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弁護士を選ぶコツはありますか?
あります。地域・分野で絞り込み検索した上で、気になる事務所のページを確認し、経験・実績や注力分野が自分に合っている弁護士を選びましょう。また、良さそうな弁護士が見つかったら、実際に相談してみるのも重要です。
そうすることで「依頼先として信頼できそうか」「あなたと相性は良さそうか」「やり取りがスムーズか」「説明が分かりやすく納得できるか」など、掲載情報だけでは得られない「依頼の決め手になる判断材料」を手に入れることが出来ます。
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相談できます。相談=依頼ではございません。相談したからといって必ず依頼しなければならいないということはございませんので、ご安心ください。無料相談などを活用し比較検討することで、より納得のいく提案を受けやすくなることに加え、あなたにピッタリな弁護士が見つかる可能性が高まります。
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相談前に準備すべきことは?
「トラブルの内容」をはじめ「トラブルが発生した経緯」や「登場人物」「聞きたいこと」を整理しておきましょう。
面談希望の場合は、候補日時を2~3つ用意しておくとスムーズに予約がとれます。また面談時に、相談内容をまとめたメモを持参するのもよいでしょう。
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解雇の撤回を書面で求めても会社が取り合わない、未払いの賃金を請求したら「話し合う気はない」と返された。そうした行き詰まりを、裁判所で原則3回以内の期日のうちに片づけるための手続きが労働審判です。埼玉県内でこれを受け付けるのは、さいたま市浦和区高砂にあるさいたま地方裁判所の本庁だけです。川越・熊谷・越谷・秩父の支部には申し立てられず、県北や県東の会社が相手でも期日は浦和で開かれます。主張と証拠は申し立てる時点でほぼ出し切る仕組みなので、申立先と費用と準備の順番を先に決めてから動いてください。
浦和の本庁に申し立てる前に押さえる4点
労働審判の対象は、働く人ひとりと勤め先の会社との間で起きた争いです。解雇や雇止めの無効、未払いの賃金や残業代、退職金、ハラスメントを放置されたことへの損害賠償などを扱います。期日は非公開なので、浦和の本庁に知人や同僚が傍聴に来ることはありません。訴訟と並べて違いを見てから、どちらを使うかを決めましょう。
| 比べる点 | 労働審判 | 労働関係の訴訟 |
|---|---|---|
| 審理の回数 | 原則3回以内の期日(労働審判法15条2項) | 回数の上限はない |
| 判断する人 | 裁判官1人と、労働者側・使用者側の実務に通じた労働審判員2人 | 裁判官のみ |
| 終わるまでの平均(令和6年・全国) | 96.7日 | 16.1か月 |
| 公開されるか | 非公開 | 公開の法廷で開く |
| 300万円を求めるときの印紙代 | 10,000円 | 22,500円(書面で訴える場合) |
| 結論に不服があるとき | 告知から2週間以内に異議を出せば審判は効力を失い、さいたま地裁の訴訟に移る | 東京高等裁判所へ控訴する |
出典:e-Gov法令検索「労働審判法」、最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)」、裁判所「手数料額早見表(労働審判用)」
扱えない争いもあります。労働組合と会社の団体交渉や不当労働行為は埼玉県労働委員会の審査で扱い、公務員の懲戒処分を取り消させたいときは行政事件の手続きになります。証人を何人も調べないと事実が固まらない事件は、3回の期日では足りないとして途中で終了し、訴訟へ移ることがあります(労働審判法24条)。そうなる見込みが高い事件は、最初から訴訟を起こす道と比べて弁護士と決めてください。
出典:裁判所「労働審判手続」、e-Gov法令検索「労働審判法」
埼玉で労働審判を申し立てる人は、ここ数年じわじわと増えています。最高裁判所の司法統計年報によると、さいたま地方裁判所が受け付けた労働審判は令和5年の134件から令和6年に136件、令和7年に147件と3年続けて増えました。令和7年の147件は全国50の地方裁判所のうち、東京・大阪・名古屋・横浜に次ぐ5番目の多さです。
| さいたま地方裁判所の労働審判 | 令和6年 | 令和7年 |
|---|---|---|
| 受け付けた件数 | 136件 | 147件 |
