常滑・東海(知多) | 名鉄河和線・常滑線で金山駅へ出て、地下鉄名城線に乗り換える | 名城線 名古屋城駅 |
| 一宮・稲沢(尾張西部) | JRか名鉄で名古屋駅へ出て、市営バス(名駅14系統など)に乗る | 名城病院バス停(西へ徒歩4分) |
| 瀬戸・尾張旭 | 名鉄瀬戸線で乗り換えなし | 東大手駅(西へ徒歩15分) |
出典:名古屋地方裁判所「名古屋地方裁判所本庁までのアクセス情報」、名古屋地方裁判所「名古屋地方裁判所の所在地」
期日が3回入れば、三の丸まで3往復します。委員会は必要に応じて申立人本人から直接事情を聴くので、代理人を立てた場合も本人が出向く前提で、豊橋や岡崎から通う人は早めに予定を空けておいてください。
出典:裁判所「労働審判手続」
三の丸には労働審判に関わる窓口がまとまっています。名古屋地方裁判所本庁と同じ三の丸1丁目4番に愛知県弁護士会館(三の丸1-4-2)があり、館内の三の丸法律相談センター(052-203-1651)で相談を受けています。2丁目の名古屋合同庁舎第1号館には愛知労働局の総合労働相談コーナー(052-972-0266)、3丁目の県庁西庁舎8階には愛知県労働委員会の事務局が入っています。期日の前後に同じ地区で弁護士との打ち合わせを入れれば、名古屋へ出る日をまとめられます。
申立書に何を書き、何通出すかは、名古屋地方裁判所だけの決まりではなく労働審判規則で全国共通に定められています。第1回期日で委員会が事情を聴く材料は申立書と証拠なので、書く項目を落とさないでください。
| 書くこと・出すもの | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 申立ての趣旨と理由 | 何を求めるか(従業員としての地位の確認、未払い賃金の支払いなど)と、それを支える具体的な事実 | 労働審判規則9条1項・2項 |
| 予想される争点と証拠 | 会社が反論してきそうな点と、その点ごとに使う証拠 | 同9条1項1号・2号 |
| 申立てに至る経緯 | 会社との交渉の経過。愛知労働局や愛知県労働委員会のあっせんを使ったなら、その経過も書く | 同9条1項3号 |
| 申立書の写し | 相手方の数に3を足した通数。会社1社が相手なら4通 | 同9条4項 |
| 証拠書類の写し | 申立書に添付する1組と、相手方の数と同じ組数。会社1社が相手なら計2組 | 同9条3項・4項 |
| 証拠説明書・資格証明書 | 証拠ごとに何を示すかをまとめた書面と、会社の代表者を示す証明書 | 裁判所の記載例の附属書類 |
出典:裁判所「労働審判規則」、裁判所「【記載例】労働審判手続申立書(地位確認)」
名古屋地方裁判所のサイトには、労働審判専用の書式のページがありません。裁判所の全国共通のページが、地位確認と退職金の2種類の申立書、証拠説明書、異議申立書の書式と記載例を配っています。記載例は宛名を「○○地方裁判所民事部」とし、労働局のあっせんが打ち切られた経緯まで書き込む形なので、愛知労働局のあっせんを経た人はその日付と会社の回答をそのまま書き写せます。残業代やハラスメントの慰謝料に合う書式はないため、その部分の組み立ては弁護士に任せてください。
労働審判は、2026年5月21日に始まった民事訴訟のオンライン申立ての対象から外れています。オンラインで出せるようになるのは令和10年6月までの予定で、いまは紙の申立書と証拠の写しを名古屋地方裁判所へ出します。郵便料は保管金として電子納付もできるので、切手を買いそろえる手間を省きたい人は4,000円の電子納付を選んでください。
出典:裁判所「労働審判で使う書式」、裁判所「【記載例】労働審判手続申立書(地位確認)」、裁判所「民事裁判手続のデジタル化」、裁判所「労働審判手続」
名古屋地裁へ出す前に手元にそろえるもの
裁判所に納めるお金は、収入印紙で払う申立手数料と、呼出状などを送るための郵便料の2つです。手数料は請求する金額で決まり、同じ金額で訴えを起こす場合の半分以下に収まります。
| 請求する金額 | 労働審判 | 訴え(書面) | 訴え(電子) |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 5,000円 | 12,500円 | 11,400円 |
| 160万円(金額を算定できない請求) | 6,500円 | 15,500円 | 14,400円 |
| 300万円 | 10,000円 | 22,500円 | 21,400円 |
