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労働審判とは

更新日:2019年12月09日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
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 【目次】
労働審判とは
通常訴訟と比べた労働審判の特徴
1. 早期解決を可能にする
2. 裁判官だけでなく,「労働審判員」も審理に加わる
3. 直接口頭主義
4. 権利判定機能
5. 異議が出れば通常訴訟に移行する

 

労働審判とは

労働審判とは、平成18年4月1日より新たに導入された制度で、裁判所の行う紛争解決手続の一つです。

 

労働審判は、解雇や残業代請求などの労働紛争について、裁判官1名と労働関係の専門的知識と経験を有する労働審判員2名(1名が企業の人事部に長年所属していた人など、もう1名が労働組合の活動を行ってきた人などが選任されているようです。)で構成される労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で事件を審理し、調停を試み、又は審判を行う制度です。

 

端的に言えば、3回以内の期日で、両当事者から直接、自由に事情を聞いて、和解(金銭的解決)を目指す手続きと言えます。

 

労働審判の主な特徴は、以下の3点です。

  • 早期解決(迅速性):申立から終結まで平均75日(約2ヶ月半)
  • 柔軟な解決:申立の約88%が金銭解決を中心とした和解的解決
  • 簡易な手続:提出書面は原則として申立書(申立人側)・答弁書(使用者側)のみ、証人尋問などの正式な手続省略。

 

通常訴訟と比べた労働審判の特徴

1. 早期解決を可能にする

通常訴訟は、何回法廷を開くか期日の回数に特段制限は設けられていません。裁判迅速化法により、一審手続は2年以内のできるだけ短い期間内に終えることが努力目標とされているにすぎません。

 

特に労働事件は事実関係も法律関係も通常訴訟と比べて激しく争われることが多いため、少なくとも概ね8~10回程度(1年)の期日が開かれることが多いです。

 

これに対し、労働審判は原則3回以内で審理を終結しなければならないと法律で定められており、実際にも97%以上が3回以内、7割は2回以内で終結しています。これは、労働審判が、労働事件を迅速かつ適切に解決するという目的のために作られた制度だからです。

 

2. 裁判官だけでなく,「労働審判員」も審理に加わる

労働審判は裁判官だけでなく、「労働審判員」という労働組合の役員(労働者側代表)や企業経営者・人事担当者(使用者側代表)を含めた3名から成る「労働審判委員会」が審理を行います。

 

このように,裁判官以外の第三者が審理に加わるのは,労働現場の実情に詳しい人材が参加することにより,適切かつ妥当な解決を図る趣旨です。

 

3. 直接口頭主義

通常訴訟の場合、準備書面という書面と紙の証拠を交互に提出する方式で審理が進んでいきます。これに対し、労働審判は原則として書面を出すのは第1回期日前までで、証拠もすべて出しておく必要があります。

 

その上で、第1回期日においては、予め双方の主張と証拠を読み込んでいる労働審判委員会から直接双方当事者(労働者や会社の担当者)に質問が飛び、その場で答えなければなりません。

 

直接口頭でやりとりをすることにより、いわば尋問を先取りするからこそ、第1回期日で心証形成を行い、早期解決が可能となるのです。

 

4. 権利判定機能

労働審判の大きな4つ目の特徴は権利判定機能が備わっている事です。 労働審判の流れとして3回目期日までにお互い譲歩して妥当な解決水準を模索します。

 

原則として交互に労働審判委員会に対して、「ここまでなら妥協できるが、この点は譲れない。」等の言い分を伝え、そのうち伝えていい部分を委員会から他方に伝え、それを検討した結果を委員会に伝えるという作業を繰り返します。

 

なかなか合意点が見いだせない場合は、途中で双方とも部屋から出され、労働審判委員会の見解や「調停案」が提示されることもあります。

 

そして、それでもいずれか一方が応じなければ「調停」は打ち切られ、最終的には「労働審判」が言い渡されます。

 

制度・手続と同じ名称のためわかりにくいのですが、これは通常訴訟の判決と同義で、双方の主張立証を踏まえて、労働審判委員会が妥当と考える解決内容を具体的に示されます。

 

