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運送業界の残業代事情|未払いが発生しやすい理由と請求成功のポイント
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運送業界の残業代事情|未払いが発生しやすい理由と請求成功のポイント

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
Unsou

 

運転手1


運送業で働いていますが、明らかにおかしなことが多く残業代の未払いも多いです。未払い分の請求をしたいのですが、仕事がなくなると生活が苦しくなるので嫌々働いています。会社からは嫌なら辞めろと言われていますが、残業代を請求することって卑怯なんでしょうか?

 

運転手2


卑怯でないと思うけど、弁護士に依頼したら本当に取り立てできるのかもちょっとわかんないですよね。。。

 

運転手3


私は明らかに未払いの残業代があるので請求しようと思って、まず残業代の計算方法を調べましたが、運送業の働き方は特殊(法律が一般労働者と若干違う?)なようで、結局全然わからず諦めてしまいました・・・

 

運転手4


私の会社の給与明細には『特別手当』というなにが特別なのかわからない謎の項目がありました。会社に聞いたら『それは固定残業代だ』と言われましたが、会社がそう言うならそうなのかな?と思いましたが...もしかして違うんですか?

 

 

弁護士


運送業は労働時間が不規則なので、一般的にデスクワークなどを行う労働者とは違い、どこからが残業時間なのかわかりにくい仕事です。

もともと、トラック運転手などは個人事業主として稼働している場合も多く、その流れから『残業代など支払われるはずがない』という認識が多いかもしれません。ただ、トラックの運転手への未払い残業代はかなり深刻な問題です!

 

 

厚生労働省は31日、2017年にトラックやバスなどの運送業の事業所の約84%(前年比1.1ポイント増)で、長時間労働などの法令違反があったとする監督指導の結果を発表した。指導の対象は5436カ所で、そのうち4564カ所で法令違反が見つかった。内容は違法残業などの長時間労働が3162カ所で最多、賃金未払い関連の違反も1171の事業所で確認された。

引用元:日本経済新聞 - 運送業84%で法令違反、高止まり続く 厚労省

 

また、近年では、トラック運転手を雇用しているケースもあり、この場合、通常の労働者と同様に残業代の支払いが必要です。

 

引用元:厚生労働省|100万円以上の割増賃金の遡及支払状況(平成29年度分)

 

また、人手不足の影響で、運送業で働くドライバーの長時間労働が社会的な問題となっています。

 

厚生労働省の資料によれば、自動車運転従事者の約4割が週60時間を超えて働いており、このような長時間労働は、うつなどの心の病気、脳・心疾患を発症する可能性が高まります

 

引用元:長時間労働の指摘がある業種・職種の実態について|厚生労働省

 

 

 

弁護士


もし、あなたが勤める運送会社の労働環境は悪い場合、改善を促すためにも残業代請求を行うべきです。きちんと精査すれば、もらい損ねている残業代が見つかるかもしれません

 

 

 

 

この記事では、

 

  1. 運送業の残業時間や平均残業代
  2. 運送業で残業代の未払いが発生しやすい理由
  3. 困ったときの頼れる相談先
  4. 残業代の請求方法

 

について解説します。

 

 

 

 

運送業の残業時間・残業代の実態

まずは、運送業界の残業代事情について解説します。

 

運送業の平均残業時間は?

就職・転職口コミサイト『Vorkers』が発表した「2018年Vorkers残業時間レポート」によると、「航空、鉄道、運輸、倉庫」は平均残業時間24.4時間

 

2012年からみると、平均残業時間は、約8時間削減されていることになります。

 

引用元:2018年「Vorkers残業時間レポート」

 

しかし、トラック運転手などの『運送業務』自体は、「建築、土木、設備工事(平均42.1時間)」にも当てはまるケースがありますので、一概に『平均残業時間が少ない』とは言い切れません。

 

この点を踏まえた上で、同じくVokersが公表している【2018年の「業界別残業時間(月間)ランキングTOP30」】を見ると、「建築、土木、設備工事」の残業時間は70.8時間

 

3番目に高い水準であり、冒頭でお話しした未払い事情に繋がっている可能性は、十分に考えられるでしょう。

 

引用元:2018年の「業界別残業時間(月間)ランキングTOP30」

 

運送業の平均残業代

運送業の残業時間が一概には短いとは言い難いのはわかりましたが、実際にどの程度の残業代が支払われているのでしょうか?