| 終わった件数 | 131件 | 135件 |
| 年末に続いていた件数 | 41件 | 53件 |
| 全国で受け付けた件数 | 3,359件 | 3,447件 |
出典:最高裁判所「司法統計年報(民事・行政編)」令和5年〜令和7年 第4表
令和7年の増え方は前年より11件、8.1%で、全国の伸び(2.6%)を上回っています。終わった事件は135件にとどまり、年末の時点で審理が続いていた事件は41件から53件に増えました。県内の事件がすべて浦和の本庁に集まる仕組みなので、期日の候補日は裁判所の予定から先に埋まっていく前提で、仕事を休む日を早めに確保してください。
令和7年に全国で申し立てられた3,447件を中身で分けると、解雇などの無効を前提に従業員としての地位を確かめる地位確認が1,656件(48.0%)、賃金や手当の請求が1,110件(32.2%)、退職金が68件です。埼玉労働局のあっせんでも、令和7年度の申請160件(前年度から45.5%増)の中身はいじめ・嫌がらせが65件で最も多く、普通解雇の24件が続きます。労働局での話し合いが実らなかった解雇やハラスメントの争いが、次の段階として浦和の本庁に持ち込まれています。
出典:最高裁判所「令和7年 司法統計年報(民事・行政編)」第91表・第92表、埼玉労働局「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況(埼玉労働局)」
申立先を決めるのは、あなたの自宅の住所ではなく、会社と職場の所在地です。労働審判法2条が認める申立先は、①会社の本店や営業所の所在地を受け持つ地方裁判所、②あなたが今働いている、または最後に働いていた事業所の所在地を受け持つ地方裁判所、③会社と合意した地方裁判所の3つです。
| 働き方の例 | 申し立てられる裁判所 | 決め手 |
|---|---|---|
| 東京に本社がある会社で、大宮の支店や川口・春日部の工場に勤めていた | さいたま地裁本庁(東京地裁も可) | 最後に働いた事業所が県内にあれば、浦和の本庁を選べる |
| さいたま市や川口市に住み、都内23区の本社へ通っていた | 原則として東京地裁の本庁 | 住所は申立先の根拠にならない。会社が合意すれば、さいたま地裁でも行える |
| 所沢・新座・朝霞に住み、清瀬・東久留米・東村山の事業所に勤めていた | 東京地裁立川支部が候補 | 立川支部は労働審判を扱う全国5支部の1つで、清瀬市・東久留米市・東村山市などを受け持つ |
| 熊谷・秩父・越谷・川越の会社で働いていた | さいたま地裁本庁 | 県内の4支部は労働審判を受け付けない |
出典:e-Gov法令検索「労働審判法」、裁判所「労働審判手続」、裁判所「東京都内の管轄区域表」
埼玉は、県外へ働きに出る人の割合が全国で最も高い県です。令和2年の国勢調査で、他の都道府県で働いたり学んだりしている県民は102万437人、総人口の13.9%で全国1位にのぼり、このうち働いている人は93万257人です。東京都の集計でも、都内へ通勤・通学してくる人の32.2%は埼玉県から来ており、神奈川県に次いで多くなっています。都内の職場へ通っていた人は、雇用契約書や辞令で最後の勤務先の住所を押さえ、どの裁判所に出せるかを弁護士と詰めてください。
出典:埼玉県「令和2年国勢調査 従業地・通学地による人口・就業状態等集計結果~埼玉県の概要~」、東京都「令和2年国勢調査による東京都の昼間人口(従業地・通学地による人口)結果の概要」
| 裁判所 | 所在地 | 労働審判 |
|---|---|---|
| さいたま地方裁判所 本庁 | さいたま市浦和区高砂3-16-45。申立ては民事訟廷事務室(B棟5階)048-863-8587 | 県内でここだけが受け付ける |
| さいたま地方裁判所 越谷支部 | 越谷市東越谷9-2-8 | 受け付けない(訴訟・保全は扱う) |
| さいたま地方裁判所 川越支部 | 川越市宮下町2-1-3 | 受け付けない(訴訟・保全は扱う) |
| さいたま地方裁判所 熊谷支部 | 熊谷市宮町1-68 | 受け付けない(訴訟・保全は扱う) |
| さいたま地方裁判所 秩父支部 | 秩父市上町2-9-12 | 受け付けない(訴訟・保全は扱う) |
出典:さいたま地方裁判所「埼玉県の裁判所の窓口」、さいたま地方裁判所「管内の裁判所の所在地」、裁判所「労働審判手続」
本庁の最寄りは、JR京浜東北線・高崎線・宇都宮線の浦和駅(西口から徒歩約15分)と、JR埼京線の中浦和駅(徒歩約15分)です。浦和駅西口と中浦和駅からは国際興業バスで「県庁前」まで行けます。期日は平日の日中に開かれるので、自宅や職場からの行き方を先に決めてください。
