パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
弁護士保険で法律トラブルに備える
B型肝炎訴訟を提起するため、弁護士に相談する際にネックとなるのが「弁護士費用」です。
「弁護士費用は高額」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。しかしB型肝炎訴訟の場合、着手金を無料にしている弁護士事務所も多いため、依頼へのハードルはそれほど高くありません。
また、「訴訟手当金」という国の助成制度も存在するので、B型肝炎訴訟は弁護士への依頼を積極的に検討するとよいでしょう。
この記事では、B型肝炎訴訟の弁護士費用に関する相場や、国の助成制度(訴訟手当金)などについて解説します。
B型肝炎訴訟の弁護士費用は、依頼先の弁護士によって異なります。弁護士費用については、もともと日本弁護士連合会が統一的な基準を定めていました。
しかし、平成16年4月1日に日弁連の報酬基準は廃止され、それ以降は弁護士が自由に報酬額を決定しています。
B型肝炎訴訟についても、個々の弁護士が自由に報酬体系を設定しているので、依頼先の弁護士(法律事務所)によって弁護士費用の金額は異なるのです。
B型肝炎訴訟の弁護士費用は、主に「着手金・成功報酬制」と「タイムチャージ制」のいずれかの方式によって決定されます。
「着手金・成功報酬制」の場合、弁護士への依頼時に、まず初期費用として「着手金」を支払います。その後、B型肝炎給付金の支払いが得られた時点で、その中から「成功報酬」を支払うことになります。
B型肝炎訴訟の場合、着手金・成功報酬制をとっている弁護士(法律事務所)が圧倒的に多いです。なお後述するように、着手金は無料に設定されるケースもあります。
成功報酬は、「得られた金額(経済的利益)」に応じて計算されます。B型肝炎訴訟の場合は、国から支払いを受けた給付金の額に対して、一定の割合をかけることによって成功報酬の金額が導かれます。
(例)
・給付金額の●%(税込)
・300万円以下の部分は給付金額の●%、300万円超3000万円以下の部分は●%、・・・・・・
着手金・成功報酬制の場合、成功報酬が給付金額という明確な基準によって計算されるため、明朗会計となるメリットがあります。
「タイムチャージ制」の場合、時間単価に弁護士の稼働時間をかけることで、弁護士費用の総額を算定します。
(例)
A弁護士:1時間当たり2万円
B弁護士:1時間当たり3万円
A弁護士が20時間、B弁護士が10時間稼働
→2万円×20時間+3万円×10時間=70万円
タイムチャージ制は、一部の企業法務系の事務所などで採用されています。B型肝炎給付金の金額が高額の場合、着手金・成功報酬制よりもタイムチャージ制の方が、弁護士費用が安くなることがあります。
逆に受給額が少額の場合は、タイムチャージ制の方が割高となることが多いです。タイムチャージ制の場合、稼働時間は弁護士の自己申告となるケースが多いため、会計としての明朗性は着手金・成功報酬制に劣ります。
ただしタイムチャージ制では、交渉次第で弁護士費用の上限(キャップ)を設定することができる場合があります。
着手金・成功報酬制を採用する法律事務所における、B型肝炎訴訟の弁護士費用相場について解説します。
B型肝炎訴訟に限らず、法律相談一般の相談料は、30分5,500円(税込)程度が相場となっています。ただし、相談へのハードルを下げるために、相談料を無料としている弁護士(法律事務所)も多いです。
初期費用について不安がある場合には、初回相談料無料の弁護士を選ぶとよいでしょう。なお、B型肝炎訴訟を正式に依頼した後は、案件に関する相談について追加で相談料を支払う必要はないことがほとんどです。
着手金は、正式依頼時に一括で支払うのが原則となります。しかし、経済的な事情によっては、弁護士の判断で分割払いを認めてもらえることもあります。
B型肝炎訴訟の場合、着手金は33万円~55万円程度(税込)が相場ですが、着手金を無料としているケースも多いです。B型肝炎訴訟について、着手金無料の完全成功報酬制を採用する弁護士が多い理由については、後述します。
成功報酬は、B型肝炎給付金を受給できた段階で、その中から一括で支払います。実際に受け取った給付金の中から支払うため、事前に資金が準備できなくても心配する必要はありません。
成功報酬は、獲得できた経済的利益の金額に対して、一定の割合をかけることで求められます。B型肝炎訴訟の場合、給付金額に対して8.8%~17.6%(税込)あたりが相場で、弁護士によって異なります。
【参考】B型肝炎訴訟にかかる弁護士費用相場は?費用内訳や弁護士に依頼するメリットなどを解説 | B型肝炎訴訟ナビ
B型肝炎訴訟の場合、タイムチャージ制で弁護士費用が計算されることは稀です。
仮にタイムチャージ制で弁護士費用を計算するとすれば、1時間当たりの費用は2万2,000円~8万8,000円(税込)の範囲内になることが多いでしょう。
時間単価は、弁護士の経験や実績、事務所の方針などによって異なります。弁護士の稼働時間も、事案の複雑性によって異なるので一概には言えませんが、1回の請求につきおおむね50時間~100時間程度が見込まれます。
B型肝炎訴訟の受任については、多くの弁護士が着手金無料の完全成功報酬制を採用しています。
その主な理由は以下のとおりです。
B型肝炎訴訟の依頼者は、国の集団予防接種によって重大な健康被害を受けた被害者です。そのため、人道的な支援を行う観点から、相談料・着手金を無料としている弁護士が多くなっています。
B型肝炎訴訟は、B型肝炎特措法※によって制度化されています。
※特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法
