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公開日:2018.7.30 更新日:2022.3.14 弁護士監修記事

芸能人は労働基準法で保護されるの?残業代・退職の自由の有無について解説します!

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タイトなスケジュールで撮影やコンサートなどの仕事をこなす芸能人は少なくありません。中には過労で体調を崩す芸能人もいますが、彼らに労働基準法は適用されるのでしょうか?

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契約上、労働基準法は適用されない

まず、労働基準法により保護が受けられるのは、労働基準法が定める『労働者』に該当する者です。

 

労働基準法9条

第九条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

引用:労働基準法9条

 

『労働者』は雇用主と『労働契約』を結んでいる当事者ですが、正社員に限らずアルバイトなど非正規雇用者を含め、雇用契約の当事者となっている者はすべからく労働基準法による保護を受けられます。ただ、『雇用契約』の当事者といえるかどうかは、契約形式だけでなく実態を踏まえた判断が必要です。

 

アイドルの場合、その実態から雇用契約の当事者(労働者)といえる場合とそうでない場合に分かれると思われます。仮に、アイドルが『労働者』ではない場合、労働基準法の保護は受けられませんので、以下のような問題が生じる可能性があります。

 

  • 賃金や残業代が支払われない
  • 事務所から一方的な契約解除は許されないとやめさせてもらえない
  • 労災が認められない

 

芸能人に労働基準法が適用されるケース

一方、アイドルであっても『労働者』と認められるような場合は労働基準法の保護を受けられます。『労働者』といえるかどうかは、端的に言えば使用者(ここでは芸能事務所)との間に使用従属関係があり、労務の提供に対して賃金が支払われていることです。

 

具体的には以下のような事由を総合的に考慮して判断されます。

  • 仕事の依頼があってもこれを断ることができるか
  • 働く場所や時間を拘束されているか
  • 活動内容について事務所の具体的な指示に従っているか
  • 活動の質ではなく時間によって対価が計算されているか など

 

芸能人を労働基準法で保護する流れがある

芸能人のうち『労働者』と評価されない限り、労働基準法による保護を受けることができません。しかし、近年、芸能人は『労働者』に該当するとの声も多く聞かれます。

 

最近では、とある歌手(被告)が所属事務所(原告)から『マネジメント契約』の存続を訴えられた裁判で、被告は労働者と評価されるとの理由から請求が棄却された判例がありました。

 

『被告が路上ライブの開始時刻、終了時刻を原告へ報告していた』『被告のイベント出演において出演料・スケジュールは原告を通して行っていた』などの理由から被告が労働者であることが認められました。

平成28年 3月31日

裁判所名:東京地裁

裁判区分:判決

事件番号:平27(ワ)19440号

事件名:マネジメント専属契約存続確認請求事件

裁判結果:請求棄却

文献番号:2016WLJPCA03318003

 

まとめ

芸能人は特殊な職業であるため、労働契約を適用させるべきか線引きが難しいところがあるでしょう。

それでも、芸能人の方々に少しでも働きやすい環境で働いてもらうことで、テレビやラジオなど、より楽しいコンテンツが増えたらいいですね。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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