| 出発する地域 | 乗り換えの目安 | 降りる駅 |
|---|---|---|
| 大宮・川口・蕨 | JR京浜東北線で乗り換えなし | 浦和駅 |
| 熊谷・上尾・鴻巣 | JR高崎線で乗り換えなし | 浦和駅 |
| 秩父 | 秩父鉄道で熊谷駅へ出て、JR高崎線に乗り換える | 浦和駅 |
| 川越 | JR川越線で大宮方面へ向かい、埼京線に乗り継ぐ | 中浦和駅 |
| 越谷 | 南越谷駅からJR武蔵野線で南浦和駅へ出て、京浜東北線に乗り換える | 浦和駅 |
| 春日部 | 東武アーバンパークラインで大宮駅へ出て、JR線に乗り換える | 浦和駅 |
出典:さいたま地方裁判所「さいたま地方裁判所・さいたま家庭裁判所・さいたま簡易裁判所の所在地」
本庁のある浦和区高砂には、埼玉県労働相談センター(県庁第二庁舎1階)と埼玉県労働委員会(県庁第三庁舎4階)がある県庁、法テラス埼玉(高砂3-17-15)、埼玉弁護士会の法律相談センター(高砂4-2-1)も集まっています。期日の前後に弁護士との打ち合わせや相談を同じ地区で入れておけば、熊谷や秩父から浦和へ出てくる日数を減らせます。
出典:埼玉県「労働相談センターのご案内」、埼玉県労働委員会「労働者個人と使用者のトラブルの解決(個別的労使紛争のあっせん)」、法テラス「法テラス埼玉」、埼玉弁護士会「アクセス」
申立書に何を書き、写しを何通付けるかは、さいたま地方裁判所が独自に決めているものではなく、労働審判規則で全国共通に定められています。労働審判委員会は第1回期日までに申立書と証拠に目を通して臨むので、書くべき項目を漏らさないでください。
| 書くこと・出すもの | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 申立ての趣旨と理由 | 従業員としての地位の確認、未払い賃金の支払いなど、何を求めるかとその裏付けとなる事実 | 労働審判規則9条1項・2項 |
| 予想される争点と証拠 | 会社が反論してきそうな点と、その点ごとに出す証拠 | 同9条1項1号・2号 |
| 交渉とあっせんの経緯 | 会社とのやり取りの流れ。埼玉県労働委員会や埼玉労働局のあっせんを使ったなら、打ち切りなどの結果も書く | 同9条1項3号 |
| 申立書の写し | 相手方の数に3を足した通数。相手が会社1社なら4通 | 同9条4項 |
| 証拠書類の写し | 申立書に付ける分と、相手方の数と同じ分 | 同9条3項・4項 |
| 証拠説明書・資格証明書 | 証拠ごとに何を示すかの一覧と、会社の代表者がわかる登記の証明書 | 裁判所の記載例の附属書類 |
出典:裁判所「労働審判規則」、裁判所「【記載例】労働審判手続申立書(地位確認)」
さいたま地方裁判所のサイトには労働審判だけの案内ページや独自の書式がなく、書式は裁判所の全国共通ページにある地位確認と退職金の申立書、証拠説明書、異議申立書と、その記載例を使います。記載例は、労働局のあっせんが打ち切られた経過まで「申立てに至る経緯の概要」に書き込む作りです。残業代やハラスメントの損害賠償を求める申立書には合う書式がないので、請求の組み立ては弁護士に任せてください。
民事訴訟は2026年5月21日からオンラインで申し立てられるようになりましたが、労働審判は対象外で、対象に加わるのは令和10年6月までの予定です。いまは紙の申立書と証拠の写しを浦和の民事訟廷事務室に持参するか、郵送で出します。郵便料は保管金として電子納付もできるので、切手をそろえる手間を減らしたい人はそちらを選んでください。
出典:裁判所「労働審判で使う書式」、裁判所「【記載例】労働審判手続申立書(地位確認)」、裁判所「民事裁判手続のデジタル化」、さいたま地方裁判所「埼玉県の裁判所の窓口」
浦和へ申立書を出す前に手元にそろえるもの
申し立てるときに裁判所へ納めるのは、収入印紙で払う申立手数料と、書類の送付に使う郵便料の2種類です。印紙代は求める金額で決まり、同じ額を訴訟で求める場合の半分以下に収まります。
| 求める金額 | 労働審判 | 訴え(書面) | 訴え(電子) |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 5,000円 | 12,500円 | 11,400円 |
| 160万円(金額にできない請求) | 6,500円 | 15,500円 | 14,400円 |
| 300万円 | 10,000円 | 22,500円 | 21,400円 |
| 500万円 | 15,000円 | 32,500円 | 31,400円 |
