雇用保険の喪失手続きができずに悩んでいる方へ:対処法を解説
雇用保険は、会社を退職した際や職業訓練で失業給付を受けるための保険です。
会社であれば加入する義務があり、喪失した場合もハローワークへの届出が必要といえます。
しかし、離職票がいつまでも届かずに困っているという方もいるのではないでしょうか。t
本記事では、
- 雇用保険喪失手続きの概要
- 雇用保険喪失手続きが実行されない理由
- 雇用保険手続きが実行されなかった場合の対処方法
について解説していきます。
雇用保険喪失手続きは会社の義務
雇用保険喪失手続きとは、退職などで雇用保険の対象でなくなった従業員を届け出るための一連の手続きを意味します。
また、次のような場合は従業員が雇用保険の対象ではなくなる点も知っておきましょう。
- 従業員の死亡
- 従業員の退職、解雇
- 従業員の昇格
- 労働時間が短縮され20時間以下になった
- ほかの企業への出向、出向元への復帰
また、雇用保険喪失手続きは雇用保険法によって企業がおこなうものとして定められており、必要事項を記載した雇用保険被保険者資格喪失届を、管轄のハローワークへ変更事由が発生した10日以内に提出しなければなりません。
|
雇用保険法 第七条 『事業主(徴収法第八条第一項又は第二項の規定により元請負人が事業主とされる場合にあつては、当該事業に係る労働者のうち元請負人が雇用する労働者以外の労働者については、当該労働者を雇用する下請負人。以下同じ。)は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する労働者に関し、当該事業主の行う適用事業(同条第一項又は第二項の規定により数次の請負によつて行われる事業が一の事業とみなされる場合にあつては、当該事業に係る労働者のうち元請負人が雇用する労働者以外の労働者については、当該請負に係るそれぞれの事業。以下同じ。)に係る被保険者となつたこと、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなつたことその他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。当該事業主から徴収法第三十三条第一項の委託を受けて同項に規定する労働保険事務の一部として前段の届出に関する事務を処理する同条第三項に規定する労働保険事務組合(以下「労働保険事務組合」という。)についても、同様とする。』 引用:e-Gov法令検索 |
届出をおこなわなかった場合には罰則がある
会社として雇用保険被保険者資格喪失の届出をおこなわなかった場合、6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が適用されます。
虚偽記載のある届出でも罰則が適用される点は知っておきましょう。
|
雇用保険法 第八十三条 『事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。 一 第七条の規定に違反して届出をせず、又は偽りの届出をした場合 二 第七十三条の規定に違反した場合 三 第七十六条第一項の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出した場合 四 第七十六条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反して証明書の交付を拒んだ場合 五 第七十九条第一項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合』 引用:e-Gov法令検索 |
離職票の交付にも規定がある
離職票は、従業員から求められた場合に必ず発行しなければならないという規定があります。
離職表がなければ、元従業員が失業手当を満額受けとることができなくなるおそれがあります。
仮に、悪意をもって離職表を交付しないといった場合は、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられます。
また、雇用保険被保険者資格喪失の届出をおこなったあとに離職票を受け取る流れとなるため、雇用保険喪失手続きは従業員にとって重要な処理だといえます。
雇用保険喪失手続きをしてくれない主な理由
ここからは、雇用保険喪失手続きをしてくれない主な理由について見ていきましょう。
