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公開日:2018.7.12 更新日:2022.7.8 弁護士監修記事

試用期間中に退職を考えた人が知るべき4つのこと

試用期間とは、正規従業員としての適格性判定のため、使用者が労働者を本採用の前に試みに使用する期間(本採用を前提としたお試し期間)のことです。
 

試用期間中の労働者に対する労働契約は『解約権留保付労働契約』と言われ、会社側には本採用を拒否する権利(解約権)が与えられていますが、解雇や退職に関しては基本的に正社員と同じ扱いになります。

 

いざ働きはじめたら会社に違和感を覚えたり、やりたい仕事がやれなかったりすると、試用期間中であっても「辞めたい」と感じてしまうこともあるでしょう。労働基準法では、使用者からの一方的な労働契約の終了を『解雇(使用者が労働者との労働契約を将来に向かって一方的に解約すること)』としていますが、労働者から申し出ることによっても、労働契約を終了(退職)することができます

 

この記事では、試用期間中の退職に関する法律と退職までのフローについてご紹介します。

 

 

一刻も早く今の職場から逃げ出したい場合は…

仕事は人生の大部分を占め、職場での精神的苦痛は、うつ病にかかってしまうリスクを引き起こします。

いざという時会社は守ってくれません。自分の身は自分で守りましょう。

今の職場にどうしても耐えられない場合は新しい職場を見つけることも解決策の一つです。

新しい職場を見つけていれば、お金の心配や、退職を言い出しにくい状況からも自ずと解放されます。

 

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試用期間中に退職する際に知っておきたい法律

試用期間中であっても退職に関しては、正社員と同じです。具体的には、以下の点を守る必要があります。

 

  • 退職は申し出から最低でも2週間後
  • 働いた期間の給与は支払う
  • 解雇には正当な理由が必要

 

この項目では、上記のような試用期間中の労働契約に関する基本的事項についてご紹介します。

 

即日退社はできない|退職は最短2週間後

試用期間中に辞めたいと思っても、即日退職できるわけではありません。

 

退職の申し出をする日や、退職までの期間について社内の退職規定に定めがない場合は、原則として申し出から2週間後に終了させることができます。

 

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元:民法

 

円満退職を希望する場合は就業規則の退職規定に従うことをおすすめします。

※就業規則に退職規定の定めがあったとしても、試用期間や退職規定の設定が過度に長期(年単位)である場合、労働者の退職の自由を制限することになるため無効となる可能性があります。

 

退職希望日の2週間前までに人事の新卒担当、または直属の上司に退職意思を口頭で表明し、その後書面で退職届を提出するとよいでしょう

ただし、法律上は問題ないとしても、企業側はさまざまな対応準備に追われるものです。マナーとして、できるだけ余裕を持って(目安として1ヶ月前)伝えましょう

 

試用期間中であっても働いた分の賃金は全額支払われる

試用期間中に退職したら「全然働いてないんだから給料なんてあげられないよ」と言われてしまうケースもあるようですが、試用期間中であっても、出勤して働いた日数分の給与は支払われます

 

残業代や休日出勤、研修で出勤した日も労働賃金として労働者に支払われなければなりません。

 

解雇による退職の可能性

企業側は、試用期間中の社員を解雇することはできるのでしょうか?

 

試用期間中に会社側から『期待していた能力がない』『社風にあわない』という理由で解雇され、退職を余儀なくされたケースも聞きますが、試用期間中であっても、正当な理由なく労働者を解雇することはできません

 

解雇には、試用期間や正社員(本採用)かどうかにかかわらず正当な理由が必要になります。会社側が『能力がない』と判断するのであれば、それを証明する必要がありますし、『社風にあわない』などの理由は採用側に責任があるので、労働者を解雇する正当な理由とはいえないでしょう。

 

また、労働者を解雇する場合、30日前までに解雇予告をするか、解雇予告短縮のための手当を支払わなければいけません。

 

予告の日数が30日に満たない場合には、その不足日数分の平均賃金を、解雇予告手当として、支払う必要があります。例えば、解雇日の10日前に予告した場合は、20日×平均賃金を支払う必要があります。(労働基準法第20条)。

引用元:厚生労働省|労働契約の終了に関するルール

 