解雇の無効を前提にした地位確認のように金額で表せない請求は、160万円を求めたものとみなされ、印紙代は6,500円です。未払いの残業代などお金の請求を一緒に出すときは、その合計額で印紙代を計算してください。
さいたま地方裁判所は、労働審判で預ける切手の組み合わせを本庁と支部で共通の一覧に定めています。
| 額面 | 枚数 | 小計 |
|---|---|---|
| 500円 | 4枚 | 2,000円 |
| 100円 | 13枚 | 1,300円 |
| 50円 | 6枚 | 300円 |
| 20円 | 14枚 | 280円 |
| 10円 | 12枚 | 120円 |
| 合計 | 49枚 | 4,000円 |
出典:さいたま地方裁判所「郵便切手及び予納金一覧(令和8年5月21日〜)」
切手をそろえずに現金か電子納付で納める場合も同じ4,000円で、切手と重ねて納める必要はありません。一覧には当事者が1人増えるごとに4,000円を加えると書かれているので、会社とハラスメントをした上司の2者を相手にするなら郵便料は8,000円です。300万円を会社1社に求める場合、申立ての時点で裁判所に納めるのは印紙10,000円と郵便料4,000円の合わせて14,000円になります。異議が出て訴訟に移ったときは、訴えの手数料から労働審判で納めた印紙代を引いた差額だけを追加で納めます。
出典:さいたま地方裁判所「郵便切手及び予納金一覧(令和8年5月21日〜)」、裁判所「手数料額早見表(労働審判用)」
期日はすべて浦和の本庁で開かれ、回ごとに役割がはっきり分かれています。流れをつかんでおけば、どの日に何を準備すればよいかが見えてきます。
会社は定められた期限までに答弁書を出し(労働審判規則14条・16条)、委員会は双方の書面を読んだうえで、当事者から直接事情を聴きます。争点の整理と事実の聴き取りは、多くがこの1回で済みます。
やむを得ない事情がない限り、それより後に新しい主張や証拠は出せません(同27条)。解決の見込みがあれば、委員会はどの回でも調停を試みます。
解決金や退職日などの条件で折り合えば調停が成立し、裁判上の和解と同じ効力を持ちます。折り合えなければ、委員会が労働審判を出します。
異議が出ると審判は効力を失い、申し立てた時点でさいたま地方裁判所に訴えを起こしたものとみなされます(労働審判法21条・22条)。
出典:e-Gov法令検索「労働審判法」、裁判所「労働審判規則」、裁判所「労働審判手続」
令和6年に全国で終わった事件の平均審理期間は96.7日で、3か月以内に終わったのが49.9%、3か月を超え6か月以内が45.9%です。さいたま地裁では審理中の事件が年末に53件まで増えているので、申立てから半年ほどは期日が入る前提で仕事の予定を組んでください。
出典:最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)」、最高裁判所「司法統計年報(民事・行政編)」令和5年〜令和7年 第4表
労働審判法29条が準用する非訟事件手続法47条により、裁判所が相当と認めれば、当事者の意見を聴いたうえで、電話会議やウェブ会議のように音声で同時にやり取りする方法で期日を進められます。この方法で加わった人は出頭したものとして扱われますが、証拠調べには使えません。秩父や県北から毎回浦和へ出向くのが難しい事情があれば、申し立てる段階で弁護士に伝え、期日の方法について裁判所へ意見を出してもらってください。
出典:e-Gov法令検索「労働審判法」、e-Gov法令検索「非訟事件手続法」(47条)
申し立てた事件の多くは、審判が出る前の話し合いで決着しています。令和7年に全国で終わった3,249件のうち、調停の成立が2,172件(66.9%)で、審判まで進んだのは644件(19.8%)です。
| 終わり方(令和7年・全国) | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 調停の成立 | 2,172件 | 66.9% |
| 労働審判 | 644件 | 19.8% |
| 取下げ | 236件 | 7.3% |
| 24条による終了 | 150件 | 4.6% |
| 決定・その他 | 47件 | 1.4% |
出典:最高裁判所「令和7年 司法統計年報(民事・行政編)」第91表・第92表
審判が出た事件のうち異議が申し立てられたのは、令和6年の数値で53.8%です。最高裁判所は、調停の成立と異議のない確定を合わせた74.3%に、手続きの外で話がついた取下げを加えると、全体の約8割が労働審判をきっかけに解決していると分析しています。
出典:最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)」