会社の義務であるものの、中にはわざと雇用保険喪失手続きをおこなっていないケースもあります。
そもそも雇用保険の加入手続きをおこなっていない
雇用保険の加入手続きをおこなっていない場合は、そもそも書類を発行することができません。
会社の義務として、次の条件を満たしている場合は雇用保険に加入しなければならないと定められています。
- 1ヵ月(31日以上)の雇用見込みがある
- 1週間の所定労働時間が20時間以上ある
- 日雇い労働者、学生ではない
なお、雇用保険の加入手続きをおこなっていない場合は、6ヵ月以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられます。
ハローワークが混雑している
ハローワークが混雑している場合は、雇用保険喪失手続きがなかなか進まないケースもあります。
会社が手続きをおこなっていると返答した場合は、今しばらく待ってみてもよいかもしれません。
ただし、ハローワークから離職票が届かなければ失業保険を受給できなくなってしまいます。
あまりにも時間がかかっている場合には、会社やハローワークへ問い合わせることをおすすめします。
悪意から会社が雇用保険喪失手続きをおこなっていない
会社が雇用保険喪失手続きをおこなっていない場合は、離職票は発行されることがありません。
罰則の対象となりますが、このような場合は会社に連絡しても取り合ってくれる可能性は低いでしょう。
そのため、雇用保険喪失手続きを進めたい場合は、ハローワークに相談しましょう。
雇用保険喪失手続きをしてくれない場合の相談先
ここからは、雇用保険喪失手続きをしてくれない場合の相談先について詳しく見ていきましょう。
会社に問い合わせる
まずは、会社に問い合わせをおこないましょう。
この際、離職票がいつごろ届くのか確認することが大切です。
退職日から10日経ったとしても、雇用保険喪失手続きがおこなわれていなければ法律に反する可能性があります。
また、 離職票が2~3週間で届かなかった場合も手続きがおこなわれていない可能性があるため、問い合わせをしましょう。
ハローワーク
雇用保険に関する手続きは、全てハローワークをとおしておこなわれます。
ハローワークの手続きが遅れていて離職票が届かない可能性もあるものの、 雇用保険喪失手続きがおこなわれたのか、いつぐらいに発送されるのかを尋ねましょう。
また、ハローワークに届出をしていなかった場合は法律違反となることから、ハローワークからの会社への督促は有効な手段だといえます。
雇用保険喪失手続きをしてくれない場合に弁護士に相談・依頼するメリット
ここからは、雇用保険喪失手続きをしてくれない場合に弁護士へ相談するメリットについて見ていきましょう。
状況に応じてどのような対応をできるのかアドバイスしてもらえる
会社に連絡しても対応してもらえなかった場合やハローワークの督促も無視された場合など、状況に応じたアドバイスが可能です。
アドバイスだけでなく、その後の対応も提案してくれるでしょう。
会社とのやりとりなど手続きにおけるトラブルを回避できる
会社とのやりとりに関して、雇用保険喪失手続き以外のコミュニケーションによるトラブルが発生する可能性もあります。
そういった場合は、弁護士に相談することによって会社とのやりとりを代行してもらうことも可能です。
たとえば、円満に退社できなかった場合は、その後のやりとりでもトラブルになる可能性が高いため弁護士への依頼をおすすめします。
雇用主との裁判もサポートもできる
雇用保険喪失手続きをおこなっていない場合や、企業として雇用保険加入手続きをおこなっていない場合は、法律違反に該当する可能性があります。
しかし、それでも雇用保険喪失手続きをおこなわないケースも想定されるでしょう。
このような場合は、雇用主との裁判になる可能性もあります。
仮に裁判となった場合でも弁護士であれば、証拠集めや裁判手続きの代行、代理なども依頼できます。
そもそも、労働者の雇用保険にすら前向きに検討をしない企業であれば、いわゆるブラック企業であるといわざるをえません。
そうすると、どこかで他のトラブルが生じ、賃金などのトラブルが生じる可能性は高いはずです。
最後に|雇用保険のトラブルの相談先として弁護士がおすすめ
雇用保険加入は会社の義務であり、喪失した際もハローワークに10日以内に届出をおこなう必要があります。
ただし、法律として決まっていても対応してもらえないケースも想定されるでしょう。
