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退職時に有給消化できないと言われたらどうする?ケース別の対処法・相談窓口を解説

更新日
このコラムを監修
富永 慎太朗
弁護士
退職時に有給消化できないと言われたらどうする?ケース別の対処法・相談窓口を解説

会社を退職する場合、なかには人手不足などを理由に「有給消化できない」と言われたりすることもあります。

たとえ退職時に「有給消化できない」と言われたとしても、法律上は有休消化が可能です。

労働者には有給消化する権利があり、会社から言われるがまま応じる必要はありません。

残った有給をしっかり使い切って退職するためにも、本記事で有給休暇のルールや会社側との対応などを押さえておきましょう。

本記事では、退職時に有給消化できないと言われた場合の対処法や有給休暇制度の内容、有給トラブルでおすすめの相談窓口などを解説します。

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目次

【結論】退職前に有給消化することは法律上可能

冒頭でも触れたとおり、退職前に有給消化することは法律上可能です。

労働者から有給消化の申請があった際、原則として会社側は拒否できません労働基準法第39条5項)。

たとえば「今から1ヵ月後に退職する」というケースで有給が10日分残っているのであれば、あと20日間働くだけで退職が可能です。

もし会社から「有給消化できない」と言われた場合は引き下がらず、有給消化の権利があることを説明するなどして交渉をおこないましょう。

自力での交渉が不安であれば、弁護士なら交渉代行を依頼することも可能ですので、サポートしてもらうことも検討しましょう。

退職前に知っておくべき有給休暇の4つのポイント

退職にあたって有給消化を考えている方は、以下のような有給休暇のルールについても押さえておきましょう。

  1. 有給休暇の取得条件
  2. 有給休暇の取得日数
  3. 有給休暇には時季変更権がある
  4. 有給休暇の買い取りは原則認められない

ここでは、有給休暇について特に押さえておくべきポイントを解説します。

1.有給休暇の取得条件

有給休暇は、以下の2つの条件を満たした場合に発生します。

  1. 雇い入れの日から数えて6ヵ月間継続して勤務していること
  2. 全労働日数のうち8割以上出勤していること

上記の条件を満たしている場合、たとえばフルタイムで働いている正社員であれば、入社してから半年後に10日分の有給休暇が発生します。

なお、雇用形態問わず付与されるため、上記の条件を満たしていれば契約社員・アルバイト・パートなどでも有給休暇が発生します。

2.有給休暇の取得日数

有給休暇の付与日数は、労働者の勤続年数や労働時間などによって変わります

厚生労働省が公表している以下の表を参考にして、有給休暇の日数について正しく把握しておきましょう。

リーフレットシリーズ労基法39条|厚生労働省

リーフレットシリーズ労基法39条|厚生労働省

引用元:リーフレットシリーズ労基法39条|厚生労働省

なお、未消化の有給休暇は翌年に繰り越すことも可能です。

ただし、有給休暇には消滅時効が定められていて「付与された日から2年」を過ぎてしまうと、未消化の有給休暇は自動的に消滅します(労働基準法第115条)。

3.有給休暇には時季変更権がある

会社には、労働者の有給休暇について「時季変更権」という権利が認められています。

時季変更権とは、労働者から有給消化の申請があった際、ほかの日に変更するように要求できる権利のことです(労働基準法第39条5項)。

以下のように「有給消化によって正常な事業運営が困難になる」という状況であれば、会社が時季変更権を行使できる可能性があります。

  • その労働者しか対応できない業務を抱えており、交代要員が確保できない場合
  • 多くの労働者が同時期に有給消化を希望しており、有給消化を認めると事業が滞ってしまう場合 など

なお、あくまでも有給消化の時期を変更できるだけで、有給消化自体を拒否することはできませんし、退職日以降にずらしたりすることもできません。

4.有給休暇の買い取りは原則認められない

有給休暇制度は、労働者の心身の疲労の回復や労働力の維持培養などを図る目的で定められています(年次有給休暇制度について|厚生労働省)。

原則として、残っている有給休暇を会社に買い取ってもらうことは認められません

ただし、以下のようなケースでは、例外的に買い取りが認められる可能性があります。

  • 時効になった有給休暇がある場合
  • 退職時に有給休暇が残っている場合
  • 労働基準法で定められた以上の有給休暇が付与されている場合 など

具体的な買い取り額はケースによって変動しますが、計算方法としては「1日あたりの賃金相当額×残っている有給休暇の日数」となるのが一般的です。

退職前に有給消化したい場合の2つの対応

退職にあたって有給消化したい場合は、以下のような対応を検討しましょう。

  1. なるべく早い段階で上司に相談しておく
  2. 有給申請した証拠を残しておく

1.なるべく早い段階で上司に相談しておく

退職することが決まったら、なるべく速やかに上司に伝えておきましょう

たとえば「来月退職するので1ヵ月分の有給休暇を全て消化して、もう明日からは来ません」というような対応では、法律的には問題なかったとしても会社側としては突然すぎて揉め事に発展してしまうおそれがあります。

