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公開日:2018.7.10 更新日:2022.7.8 弁護士監修記事

女性同士でもセクハラが適用される可能性があるの!?

『セクハラ』というと、一般的には男性が女性に対してやってしまうことという印象があるでしょう。

 

ですが実際には、かなり限定的なケースではありますが、同性間でもセクハラは起こり得るということをご存知でしょうか?

 

たとえ女性同士であっても、相手の意に反する性的な言動をすれば、それがセクハラになってしまうことは考えられます。

 

ではいったい、女性同士のどんな言葉や行動が、セクハラとされてしまうのでしょうか?

 

女性同士でも起こる可能性のあるセクハラについて、この記事で解説していきます。

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女性同士でもセクハラになるって本当?

一般的なセクハラのイメージは、『異性に対して不快な思いをさせること』ですよね。しかし、法的な意味でのセクハラはもう少し範囲が狭いです。

 

より詳しく説明すると、法的なセクシャルハラスメントには『対価型セクシャル・ハラスメント』との2つが『環境型セクシャル・ハラスメント』あると考えられています。

 

  • 対価型セクシャル・ハラスメント

→性的な言動に対する相手の反応・対応に起因して何らかの雇用上の不利益を与える行為をいいます(例えば、執拗にデートへ誘い、断わられたことを理由に相手を社内で冷遇するなど)。

 

  • 環境型セクシャルハラスメント

→労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業感雇用が害されることをいいます(例えば、職場で性を意識させるような言動をくり返し、仕事上のコミュニケーションを取りづらい状態を作り出したり、業務効率を低下させるなど)。

 

男女間でのセクシャルハラスメントは前者・後者共に起こり得ますが、同性間のセクシャルハラスメントは多くの場合、後者の『環境型セクシャルハラスメント」が問題になるかと思われます。

 

例えば、インターネット上では同性間のセクシャルハラスメントについて以下のような投稿がありますので、参考にしてみてください。

 

 

これらすべてが一概にセクハラであるとは言えませんが、人によってはこれを『不快な言動』と感じてしまい、セクハラとして受け止める人もいるでしょう。

 

あまり公にはなっていませんが、女性同士の間でも、実は身近なところでセクハラともなり得る行為が起こっていたのですね。

 

こうした女性同士のセクハラは、男女間のそれに比べてかなり限定的なケースであり、相手との人間関係や、そのときの状況によって、それがセクハラに該当するかは変わってきます。たとえ同じ言葉を言われたとしても、すべてのケースでそれがセクハラになるとは限らないのです。

 

ただ、『その人の主観的な判断』もセクハラの評価の上では重要な考慮要素の1つですので、『そんなつもりはなかったのにセクハラになってしまった』なんてこともあり得るということを、ぜひ覚えておいてください。

 

こんな言葉はセクハラになる?

男性から女性に対するセクハラは以前から社会問題として認知されてきましたが、同性間のセクシャルハラスメントについてはあまり議論されていないように思われます。

 

異性間のコミュニケーションと同性間のコミュニケーションで受け手が感じる不快感には自ずと違いがあるため、これを同じこととして議論することは難しいでしょう。

 

しかし、同性間のセクハラであっても、過度に性を意識させるような言動をくり返せば、相手を不快な思いを感じさせ、その就業環境を阻害することはあり得ます。

 

例えば、

 

『結婚する・しない』

『妊娠する・しない』

『性行為をする・しない』

 

など、ことさら性を意識させるような言動を、同性間のコミュニケーションとして許容し得る範囲を超えて執拗にくり返した場合、セクハラであると評価される可能性は否定できないでしょう。

 

ここでのポイントは、『同性間のコミュニケーションとして許容できる範囲かどうか』です。これは、その場の雰囲気、相手との関係、会話の目的に大きく左右されるものです。

 

何でも言い合える仲であれば気にしないことも、まだまだ関係性の薄い人に言われれば、それは不快な思いがして当然です。セクハラだと訴えたくもなるでしょう。

 

そのため、一概に『この言葉はセクハラに該当する・しない』と判断することはできません。しかし、何事も常識の範囲内で行動すべきです。

 

常識を超えて執拗に性を意識させるような言動を職場内でくり返せば、たとえ同性間であっても、『セクハラになる可能性はある』という意識を持つことが大切です。

 

また、言葉だけではなく、

 

  • 体を執拗に触る
  • 体を長い時間観察する

 

などの行為は、当然、同性間であってもセクハラとなる可能性があります。

 

セクハラを受けたときの対策

セクシャルハラスメントは法的には不法行為として損害賠償責任を負う行為です。

 

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用元:民法第709条

 

しかし、セクシャルハラスメントに対していきなり損害賠償を求めるという対応は現実的ではありません。まずは相手に拒否の姿勢を明確に伝えることが大切ですし、それでもやまない場合は、会社に対応を求めることが重要でしょう。

 

その他詳しいセクハラへの対策については、こちらの記事をご参照ください。

参考:上司のセクハラ撃退方法|セクハラをやめさせる3ステップ

 

なお、本記事でのセクシャルハラスメントは法的な責任の生じるセクシャルハラスメントを念頭に置いています。しかし、法的な責任とは別に、自身の性的な言動に対して相手が不快の念を抱くことは十分にあり得ます。

 

このような事態はトラブルの温床になりますので、できる限り回避したいですね。そもそも職場内で性的な言動をする必要性はまったくありません。たとえ同性間であっても、可能な限り性的な言動を控えることが賢明です。

 

まとめ~セクハラにならないように普段から気をつけること~

セクハラについて、明確な判断基準はありません。

 

しかし、法的な責任はもちろんとして、自分の発言によって相手がどう思うのか、不快な思いはしないだろうかと考えることは誰にでもできることです。そしてそれが、最も大切なことなのかもしれません。

 

知らぬ間に相手を傷つけてしまうことは、きっと誰でも避けたいはず。だからこそ、『もしかしたら自分の言動がセクハラになるかもしれない』ということを常に頭の片隅に置いておくだけで、一つひとつの言動に注意することができ、知らぬ間に相手を不快な思いにさせてしまうことを防ぐことができるでしょう。

 

セクハラは身近に存在するということを理解して、日々の言動や行動を意識するといいですね!

 

セクハラに関して、厚生労働省が発表している見解についてもご紹介しますので、こちらも併せてご覧ください。

参考記事:厚生労働省

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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