| 400万円 | 12,500円 | 27,500円 | 26,400円 |
| 500万円 | 15,000円 | 32,500円 | 31,400円 |
出典:裁判所「手数料額早見表」
解雇の無効を求める地位確認のように金額で表せない請求は、160万円とみなして6,500円になります。労働審判で請求された総額の中央値は約290万円という調査があり、この水準なら印紙は1万円前後です。
出典:労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書No.226 労働審判及び裁判上の和解における雇用終了事案の比較分析」
名古屋地方裁判所は、労働審判で預ける切手の額面と枚数を決めています。
| 額面 | 枚数 | 小計 |
|---|---|---|
| 500円 | 4枚 | 2,000円 |
| 100円 | 15枚 | 1,500円 |
| 50円 | 10枚 | 500円 |
| 20円 | 10枚 | 200円 |
| 10円 | 15枚 | 150円 |
| 合計 | 54枚 | 4,350円 |
出典:名古屋地方裁判所「郵便切手及び予納金一覧(令和8年5月21日〜)」
この額は当事者が2名(申立人と会社)までの基本料金です。社長や上司を個人としても相手にするなど当事者が1名増えるごとに、切手なら1,220円分(500円2枚・100円2枚・10円2枚)、現金なら1,000円を加えます。現金か電子納付を選べば4,000円で済み、切手との差は350円です。54枚をそろえる手間も比べて、納め方を申立ての前日までに決めてください。
2026年5月21日施行の改正で郵便費用が申立手数料に組み込まれたのは、訴えの提起や支払督促です。労働審判は対象外のままで、名古屋地方裁判所の一覧にも4,350円の欄が残っています。令和8年5月21日以後に申し立てた労働審判が異議などで訴訟に移ったときは、訴え(書面)の額から労働審判で納めた額を差し引いた分だけを追加で納めます。名古屋地裁で先に労働審判を選んでも、手数料を二重に負担することにはなりません。
出典:裁判所「手数料額早見表」、名古屋地方裁判所「郵便切手及び予納金一覧(令和8年5月21日〜)」
期日は三の丸の名古屋地方裁判所本庁で開かれ、1回ごとに役割がはっきり分かれています。どの回に何を求められるかを知っておくと、仕事の休みも取りやすくなります。
会社は定められた期限までに答弁書を出し(労働審判規則14条・16条)、申立人はそれを読んだうえで第1回期日に臨みます。委員会は双方の言い分を聴き、必要なら本人や会社の担当者から直接事情を聴きます。争点の整理と事実の確認は、ほぼこの回で済みます。
やむを得ない事情がない限り、これより後に新しい主張や証拠は出せません(同27条)。委員会は話し合いで解決できる見込みがあれば、どの回でも調停を試みます。
金額や退職の条件で折り合えば調停が成立し、調書は裁判上の和解と同じ効力を持ちます。まとまらなければ、委員会が審理の結果を踏まえて労働審判を出します。
異議が出ると審判は効力を失い、申立ての時に名古屋地方裁判所へ訴えを起こしたものとみなされます(労働審判法21条・22条)。訴訟も同じ名古屋地裁で続き、申立書は訴状とみなされます。
出典:e-Gov法令検索「労働審判法」、裁判所「労働審判規則」、裁判所「労働審判手続」
令和6年に全国で終わった事件の平均審理期間は96.7日で、3か月以内に終わった割合は49.9%、3か月を超え6か月以内が45.9%です。前回の検証の90.3日より延びています。名古屋で申し立てるなら、終わるまで半年ほどを見込んで仕事の休みの段取りを組んでください。
出典:最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)」
労働審判法29条が準用する非訟事件手続法47条により、裁判所が相当と認めれば、当事者の意見を聴いたうえで、音声で同時にやり取りできる方法(電話会議やウェブ会議)で期日の手続きを進められます。この方法で参加した人は、その期日に出頭したものとして扱われます。ただし証拠調べはこの方法の対象外です。使うかどうかは名古屋地方裁判所が事件ごとに決めるので、豊橋や岡崎から毎回三の丸まで出るのが難しい事情があれば、申立ての段階で弁護士に伝え、期日の方法について意見を出してもらってください。
出典:e-Gov法令検索「労働審判法」、e-Gov法令検索「非訟事件手続法」(47条)