仮に、ハローワークから督促をおこなっても対応してもらえなかった場合などは、弁護士に相談することをおすすめします。
状況を整理したうえで、現段階で対応できる方法や今後の対応方法、裁判まで一任できるためです。
雇用保険のトラブルで悩んでいる場合は、弁護士への相談を検討してみましょう。
弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます
労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。
・未払い残業代を請求したい
・パワハラ問題をなんとかしたい
・給料未払い問題を解決したい
など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。
お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。
【不当解雇・残業代請求/初期費用0円の完全成功報酬制】「突然解雇された」「PIPの対象となった」など解雇に関するお悩みや、残業代未払いのご相談は当事務所へ!不当解雇・残業代請求の実績多数。年間の残業代回収実績7.8億円!【全国対応|LINEお問い合わせ◎】
事務所詳細を見る
【残業代を取り戻そう!】残業代請求・不当解雇は相談料0円◆成功報酬制◆残業代が取り戻せなかったら後払いの費用(弁護士報酬)はいただきません!※事務手数料・実費についてはお支払いを頂きます。※詳しい料金は詳細ページへ※外出不要で相談可能【電話・オンライン相談(予約制)】
事務所詳細を見る
【残業代を取り戻そう!】残業代請求・不当解雇は相談料0円◆成功報酬制◆残業代が取り戻せなかったら後払いの費用(弁護士報酬)はいただきません!※事務手数料・実費についてはお支払いを頂きます。※詳しい料金は詳細ページへ※外出不要で相談可能【電話・オンライン相談(予約制)】
事務所詳細を見る
【全国12拠点|全国で出張相談会を開催】不当解雇/残業代請求(退職代行)など、労働トラブルに幅広く対応!事案により着手金0円プランあり◎労働問題でお悩みの方は、経験・実績豊富な当事務所へ!【初回相談30分0円】
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡
この記事の監修
銀座さいとう法律事務所
その他に関する新着コラム
-
自己破産だけを理由にした解雇は原則として違法ですが、例外もあるため注意が必要です。もし解雇されたら、解雇の撤回を求めたり、金銭を受け取って退職したりする方法があ...
-
本記事では、裁量労働制における労働時間の基本的な考え方をはじめ、残業の扱い、制度の仕組み、働く際に知っておきたいポイントなどをわかりやすく解説します。
-
育休明けの退職勧奨は違法ですが、育休以外の理由による退職勧奨であれば合法になりやすいです。応じるなら「会社都合」にして失業保険をすぐ受給し、給料3ヵ月〜6ヵ月分...
-
会社が「会社都合退職」を嫌がるのは、助成金や手続きの面で損をするからです。もし「自己都合退職」として処理されそうなときは安易に受け入れず、会社側と交渉しましょう...
-
会社をクビになった場合でも、条件を満たせば失業保険を受給できます。本記事では、会社都合退職と自己都合退職の違いをはじめ、受給条件、受給開始時期、受給期間、受給額...
-
産休は雇用形態に関わらず、働く女性なら誰でも取得できる権利です。会社による産休取得の拒否は法律違反となり、罰則が科されます。もし手続きをしてくれないときは、会社...
-
本記事では、離職票を催促する際に使えるメールの例文を状況別に紹介するとともに、返信が来ない場合の対処法や、失業保険の具体的な手続きの流れについてもわかりやすく解...
-
本記事では、競業避止義務の誓約書にサインをしてしまったときの対処法、誓約書を無視して違反行為に及んだときのペナルティ、弁護士に相談・依頼するメリットなどについて...
-
会社から「診断書を出せ」と言われるのは、会社側には安全配慮義務があることや、従業員の健康状態を確認する必要があることが理由です。診断書を提出できない場合には、会...
-
会社役員を辞めるのは原則自由です。ただし、タイミングによっては損害賠償を請求されることがあるため、しっかり見極めなければなりません。本記事では、会社役員の辞め方...