B型肝炎訴訟の和解によって得られるB型肝炎給付金の金額も、症状や除斥期間の有無により、以下のとおり画一的に決まっています。
除斥期間が経過していない場合 |
除斥期間が経過した場合 |
|
死亡・肝がん・肝硬変(重度) |
3600万円 |
900万円 |
肝硬変(軽度) |
2500万円 |
600万円(治療継続中の場合) 300万円(それ以外の場合) |
慢性B型肝炎 |
1250万円 |
300万円(治療継続中の場合) 150万円(それ以外の場合) |
無症候性キャリア |
600万円 |
50万円 |
参考:厚生労働省|B型肝炎訴訟について(救済対象の方に給付金をお支払いします)
弁護士としては、依頼時に相談者・依頼者から提供される情報を踏まえて、上記の表のどれに当てはまるかを検討します。
その際、給付金額が明確に決まっていることから、一般的な訴訟よりも獲得できる経済的利益の金額の目処を立てやすいのが特徴的です。
つまり弁護士は、獲得できる経済的利益の金額から、成功報酬の金額を具体的に見積もることができます。その金額を踏まえたうえで、案件全体として合理的な報酬水準となっているかどうかを判断できるので、着手金を無料にしても差し支えないということです。
次の項目で解説するように、B型肝炎訴訟では、弁護士費用に対する助成として国から原告に「訴訟手当金」が支給されます。訴訟手当金は、B型肝炎訴訟における和解成立後に支払われるため、成功報酬のみの一括払いとした方が制度の趣旨に沿っています。
このような制度趣旨を尊重して、成功報酬のみの一括払いを採用している弁護士が多いという側面もあります。
B型肝炎特措法7条に基づき、B型肝炎訴訟の弁護士費用については、「訴訟手当金」による補填が行われます。
B型肝炎訴訟の原告が、弁護士や弁護士法人に報酬を支払う場合は、社会保険診療報酬支払基金に訴訟手当金を請求できることになっています。
訴訟手当金の金額は、B型肝炎給付金の4%相当額です。
被害者にとっては、B型肝炎訴訟の弁護士費用の負担が大幅に軽くなるため、訴訟手当金を念頭に置いて弁護士への依頼をご検討ください。
B型肝炎訴訟の弁護士費用は、安ければ安いほどよいわけではなく、それ以外の要素とも総合して弁護士を選ぶ必要があります。また、弁護士費用として提示されている金額に加えて、別途実費が必要となることにも注意しましょう。
前述のように、B型肝炎訴訟の弁護士費用は、弁護士によってまちまちです。たしかに弁護士費用が安ければ、依頼者の経済的負担が小さいメリットがあることは間違いありません。
しかし、依頼する弁護士を選ぶ際には、費用以外のファクターにも目を向ける必要があります。特に経験・実績・対応の丁寧さなど、安心して依頼できるかどうかを左右する要素には、依頼を検討する際に注目すべきでしょう。
弁護士を選ぶ際の着眼点については、以下の記事をご参照ください。
【関連記事】B型肝炎訴訟を依頼する弁護士の選び方は?弁護士の探し方や相談時の着眼点も解説
弁護士費用として提示されている金額には、通常実費は含まれていません。たとえば、国家賠償請求訴訟を提起する際の印紙代や郵券代などは、弁護士費用とは別に負担する必要があります。
また、訴訟期日に弁護士が出席する際には、日当が発生することもあります。弁護士費用と実費・日当などを含めた、トータルの費用負担の目安については、弁護士に事前に確認したほうがよいでしょう。
B型肝炎訴訟は、被害者ご自身で提起することもできます。しかしスムーズに手続きを進め、適正な額の給付金を受給するためには、弁護士に依頼して対応する方が安心です。
弁護士にB型肝炎訴訟を依頼するメリットとしては、以下のものが挙げられます。
B型肝炎訴訟では、受給資格や病態に応じて、さまざまな種類の書類を準備する必要があります。
書類の取得先も様々であり、複雑な手続きや時間を要するものもあるため、その収集にはかなりの手間がかかってしまうでしょう。また、B型肝炎訴訟を提起する際には、訴状や準備書面を作成する必要もあります。訴状や準備書面には専門的な内容の記載も必要になるため、不慣れな方が作成するのは大変です。
弁護士にB型肝炎訴訟を依頼すれば、煩雑な証拠書類・準備書面などの準備を代行・サポートしてもらえるので、依頼者の労力は大きく軽減されるでしょう。
B型肝炎訴訟は、立証すべき事実や必要な証拠の大部分がマニュアル化されています。
しかし必要な資料が不足している場合や、立証の成否に疑義がある場合などには、追加での証拠提出が必要となることも考えられます。さらに、病態を立証する際には、医師に訴訟での主張・立証に役立つ診断書を作成してもらうことが大切です。そのためには、医師とのコミュニケーションも重要になってきます。
B型肝炎訴訟を弁護士に依頼すれば、このような主張・立証活動を適切に代行・サポートしてもらうことができます。その結果、適正な金額のB型肝炎給付金を受給できる可能性が高まるでしょう。
B型肝炎訴訟の提起をご検討中の方は、ぜひお早めに弁護士までご相談ください。
弁護士費用の決まり方には、主に「着手金・成功報酬制」と「タイムチャージ制」の2種類があります。B型肝炎訴訟の場合、「着手金・成功報酬制」が採用されるのが一般的であり、着手金を無料にしている弁護士も多いです。
B型肝炎訴訟の弁護士費用は、「訴訟手当金」によって国からの補助が行われるため、被害者の費用負担は大きく軽減されています。
弁護士に依頼すれば、迅速・円滑にB型肝炎訴訟を進行させ、適正な給付金を受け取れる可能性が高まります。現時点でB型肝炎による健康被害にお悩みの方は、B型肝炎訴訟の提起について、一度弁護士までご相談ください。
参考文献 |
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