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公開日:2022.3.30 更新日:2022.7.8

退職理由は嘘でもいい?メリット・デメリットや伝える際のポイント

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仕事を辞めたいと思ったとき、退職理由に悩みますよね。

「本当の理由は言いづらい…」「円満に退職したい」と思う方は多いのではないでしょうか。

「問題ないのなら、嘘の退職理由を伝えたい」と考えている方もいるかもしれません。

 

結論からいうと、嘘の退職理由を告げても、法的には問題ありません。

しかし、嘘をつくことで少なからずリスクも生じます。

 

そこで今回は、退職理由に嘘をつくメリット・デメリットから納得してもらいやすい退職理由、伝える際のポイントまで解説します。

 

退職を決める前に転職先を決めよう

退職意思を会社に伝える前に、転職先から内定をもらっておくことをおすすめします。

 

転職活動をまだ始めていない方は、まずは以下の『転職エージェント診断ツール』を利用して、ピッタリな転職エージェントを利用しながら、理想の職場への転職活動を始めていきましょう。

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退職理由は嘘をついてもいいの?

退職理由に嘘をついても、法的には問題ありません。

民法では、雇用の解約について以下のように定められています。

第八節 雇用

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元:民法|e-Gov法令検

*定めのある期間とは、契約の満了日が決められている契約(契約社員など)

*定めのない期間とは、期日の定めがなく定年まで更新する前提の契約(正社員など)

 

退職したい旨を申し出る期間の定めはありますが、退職理由についての明記はありません。

本音を伝えることで、職場に波風が立つことも考えられます。

波風が立ってしまっては、円満退職は難しいかもしれません。

退職理由が、職場や人間関係に対しての「不満」からきている際には、嘘をつくのも1つの方法です。

嘘の退職理由を伝えるメリット

嘘の退職理由を告げることで得られるメリットには、以下のようなものがあります。

  • スムーズに退職できる

  • 職場の雰囲気が悪くならず退職できる

  • 本音を隠せる

  • 転職の際に有利になる可能性がある

 

 

スムーズに退職できる

最大のメリットは、スムーズに退職できる点です。

なぜなら嘘の理由は、納得してもらいやすいものにするケースが多いからです。

 

例えば、本音は「人間関係が嫌」だったとしましょう。

正直に話すと、「ちなみにどんなところが?」など、追及される可能性もでてきます。

 

結果、円満な退職はできないかもしれません。

一方、「通勤距離が遠く、就業後して帰宅するまでに1時間以上かかってしまうので…」と話したとすると、どうでしょう。

嘘をつくことになりますが、「そうか。それなら仕方がないな」と、会社とトラブルになることなく退職できる可能性が高くなります。

職場の雰囲気が悪くならず退職できる

職場の雰囲気が悪くならずに辞められる点もメリットです。

退職は、急にできるものではありません。

 

辞めたい意向を伝えてからも、最低2週間は職場で引継ぎや挨拶回りなどをおこなう必要があります。

そのため、退職の理由によっては、退職日前日まで「気まずい雰囲気」になってしまうケースもあるのです。

嘘の退職理由をつくことで、波風を立てなくて済むため、雰囲気が悪くならずに退職日まで過ごせます。

本音を隠せる

本音を隠せるのもメリットでしょう。

退職理由は、ときに嘘をついた方がいいケースもあります。

 

例を挙げてみます。

【嘘をついた方がいい退職理由の例】

  • 職場の上司と合わない

  • 人間関係がうまくいかない

  • 給与が割に合わない

  • 残業が多い

  • 業務がつまらない

こうした理由は、誰しも感じた経験があるのではないでしょうか。

とはいえ、社内や従業員への不平・不満などが理由の場合、正直に伝えるとトラブルの引き金になりかねません。

「嘘をつく=本音を隠せる」ため、本当の気持ちを知られることなく辞められます。

 

転職の際に有利になる可能性がある

転職の際に有利になる可能性もあります。

 

