相談前
Aさんは正社員として勤務されていました。
会社での受動喫煙がきっかけで喘息を発症したAさんは、あまりの症状の悪化により休職を余儀なくされました。
しばらく仕事に復帰出来ずにいたAさんでしたが、ある時、6ヶ月の休職期間を満了したとして会社から自然退職を告げられました。
自己都合退職の扱いになると聞かされたAさんは、環境を整備することで受動喫煙が起こらないようにする義務が会社にはあったのではないかと考えました。
「喘息の悪化は会社の責任であるため、休職期間分の給与請求を行いたい」
「自己都合退職について不満がある」
と感じたことで、弊所にご相談くださいました。
相談後
民法536条2項には「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは,債権者は,反対給付の履行を拒むことができない。」と定められています。
つまり、会社側の原因で労働者が働けなくなった場合には、労働者には賃金を請求する権利があるのです。
また、労働安全衛生法第68条の2には「事業者は,室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙を防止するため,当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする。」と定められています。
会社側には、受動喫煙を防ぐための環境を整備する義務があるのです。
Aさんの症状悪化は会社側に責任があると判断した弁護士は、ご依頼をお受けすることにしました。
弁護士は会社に「Aさんの喘息の悪化は安全への配慮を怠った会社側の責任である」と主張。
休職期間中の給与と、休職期間の延長を求めました。
しかし,これに対して会社側は反論。
「そのような義務はなく、給与を支払うつもりもない」とこちらに歩み寄る姿勢が全く見られませんでした。
弁護士は労働審判を提起し、さらに交渉を重ねました。
立証については一定のハードルがあったものの、裁判所からもこちらの主張が一定認められ、Aさんの退職は会社都合のものとなりました。
また、解決金として会社からAさんに50万円が支払われることになり、無事に和解が成立しました。
弁護士からのコメント
安全配慮義務違反に関する本件のようなケースでは、会社が行為の違法性を認めないことが少なくありません。
そのような場合は、法的手続きをもって解決を目指しましょう。
本件は2回の労働審判で解決し、申立からかかった期間は約2ヶ月でした。
「任意交渉で、解決まで長引いている」
「労働審判を起こして早期解決を目指したい」
そんな方は、お気軽に弁護士までご相談ください。