 

2018年10月に厚生労働省が発表した『毎月勤労統計調査-平成30年10月分結果速報』によれば、「運輸業,郵便業」の現金給与総額350,088円に占める所定外給与(残業代など)は50,560円。所定外労働時間は27時間でした。

 

表:業種別の残業代平均額

産業

現金給与総額(円)

所定外給与(円)

所定外労働時間

鉱業,採石業等

324,411

26,648

14.9

建  設  業

361,258

29,589

16.4

製  造  業

346,196

39,356

18.5

電気 ・ ガス業

465,697

63,803

17.2

情 報 通 信 業

417,087

33,560

14.7

運輸業,郵便業

350,088

50,560

27

卸売業,小売業

354,082

18,672

11.5

金融業,保険業

409,787

23,836

11.9

不動産・物品賃貸業

366,140

22,133

14.1

学 術 研 究 等

445,608

29,434

15.4

飲食サービス業等

265,958

22,094

15.8

生活関連サービス等

284,935

17,034

10.9

教育,学習支援業

400,265

8,743

15.6

医 療,福 祉

317,069

18,877

6.9

複合サービス事業

348,667

19,944

10.4

その他のサービス業

286,723

25,834

15.2

平均

358,998

28,132

14.8

参考:厚生労働省|毎月勤労統計調査-平成30年10月分結果速報

 

また、就職・転職サイト『doda』の「20代業界別残業代ランキング」では、

 

  • 「メディア関係:48,125円|残業時間:31.0時間」
  • 「金融関係:42,214円|残業時間:28.1時間」
  • 「IT関係:40,171円|残業時間:28.3時間」
  • 「商社流通:21,804円|残業時間:23.0時間」

 

となっており、ほぼ横ばいのIT、金融関係に比べると、割合は少ないように感じます。

 

また、商社流通は「残業が全くないと80時間以上が二極化」しており、データには現れない過酷な労働環境が伺えます。

 

引用元:20代業界別残業代ランキング|doda

 

運送業で未払い残業代が発生しやすい理由

運送業で未払い残業代が発生しやすい理由としては以下のものが挙げられます。

 

  • 拘束時間が長時間に及ぶため
  • 固定残業代が正しく運用されていないため
  • 時代の変化に対応できていない会社が多いため

 

それぞれ確認しておきましょう。

 

拘束時間が長時間に及ぶため

トラック運転手の業務は長距離間の走行に加えて、荷下ろしや荷積みにより、待機時間が発生するため、拘束が長時間に及びます。

 

荷待ち時間は休憩にあたるとする企業もありますが、運転手がトラックから離れられないような状況は、休憩と認められない可能性が高いといえます。

 

「荷待ち時間=休憩時間」とするには、労働者が車両から離れて自由に過ごすことが保障されている必要があると考えるべきです。

 

固定残業代が正しく支払われていないため

勤務時間が法定労働時間を超えることが予想される職場では、固定残業制を導入していることが多いですが、実は正しく導入・運用されておらず、割増賃金の支払いと認められないケースは少なくありません

 

例えば、固定残業制を導入する場合には、就業規則や労働契約書で固定支給分が割増賃金の代わりに支給されると明記し、その金額を明示する必要があります。

 

なお、固定残業代を支払っていれば、無制限に残業させられるわけではありません。固定残業が相当する時間を超えて働いた場合には、別途残業代の支払いが必要です。

 

※法定労働時間とは

労働基準法で定められた労働時間の上限。「1日8時間、週40時間」を超えて労働させることは、原則禁止されている。詳しくは「法定労働時間と所定労働時間で変わる残業代の割増率」をご覧ください。

 

【関連記事】

固定残業代(みなし残業)から適正な残業代を取り返す計算方法

 

時代の変化に対応できていない会社が多いため

昔は年収1000万を超える方も少なくなかった運送業ですが、燃料費の増加や運賃の低下などにより、最近は稼げない仕事というイメージが強くなりました。

 