申し立てた人の多くは、審判が出る前の話し合いで決着しています。令和7年に全国で終わった3,249件のうち、調停の成立が2,172件(66.9%)を占め、労働審判が出されたのは644件(19.8%)です。
| 終わり方(令和7年・全国) | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 調停の成立 | 2,172件 | 66.9% |
| 労働審判 | 644件 | 19.8% |
| 取下げ | 236件 | 7.3% |
| 24条による終了(訴訟へ移行) | 150件 | 4.6% |
| 決定・その他 | 47件 | 1.4% |
出典:最高裁判所「令和7年 司法統計年報(民事・行政編)」第91表・第92表
審判が出た事件のうち異議が出た割合は、令和6年の数値で53.8%です。最高裁判所は、調停の成立と異議のない確定を合わせた74.3%に、取下げに含まれる手続き外の解決を加えると、全体の約8割が労働審判をきっかけに最終的な解決に至っていると評価しています(令和6年)。
出典:最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)」
解雇をめぐる労働審判の解決金を集計した労働政策研究・研修機構の調査では、中央値が150万円、平均が285万2,637円で、真ん中の半数が80万円から300万円の間に収まっています。同じ調査で、請求した総額の中央値は労働審判が約290万円、裁判上の和解が約840万円です。調査した労働審判の96.6%は、雇用を続けずに金銭で解決しています。
愛知の一般労働者の所定内給与は月34万1,600円で、全国平均の34万600円をわずかに上回ります。中央値の150万円はこの月給の約4.4か月分です。自分の月給に4.4をかけた額が、名古屋地裁で調停に臨むときの最初の物差しになります。示された調停案がこの水準を大きく下回るなら、訴訟へ進んだ場合の見込みと比べてから返事をしてください。
出典:労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書No.226 労働審判及び裁判上の和解における雇用終了事案の比較分析」、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査(都道府県別)」
会社が呼出しに応じなくても、労働審判は止まりません。委員会は申立書と証拠、申立人の説明をもとに審理を進め、労働審判を出します。異議が出なければ裁判上の和解と同じ効力で確定し、支払われないときは会社の預金や売掛金を差し押さえる手続きに進めます。呼出しを受けた関係人が正当な理由なく出頭しないときは、5万円以下の過料の対象にもなります(労働審判法31条)。
費用のかからない話し合いの手続きとの違いは、この強制力にあります。愛知労働局のあっせんは、令和6年度に処理した241件のうち合意に届いたのが79件で、106件(44.0%)は当事者の一方が参加しなかったため打ち切られています。愛知県労働委員会のあっせんも、令和7年に終結した8件のうち6件が打切りです。会社がすでにあっせんを断った、連絡そのものを無視しているという段階なら、話し合いの窓口を重ねずに名古屋地裁への申立てへ進んでください。あっせんが打ち切られた経緯は、申立書の「申立てに至る経緯」にそのまま書けます。
出典:愛知労働局「令和6年度 個別労働紛争解決制度等の施行状況」、愛知県労働委員会「令和7年版 年報」、裁判所「労働審判規則」
本人だけで申し立てることも、制度の上ではできます。ただ、令和6年に全国で終わった労働審判では申立人の88.4%に代理人が付いています。名古屋地方裁判所には申立書の書式や部数を独自に案内するページがなく、全国共通の記載例を自分の事件に合わせて組み替える作業から始まります。次の点を踏まえて、自分で進めるかどうかを決めてください。
自分で名古屋地裁に申し立てる前に押さえること
迷うなら、申立書の下書きを持って愛知県弁護士会の労働者側の相談枠(30分5,500円)を使う方法もあります。どの争点で押し、どの証拠が足りないかを一度で指摘してもらえるので、自分で進めるか依頼するかをその場で決められます。
出典:最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)」、愛知県弁護士会「労働(労働者側)」
依頼すれば、申立書づくりから期日での受け答え、訴訟に移った後まで、名古屋地裁とのやり取りを一人で抱えずに済みます。愛知県弁護士会には2,224人の弁護士が所属しています。任せられるのは次の5つです。
