理不尽な出向命令に対し、命令の撤回と不利益処分の禁止を取り決めることができた事例
相談前
Aさんはパートタイム従業員でした。
別のグループ法人で勤務するように突然会社から命じられ、「この命令に応じることが出来ないなら退職して欲しい」と二者択一の選択を迫られました。
この命令が出された数ヶ月後に、Aさんは有期雇用から無期雇用へ変更する権利を得ることになっていたため、Aさんは「この出向命令は、私を退職させるために出されたのではないか」と考えました。
この出向命令が法的に認められるのか、本当に退職しなければならないのか、不安に感じたAさんは当事務所にご相談いただきました。
相談後
担当弁護士はAさんに対し次のように説明しました。
「会社には人事権が存在するため、出向命令は可能です。しかし、その権利を無制限に使用することは出来ず、今回のケースは不当であるかどうかは出向命令の必要性やAさんが被る不利益の程度が判断のポイントとなります」
Aさんの話を詳細に伺った結果、「今回の人事権行使は濫用にあたる可能性がある」と弁護士は判断。
そのまま、会社との交渉依頼をお受けいたしました。
弁護士は会社に連絡し、Aさんに代理人として弁護士が就いたことと、人事権行使の不当性について通知しました。
しかし会社は「人事権を適切に使用したまでだ。Aさんはこれを受け入れる義務がある」と反論してきました。
弁護士は、会社側の認識が誤っていることを過去の裁判例をもとに説明し、交渉を続けました。
最終的に会社はこちらの主張を認め、円満解決を求めてきました。
出向命令を撤回すること、またAさんが無期雇用への転換を求めた際には応じることを約束する旨の合意書を取り交わし、事件は解決しました。
弁護士からのコメント
本件のポイントは、過去の裁判例の知識をもとに相手の主張へ的確に反論できたことです。
会社の人事権は無制限に使用できるものではないため、必要性が乏しいものや、従業員の負担が大きすぎるものは、行使を無効にできる可能性があります。
無効にできるかどうかは、様々な要素をもとに総合的な判断が必要です。
こうしたお悩みを抱えた方は、一度当事務所までご相談ください。