なるべくトラブルを避けるためにも、早い段階で報告したうえで十分な期間をかけて引き継ぎをしたり、後任を探して取引先に紹介したりなどの対応を済ませましょう。

特に権限の大きな役職に就いている場合は、退職によって部署内などに大きな影響が生じる可能性があるため、報告や引き継ぎなどの対応を迅速かつ適切に済ませておくことが大切です。

2.有給申請した証拠を残しておく

有給消化を申請する際は、申請した証拠を残しておくことも大切です。

十分な証拠があれば、トラブル発生時に労働基準監督署などの外部機関が動いてくれやすくなりますし、弁護士のサポートによって慰謝料請求が認められる可能性も高まります。

会社によっては、有給消化を申請していたにもかかわらず「申請がなかった」として欠勤扱いにされてしまい、「欠勤なので賃金は支払わない」などと主張してくる場合もあります。

証拠の残し方としては、メールで申請したり、提出する申請書のコピーを取ったりするなどの方法が有効です。

チャットで申請するのも有効ですが、一定期間経つとメッセージが削除されるおそれがあるためスクリーンショットで保存しておきましょう。

【ケース別】退職時の有給トラブルの対処法

退職時の有給休暇に関する代表的なトラブルとしては、以下のようなものがあります。

  1. 有休消化できないと言われた
  2. 最終出勤日を延ばすように言われた
  3. 退職日までに有給休暇を全て消化できない
  4. 有給消化中にボーナス支給日がある
  5. 有給申請したのに欠勤扱いにされた