その他に関する人気コラム
-
この記事では、労働基準監督署でパワハラの相談をして解決できることや、パワハラ問題の解決フローについて紹介します。
-
有給休暇の取得理由は、法律上必要ありません。有給の休暇取得は、労働者に与えられた権利ですし、休暇中の過ごし方は労働者の自由です。しかし、実際は会社で上司から取得...
-
うつ病と診断されたら無理をせず、休職するのも大切です。本記事では、うつ病で休職する際の手続き方法や相談先、休職期間の過ごし方や傷病手当金の申請方法などを紹介しま...
-
労働基準法違反とは、労働基準法で定めるルールを守らないことを指します。不当解雇や残業代未払いなどがあると、企業側に行政指導や刑事罰などが科される可能性があります...
-
本記事では「源泉徴収票を紛失してしまった」「複数枚必要になった」など、さまざまな理由で再発行が必要な場合に知っておくべき知識と対処法を解説します。
-
試用期間中に「この会社合わないかも…。」と思って退職を考える人もいるでしょう。試用期間中の退職は正社員同様、退職日の申し出や退職届などが決まっています。この記事...
-
マイナンバー制度は利用する機会が少ないため、通知カード・マイナンバーカードを紛失した方もいるのではないでしょうか。通知カード・マイナンバーカードを紛失した場合、...
-
労働組合の作り方について、実は難しいことはありません。煩わしい手続きを取ることなく結成することができるのです。そんな労働組合の作り方について、記事にてご紹介して...
-
マイナンバーカードは郵便またはインターネットから作ることができます。まだ作成していない場合はこれからの利用拡大に備えて作っておきましょう。この記事では、マイナン...
-
解雇予告(かいこよこく)とは会社側が労働者を解雇しようとする場合に、少なくとも30日前に通知なければならない『解雇の予告』です。今回は、解雇予告とはどういったも...
その他の関連コラム
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では横浜市で労働相談が可能な5つの窓口と...
-
基本給が低いことによって、労働者側にデメリットはあるのでしょうか。こちらの記事では基本給の概括や、基本給が低いことで受ける影響を、法律の専門家である弁護士監修の...
-
弁護士費用には相談料・着手金・報酬金・日当・実費などが含まれており、高額になることも多いです。複数の弁護士を比較したり、法テラスを利用したりすれば、弁護士費用を...
-
労働基準法違反とは、労働基準法で定めるルールを守らないことを指します。不当解雇や残業代未払いなどがあると、企業側に行政指導や刑事罰などが科される可能性があります...
-
本記事では、アルハラ被害に遭った方に向けて、アルハラ加害者に問える法的責任、損害賠償請求(訴訟)をする際の流れ、処罰してほしい場合に必要な刑事告訴の手続き、アル...
-
労働問題の無料相談ができる窓口について紹介します。24時間相談受付・無料電話相談が可能な相談窓口に加え、相談時のコツや注意点、よくある相談も紹介するので、労働問...
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題をどこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では大田区で労働相談が可能な5つの窓口と専門家を解説しています。本...
-
法律トラブルの解決は、能力・経験・得意分野や人柄などの特徴を見極めた上で、信頼できるに弁護士に依頼しましょう。ポータルサイトを利用して、複数の弁護士を比較して選...
-
本記事では、会社との労働問題を通常訴訟で解決したいと考えている方に向けて、労働問題で会社を訴える際の手順、会社を訴えるメリット、会社との訴訟を弁護士に依頼すべき...
-
会社から給料の減額を伝えられた場合、減額理由に正当性がないなら拒否することが可能です。本記事では給料の減額が違法となるケースや対処法を紹介します。
-
アルコールに関連して周囲に嫌な思いをさせることはアルコールハラスメント、いわゆる「アルハラ」に該当してしまう可能性があります。本記事では、アルコールによるハラス...
-
マイナンバー制度は利用する機会が少ないため、通知カード・マイナンバーカードを紛失した方もいるのではないでしょうか。通知カード・マイナンバーカードを紛失した場合、...