申立書を第1回期日に耐える形に仕上げる
争点ごとに証拠を割り付け、証拠説明書まで整えます。本社が県外でも愛知の事業所で働いていたなら名古屋地裁に出せるといった申立先の見極めも、代わりに引き受けてもらえます。
期日に同席して受け答えを支える
委員会の質問には本人が答える場面が多くありますが、隣で言葉を補い、不利に受け取られかねない言い方を整えます。会社の答弁書に対する反論の書面も用意します。
調停案を受けるかどうかの判断材料を示す
解決金の中央値150万円や、愛知の月給で何か月分にあたるかという物差しを使って、示された額を受けるかどうかの判断材料を具体的に示します。
期日の方法と日程を調整する
豊橋や岡崎から通う事情があれば、電話会議やウェブ会議の利用について裁判所に意見を出し、移動の負担を減らす方向で調整します。
訴訟へ移っても続けて担当する
異議が出て名古屋地裁の訴訟に移った場合も、同じ弁護士が引き続き担当します。経緯を最初から説明し直す手間はかかりません。
出典:日本弁護士連合会「弁護士会別会員数」(2026年9月1日現在)
弁護士費用は事務所ごとに決められますが、日本弁護士連合会のアンケートや法テラスの基準から相場の見当はつけられます。愛知県弁護士会の労働相談は30分5,500円なので、相談料を払ってでも総額の見積もりを依頼の前に聞いてください。
| 費用の種類 | 目安 | 根拠・補足 |
|---|---|---|
| 法律相談料 | 愛知県弁護士会は30分5,500円(1時間なら11,000円)。労働者側の専用枠がある | 名古屋法律相談センターの労働者側の枠は月・金・祝14:10〜、火11:45〜、水・日9:20〜。日弁連アンケートでは相談料「1万円」56%・「5,000円」36% |
| 着手金 | 20万〜30万円、または請求見込み額の約8%。着手金無料の事務所もある | 日弁連アンケートの労働事件の設例で20万円が45%・30万円が31%。訴訟へ移ったときの追加着手金の有無を契約前に聞く |
| 報酬金 | 30万〜50万円、または回収額の16〜25% | 同じ設例で30万円が36%・50万円が31%。復職で終わった場合の扱いも契約書で決めておく |
| 法テラスを使う場合 | 着手金88,000〜132,000円、実費20,000円 | 法テラスの立替基準にある労働審判事件の額。特に難しい事件は165,000円まで。申立手数料は別に立て替える |
| 裁判所への手数料 | 請求300万円で10,000円、金額を算定できない請求は6,500円 | 収入印紙で納める。同じ金額で訴えを起こす場合の半分以下 |
| 裁判所への郵便料 | 切手4,350円分、または現金・電子納付4,000円 | 名古屋地方裁判所の定額。当事者が1名増えるごとに切手1,220円分か現金1,000円を足す |
出典:日本弁護士連合会「市民のための弁護士報酬ガイド(2008年度アンケート結果版)」、裁判所「手数料額早見表(労働審判用)」、名古屋地方裁判所「郵便切手及び予納金一覧(令和8年5月21日〜)」、日本司法支援センター「業務方法書」(別表3 立替基準)、愛知県弁護士会「名古屋法律相談センター[相談料金・相談日時]」
手取りの月収と預貯金が基準以下なら、法テラスが弁護士費用を立て替え、毎月の分割で返していけます。労働審判を考える段階で職を失い、収入が途切れている人は基準に収まることが多く、名古屋市に住んでいるかどうかで上限額が変わります。
名古屋市在住なら、次の額までが対象です。
| 家族人数 | 手取り月収の基準(名古屋市) | 現金・預貯金の基準 |
|---|---|---|
| 単身 | 200,200円以下 | 180万円以下 |
| 2人家族 | 276,100円以下 | 250万円以下 |
| 3人家族 | 299,200円以下 | 270万円以下 |
| 4人家族 | 328,900円以下 | 300万円以下 |
名古屋市は生活保護の一級地なので、この表の額が使えます。豊橋市・岡崎市・一宮市・春日井市など名古屋市以外の市町村では、単身182,000円・2人251,000円・3人272,000円・4人299,000円が上限です。家賃や住宅ローンを払っている人は、単身41,000円から4人以上71,000円までを収入基準に上乗せできます。申込みは法テラス愛知(名古屋市中区栄4-1-8・0570-078341)か、法テラス三河(岡崎市十王町2-9・0570-078342)で受け付けています。
