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公開日:2019.12.12 更新日:2022.7.8 弁護士監修記事

忘年会スルーも当然!飲み会で行われる理不尽なセクハラ行為7選

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今年も忘年会シーズンがやって参りましたが、女性にとってはかなり憂鬱な時期かもしれませんね。

 

同じ社員であるはずなのに、ホステスのような扱い。なんで私が上司や役員などの接待をせにゃならんのか…⁉

 

足をベタベタと触ってきたり、抱きついてきたり、しまいにはキスまでしようとしてきたりと、好き勝手な男性社員の振る舞いが許せないですよね。

 

おそらく、多くの女性が理不尽な忘年会でのセクハラに対して、我慢されてきたことかと思います

 

この記事では、忘年会でのセクハラと思われる行為について、法的な観点から問題がないのか、対処する術はないのか、銀座さいとう法律事務所の齋藤健博弁護士に質問してみました。

 

一刻も早くセクハラから逃げ出したい場合は…

セクハラによる精神的苦痛は、うつ病にかかってしまうリスクを引き起こします。

いざという時会社は守ってくれません。自分の身は自分で守りましょう。

上司などのセクハラにどうしても耐えられない場合は新しい職場を見つけることも解決策の一つです。

新しい職場を見つけていれば、お金の心配や、退職を言い出しにくい状況からも自ずと解放されます。

 

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いまどき古すぎ!女性社員にお酌をさせる会社

「○○さん、社長のグラスが空だよ!ビール注いであげて」などと、言われた経験を持つ女性の方は多いのではないでしょうか。

 

わざわざ私じゃなくても、近くの男性が注げばいいし、手酌でいいじゃんって思ってしまいますよね。

 

 

そもそも、みんな同じ社員であるのに、女性にだけコンパニオンのような働きを求めるのは、理不尽なのではないでしょうか。

 

【齋藤健博弁護士の見解】

実はこれ、明確にセクハラです。セクハラの境界線として、人事院指針という法律の解釈適用について一定の方向性を示している規則が存在しています。

 

そこでは、主に職場外において生じるものとして、

 

  • カラオケでのデュエットを強要すること
  • 酒席で上司の側に座席を指定すること
  • お酌やチークダンスを強要したりすること

 

と明確に記載されています。

 

そうすると、積極的に女性側がやる場合を除き、お酌は明確にセクハラであるといえますね。

胸や足を触られ、しまいには抱きつかれる

お酒の席だから許されると思っているのか、やたらと身体に触ってくる人もいますよね。手を握ってきたり、足をさすってきたり、しまいには胸を揉んできたとやりたい放題。

 

 

本当に気持ちが悪いですし、こっちが何も言わないからって、調子に乗るなって思いますよね。

 

【齋藤健博弁護士の見解】

当然にセクハラです。そもそも、酒席でなくても「不法行為責任」を負うでしょう。

 

性的な関心に基づき、身体に不必要に接触する行為は、同じくセクハラであると定められています。

人目がつかない場所で誘ってくる

忘年会でトイレに行くだけでも、女性には一苦労。

 

人目につきにくいトイレ前で、セクハラ社員と出くわしてしまったらと思うと、恐怖でしかありません。

 

 

周りに誰もいないのをいいことに、連絡先を聞いてきたり、ホテルに誘ってきたり…

 

明確に拒否しているのに関わらず、しつこく言い寄られると、しんどすぎて泣きたくなりますよね。

 

【齋藤健博弁護士の見解】

これもセクハラです。人事院規則では、食事やデートにしつこく誘うことをあげています。

 

性的な経験や性生活について質問をすることについてもセクハラと定められています。

 

判断基準として、女性であれば「平均的な女性労働者の感じ方」を判断基準の軸にすることは一応可能といわれています。

度が過ぎた下品な下ネタ

お酒の席では、不愉快な下ネタも多いですよね。これは性別に関わらず、不快に思う方が多いかもしれません。

 

 

下ネタで盛り上がっている当人たちは面白いかもしれないですが、苦手な人にとってはちっとも面白くないですよね。

 

しかも、お酒が入っているせいか、いつも以上に下品!そんな下ネタを自身に向けて振られたら、ドン引きするのも当然でしょう。

 

【齋藤健博弁護士の見解】

これも実はセクハラに該当します。

 

酒席は勤務時間の延長ともいえ、全くのプライベート空間ではありません

 

これは裁判例も承認するところですが、人事院規則では、性的な発言内容として「聞くに耐えない卑猥な冗談を話すこと」をあげています。

 

聞くに耐えないとは、具体的にどの程度を指すのかが、問題となりえるところですが、先ほど述べた「平均的な人の感じ方を基準」に判断すればいいのです。

余興にかこつけ女性社員にコスプレさせる

忘年会では余興をやらせることもありますよね。その際、余興にかこつけ、女性社員にコスプレさせる会社もあるのだとか

 

 

つい先日、とある大学のサークルで、女性部員に制服を着せて余興を強要しているというニュースが話題となっていました。

 

参考:

余興は女子が制服で縄跳び…大学サークルの理不尽な慣習

 

同じような感覚で、コスプレをさせたがる会社も少なくないのかもしれません。

 

