パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
弁護士保険で法律トラブルに備える
「有給休暇を消化して退職したい」と会社に伝えたけど拒否された方や、「有給休暇は残ってるけど会社と揉めたくないからそのまま退職しようかな」と考えている方がいるのではないでしょうか。
本記事では、以下についてお伝えします。
まず結論をお伝えすると、有給が残っているのであれば、たとえ退職前であったとして有休を消化できます。
たとえば、1ヵ月後に退職する場合でいえば、有給が10日残っているのであれば、あと20日働くだけで退職が可能です。
まずは有給休暇をとれる状態なのか、取得条件を確認しておきましょう。
有給休暇は以下の2つの条件を満たした場合に自動的に発生します(労働基準法第39条1項)。
この2つの条件を満たせば、正社員の場合、最低でも10日の有給休暇が発生します。
参考として、裁判になった事件を紹介します。
エス・ウント・エー事件(最高裁4.2.18) 【事件の概要】 エス・ウント・エー会社が法定休日も労働日に含めて計算しており、有給休暇をとりにくくしていたという事件です。 【判示】 裁判所は、労働基準法違反だと判断して、カットした賃金約44万円の支払いを命じました。 |
就業規則を確認して不審な点があれば、弁護士に相談してみましょう。
有給休暇の日数は労働者の勤続年数や労働時間などによって変わります。
以下の表を参考にして、取得できる有給休暇の日数を正しく把握しておきましょう。
残りの有給休暇の日数を正しく把握していないと、退職前に消化しきれないこともあるので注意が必要です。
たとえば、14日前に退職を申し出たが、実は有給休暇が16日残っていたというような事態が起こりえます。
ご自身の有給休暇が何日あるか、チェックしておきましょう。
日数を計算するときの注意点として、有給休暇は2年で時効消滅することを押さえておいてください(労働基準法第115条)。
すなわち、最大で2年分の有給消化しか主張できません。
会社は「今は繁忙期だから有給休暇をとられると業務に支障が出る」と主張してくることがあります。
これを時季変更権といいます(労働基準法第39条5項ただし書)。
「事業の正常な運営を妨げる」ため、有給休暇を取得する時期をずらしてほしいという主張です。
しかし、労働者が退職するときに有給消化を申請した場合、会社は時季変更権を行使することができません。
会社が時季変更権を行使して、退職日以降に有給休暇をずらすことはできないのです。
すなわち、有給休暇が発生しているのであれば、退職時に有給消化を申し出ることで取得が可能となります。
退職時に限ったことではないのですが、有給休暇を申請するのに理由は不要です。
裁判所は、有給取得の際の理由について、「年次有給休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは使用者の干渉を許さない労働者の自由」と判断しているためです(全林野白石営林署事件:最高裁昭和48年3月2日)。
そして、有給休暇をとるのに会社の承諾は不要です。
こちらも裁判所が「会社の承認の観念を容れる余地はない」と判示しているためです(同事件)。
退職時の有休消化を会社がスムーズに受け入れてくれるように、以下のような対応をしておきましょう。
まずは早めに退職の意思を伝え、そのときに有給消化を申請しておきましょう。
この申請が遅くなるとトラブルになりかねません。
たとえば「1ヵ月後に辞めます。有給が1ヵ月残っているので消化します。なので明日から来ません。」などと伝えた場合、仮に法律的には問題がなかったとしても、会社の態度がかたくなとなり、スムーズに有給消化できないおそれがあります。
したがって、会社が有給消化をスムーズに認めてくれるように、十分な期間をかけて引継ぎをする、後任を探すなどしておくことが大切です。
たとえば、自分が退職した後に上司や同僚が困らないように業務マニュアルを残しておく、取引先に自分の後任を紹介しておくなどの引き継ぎをしておきましょう。
特に権限の大きな役職に就いている場合は、その人が退職するだけで部署内などに大きな影響が生じる可能性があります。
退職日までのスケジュールを上司と協議しておくことをおすすめします。
有給申請をした証拠を残しておくことが大切です。
なぜなら、遵法意識を欠いている会社では、有給休暇を申請していたにもかかわらず、申請がなかったとして欠勤扱いにされることがあるからです。
