「年俸制」を理由に残業代をもらえなかったため、割増賃金請求の訴訟を起こした事例
【相談前】
Bさんは転職活動をしており、次の職場が決まったため、これまで勤めていた会社を退職することにました。
転職活動の際、応募先企業の雇用条件をチェックしていたところ、「年俸制であっても残業代は支給される」という事実を知りました。
これまで勤務していた会社では「年俸制だから残業代は支払わない」と説明されていて、実際、まったく支給されていなかったのです。
これを疑問に思ったBさんが、相談に来られました。
【相談後】
「年俸制の場合、会社は従業員に対して残業代を支払う義務はない」ということはありません。
会社は、Bさんに対して事実とは違う説明をしていました。そして、本来なら受け取れるはずの残業代を、Bさんはもらえていなかったのです。
Bさんは、2年間、その会社に勤務していました。勤怠はタイムカードで管理されていたため、その開示を求めたのです。その結果、実際の労働時間を確認することができました。
弁護士が会社と交渉し、Bさんは2年間の勤務のあいだにほぼ支払われていなかった残業代を、すべて手にすることができました。
【弁護士からのコメント】
もしあなたが勤務している会社から「残業代は支払えない」と言われたとしても、それをすぐ鵜呑みにする必要はありません。会社側の理解が足らず、本来は支払われるべき残業代が支払われていないという例も、多々あるのです。
会社は、法定労働時間を超えて労働させた場合、また、深夜や法定休日に労働させた場合には、労働者に対して割増賃金を支払わなければならない決まりがあります。
労働基準監督署は令和2年、残業代未払いに対する監督指導を企業に対して行いました。その結果、未払いだった多額の残業代が、労働者に支払われることとなりました。未払い残業代は徐々に減ってきていますが、まだまだ多いのが現状でしょう。
もしあなたが、「会社から残業代がもらえない」と悩んでいるのなら、ぜひ弁護士に相談してください。お力になれるかもしれません。