当然ですが、みんながみんなコスプレを好きなわけでもないですし、好きだとしても社員の見ている前でやりたくはないですよね。

 

【齋藤健博弁護士の見解】

これはセクハラです。

 

人事院規則では、主に職場外において起こる、性別により差別しようとする意識等に基づくものの中に、酒席で上位の側に座席を指定したり、お酌やチークダンスなどを強要したりすることをあげています。

 

このチークダンスというのは若干古い表現にも感じますが、コスプレはこれにかなり近いものです。

恋人いないの?結婚しないの?と聞かれる

最近では、恋人の有無や結婚するかどうかについて、質問することはセクハラだという認識が共有されつつありますが、未だに聞いてくる人は聞いてきます。

 

 

自分は現状に不満を持ってないにも関わらず、人のプライベートをズケズケと詮索してきて、正直余計なお世話ですよね

 

【齋藤健博弁護士の見解】

これも人事院規則で規定されています。

 

性的な経験や性生活について質問することは、明確にセクハラに該当することになっています。

 

さらに、噂を立てたりからかう行為までいくと、レッドカードです。 

ゲームの景品にアダルトグッズやアダルトビデオが含まれている

忘年会の余興でビンゴゲームなどを行う際、景品にアダルトグッズやアダルトビデオが含まれている会社もあるようです。

 

 

特に男性社員が多い会社にありがちといえます。

 

女性からしてみれば、そんな景品をもらっても嬉しくないですし、万が一当たってしまった場合、ニヤニヤしながら「そういうの好きなの?」なんて言われた日には、テンションだだ下がりですよね。

 

【齋藤健博弁護士の見解】

セクハラでしょう。人事院規則は、「ヌードポスターを職場に貼ること」をセクハラが成立するものとしています。

 

ヌードポスターとビデオを同列に扱うことは微妙かもしれませんが、ポスターのような写真でさえ、セクハラ行為の対象になるのですから、動画を配布する行為はセクハラでしょう。

忘年会でセクハラ被害に遭った場合、どう対処すればよい?

忘年会でセクハラをされたとしても、「止めてください」と面と向かって言うのは難しいですよね。周りからの助け舟も、期待できないことがほとんどでしょう。

 

忘年会でセクハラ被害に遭った際の対処法を弁護士に聞いてみました。

 

Qセクハラ被害を避けるための効果的な対処法はありますか?

【齋藤健博弁護士の見解】

A.セクハラが横行する一つの原因として、人によって感じ方が違うというのがあり得ます。

 

被害を訴える側の性別が女性であれば、平均的な女性の感じ方を基準として判断するしかありません。

 

深堀すると、自分の彼女や彼氏がされたらいやかどうか、と考えてみてください。

 

また、明確に拒絶の意思を表明することも重要ですが、いかんせん、とっさの行為であることが多いので、職場での噂などをキャッチしたら、積極的には関与しないなどの方法がありえます。

 

Qセクハラの度合いによっては、会社やセクハラをした本人を訴えることは可能ですか?

【齋藤健博弁護士の見解】

A.どちらも可能です。度合いによらず、セクハラ該当性をめぐって訴訟提起も可能です。

 

また、労働審判という手続を用いて早期解決を図るケースも多くあります。

 

法人側には使用者責任、加害者側には単独不法行為責任を追及し、両者は不真正連帯債務の関係といって、連帯して責任を負います。

 

Q訴えることが可能な場合、どのような証拠を集めておくとよいでしょうか?

【齋藤健博弁護士の見解】

A.いかなる労働条件であるかをめぐって就業規則、経緯や状況についてメールやライン、メモや録音、日記、相談票、カウンセリング記録、日報、調査報告書、診断書、同僚の陳述書、法人側の責任について定めたパンフレット、研修資料など。

 

状況に応じて収集するものですが、とにかく経緯が重要です。全部集まらなくて当然だと割り切り、できる範囲の収集が重要でしょう。

まとめ

最近では、忘年会に参加しないという方も増えきましたが、これだけセクハラが蔓延していれば当然かもしれません。

 

おそらく、そのような会社の場合、普段の業務においてもセクハラやパワハラなどの労働問題が、常態的に行われているケースが多々あります。

 

もし現在、会社でのセクハラ等に悩んでいるのであれば、弁護士や労働局といった外部の人に相談することをおすすめします。

 

【法律監修】

銀座さいとう法律事務所 齋藤健博 弁護士 (東京弁護士会)


女性のセクハラ被害解決を得意とする弁護士。慰謝料請求や退職を余儀なくされた際の逸失利益の獲得に注力。泣き寝入りしがちなセクハラ問題、職場の女性問題に親身に対応し、丁寧かつ迅速な解決を心がけている。

一刻も早くセクハラから逃げ出したい場合は…

セクハラによる精神的苦痛は、うつ病にかかってしまうリスクを引き起こします。

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この記事の監修者
銀座さいとう法律事務所
齋藤健博 弁護士 (東京弁護士会)
女性のセクハラ被害解決を得意とする弁護士。慰謝料請求や退職を余儀なくされた際の逸失利益の獲得に注力。泣き寝入りしがちなセクハラ問題、職場の女性問題に親身に対応し、丁寧かつ迅速な解決を心がけている。
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本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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