ただし、これらは雇用開始から14日以上経過した場合の話です。逆にいえば、雇用開始から13日間は、解雇予告ないし手当は不要ですのでご注意ください。

 

 

試用期間中に退職する場合のフロー

試用期間中に退職する場合、どのように伝えるか、退職届はどのように書くのかとまどうことが多いと思います。

 

この項目では、試用期間中に退職する場合のフローや伝え方についてご紹介します。

 

担当の上長に口頭で退職意思を伝える

退職すると決めたら、まず退職希望日を決定し、「○月末で退職したいと考えています」という意思を口頭で伝えます。

 

【伝え方 例】

「自分が入社前に思っていたイメージとは異なっており、自分にはあわないと感じました。試用期間中で大変申し訳ないのですが退職させていただきたいと考えています」

 

伝える相手は直属の上司になります。新卒の場合、試用期間中は人事課所属になることもあるため、新卒担当者などに確認しましょう。伝える際は、なるべく個別面談などの時間を取ってもらい、会議室や個室などで伝えることで会社側への配慮も忘れないようにしましょう。

 

書面で退職届を出す

上司に退職意思を伝えたら、上司経由で責任者に退職届を提出します。退職届の様式が会社で定められている場合は、そちらに従ってください。

 

試用期間中の解雇の場合、自己都合退職になりますので上記のような形式で『一身上の都合により』と記載して退職届を作成します。

 

人事などに各種手続きを確認しておく

退職届を提出したら、雇用保険や健康保険などの手続きが必要になります。試用期間の場合、入社して間もないため、各種保険手続きなどが完了しているかどうかを確認する必要があります。

 

また、退職後に健康保険をどのようにするかなども確認しておきましょう。

 

 

試用期間中に退職するデメリット

試用期間であっても仕事を辞めるか、辞めないかは労働者の自由です。ただし、試用期間中での退職はデメリットもあるので慎重に検討することをおすすめします。

 

この記事では、試用期間中に退職するデメリットについてご紹介します。

 

転職への影響

試用期間中に退職するということは、入社して1年あるいは半年以内に仕事を辞めることになるので、次の転職に影響が出ることは避けられないでしょう。「前の会社の在職期間が短いけど、どんな理由でやめたの?」「転職理由は?」などは面接で確実に質問されるでしょう。

 

その際に、会社の愚痴ではなく将来の展望を中心に話すなどの対策を考える必要があります。

 

今後のミスマッチを防ぐには?

退職後に焦って転職してしまうと、またミスマッチが生じる可能性もあります。ミスマッチを防ぐためには以下のことを確認してみましょう。

 

  • 会社選びで何を重視するのか(社風、賃金、福利厚生など)
  • 自分が実際に働いている姿が想像できる会社か
  • 会社のよい評判・悪い評判について把握しているか

 

最近では、会社の口コミをインターネットで調べることもできます。転職でミスマッチを防ぐにはリサーチも重要になります。

 

 

まとめ

試用期間に「この会社あわないかもしれない」と思うことは決して悪いことではありません。

 

ミスマッチに気づき、次のステップに踏み出そうというのは勇気のある決断だったでしょう。試用期間であれ、正社員であれ、会社を退職することは大きな転機ですから社会人としてのマナーを押さえて、堂々と退職したいものです。

 

この記事で、試用期間中の退職に関する疑問が解消されれば幸いです。

 

一刻も早く今の職場から逃げ出したい場合は…

仕事は人生の大部分を占め、職場での精神的苦痛は、うつ病にかかってしまうリスクを引き起こします。

いざという時会社は守ってくれません。自分の身は自分で守りましょう。

今の職場にどうしても耐えられない場合は新しい職場を見つけることも解決策の一つです。

新しい職場を見つけていれば、お金の心配や、退職を言い出しにくい状況からも自ずと解放されます。

 

転職活動をまだ始めていない方は、まずは以下の『転職エージェント診断ツール』を利用して、ピッタリな転職エージェントを利用しながら、快適な職場への転職活動を始めていきましょう。

性別
年齢
直近年収
この記事の監修者
あいりす大阪法律事務所
原田 大 弁護士 (大阪弁護士会)
労働問題全般について日々多くの相談を受けており、特に不当解雇や未払い残業代に多くの解決実績をもつ。初回の無料相談にて、ご相談者様の状況・要望を踏まえた最適な解決プランを提案。
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編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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