ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ) > 労働問題マガジン > その他 > 大事な会議の日に有給休暇を申請された!拒否することはできる?
労働問題マガジン
公開日:2018.8.22 更新日:2022.3.14 弁護士監修記事

大事な会議の日に有給休暇を申請された!拒否することはできる?

会社の今後の運営方針を決めるような、そんな大事な会議の日に有給休暇を申請された…。

こんなとき、申請拒否することはできるのでしょうか?

 

それとも、どんな理由であれ、労働者のもつ権利である有給休暇の申請は、受け入れるしかないのでしょうか?

 

会社側としては、そういった大事な時期に会社を休むのは、できれば避けてほしいですよね。

 

労働者のもつ権利と、会社側の運営上の都合。両者を天秤にかけたとき、どちらが優先されるのでしょうか。

 

この記事で解説していきます。

あなたにも起こるかもしれないハラスメント被害|万が一のとき弁護士費用の補償が受けられる保険『ベンナビ弁護士保険』

令和元年、労働局への相談は約118万件のうち、労動問題の紛争に関するものが約28万件、そのうち、職場のいじめや嫌がらせの件数が約9万件にも登り、働く人の45人に1人が何かしらの労動問題を抱えています。

続きを開く

 

ベンナビ弁護士保険は「上司からの理不尽な暴言や暴力がひどい」「セクハラやパワハラでうつ病になった」など、一人では解決できず、弁護士に依頼した際に役立ちます。今まさに起こっている問題には対処できませんが、これから起こるリスクに備えることで、あなたの『生活と安全』を守ることができます。

 

詳しい資料の請求、よくある質問は下記よりご覧ください。
保険料は1日約96円!実は、一つの保険契約でご家族が被害に遭われた場合でも利用可能な日本で初めての単独型の保険です。

 

労働問題は弁護士に相談することで、それまで悩んでいたことがすぐに解決できる可能性も高いです。【ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)】では、着手金無料・土日祝日・夜間対応可能な弁護士も多数おりますので、まずは無料相談をおすすめします。

KL2020・OD・099

基本的に拒否はできない

まず理解しておくべきことは、有給休暇を行使することは労働者の権利であり、どんな理由であれ、使用者は原則として拒否はできないということです。たとえ私用のためであっても、労働者は自由に有給休暇を使って会社を休むことができます。

 

会社によっては、

「うちの会社に有休はない」

と労働者に伝えることもあるかもしれません。しかし、そういった言動に対して厚生労働省は、

「年次有給休暇は、要件を満たせば必ず発生します。会社がそのような主張をしたとして も、一定の要件を満たしたすべての労働者に取得する権利があります」

と回答しています。

参考:厚生労働省

 

つまり、基本的には、会社にどのような理由があれ、労働者の権利を拒否することはできないのが原則です。

 

大事な会議がある場合には拒否できる?

冒頭のように、 その労働者がいないことで会社に支障が出ると考えられる場合でも、有給申請を拒否することはできないのでしょうか?

 

そういったケースでは、以下のような権利が認められています。

 

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

引用元:労働基準法第39条5項

 

このように、その労働者がいないことで会社の正常な事業運営が妨げられる場合、使用者は労働者に対し、有給休暇を別の日に取得することを求めることができます。

 

このとき注意しなければいけないのは、『単に人手が足りないから』や『いつもより忙しくなるから』という理由は事業の正常な運営を妨げるということにはならないということです。

 

対象となる労働者が会社の当該事業にとって唯一無二であり、余人をもって代え難いという場合であれば、事業の正常な運営を妨げる場合に該当するといえるかもしれません。しかし、「何かあったときのために居てくれたほうが良い」程度であれば有給申請を拒否することはできないと考えるべきでしょう。

 

冒頭のように、労働者が大事な会議に欠席することは好ましい事態ではないのかもしれません。それでも、当該労働者がいなくても会議の進行や決定には具体的な支障はないということであれば、有給申請を拒否することはできないと考えるべきです。またそもそもですが、普段から労使間で十分なコミュニケーションをとり、良好な関係性を作っておけば、労働者からも会社に配慮して有給取得時期について難しい要求をしてくるということもないはずです。

 

なお、労働者からの有給取得の申請に対して、会社が一定の配慮を求めること自体は禁止されません。そのため、仮に会社として休暇を取得してほしくないということがあれば、まずは労働者と休暇取得時期を調整できないか、話し合いをしてみるということは検討に値するでしょう。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
弁護士費用保険のススメ

パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。

そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。

無料で資料ダウンロード
弁護士費用を負担してくれる
弁護士保険で法律トラブルに備える
弁護士保険に関する資料のお届け先
氏名
必須
フリガナ
必須
電話番号
必須
メールアドレス
必須
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

その他に関する新着マガジン

その他に関する人気のマガジン


その他マガジン一覧へ戻る
キーワードからマガジンを探す
弁護士・司法書士の方はこちら