【相談前】
Aさんは、10年ものあいだ働いてきた会社から、突然「辞めてほしい」と告げられました。 その理由として、ひとつの業務だけでなく複数の業務にわたって成績が良くないことを挙げられましたが、その多くは、事実と異なるものでした。 Aさんは「実際は違うのに、辞めさせられるなんておかしい」と会社に訴えましたが、会社側はAさんの勤務査定が長年のあいだ最低レベルであったことを主張し、「雇い続けることは難しい」と譲りませんでした。 そうしてAさんは、弁護士のもとへ相談に来られました。
【相談後】
Aさんと会社側との話し合いは難しいと予想されたので、すぐに「解雇は無効である」ことを確認する裁判を起こしました。
裁判中、会社側は、Aさんの10年間にわたる勤務実績において「勤務成績がいかに悪いか」について、強く主張します。しかしそのほとんどは事実と異なるものでした。会社側がAさんに対し不当な評価を行っていることは、明白でした。
会社側に対して反論すべき点がたくさんあったため、裁判は長期間、続くことになりました。
会社側がAさんを辞めさせたことは非常に不当なことだと思われましたが、最終的には、Aさんは退職することを決め、会社側から相応の解決金を受け取ることで、和解に合意することとなりました。
【弁護士からのコメント】
従業員は会社側から「辞めさせられる」と、生きるための糧を奪われることになりかねません。非常に重要な問題です。しかし、今なお、簡単に従業員をやめさせようとする会社は多く存在しています。
労働契約法第16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。つまり、会社がたやすく従業員を辞めさせることをしてはいけないのです。例え会社から「辞めてほしい」と言われても、素直に受け入れなければならないわけではありません。
解雇は、従業員の生活を直接的におびやかすものです。もし、あなたが会社から辞めてほしいと言われたり、辞めさせたがっている雰囲気を感じた時は、すぐに弁護士に相談しましょう。