昔と同じようなやり方では利益を上げるのが難しいために、違法なサービス残業をさせて対処している会社も少なくないようです。

 

また、人手不足も重なり、一人当たりの負担が増えたことが、より長時間労働を促進しているといえます。

 

そうした時代の変化に対応できず、違法な残業をさせている運送会社への未払い残業代請求事例は増えてきています。

 

【運送業の未払い残業代請求事例】

残業代1億円超支払い命令 福岡|産経新聞

福岡県の運送会社に勤めるトラック運転手5名が、未払い残業代の支払いを求め、裁判を起こした事例。

ほぼ請求通りの要求が認められて、計1億2千万円の支払いが命じられた。

 

ドライバーの「横乗り」は労働時間に該当 残業代未払いで送検 橋本労基署|労働新聞社

運転手の横に乗車していた時間が労働時間になるか争われた事例。労働基準監督署は、横乗りは労働時間に含まれるとし、会社を残業代未払いで書類送検した。

 

大宝運輸 運転手の2割が違法残業 最長197時間|日本経済新聞

運転手の約2割に違法な長時間労働が課されており、再三の指導でも改善が見受けられなかったため、社名が公表されたケース。

 

 

 

自社のブラック度を測る8つのポイント

もし自身が勤めている会社が、以下のポイントに複数当てはまるようであれば、残業代の未払いを疑ったほうがよいかもしれません。

 

✅実労働時間に関係なく定時にタイムカードを切らされる

残業時間が15分、30分単位で計測される

会社を休むと残業代が減らされる

固定残業代の金額がはっきりしない

残業代の名目が「業務手当」「配送手当」「長距離手当」などとなっている

就業規則を見せてもらえない

事故を起こした際に修理費用が天引きされる

36協定の締結がされていない など

 

会社がきちんと残業代を支払っているかどうか調べるためには、就業規則等の確認が必要です。就業規則は従業員が確認できるようになっていなくてはなりませんが、見られて不都合がある場合には隠しがちです。

 

よくよく調べたら。36協定の届出をしていなかったなんてこともあり得ます。

 

また残業代に直接かかわりはありませんが、事故を起こした際に、トラックの修理費用を従業員に全額負担させるような会社もブラック度は高いと言えるでしょう。

 

 

ブラック企業とは|ブラック会社の特徴10個と見抜くポイント

ワークライフバランスを考える上で、『入社しないほうが良い会社は?』『ブラックバイトではないか?』など、ブラック企業の特徴を見抜き、ブラック企業に人生を蝕まれないような知識も我々労働者側には必要です。今回はブラック企業の特徴と、見抜き方、そしてそれに対する対処法を解説していきます。

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会社に未払い残業代を請求する方法

個人で会社に対して未払い残業代を請求する場合の大まかな流れは以下の通りです。

 

  •   証拠を集める
  •   未払い残業代の計算をする
  •   内容証明郵便を送る
  •   あっせん・労働審判を利用する

 

 

それぞれのポイント、注意点について確認しておきましょう。

 

証拠を集める

残業代が未払いであることを証明する責任は請求側にあるため、まずは証拠を集めましょう

 

残業代請求において役立つ証拠は以下の通りです。

 

  • タイムカード
  • 就業規則
  • タコグラフ
  • 給料明細 など

 

証拠が少なければ少ないほど、未払い残業代の証明は難しくなるため、できる限り多くの証拠を集めるようにしてください(例えば、タイムカードや給料明細なら数か月分など)。

 

 

退職後でも証拠を集める方法はないわけではありませんが、できれば在職中に集めておくことをおすすめします。

 

【関連記事】

残業代請求時に認められやすい証拠と、証拠がない時の対処方法

 

未払い残業代の計算をする

証拠集めと同じくらい大切なのが、未払い残業代の計算です。ご自身の残業時間を元に残業代を割り出してください。

 

時間外労働についての残業代の計算式は以下の通りです。

 

残業代=残業時間×1時間あたり賃金×割増率(1.25%)

 

計算する際に気を付けたいのが、残業代の請求権には2年の時効があるということです。2年分以上の残業代を請求すること自体は可能ですが、通常は会社が時効を援用してくるため、支払われることはほとんどありません。

 