ここでは、有給トラブルが発生した場合の対処法についてケースごとに解説します。

1.有休消化できないと言われた場合

会社から「今は繁忙期だから厳しい」「人手不足だから困る」などと言われたりして、有給消化を拒否されることもあります。

たしかに、会社側としては有給消化されると業務が大変になりますが、原則として労働者からの有給消化の申請を拒否することはできません。

会社から「有給消化できない」と言われても引き下がらず、労働者には有給消化する権利があることを説明しましょう。

どれだけ説明を尽くしても応じてくれない場合は、人事部などの社内窓口や労働基準監督署・弁護士などの社外窓口に相談するのが有効です。

2.最終出勤日を延ばすように言われた場合

後任者の不在などを理由に、会社から「あと1週間だけ退職日を先延ばしにしてほしい」などと言われたりすることもあります。

たとえ会社から退職日の先延ばしを求められても、労働者が応じる必要はありません。

今後のスケジュールなども考慮したうえで応じるかどうか判断し、応じない場合は「当初の退職日のまま退職する」ということを明確に伝えましょう。

もし会社から強引な引き止めなどを受けた場合は、社内窓口や社外窓口への相談が有効です。

3.退職日までに有給休暇を全て消化できない場合

急に退職が決まったり、多くの有給休暇が残っていたりして、なかには退職日までに全ての有給休暇を消化しきれない場合もあります。

退職時に有給休暇が残ってしまう場合は、会社が買い取ってくれないか確認しましょう。

原則として有給休暇の買い取りは認められないものの、退職時に残っている有給休暇については例外的に認められる可能性があります。

就業規則にて買い取りに関する記載があれば、会社と交渉をおこないましょう。

4.有給消化中にボーナス支給日がある場合

なかには有給休暇中に賞与支給日を迎えることもあります。

すでに退職することが決まっていて有給休暇中でも、会社には在籍しているため、ほかの従業員と同様に賞与を受け取る権利があります。

ただし、賞与に関する規定は会社によっても異なるため、詳しくは就業規則や労働契約書などを確認しましょう。

5.有給申請したのに欠勤扱いにされた場合

有給消化の申請を済ませたにもかかわらず、欠勤として処理されてしまうケースもあります。

会社が申請を受け入れずに欠勤扱いにしている場合は、訂正を求めましょう。

有給消化の申請書や給与明細などの証拠を準備したうえで、欠勤扱いになっていることを主張し、無給になっている分について支払いを求めましょう。

もし会社側が応じてくれない場合は、社内窓口や社外窓口への相談が有効です。

会社から有給消化できないと言われた場合の相談窓口3選

会社から有給消化できないと言われた場合の代表的な相談窓口としては、以下の3つがあります。

  1. 社内の担当部署・労働組合
  2. 労働基準監督署
  3. 弁護士

ここでは、各相談窓口の特徴やサポート内容などを解説します。

1.社内の担当部署・労働組合

社内の担当部署としては、人事部・総務部・コンプライアンス部門などがあります。

上記のような社内窓口に相談すれば、労働基準法に則って適切に判断してくれて、有給消化を拒否した上司に対して指導などがおこなわれる可能性があります。

また、労働組合に加入している場合は、労働組合に相談するのも有効です。

労働組合に相談すれば、労働者目線でのアドバイスが望めるほか、会社に対して団体交渉を通じて問題点の改善を求めてくれる場合もあります。

2.労働基準監督署

有給トラブルについては、労働基準監督署に相談するという選択肢もあります。

労働基準監督署とは、会社が労働関係法令を守っているかどうかを監督し、違反が疑われる会社に対しては調査などをおこなう機関のことです。

労働基準監督署に相談すれば、会社に対して立ち入り検査・指導・是正勧告などの対応を取ってくれる可能性があります。

なお、迅速に動いてもらうためには、明確な法令違反があることを示す証拠が必要です。

労働基準監督署は全国に設置されており、それぞれの所在地や連絡先は「全国労働基準監督署の所在案|厚生労働省」から確認できます。

3.弁護士

1日でも早く有給トラブルを解決したいなら、弁護士への相談がおすすめです。

弁護士なら、法的視点から問題解決に向けて取るべき対応をアドバイスしてくれるだけでなく、代理人となって会社とのやり取りを進めてもらうことも可能です。

初回無料相談を実施している法律事務所も多くあり、費用面が不安な方でも気軽に利用できます。

法律相談を利用したからといって契約を迫られるようなこともないので、有給トラブルで悩んでいるなら一度相談してみましょう。

退職時の有給トラブルを弁護士に相談・依頼する3つのメリット

退職時の有給トラブルでは、弁護士に相談・依頼するのが効果的です。

弁護士のサポートを受けることで、主に以下のようなメリットが望めます。

  1. 有給消化の交渉を代行してくれる
  2. 裁判に発展した場合も対応してくれる
  3. 会社に対する慰謝料請求の手続きを一任できる

ここでは、退職時の有給トラブルで弁護士が何をしてくれるのかを解説します。

1.有給消化の交渉を代行してくれる

弁護士なら、会社側との有給消化の交渉を代行してくれます。

自分で交渉を進めることも可能ではあるものの、法律知識や交渉経験のない素人では会社側がなかなか聞き入れてくれないおそれがあります。

弁護士に交渉代行してもらうことで、法的視点から説得力のある主張を展開してくれて、自分で交渉するよりも迅速に解決できる可能性が高まります。

なかには、交渉相手が弁護士に変わるだけで会社側の態度が軟化し、すんなり有給消化できる場合もあります。

2.裁判に発展した場合も対応してくれる

弁護士なら、会社側と争いになって裁判に発展した場合でも対応してくれます。

有給トラブルで交渉しても解決が難しい場合、労働審判や訴訟などの裁判手続きに移行して争うことになります。

ただし、裁判手続きでは必要書類の準備や主張の組み立てなどが必要となり、複雑で時間もかかるため弁護士にサポートしてもらうのが一般的です。

弁護士に依頼することで、ミスなくスムーズな進行が望めますし、煩雑な裁判手続きから解放されて楽になるというメリットもあります。

3.会社に対する慰謝料請求の手続きを一任できる

弁護士なら、慰謝料請求の手続きも代行してくれます。

たとえば「有給を消化しようとしたら妨害された」「パワハラの被害を受けた」というようなケースでは、慰謝料を獲得できることもあります。

ただし、素人では会社側に非があることを的確に主張立証できず、慰謝料が低額になってしまったり、請求すら認められなかったりするおそれもあります。

弁護士は適切な慰謝料額を算出することもできますし、依頼者の利益のために最大限尽力してくれるため、自分で請求するよりも多くの慰謝料を獲得できる可能性が高まります。

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退職時の有給消化に関するよくある質問3選

ここでは、退職時の有給消化に関するよくある質問について解説します。

1.退職時に有給消化させないのは違法ですか?

退職時に有給消化させない場合、労働基準法違反となる可能性があります

労働者には有給消化する権利があり、会社側が合理的な理由なく拒否すると「6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑」が科されるおそれがあります(労働基準法第119条)。

なお、状況次第では会社が時季変更権を行使できる場合もありますが、あくまでも有給消化の時期を変更できるだけで、有給消化自体を拒否することはできません。

したがって、退職日までに有給休暇を取得できないような時季変更権の行使は認められません。

2.退職前の有給申請はいつまでにおこなうべき?

有給申請は、退職の意思を伝える際にあわせて済ませておくことをおすすめします。

なるべく早い段階で済ませておかないと、会社側としても引き継ぎなどの対応がうまく進められずに無用な混乱が生まれてしまうおそれがあります。

余計なトラブルを避けるためにも、退職することが決まったら速やかに上司などに伝えておきましょう。

3.有給消化できないまま退職したらどうなる?

有給消化できないまま退職日を迎えた場合、原則として残っている有給休暇は消滅します。

ただし、会社によっては残っている有給休暇を買い取ってくれる可能性があります。

退職時に有給休暇が残ってしまう場合は就業規則を確認し、有給休暇の買い取りについて記載があれば会社側と交渉をおこないましょう。

さいごに|退職時に有給消化できないと言われたら、ベンナビ労働問題で相談を

労働者には有給消化する権利があるので、たとえ会社から「有給消化できない」と言われても引き下がらずに交渉をおこないましょう

もし自力での交渉が不安なら、弁護士にサポートしてもらうことをおすすめします。

弁護士なら、有給トラブルの解決に向けた具体的なアドバイスが望めるほか、代理人として会社との交渉や裁判などの対応を一任することも可能です。

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本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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