パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
弁護士保険で法律トラブルに備える
未払賃金立替制度(みばらいちんぎんたてかえせいど)とは、会社が倒産した際に発生した未払い給料の一部について、国が立て替えを行う制度です。全国の労働基準監督署および独立行政法人労働者健康安全機構で、手続きの実施・相談を受け付けています
自転車操業を繰り返していた会社がついに倒産。しかも、ここ数ヶ月はまともに給料が支払われておらず、これからどうすれば…。
当面の生活費さえままならない状況に、不安を覚える方も多いのではないでしょうか。
会社が倒産しそう・してしまったという方に、ぜひ知っておいて欲しいのが「未払賃金立替制度」です。
未払賃金立替制度は、会社が倒産してしまった際に未払いとなっている給料の一部についてを、国に立て替えてもらうことができます。
ただし、制度を利用するには、一定の条件を満たしていなくてはなりません。
この記事では、未払賃金立替制度を利用する際の要件や手続き方法、注意点などについて詳しく解説します。
なお、倒産は会社都合による退職にあたり、失業保険の給付制限(※)がかからず、自主都合退職に比べて、支給開始にかかる期間が短く済みます。未払賃金立替制度も合わせて利用できるため、失業保険の手続きも進めておくとよいでしょう。
(※)給付制限期間が2カ月に短縮|令和2年10月1日~
令和2年10月1日以降に離職された方は、正当な理由がない自己都合により退職 した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が2か月となります。 詳しくは、お近くのハローワークや、都道府県労働局までお問い合わせください。 ※ 令和2年9月30日までに正当な理由がない自己都合によりで退職された方は、給付制限期間が3か月となります ※ 自己の責めに帰すべき重大な理由で退職された方の給付制限期間はこれまでどおり3か月となります
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未払賃金立替制度を利用した場合、どの程度の金額を、いつごろ受け取れるのか確認しておきましょう。
立替払いで受け取れる金額は、未払い賃金額の8割です。ただし、退職時の年齢に応じた上限があり、88万円~296万円の範囲内を限度に支給がなされます。
【立替払い金額の上限】
退職日における年齢 |
未払賃金総額の限度額 |
立替払上限額 |
30歳未満 |
110万円 |
88万円 |
30歳以上45歳未満 |
220万円 |
176万円 |
45歳以上 |
370万円 |
296万円 |
立替払いの対象となるのは、「退職した日の6か月前から立替払い請求日の前日までに、支払い期日が到来した未払いの定期賃金と退職手当」です。
引用元:独立行政法人労働者健康安全機構
ボーナスについては立替払いの対象とはならず、また、未払い賃金の総額が2万円に満たない場合も対象に含まれないので注意しましょう。
未払い賃金の立替えを受けるには、「未払賃金の立替払請求書」等の書類を提出しなくてはなりません。
記入・押印に当たってのお願い
○記入事項は、黒のボールペンで、楷書(かいしょ)で記入してください。
○枠からまみ出さないように記入し、数字は右づめで記入してください。
○請求書及び申告書それぞれに押印してください。
○記入内容を訂正する場合は、訂正箇所を二重線で消し、その上に訂正印を押してください。
○提出する前に、記入もれ、記入誤り、押印もれ、訂正した場合は訂正印のもれがないか、もう一度確認してください。
○請求書及び申告書に記入もれや押印もれ等があった場合は、確認のため機構からお問い合わせさせていただくとともに、立替払が遅れる原因になりますのでご注意ください。
○請求書及び申告書の記入方法等について、わからない点がありましたら、労働者健康安全機構立替払相談コーナー又は最寄りの労働基準監督署にお問い合わせください。
詳しくは後述の『請求書の書き方』をごらんください。
提出した書類の審査が行われ、不備がないと判断された場合には、指定した金融機関へ30日以内に支払いがなされます。
振込みが行われる前に、必ず「支払通知書」が届きますので、1ヶ月以上経過しても、何の音沙汰がないときは確認の連絡を入れておきましょう。
未払い賃金の立替払いを受けるには、以下の要件を満たしている必要があります。
(1) 使用者が、
[1] 1年以上事業活動を行っていたこと
[2] 倒産したこと
大きく分けて次の2つの場合があります。
イ 法律上の倒産
([1]破産、[2]特別清算、[3]民事再生、[4]会社更生の場合)
この場合は、破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらう必要があります。
必要な用紙は労働基準監督署に備え付けてあります。
ロ 事実上の倒産
(中小企業について、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない場合)
この場合は、労働基準監督署長の認定が必要ですので、労働基準監督署に認定の申請を行って下さい。
(2)労働者が、倒産について裁判所への申立て等(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した者であること
簡単に説明すると、1年以上の事業活動を行っていた会社が法律上または事実上の倒産をした際に、倒産した日の6ヶ月前から2年の間に退職した者であれば、制度を利用できるということです。
未払賃金立替制度を利用するには、いくつかの手続きを行う必要があります。また、申請書を提出する際に、賃金の未払いがあることを証明しなくてはなりません。
申請の際に不備があると立替払いが受けられなくなるため、しっかり確認しておきましょう。