面接のとき、必ずといっていいほど「前職の退職理由」を聞かれます。

なぜなら、採用の判断材料になるからです。

例えば、「上司と相性が合わなくて」と話すと「この職場でも同じように辞めるかもしれない」と思われる可能性があります。

 

しかし、「前職で培った経験を活かしてスキルアップしたくて」と伝えると、「やる気があるな」と認められやすいのではないでしょうか。

スキルアップなど、前向きな理由は好印象につながります。

嘘の退職理由を伝えるデメリット

嘘をつくデメリットを3つ紹介します。

  • つじつまが合わなくなる可能性がある

  • 退職後の言動に注意が必要になる

  • 嘘がバレてしまう可能性がある

 

つじつまが合わなくなる可能性がある

話しのつじつまが合わなくなる可能性が考えられます。

1度、嘘をつくと、その嘘に合わせるように次の嘘をつくこともでてくるでしょう。

 

上述しましたが、退職は「辞めたいと告げた日」に辞められるわけではありません。

最低でも2週間、本来であれば1~3ヵ月は必要であり、その間、嘘をつき続けることになります。

 

始まりは小さな嘘でも、嘘に嘘を重ねていくと、矛盾が生じやすくなるものです。

話のつじつまが合わなくなり、「この前は、〇〇って言ってなかった?」と疑われてしまうかもしれません。

退職後の言動に注意が必要になる

退職後の言動に注意が必要な点もデメリットです。

 

例えば、「実家の親の介護をしたいため」という理由で退職したとしましょう。

退職後に、近くのスーパーやコンビニ、娯楽施設などで元同僚と鉢合わせる確率も0%ではありません。

もし、バッタリ出会ってしまったら、「あれ?」「実家に帰ったのでは?」と、不審に思われてしまいかねません。

翌日、「〇〇さん、▲▲店にいたよ」とウワサになり、広まるケースもあり得ます。

嘘がバレてしまう可能性がある

相手によって伝える理由を分けている場合や、明らかに疑わしい理由を伝えた場合、嘘がバレてしまう可能性があります。

親の介護や結婚などの理由も、本来であれば「やむを得ない事情」のため円満退職しやすいものですが、事実とかけ離れている場合は注意が必要です。

 

今はSNSも普及しており、ふとした拍子にバレるケースもあります。

近々、事実になりうる嘘の理由を伝えるのが、賢明といえるかもしれません。

納得してもらいやすい退職理由

波風立てずに円満退職するには、納得してもらいやすい退職理由を伝えることが重要です。

以下のような理由を検討してみてはいかがでしょうか。

  • スキルアップしたい

  • やりたい仕事がある

  • より専門性を磨きたい

  • 資格取得のため学校へ行きたい

  • 次の転職先が決まった

前向きな理由や、現状では解決の見込みがない理由などがおすすめです。

「在職中に転職活動をおこなってもいいの?」と不安に思っている方もいるかもしれません。

 

在職中に転職活動をおこなっても問題ありません。

なぜなら、日本国憲法で、職業選択の自由が保障されているからです。

第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

引用元:日本国憲法|e-Gov法令検索

ただ、会社によっては、在学中の転職活動や副業を禁止しているところもあるので、就業規則を確認しましょう。

注意が必要な嘘の退職理由

つじつまが合わなくなったり、SNS経由でバレたりする可能性がある理由は、気をつける必要があります。

例えば、以下のような理由には注意しましょう。

  • 親の介護をする

  • 実家に戻り家業を継ぐ

  • 結婚する

  • 引っ越す

  • 病気になった

繰り返しになりますが、退職するまで嘘をつき続けることになるため、嘘に嘘を重ねなければならないシーンもでてくるかもしれません。

話しのつじつまが合わなくなってくると、不信感を抱かれてしまい、職場の雰囲気も悪くなっていきます。

まったく関係のない嘘の理由を伝えるのではなく、事実にしやすいものを話しましょう。

退職理由を伝える際のポイント

円満に退社するためには、退職理由の伝え方も大事になってきます。

ポイントを5つ紹介します。

  • 直属の上司に口頭で伝える

  • 会社の否定をしない

  • ネガティブな退職理由は伝えない

  • 退職する強い意思をもつ

  • メールで済ませない

直属の上司に口頭で伝える

最初に退職の意思を伝えるのは、直属の上司です。

直属の上司より先に、さらに上の役職の人に伝えたり、人事部に相談したりするのは避けましょう。

 

