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労働問題の解決にかかる弁護士費用の相場とできるだけ費用を抑える方法

更新日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
労働問題の解決にかかる弁護士費用の相場とできるだけ費用を抑える方法

労働トラブルの解決を弁護士に依頼すると、当然弁護士費用がかかります。

具体的にどのようなケースでいくらの弁護士費用が必要となるのでしょうか?

昔、弁護士会が定めていた弁護士の報酬基準である「弁護士会の旧報酬基準」がありますが、現在では廃止され、費用は弁護士事務所が自由に設定できるようになっています。

相談だけなら無料という法律事務所も増えてます

この記事では、労働問題で必要な弁護士費用の内訳や相場を詳しく解説していきます。

賃金・残業代未払い、不当解雇など労働トラブルの解決なら弁護士に相談

労働基準監督署などは、証拠がないと動いてくれない傾向があります。

また、労基署の是正勧告には強制力がないので、必ずしも解決できるとは限りません。

しかし、弁護士が介入することで会社側がこちらの要求に応じてくれる可能性が大いに高まります。

賃金未払いや不当解雇など深刻な悩みを解決したいのであれば、弁護士への相談をおすすめします。

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労働問題を弁護士に依頼した場合の基本的な費用と内訳

労働問題を弁護士に依頼すると、主に以下のような費用が発生します。

  1. 相談料
  2. 着手金
  3. 成功報酬金
  4. 日当・実費

相談料|相場は30分5,000円

相談料は、弁護士に労働トラブルについて相談をしたときに発生する費用です。

相談料の相場は30分5,000円ですが、最近では無料で相談に乗ってくれる弁護士事務所も多くなっています。

初回法律相談 30分ごとに5,000円から1万円の範囲内の一定額
一般法律相談 30分ごとに5,000円以上25,000円以下

参照元:(旧)日本弁護士連合会弁護士報酬基準

着手金|10万〜30万円の間

着手金は、弁護士に示談交渉や労働審判、訴訟などの手続を依頼したとき、当初に発生する費用です。

ただし、事件内容によっては無料で受けてくれる事務所も多くなっています。

相場としては、10万円から30万円の間に設定している事務所が多いです。

旧弁護士報酬規定を採用している事務所の場合、下記のような費用になっていると思われます。

着手金

事件の経済的な利益の額が・・・

300万円以下の場合:経済的利益の8%

300万円を超え3000万円以下の場合:5%+9万円

3000万円を超え3 億円以下の場合 :3%+69万円

3億円を超える場合:2%+369万円

※着手金の最低額は 10万円

成功報酬金|20万円程度もしくは獲得金額10〜15%

成功報酬金とは、弁護士に依頼して事件が解決されたときに発生する費用です。

事件解決によって得られた「経済的利益」に応じて金額が変動する事務所が多数です。

経済的利益とは「弁護士に依頼したことによって得られた財産的な利益」です。

たとえば、弁護士に依頼して100万円を獲得できたら100万円が経済的利益となります。

労働問題において、残業代請求の場合は獲得できた金額の10〜15%程度の金額が相場と考えて良いかと思います。

報酬金

事件の経済的な利益の額が

300万円以下の場合:経済的利益の16%

300万円を超え3000万円以下の場合:10%+18万円

3000万円を超え3億円以下の場合:6%+138万円

3億円を超える場合:4%+738万円

その他

弁護士に依頼したときには、以下のような費用が発生するケースもあります。

日当

日当は、弁護士が出張したときに必要となる手当です。

遠方の裁判所で期日がある場合などに発生します。

実費

実費は、事件処理を進めるために実際に必要になるお金です。

たとえば郵便切手代、印紙代、交通費などが実費となります。

実費は弁護士費用に含めることが多いのですが、自分で手続きした場合にも発生します。

労働トラブル別の弁護士費用|残業代請求・不当解雇・労働審判など

弁護士費用の金額は、残業代請求や不当解雇、労災など具体的なトラブルの内容によって異なります

そこで、以下では手続きごとにかかる弁護士費用の相場を確認していきましょう。

なお、相談料はおおむね一律なので、以下では主な弁護士費用となる「着手金」と「成功報酬金」について説明していきます。

残業代請求の場合

残業代請求の場合、着手金は無料になっている事務所が多いです。

ただし事務所によっては10万円程度かかることもあります。

報酬金は、回収できた残業代(経済的利益)の15~30%程度となっていることが多いです。

20万円+25%など「定額+パーセンテージ」の組み合わせになっている事務所もあります。

不当解雇・退職勧奨の場合

不当解雇に対する争いの場合、着手金は無料のケースもありますが、事務所によっては30万円程度かかることもあります。

金額帯が0~30万円と幅広いので事務所選びに注意が必要です。

成功報酬金は、経済的利益(会社から支払を受けた解決金や未払賃金、慰謝料など)の15~30%程度です。

ただし「会社に戻れた」などの金銭的評価ができない部分については別途「月給の3か月分」「30万円」などの費用がかかる事務所もあります。

また、20万~30万円程度の「最低報酬金」が定められている弁護士事務所あって、さまざまです。

労働災害の場合

労災の場合、会社に損害賠償請求する費用と労災の申請費用が別計算になることがあります。

会社に損害賠償請求をする場合、着手金の相場は5万~30万円程度です。

労災申請も依頼するとそこに上乗せされることが多いです。

会社から損害賠償金の支払を受けられたら、支払われた金額の15~30%程度が成功報酬金となります。

