パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
弁護士保険で法律トラブルに備える
2019年も12月に入り、忘年会シーズンがやって参りました。
年の瀬くらい、仕事を気にせずお酒を飲みたいと、忘年会を楽しみにされている方も多いかと思います。
しかし、羽目を外し過ぎてしまうせいか、お酒のトラブルが多いのもこの季節。
特に盛り上がるからと言って、他人に一気飲みを強要させるような下品な飲み方も、しばしば見受けられます。
ご存知の通り、一気飲みは最悪死に至る可能性もある、とても危険な飲み方です。
一気飲みを無理やりさせられた人が亡くなれば、当然強要した人の責任問題となります。
忘年会で少し羽目を外し過ぎてしまったがゆえに、人生を棒に振ってしまうことがないよう、一気飲みの強要にどのような法的問題があるのか確認しておきましょう。
嫌がる相手に一気飲みを強要した場合、どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか?
銀座さいとう法律事務所の齋藤健博 弁護士にお話を聞いてみました。
死亡結果を故意的に招いたとしても、法律上、殺人罪に問うことは困難といえます。
ただし、強要罪・重過失致死罪が成立する可能性はあるでしょう。とりわけ一気飲みを強要させる行為は、一気飲みをしたことによって死亡結果が発生する予見可能性があり、結果回避可能性も十分あったはずです。
このように考えていくと重過失致死罪の成立は視野に入ります。
強要罪の可能性は高いです。
また、被害者の行為を利用した傷害罪に問われる可能性もあるでしょう。
過失犯の共同正犯※という刑法上難しい問題にぶつかるのですが、結論からいうと、共同正犯が成立する可能性は低いです。
しかし、ある意味でそれに加担していた具体的な行為、たとえば強要行為それ自体をあおるような準備行為を行っていた場合には、ほう助罪が成立することがあり得ます。
※共同正犯とは |
2人以上が共同して犯罪を行うこと。共同正犯が成立した場合、今回の事例でいえば、自身が一気飲みを強要したわけじゃなくても、強要罪等に問われることとなります。 |
不作為犯※の成立可能性につき、積極的に先導をして、お酒の強要をした方であれば、不作為による関与態様であっても、犯罪となりえることはありますね。
※不作為犯とは |
通常、犯罪は作為(何かをすること)で発生しますが、「何もしないこと」で起こる犯罪を不作為犯といいます。今回の事例でいえば、酔いつぶれた人を放置した結果、亡くなってしまったという場合、保護責任者遺棄罪等に問われる可能性があります |
一気飲みの強要が問題となるのは、刑事罰についてだけではありません。
一気飲みをさせられた方が亡くなれば、遺族などから損害賠償請求される可能性があります。
こればかりは具体的な状況に応じますが、仮にこれが職場内、もしくは職場の延長で行われた場合には、特に使用者側に対し、逸失利益がとして、生涯年収(賃金センサスなどによって定めるものです)分が認められる可能性があります。
この場合には何千万という金額になることも当然あり得ますね。
資力の観点から考えると、法人が現実的でしょう。
しかし、加害行為者の不法行為が原因なのですから、使用者側は「求償権」と言って、加害者に請求する権利を取得します。
ある意味で法人側は肩代わりをするだけなのです。
忘年会を盛り上げるためであろうとなかろうと、一気飲みを強要するのは非常に危険です。
最悪、一気飲みをさせられた方が亡くなってしまうかもしれません。取り返しのつかない事態となってから、後悔しても遅く、償いきれない罪を抱えることになります。
年に一度の忘年会ですが、羽目を外し過ぎず、節度を持って楽しんでください。
銀座さいとう法律事務所 齋藤健博 弁護士 (東京弁護士会)
女性のセクハラ被害解決を得意とする弁護士。慰謝料請求や退職を余儀なくされた際の逸失利益の獲得に注力。泣き寝入りしがちなセクハラ問題、職場の女性問題に親身に対応し、丁寧かつ迅速な解決を心がけている。
労働者と労動問題弁護士のマッチングを実現させる国内最大級のポータルサイト『労動問題弁護士ナビ(以下:労働ナビ)』は、サイト訪問者に1375名を対象に行った匿名ア...
一年の締めということもあって、忘年会ではついつい飲み過ぎてしまうことも…。他人に迷惑をかけなければ問題ないですが、泥酔した挙句にトラブルを起こす人も少なくありま...
忘年会ではついつい羽目を外して飲み過ぎてしまう人がいますよね。介抱する側すると、たまったもんじゃありませんが、かと言って泥酔者を放置するのはまずいかも…。放置し...
一気飲みは最悪死に至ることもあるため、忘年会だからといって、するのも・させるのも望ましいことではありません。そんな危険な一気飲みを強要することに、どのような法的...
社会問題でもあるセクシャル・ハラスメント略して『セクハラ』は、必ずしも異性間だけの問題ではありません。同性の場合、どこからセクハラに該当して、どこまでをノリで許...
忘年会ではついつい羽目を外して飲み過ぎてしまう人がいますよね。介抱する側すると、たまったもんじゃありませんが、かと言って泥酔者を放置するのはまずいかも…。放置し...
一年の締めということもあって、忘年会ではついつい飲み過ぎてしまうことも…。他人に迷惑をかけなければ問題ないですが、泥酔した挙句にトラブルを起こす人も少なくありま...
忘年会などのお酒の席で上司から説教された経験ありますよね。わざわざ、みんながいる前で言わなくともと思った方は多いはず。忘年会での説教に法的な問題がないか弁護士に...