【相談前】
Dさんは、鋼材を扱う会社で働いていました。ある日、別の従業員が踏みつけてしまい、高く積み上げられていた鋼材が一気に崩れ落ち、Dさんは下敷きになってしまったのです。 Dさんは、脛骨・腓骨を骨折する大けが。治療を続けましたが、結局、後遺症が残ることになってしまいました。 Dさんは退職することを決め、会社に対して損害賠償請求を起こしたいと、弁護士のもとへ相談に来られました。
【相談後】
会社側は当初、「全従業員に対して、鋼材を踏みつけてはいけないと、きちんと教育していた」「Dさんがヘルメットをしていなかったのが悪い」「Dさんは立ち入り禁止の場所に入っていた」と主張し、賠償金の支払いを拒否していました。 しかしDさんは、「会社から、ヘルメット装着義務や立ち入り禁止場所についての指導を受けたことはない」「入社してたった2か月で労働災害が発生したのは、会社の指導が不十分だったせいだ」と反論。諦めずに会社と交渉を続けました。 最終的に、満額ではありませんでしたが、Dさんは会社から損害賠償請求額の一部を支払ってもらうことができました。
【弁護士からのコメント】
一般的に、会社に対して損害賠償請求を起こすときは、「確かに会社側に過失があった」ということを会社自身に認めてもらうことが必要不可欠です。 しかし、賠償金を支払いたくない会社であれば、「当社に過失はない」と、当然ながら主張してきます。会社の過失を暴くためには、「労働安全衛生法」などの法律を犯していないか、細かい点まで検討しなければなりません。 労働者は法律に詳しくない場合が多いので、はなから損害賠償請求を諦めてしまうことも多々あります。 もし、労働災害でケガをしてしまったときは、すぐに弁護士に相談しましょう。