「えっ,そんなの当たり前じゃないの?」と思われるかもしれませんが,たとえば労働局のあっせんは参加するか否かも自由なため、まったく強制力がありません。

 

これに対し、労働審判手続では、呼出しを無視すれば欠席判決ならぬ「欠席労働審判」が出るリスクがあるため、会社側が出廷しないことはほとんどありません。

 

また、この「労働審判」は裁判所のれっきとした判断(公権的判断)ですから、確定すれば判決と同一の効力があり、差押え等の強制執行をすることも可能となります。

 

そうすると、労使双方にとって、0か100かという危険な賭けを行うよりも、進んで譲歩してある程度の水準で「調停」に応じようとの強い動機付けが生まれます。

 

この権利判定機能こそが,労働審判制度の成功(順調な利用件数推移,高い調停成立率)の要因といわれています。

 

5. 異議が出れば通常訴訟に移行する

それでも調停が成立せずに「労働審判」が言い渡された場合,これに不服があれば異議を申立てることができ,通常訴訟に移行することになります。言い渡された労働審判の効力は失われます。

 

「それなら最初から通常訴訟をやった方が早く終わるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが,労働審判を経由した場合,基本的に双方の主張立証は出尽くしているため、最初から通常訴訟を起こした場合よりも解決までのトータルの時間は短くて済みます。

弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます

労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

・未払い残業代を請求したい
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など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。

お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
「 労働審判 」に関するQ&A
労働審判は通常の裁判とは何が違うのでしょうか?

労働審判とは、2006年4月に導入された、地方裁判所で職業裁判官(労働審判官)1人と使用者側有識者、労働者側有識者(労働審判員)各1名ずつの合計3人で構成された労働審判委員会の下で、使用者と労働者の間の紛争を適正かつ迅速に解決するための審判制度です。労働審判の目的は、給与の不払いや解雇などといった事業主と個々の労働者の間で発生した労働紛争を、迅速・適正かつ効果的に解決することです。

労働審判の流れを解説|労働審判を活用するためには流れを知ろう
労働審判で申し立てられる内容はどのようなものがあるのでしょうか?

労働問題であれば、権利・利益の大小関わらず労働審判を申し立てることができます。実際の手続では特に賃金関係と解雇関係の事件が主を占めています。
例えば、残業代・給与・退職金や賞与の未払いといった賃金に関する問題や、不当解雇・雇い止め・退職勧奨といった雇用に関する問題が多いです。

労働審判とは|申立ての流れや期間をわかりやすく解説
公務員でも労働審判を申し立てることはできるのでしょうか?

原則として、公務員の労働審判はできません。
公務員は、国家公務員法や地方公務員法に基づいて登用されており、民間の労働者とは立場が異なります。そのため、公務員と国・地方自治体との紛争は民事に関する紛争に該当しないものとして、労働審判の対象にはなりません。

労働審判とは|申立ての流れや期間をわかりやすく解説
労働審判で必要になる弁護士費用はどれくらいになるのでしょうか?

弁護士費用は弁護士事務所によって金額が違うため、決定的に「いくら」という決まりはありません。
一般的に20~40万円+成功報酬(請求金額の15%~20%前後)の合計60~100万円程あたりが相場になっていますが、報酬基準は事務所単位で設定されており、報酬額も事案に応じて変動します。
弁護士に相談、依頼時に労働審判の申し立てにかかる費用がどれくらいかかるかをしっかり確認しましょう。

労働審判の弁護士費用相場と費用を無駄なく抑える方法
労働審判がどれくらいの期間で行われるのでしょうか?

申立から終結まで平均75日(約2ヶ月半)ほどとなっております。原則3回以内で審理を終結しなければならないと法律で定められており、実際にも97%以上が3回以内、7割は2回以内で終結しています。
通常訴訟では一審手続は2年以内のできるだけ短い期間内に終えることが努力目標とされているにすぎず、回数も8~10回程度と多く、いかに労働審判に迅速性があることがわかります。
また、労働審判から通常訴訟に移行した場合でも、労働審判で,基本的に双方の主張立証は出尽くしているため、最初から通常訴訟を起こした場合よりも解決までの時間は短くて済みます。

労働審判とは
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