なお、固定残業制が適用されている場合は、その時間分を除いた金額を計算します(ただし、固定残業代は正しく適用されていない場合は異なります)。

 

【具体的な計算例】

毎月の残業時間が50時間、1時間あたりの賃金1,500円、固定残業代(20時間分)4万円の場合

残業代=50時間×1,500円×1.25%

   =75,000×1.25%

   =93,750円

   =93,750円-固定残業代40,000円

   =53,750円

 

【関連記事】

正確な残業代を計算する5つのステップ

残業代請求の時効は2年間|時効の例外と中断させる方法

 

内容証明郵便を送る

証拠集め、残業代の計算が終わったら、会社に渡す請求書を作りましょう。

 

口頭でもよいのですが、言った言わないで揉める可能性があるため、配達証明付きの内容証明郵便で請求書を送ることをおすすめします。

 

請求書を送っても会社から反応がなければ、以降は法的手続きに基づいた請求となります。次に紹介するあっせん・労働審判はご自身だけでも手続きを進められますが、かかる負担を考えると、専門家に相談・依頼したほうがよいかもしれません。

 

あっせん・労働審判を利用する

あっせんについて

あっせんは、労使間で起きた雇用や賃金に関する争いに対して、あっせん委員が間に入り、話し合いによる解決を目指す法的手続きです。

 

あっせんのメリットは素早い解決が期待でき、相手方と面会の必要がない点でしょう。

 

ただし、当事者があっせんに応じる義務はなく、双方の同意が得られなければ、手続きは打ち切りとなってしまいます。

 

労働審判について

労働審判は、労使間で起きたトラブルについて、裁判官含む3名で組織された労働審判委員会の下、解決を図る法的手続きです。

 

原則3回の審理で終了するため、裁判に比べて解決に至るスピードが早く、必要に応じて調停を促すなど、事案に応じた柔軟な決着が望めます。

 

調停での解決ができない場合は、労働審判委員会による解決案の提示(労働審判)が行われます。確定した労働審判には、判決(裁判での決着)と同じ効力があるため、雇用主が残業代の支払いを逃れることはできません

 

労働審判に対して不服がある場合、異議申立てをすることが可能です。異議申立て後は、裁判に移行することになります。

 

【関連記事】

労働審判とは|申立ての流れや期間をわかりやすく解説

 

 

 

残業代の未払いで困ったときの頼れる相談先

「会社に対して残業代請求するのに不安がある」

「そもそも本当に未払いが起きているか分からない」

「違法な長時間労働が身体的・精神的に苦しい」

 

などの悩みを抱えている方は、一人で抱え込まずに外部の相談先を頼りましょう。

 

【未払い残業代で悩んでときの相談先】

無料の相談先

有料の相談先

  • 弁護士事務所
  • 社労士事務所

 

公的機関が運営しているところは相談料が無料です。また、初回相談を無料とする弁護士事務所も増えていますので、有効利用するとよいでしょう。

 

なお、弁護士に相談に行く場合は、労働問題を得意としている事務所を選ぶことをおすすめします。

 

【関連記事】

【残業代請求】弁護士の評判や口コミの信憑性と信頼できる弁護士の選び方

弁護士が解説!残業代請求を弁護士に無料相談するとどう解決してくれる?

 

 

まとめ

拘束時間が長い運送業では、残業代の未払いが発生しやすい環境といえます。

 

  • 自由に利用できないのに荷待ち時間を休憩時間とされている
  • 固定残業制が正しく運用されていない
  • 経営者が残業代を支払わないことを当然と考えている

 

勤めている会社に上記のような点があれば、未払い残業代が発生しているかもしれません。

 

一度、就業規則や給料明細を確認して、残業代の計算をしてみましょう。特に固定残業代が支払われている場合は、正しく導入されているか確認してください。

 

【固定残業制の場合に確認すべきポイント】

  • 何時間分の固定残業代が支払われているか就業規則に明記されている
  • 残業代が基本給や他の手当と分けて記載されている

未払い残業代や長時間労働などの労働トラブルに対する相談先は、有料・無料含めて多く設置されています

 

1人で抱え込まず、まずは相談だけでもしてみるとよいでしょう。

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。

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編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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