未払賃金立替制度の申請は、会社が「法律上の倒産」をしたか、「事実上の倒産」したかによって異なります。
それぞれ確認しておきましょう。
法律上の倒産の場合、まず破産管財人や裁判所などから、証明書の交付をしてもらいましょう。証明書には、倒産日や立替払いに必要な金額などが記載されています。
証明書が届いたら、左側部分の「払賃金の立替払請求書」「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」に必要事項を記入して、労働者健康安全機構に提出してください。
請求書の記載に不備がなければ、提出から30日以内に、指定した口座に立替金が振り込まれるはずです。
★CHECK★ |
①裁判所等から証明書を交付してもらう ②請求書が届いたら必要事項を記入して労働者健康安全機構に提出 ③請求書に不備がなければ口座に立替金が支給される |
事実上の倒産の場合、法的な手続きによる倒産の認定を得ていません。そのため、労働基準監督署に倒産の事実を確認してもらうために、「認定申請書」を提出する必要があります。
認定申請書は労働基準監督署で交付してもらうか、e-Gov(電子政府の相談窓口)のホームページからダウンロードしましょう。
認定申請書は、会社所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。申請が認められると「認定通知書」が届きます。
なお、認定申請は誰か1人でも行っていれば、別の人が同じ手続きをする必要はありません。
次に、労働基準監督署へ認定の申請日や退職日、未払賃金の金額などを記載した「確認申請書」提出します。電子申請、もしくはe-Govのホームページから申請書をダウンロードしましょう。
確認申請書に問題がなければ、「確認通知書」が労働基準監督署から交付されます。
この確認通知書の左側部分には、「未払賃金の立替払請求書」「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」が印刷されていますので、必要事項を記入してください。
必要事項を記入した確認通知書を「労働者健康安全機構」に提出すれば、手続きは完了です。書類等に不備がなければ、指定の口座に立替金が支払われます。
★CHECK★ |
①労働基準監督署に「認定申請書」を提出する ②「認定通知書」が届いたら「確認申請書」を労働基準監督署に提出する ③交付された「確認通知書」の左側部分「未払賃金の立替払請求書」「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」に必要事項記入し、労働者健康安全機構に提出 ④書類等に不備がなければ立替金が交付される |
立替払いの手続きをするにあたって、労働基準監督署から賃金が未払いであることを証明する資料の提出が求められます。
以下のような証拠を集めておくと、申請時に役立つでしょう。
のちのち、証拠集めをするのは大変なので、できるだけ早い段階から集めておきましょう。
「未払賃金の立替払請求書」の書き方は、それほど難しくなく、記入漏れがないように記載事項を埋めていくだけです。
氏名・請求年月日・生年月日・現住所・電話番号・立替払い請求金額・振込先金融機関を記入例の注意事項を確認しながら、埋めてください。
なお「未払賃金の立替払請求書」は、独立行政法人労働者健康安全機構のホームページからダウンロードできます。
参考:未払賃金立替払請求書 記入用|独立行政法人労働者健康安全機構
未払賃金立替制度を利用する際には、以下のような注意点があります。
それぞれ確認しておきましょう。
立替払いの請求は、倒産した日の翌日から2年以内に行わなくてはなりません。
引用元:独立行政法人労働者健康安全機構
会社が法律上の倒産となった場合は、裁判所の破産手続の開始等の決定日、または命令日の翌日から起算して2年以内です。
事実上の倒産の場合は、労働基準監督署長が倒産の認定をした日の翌日から起算して2年以内となっています。
上記期間内に、「未払賃金の立替払請求書」を労働基準監督署、または、独立行政法人労働者健康安全機構に提出しないと、立替払いが受けられないので注意してください。
不正な方法によって、立替払いを受けた場合には罰則があり、立替払いで得た金額の2倍を納付しなくてはなりません。
また、場合によっては、詐欺罪で刑事告発される可能性もあります。
実際、2011年頃に制度を悪用した男女6人が詐欺の疑いで逮捕されました。
参考:国の未払い賃金立替制度を悪用、2850万円詐取容疑で6人逮捕 |日本経済新聞
立替払いされた未払い賃金は、退職所得として課税の対象になります。
【退職所得の計算式】
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額
【退職所得控除額の計算式】
勤続年数が20年以下…40万円 × A(80万円に満たない場合には、80万円)
勤続年数が20年超…800万円 + 70万円 × (A - 20年)
なお、退職所得控除があるため、立替払いの金額によっては、非課税になる可能性があります。
会社の倒産によって、賃金の未払いが発生した場合には「未払賃金立替制度」を利用するとよいでしょう。
一定の上限の範囲内で未払い賃金総額の8割を受給することができます。
ただし、未払賃金立替制度を利用できるのは、以下の要件を満たしている場合のみです。
制度の申請手続きは、会社が法律上の倒産をしているか、事実上の倒産をしているかによって、進め方が異なるため注意してください。
また未払賃金立替制度には、2年の制限期間があります。また、立替金の支給も審査の都合上、多少時間がかかますので早めに手続きを始めましょう。
参照元一覧 |
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