欠勤なので賃金を支払わないという措置をとってくることがあるのです。
たとえば、メールで申請する、提出する申請書のコピーを取るなどの対策をしておきましょう。
チャットの場合、メッセージが削除されるおそれがあるのでスクリーンショットをとっておきましょう。
有給申請をした証拠を残しておくと、労働基準監督署などの外部機関が動いてくれやすくなりますし、弁護士に依頼して有給妨害を理由とした慰謝料請求ができる可能性もあります。
先述したように、きちんと引き継ぎをし、後任を見つけるなどして誠実に退職を申し出たとしても、有休消化を拒否する上司も存在します。
そういったときは、社内の人事部やコンプライアンス部門、労働組合などに申し入れてみましょう。
直属の上司は有給休暇について理解していなくとも、上記の人事部などであれば正確な法律知識を持っている可能性が高いため、有給を消化した上での退職を認めてくれる可能性があります。
ただし、規模の小さい会社ですと、社内の人事部は経営者寄りの判断しかしませんし、社内の労働組合も機能不全に陥っている可能性があります。
経営者サイドの意向を忖度して、労働者のために活動していない社内労働組合があるのです。
そんな時は、社外の労働組合(ユニオン)に相談するのも一つの方法です。
有給休暇の取得は労働基準法で定められた権利なので、労働基準監督署に相談することもひとつの方法です。
各都道府県にあり無料で相談できます。
会社の対応が悪質であれば、立ち入り調査や指導、是正勧告をしてくれることがあります。
労働基準監督署が動いてくれない可能性もありますが、労働基準監督署に相談したことを会社や上司に伝えれば、会社が労働基準監督署からの是正勧告などを避けたいと思い、有給消化に応じてくる可能性があります。
ただ、労働基準監督署は中立的な立場な機関ですので、労働者の代理人となって解決してくれるわけではありません。
有給以外のトラブル、たとえば会社が「引き継ぎできていなかったから損害賠償請求する」などと主張してきた場合、労働基準監督署は関与してくれないのです。
退職時には、有給消化以外にもトラブルが発生する可能性があるので、弁護士への相談をおすすめします。
会社が「引き継ぎできていなかったから損害賠償請求する」と主張してきたケースであっても、弁護士であれば、損害の有無、金額、因果関係の有無などについて的確に反論することが可能です。
有給消化を申請する際に、ご自身で対応したり、労働基準監督署に相談・申告することもひとつの方法ですが、さらに確実な対応を求めたり、有給消化できなかった場合には、弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士に相談することのメリットは以下のとおりです。
自分一人で有休消化の交渉をしたとしても、会社が聞き入れる可能性は低いでしょう。
なぜなら、労働基準法に定められており、会社が当然に守るべき有給取得について違反をしているような会社は、法律を遵守していない可能性が高いからです。
このような会社は、労働者一人の意見に耳を貸さない可能性が高いです。
退職時の有給消化を認めないような会社は、労働者が法律的に正当な主張をしても理解を示さないことが多いため、その交渉は非常にストレスのかかるものとなります。
この点、弁護士に依頼すれば、有休消化の交渉をスムーズに進めてくれます。
ここが一番大きなメリットといえます。
退職時に会社とトラブルになったときは、会社が報復として労働者に損害賠償請求してくることがあるのです。
先述したように「引き継ぎできていなかったから損害賠償請求する」という主張や、些細なミスを取り上げて「会社に損害が出たから損害賠償請求する」といった主張です。
こういったケースでは、訴訟に発展することがあるのですが、弁護士に依頼せずに自分一人で裁判手続きを遂行することは非常に難しいでしょう。
なぜなら、会社の主張に対して的確な法律的反論を組み立てることは困難ですし、反論を組み立てることができなければ敗訴するおそれがあるからです。
裁判官は中立な立場のため、「この部分の反論が弱い」などと手を差し伸べることはありません。
その結果、本来、勝訴できた裁判でも敗訴することがあり得るのです。
その点、労働問題に強い弁護士は、労働裁判に精通しているため、会社の主張に対して的確に反論してくれます。
