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公開日:2018.8.7 更新日:2022.7.8 弁護士監修記事

郵便局での買取ノルマ|どこからが違法?

 

土日はしっかりと休むことができ、安定した給料をもらえるというイメージの強い郵便局。

 

しかしその実態は、ブラック企業ともいえるほど、劣悪な面もあわせ持っているようです。

 

実は、日本郵便株式会社は、2016年のブラック企業大賞特別賞に選ばれているほど…。

 

いったい郵便局には、どんなブラック企業の要素があるのでしょうか…?

 

大量に課せられるノルマ

Q:郵便局で期間雇用として働いています。年賀状、かもメール、その他お歳暮、御中元など、ノルマがあります。その上毎月なにかしら届く(当然お金は払います)ふるさと会というもあり結構たいへんです。なのに、最低賃金からの出発で今まで色々仕事をしましたが、驚くことばかりです。結局年賀状は1000枚買って、友人や知り合い、実家などに配り残りは買取業者に買い取ってもらってます。これって違法にはならないのでしょうか?

こちらは、実際にいただいたご質問です。

 

年賀状を1000枚も買わされるのは、あまりにも度が過ぎているような気がしますね。

 

いくら目標販売数があるとはいえ、従業員に買取義務を課すことは、違法にはならないのでしょうか?

 

この記事で解説していきます。

 

目標ノルマを課すこと自体に違法性はない

例えば、

 

『今年は年賀状を3000枚売るのがノルマです!そのために、1人ひとりが100枚ずつ売ることを目標にがんばりましょう!』

 

といったように、目標を立てること自体はまったく違法ではありません。目標があることでモチベーションが上がり、社員の一体感を高めることもできるでしょう。

 

ですが、目標に未達だった際の処分がどのようなものであるかによって、違法となる可能性が出てくるようです。

 

今回のご質問で考えてみると、さまざまな商品で目標ノルマを課すこと自体は違法ではないでしょう。問題は、これが達成できないことでどのようなペナルティを受けるのか、というところにあると考えられます。

 

買取指示を断ったらどうなる?

本当に買い取ることが嫌なのであれば、それを拒否するという選択も可能です。

 

企業が自社商品などの購入を労働者に求める行為は俗語で自爆営業ということもあるようですが、小売業界などで問題になっています。

自爆営業によって不当な金銭的負担を強いたり、賃金から差し引いたりすることは、労働基準法違反にあたる可能性があります。

 

もしもあなたが買取りを拒否し、なんらかの懲戒処分(減給や降格、出勤停止など)を受けたのであれば、それは違法行為として訴えることができでしょう。

 

自爆営業についてもっと詳しく知りたいという方は『自爆営業とは|違法事例から学ぶ断り方と対処法』の記事も参考にしてみてください。

 

しかし、今回のご質問のように、なかなかそれを拒否することも難しいのかもしれません。

 

社内の雰囲気を乱すかもしれないし、上司からの信頼を失うかもしれない。周りがみんなやっているのだとしたら、自分もやるべきだと思ってしまうのも当然でしょう。

 

未達分の買取りを拒否すれば、それなりに会社からの圧力があるはずです。働きづらい雰囲気になってしまうかもしれません。

 

しかし、買取りを拒否したからといって、降格や減給をすることは会社側にはできないため、それを拒否し続けることは可能です。

 

会社の違法性を訴えるために買取拒否を続けるのか、波風を立てず、今後も同じ郵便局で働き続けるのかは、個人の自由かもしれませんが、義務でもないことに応ずる必要はないのではないでしょうか。

 

まとめ

 

ノルマや目標を立てること自体には、違法性はありません。目標を立てることでモチベーションアップにもつながり、販売数を伸ばす可能性は否定できません。

 

しかし、それが未達成の場合には、社員やアルバイトに対し、その未達分を買い取るよう強制することは違法ですし、これを拒否したことで不利益を与えることも許されません。

 

上記を踏まえたうえで、適切に行動してください。

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直近年収
この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
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編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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