上司のなかには、「直属の上司は自分なのに」「まず私に相談するのが常識だろう」と、不快に思う人もいます。

まずは直属の上司に「相談したいことがあるのですが…」と申し出て、話す時間を設けてもらいましょう。

 

また伝える時期は、退職を希望する日の1~3ヵ月前が目安です。

早めに申し出ましょう。

会社の否定をしない

会社の否定をするのはご法度です。

 

給与が低い、残業が多い、社風が合わないなど、さまざまな不満があることでしょう。

しかし、会社の否定や批判を口にしては、トラブルの原因になりかねません。

 

また、「改善するから考え直してもらえないか?」と引きとめられるケースも考えられます。

円満退職ができなくなってしまうため、会社の不満や批判ではなく、個人的な理由を伝えるようにしましょう。

ネガティブな退職理由は伝えない

ネガティブな退職理由を伝えるのは避けましょう。

上司と合わない、人間関係がうまくいかない、休みが少ない、といったネガティブな理由は、会社・上司にとって、いい気分になれるものではありません。

 

退職する日まで、社内が気まずい雰囲気になってしまうでしょう。

加えて、ネガティブな理由は、面接時にマイナスな印象を与えてしまうことにもつながります。

ネガティブな退職理由が本音の場合、ポジティブな言い回しへと言い換えましょう。

退職する強い意思をもつ

退職を決意しているのであれば、強い意思を態度でも示しましょう。

「考えているのですが…」と決断していない様子を見せたり、引きとめられた際に「うーん。どうしよう…」迷ったりしていては、引きとめられてしまいます。

 

迷っている場合、改善できる見込みがあれば「退職」という大きな決断をする必要はないかもしれません。

本当に退職をする際には、なにを言われても、揺らがず強い意思をもって話すことが大切です。

 

メールで済ませない

退職は、会社にとっても、あなた自身にとっても、大きな事柄です。

気まずいかもしれませんが、メールで済ませるのではなく、口頭で伝えましょう。

 

社会のルールには、メールで済ませられることと、直接会って話さなければならないことがあります。

大事なできごとや緊急の際は、メールではなく口頭で伝えるのが一般的です。

 

退職の申し出に関しては、「口頭・対面」が取るべき対応といえます。

対面で話すことによって、表情や態度、雰囲気も感じとることができるため、真摯に受け入れてくれる上司もいるかもしれません。

ポジティブな理由を伝えて円満退職しよう

退職理由を詳細に伝える義務はありません。

しかし職場側からすると、退職とは社員を1人失うことを意味するため、「なぜ辞めたいと思ったのかな」と、退職理由を聞きたくなるものです。

 

また、退職理由が気になるのは、転職先にもいえます。

なぜなら、退職理由も採用の1つの判断材料になるからです。

ポジティブな退職理由を伝えることで、好印象につながります。

嘘の退職理由を伝える際は、できるだけ事実に近いもの、かつ、ポジティブな理由にして、円満退職を目指しましょう。

 

 

 

退職を決める前に転職先を決めよう

退職意思を会社に伝える前に、転職先から内定をもらっておくことをおすすめします。

 

転職活動をまだ始めていない方は、まずは以下の『転職エージェント診断ツール』を利用して、ピッタリな転職エージェントを利用しながら、理想の職場への転職活動を始めていきましょう。

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編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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