退職時に有給消化できなかった場合、有給休暇の取得を妨害したとして慰謝料請求ができることがあります。
退職時ではないのですが、裁判所が有給取得を妨害したと認定した事件があります(出水商事(年休など)事件:東京地裁平成27年2月18日)。
この事件では、会社は以下の通知を出していました。
裁判所は有給妨害と認定して、会社に対して慰謝料50万円の支払いを命じました。
このケースを退職時に置き換えた場合、退職時の有休消化を会社が認めなかった場合も有給妨害と認定され、慰謝料を請求できる可能性があるので、弁護士に相談することをおすすめします。
退職前の有給消化について、下記のような質問がよくされます。
退職の意思を伝えるのと同時で構いませんが、できるだけ早めに申請することをおすすめします。
正社員であれば、2週間前に退職の意思を伝えれば、退職できることになっていますが(民法第627条1項)、会社がスムーズに有休消化に応じてくれるようなるべく早めに申請しておきましょう。
原則として、退職日にまだ有給休暇が残っている場合は、残った有給休暇は消化できなくなります。
そのため、会社と交渉して、退職日を後ろにずらしてもらう方法があります。
また、有給休暇を買い取ってくれるよう交渉する方法もあります。
有給休暇の買い取りは、原則として違法ですが、以下のようなケースでは有給休暇の買い取りは適法とされています。
有給休暇は労働基準法で定められており、本来、労働者の心身をリフレッシュさせるためのものなので、有給休暇の買い取りは原則禁止されていますが、上記のケースは例外的に買り取りが可能とされています。
ただ、会社には有給休暇の買い取る義務はありませんので、あくまで任意に買い取るよう交渉することになります。
ここも自分一人で交渉することは難しいため、弁護士に依頼することをおすすめします。
なぜなら、買い取り価格の交渉が非常に難しいからです。
通常賃金で買い取るのか、直近3ヵ月の平均賃金で買い取るのか、などの攻防が繰り広げられることになります。
後任がいなくとも退職は可能です。
先述したとおり、正社員であれば2週間前に退職の意思を伝えれば、2週間後には退職が完了します(民法第627条1項)。
そして退職の意思を伝えた際に有休消化の意思を伝えていれば消化できます。
ただし、会社が「引き継ぎしなかったから損害賠償請求する」と主張してくることもあるため、それを防ぐために最低限の引き継ぎをしておくことをおすすめします。
たとえば、他の方が業務を遂行できるようマニュアルを作って手渡しておくとよいでしょう。
有給休暇を申請していたのに、後日届いた給与明細を見ると、欠勤扱いになっており、給与が差し引かれていることがあります。
考えられるケースは以下の二つです。
一つ目は、そもそも有給休暇が発生していなかったケースです。
出勤日が所定労働日数の8割を満たしておらず、欠勤が多い場合など、有給休暇発生の条件を満たしていなかったことが考えられます。
先述の条件を確認してみてください。
二つ目は、会社が有給申請を受け入れずに違法に欠勤扱いしているケースです。
この場合、差し引かれた給与を請求することができますが、先述のとおり、ご自身で交渉したとしても交渉が前に進まないケースがありますので、弁護士に相談することをおすすめします。
以上のとおり、退職時に有給消化できないような会社は遵法精神に欠けている可能性があるため、ご自身で交渉することは非常に難しいといえます。
弁護士に依頼すれば、スムーズに退職する、きちんと有給を消化する、会社が損害賠償請求などをしてきた場合には的確に反論してもらえる、さらには慰謝料請求もできる可能性があります。
有給を消化して退職したい方は、労働問題に強い弁護士に相談してみましょう。
弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます
労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。
・未払い残業代を請求したい
・パワハラ問題をなんとかしたい
・給料未払い問題を解決したい
など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。
お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。
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