出典:法テラス「民事法律扶助のしおり」(2026年3月現在)、厚生労働省「級地一覧」、法テラス「法テラス愛知」
3回で終わる手続きなので、依頼先が労働審判の進み方にどれだけ慣れているかで準備の質が変わります。名古屋や三河で事務所を探すときは、次の条件で絞り込んでください。
名古屋地裁の労働審判を任せる事務所の条件
雇用契約書、就業規則、給与明細、解雇や退職勧奨のやり取りの記録、勤怠の記録に加えて、あっせんを使った人はその通知書を持って行ってください。これだけあれば、申し立てる価値があるか、請求額をいくらに置くかをその場で詰められます。ベンナビ労働問題では、名古屋市内や三河の事務所を初回相談無料、休日対応、オンライン面談の条件で絞り込めます。
取扱分野、初回相談料、夜間・休日の対応、オンライン面談の可否は事務所ごとに違います。雇用契約書と給与明細を手元に置いたまま、愛知県内の事務所を比べられます。
申し立てる前に、話し合いで片付くかを試せる窓口もあります。労働審判規則は申立書にあっせんなどの経過を書くよう求めているので、先に使った窓口の記録は無駄になりません。愛知県の労働相談には夜間の枠がないため、平日の昼に動けない人は土曜のウインクあいちか、弁護士会の夜間・日曜の枠を使ってください。
| 窓口 | できること・受付 | 電話番号 |
|---|---|---|
| 名古屋地方裁判所 本庁 民事事件係(名古屋市中区三の丸1-4-1 高地裁庁舎1階) | 労働審判と民事訴訟の申立て窓口。愛知県内で労働審判を受け付けるのはここだけ | 052-203-9047 |
| 愛知県弁護士会 夜間の法律相談(名古屋・岡崎・一宮) | 名古屋法律相談センターは第1・第3水曜17:00〜19:30、岡崎法律相談センターは毎週火・木18:30〜20:00、一宮法律相談センターは随時。いずれも有料の一般相談で予約制 | なやみ110番 0570-783-110 |
| あいち労働総合支援フロア 労働相談コーナー(名古屋市中村区名駅4-4-38 ウインクあいち17階) | 労働問題全般の相談。平日9:30〜18:00に加えて土曜10:00〜17:00も開いていて、土曜は県内全域からの相談を受ける。無料・予約不要。終了15分前までに連絡する | 052-589-1405 |
| 同フロアの弁護士相談・社労士相談 | 弁護士による相談は1回60分以内で予約制、同じ案件は1回まで。社会保険労務士の専門労働相談は月3回13:00〜16:00で、月1回ほど土曜開催の回がある。いずれも無料 | 052-589-1405 |
| 東三河・海部・知多・西三河の各県民事務所 | 豊橋(0532-55-6010)は豊橋市・豊川市・蒲郡市・田原市、岡崎(0564-26-6100)は岡崎市・刈谷市・安城市・西尾市などを受け持つ。平日9:00〜17:00 | 豊橋 0532-55-6010 岡崎 0564-26-6100 |
| 愛知県労働委員会(名古屋市中区三の丸3-1-2 県庁西庁舎8階) | 公益・労働者・使用者の3名のあっせん員による無料のあっせん。申出は電話連絡のうえ事務局へ直接出向く必要がある。令和7年の取扱は12件 | 052-954-6833 |
| 愛知労働局 総合労働相談コーナー(県内15か所) | 愛知労働局と14の労働基準監督署に設置。全コーナー共通で平日9:30〜17:00。助言・指導やあっせんへつなぐ | 052-972-0266(三の丸庁舎分室) |
| 愛知県弁護士会 法律相談センター(県内11か所) | 労働者側の相談は30分5,500円。名古屋センターは労働者側の専用枠を月・金・祝14:10〜、火11:45〜、水・日9:20〜に設けている。予約制 | なやみ110番 0570-783-110 |
| 法テラス愛知・法テラス三河 | 収入・資産が基準以下の人向けの無料相談と費用立替。法テラス愛知は名古屋市中区栄4-1-8、法テラス三河は岡崎市十王町2-9。平日9:00〜17:00 | 愛知 0570-078341 三河 0570-078342 |
出典:名古屋地方裁判所「窓口案内」、愛知県弁護士会「夜間における法律相談」、愛知県「労働相談」、愛知県労働委員会「個別労働関係紛争のあっせん」、愛知労働局「総合労働相談コーナーのご案内」、愛知県弁護士会「法律相談センター」、法テラス「法テラス愛知」