労災申請が認められた場合には、障害補償給付金の数%や50万円などの定額が報酬金として加算されます。

労働審判の場合

労働審判を依頼すると、着手金が30万円程度かかる事務所が多くなっています。

成功報酬金の金額は解決内容によって異なり、経済的利益があった場合にはその15~20%程度が相場です。

経済的利益以外の利益を得られた場合、その内容によって定額や給料〇ヶ月分などの費用が発生します。

また労働審判を申し立てる際には、実費として印紙代と郵便切手が必要です。

印紙代は請求金額によって異なり、高額請求になるほど金額が上がります。

郵便切手代は裁判所によって異なりますが数千円程度です。

パワハラ・セクハラの場合

パワハラ、セクハラの場合の着手金相場は10万~30万円程度です。

成功報酬金は加害者や会社から支払を受けた慰謝料・損害賠償金額の15~30%となります。

労働訴訟になった場合

残業代請求、不当解雇、損害賠償請求、パワハラ・セクハラなどの上記のすべてのケースにおいて、訴訟になると以下の「弁護士会の旧報酬基準」が使われるケースが多くなってきます

弁護士会の旧報酬基準とは、過去に日弁連が定めていた弁護士費用に関するルールです。

今は旧報酬基準が撤廃されているので各事務所が独自の報酬基準を定めることができますが、今でも訴訟になると旧報酬基準によって計算している事務所がたくさんあります。

旧報酬基準の定める着手金と成功報酬金の計算方法は、以下のとおりです。

着手金

請求金額が

  • 300万円以下の場合:8% ※最低10万円
  • 300万円を超え3000万円以下の場合:5%+9万円
  • 3000万円を超え3億円以下の場合:3%+169万円
  • 3億円を超える場合:2%+369万円

ただし、最低着手金は10万円です。

成功報酬金

依頼者の得られた経済的利益が

  • 300万円以下の場合:16%
  • 300万円を超え3000万円以下の場合:10%+18万円
  • 3000万円を超え3億円以下の場合:6%+138万円
  • 3億円を超える場合:4%+738万円

上記のとおりでなくても、近いイメージで段階的な着手金報酬金額を定めている事務所が多くみられます。

実費

訴訟になると必ず実費がかかります。

提訴の際に請求内容に応じた印紙代と連絡用の郵便切手が必要です。

印紙代は労働審判の2倍の金額であり、たとえば100万円の請求なら印紙代1万円、300万円の請求なら印紙代2万円程度です。

郵便切手代は6,000~7,000円程度です。

会社を訴える場合には会社の商業登記簿謄本が必要なので、取得費用として600円かかります。

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労働問題の弁護士費用をできるだけ抑えるには?

労働問題を弁護士に依頼したいと思っても、あまりに高額な費用がかかるなら依頼を躊躇してしまうでしょう。

なるべく弁護士費用を抑えるには、以下のような工夫をすることをおすすめします。

初回相談料無料の弁護士を選ぶ

弁護士費用を抑えたいのであれば「法律相談料が無料」の事務所を選ぶべきです。

労働問題に関する相談は30分~1時間程度以上はかかってしまうので、どうしてもそこで1万円程度飛んでいってしまいます。

無料相談を利用すればこの1万円を節約できるので、大きな節約効果があります。

成功報酬金ができるだけ低い弁護士を選ぶ

労働問題でもっとも金額が大きくなるのが「成功報酬金」です。

着手金無料の事務所があるのも「成功報酬で大きく稼げればよい」と考えているからです。

そこで成功報酬金の「パーセンテージ」の低い事務所を選びましょう

たとえば30%の事務所ではなく15%の事務所を選べば、成功報酬金を半額に抑えられます。

300万円回収できたときに30%なら90万円ですが15%なら45万円で済むのでかなりお得になります。

着手金無料の完全成功報酬の弁護士を選ぶ

お金がない方におすすめなのが着手金無料の事務所です。

この場合、当初に0円で弁護士に動いてもらえるので気軽に頼みやすいです。

ただし着手金無料の場合、その分成功報酬金のパーセンテージが高めになっているケースもよくあります。

全体的に費用が安くなるかどうかはケースバイケースなので、事前に見積もりを出してもらってよく検討しましょう。

法テラスを利用する

法テラスを利用すると、弁護士費用をかなり抑えられます。

示談交渉なら着手金と実費を合わせても10万円かかりませんし、報酬金も一律経済的利益の10%なので破格の安さです。

ただし利用するためには収入要件と資産の要件があり審査を受けなければなりません

弁護士全員が法テラスと契約しているわけではないので、気に入った弁護士に依頼できるとも限りません

経済的に余裕がなく、とにかく弁護士に安く依頼したいという方にはおすすめのサービスです。

1 費用の立替えってどんな制度?
交渉や調停、裁判などの手続きの代理を弁護士や司法書士に依頼する場合、さまざまな費用がかかります。
立替えとは、法テラスが利用者に代わって弁護士や司法書士にその費用を支払い、利用者から分割で法テラスに費用を返済していただく制度です。

引用元:法テラス|費用を立て替えてもらいたい

複数の事務所で見積もりをもらってもっとも得になる事務所を選ぶ

弁護士に安く頼みたいなら、面倒でもいくつかの事務所で無料相談を受けてそれぞれ見積もりを出してもらい、比較することをおすすめします。

いくつか比較して一番安い事務所に依頼すれば、賢い弁護士事務所選びができます。

さいごに

困難な労働問題に立ち向かうには、法律の専門家である弁護士の力を借りることが有益です。

弁護士費用は工夫次第で節約できるので、お困りの際には是非とも一度、労働問題を得意とする弁護士に無料法律相談をしてみてください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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