名古屋市中区三の丸1-4-1の名古屋地方裁判所本庁です。申立書は高地裁庁舎1階の民事事件係(052-203-9047)が受け付けます。愛知県内の事業所で働いていた人なら、会社の本店が県外にあっても名古屋地裁に申し立てられます(労働審判法2条)。
行くことになります。名古屋地方裁判所の一宮・半田・岡崎・豊橋の4支部は、どこも労働審判を受け付けていません。全国で労働審判を扱う支部は立川・浜松・松本・福山・小倉の5か所だけです。豊橋や岡崎からはJRか名鉄で金山駅へ出て、地下鉄名城線で名古屋城駅へ向かえば乗り換えは1回です。
地下鉄名城線の名古屋城駅(旧・市役所駅)で、5番出口から西へ徒歩10分です。鶴舞線の丸の内駅1番出口からも北へ徒歩10分で着きます。名古屋駅からは市営バス(名駅14系統など)で名城病院バス停まで行けば、そこから西へ4分です。
令和7年に名古屋地方裁判所が受け付けた労働審判は237件で、前年の213件から増えています。東京地裁の1,050件、大阪地裁の327件に次ぐ全国3番目で、全国3,447件の6.9%を占めます。年末の時点では72件が審理の途中にあります。
切手なら4,350円分(500円4枚・100円15枚・50円10枚・20円10枚・10円15枚)、現金や電子納付なら4,000円です。どちらか一方を納めれば足ります。当事者が1名増えるごとに、切手は1,220円分、現金は1,000円を加えてください。
申立書の正本に加えて、相手方の数に3を足した通数の写しを出します(労働審判規則9条4項)。会社1社が相手なら写しは4通です。証拠書類の写しは、申立書に添付する分と相手方の数の分が要ります。名古屋地裁に独自の書式はないので、裁判所の全国共通ページにある地位確認・退職金の申立書と記載例を使ってください。
いまはできません。2026年5月21日に始まった民事訴訟のオンライン申立ては、労働審判を対象にしていません。対象になるのは令和10年6月までの予定です。紙の申立書を名古屋地方裁判所に出し、郵便料だけは保管金として電子納付を選べます。
裁判所が相当と認めれば、当事者の意見を聴いたうえで、電話会議やウェブ会議のように音声で同時にやり取りする方法で期日を進められます(労働審判法29条・非訟事件手続法47条)。参加した人は出頭したものと扱われますが、証拠調べは対象外です。名古屋地裁が事件ごとに決めるので、遠方から通う事情は申立ての段階で弁護士に伝えてください。
無料枠はなく、労働者側でも30分5,500円です。愛知県弁護士会が無料にしているのは交通事故やサラ金・クレジット被害など7分野で、労働は入っていません。名古屋法律相談センターの労働者側の専用枠は、水曜と日曜なら9時20分から使えます。収入が基準以下なら、法テラスの無料相談を先に使ってください。
県の窓口のあいち労働総合支援フロア(ウインクあいち17階・052-589-1405)が、土曜10時から17時まで県内全域からの相談を受けます。愛知県弁護士会は、名古屋法律相談センターで第1・第3水曜の17時から19時30分まで、岡崎法律相談センターで毎週火曜と木曜の18時30分から20時まで夜間の相談枠を設けています。日曜の午前には名古屋で労働者側の専用枠もあります。
手続きは止まらず、委員会は出された資料と申立人の説明をもとに労働審判を出します。正当な理由なく出頭しない関係人は5万円以下の過料の対象です(労働審判法31条)。異議が出なければ審判は確定し、支払われないときは会社の預金などを差し押さえられます。
労働審判を申し立てた名古屋地方裁判所で続きます。異議が出ると、申立ての時に名古屋地裁へ訴えを起こしたものとみなされ、申立書が訴状の代わりになります(労働審判法22条)。手数料は訴えの額から労働審判で納めた額を引いた差額だけを追加で納めます。労働関係の訴訟は平均審理期間が16.1か月なので、異議が出る見込みも踏まえて調停案に答えてください。
会社が話し合いに応じる見込みがあるなら、無料の愛知労働局のあっせん(県内15か所の総合労働相談コーナーで受付)から始められます。愛知県労働委員会(052-954-6833)のあっせんもありますが、令和7年の取扱は12件と少数です。会社がすでに話し合いを拒んでいるなら、あっせんを挟まずに名古屋地裁へ申し立ててください。
解雇をめぐる労働審判の解決金は、中央値150万円、平均285万2,637円という調査があります。愛知の一般労働者の所定内給与は月34万1,600円なので、中央値は約4.4か月分です。自分の月給に4.4をかけた額を、調停案を受けるかどうかの最初の目安にしてください。
参考資料・更新情報