労働政策研究・研修機構が、解雇などで雇用が終わった事案の労働審判を調べた結果では、解決金の中央値は150万円、平均は285万2,637円で、真ん中の半数は80万円から300万円の間に入っています。請求した総額の中央値は約290万円で、96.6%が雇用を終わらせてお金で解決しています。
埼玉の一般労働者の所定内給与は月32万5,400円で、全国平均の34万600円を1万5,200円下回ります。中央値の150万円は、この月給の約4.6か月分です。調停案の金額を示されたら、全国の中央値と比べるのではなく、自分の月給の何か月分にあたるか、争いを続けた場合にさかのぼって受け取れる賃金はいくらかを弁護士と計算し、受けるかどうかを決めてください。
出典:労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書No.226 労働審判及び裁判上の和解における雇用終了事案の比較分析」、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査(都道府県別にみた賃金)」
会社が呼出しに応じなくても、委員会は申立書と証拠、申立人の説明をもとに労働審判を出せます。異議がなければ裁判上の和解と同じ効力で確定し、それでも支払われなければ、会社の預金や売掛金を差し押さえる手続きに進めます。正当な理由なく出頭しない関係人は、5万円以下の過料の対象です(労働審判法31条)。
あっせんとの差は、この強制力にあります。埼玉労働局のあっせんは、令和7年度に処理した146件のうち83件(56.8%)が会社の不参加で打ち切りになり、双方がそろったのは39.0%にとどまります。ただ、開くことができた事案に限れば合意率は80.7%です。埼玉県労働委員会のあっせんも、令和7年に打ち切った11件のうち6件は相手方が応じなかったものです。会社がすでにあっせんを断っている、連絡を無視しているという段階なら、話し合いの手続きを重ねずに浦和の本庁へ申し立ててください。
出典:e-Gov法令検索「労働審判法」、埼玉労働局「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況(埼玉労働局)」、埼玉県労働委員会「個別的労使紛争のあっせん事件の処理状況」、埼玉県労働委員会「令和7年版 年報」
代理人を付けずに本人だけで申し立てることもできます。ただ、令和6年に全国で終わった労働審判では、申立人の88.4%に代理人が付いています。さいたま地裁には独自の書式の案内がなく、全国共通の記載例を自分の事件に合わせて組み替えるところから始めることになります。本人で申し立てるなら、次の5点を先に頭に入れておきましょう。
本人でさいたま地裁に申し立てる前に押さえること
迷っているなら、申立書の下書きと証拠を持って、埼玉弁護士会の法律相談センター(浦和)の無料相談を予約してください。労働問題は30分の相談を2回まで無料で受けられるので、1回目で争点と足りない証拠を指摘してもらい、2回目で直した下書きを見てもらう使い方ができます。平日の金曜午後なら、埼玉県労働相談センターで弁護士資格を持つ特別労働相談員に面接で聞く方法もあります(予約制・048-830-4522)。
出典:最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第11回)」、埼玉弁護士会「労働問題」、埼玉県「労働相談センターのご案内」
依頼すれば、申立書づくりから期日での受け答え、訴訟に移った後の対応まで、さいたま地裁とのやり取りを一人で背負わずに済みます。埼玉弁護士会には1,007人の弁護士が所属しています。任せられるのは次の5つです。
申立先を確かめて申立書を仕上げる
最後の勤務先が埼玉か東京かを雇用契約書と辞令から確認し、浦和の本庁か東京地裁かを決めたうえで、争点ごとに証拠を割り振った申立書と証拠説明書を作ります。
期日で隣に座り受け答えを支える
委員会は本人に直接質問しますが、弁護士が隣で言葉を補い、誤解を招きやすい言い方を整えます。答弁書に対する反論の書面も弁護士が用意します。
調停案を受けるかの判断材料をそろえる
解決金の中央値、埼玉の月給で何か月分にあたるか、訴訟に進んだ場合の見通しを並べ、比べやすい形にして示します。
期日の方法と日程を調整する
秩父や県北から通う事情があれば、電話会議やウェブ会議の利用について裁判所に意見を出し、本人が浦和まで出向く回数を減らす方向で調整します。
訴訟に移っても担当を続ける
異議が出てさいたま地裁の訴訟に移っても、同じ弁護士がそのまま担当するので、これまでの経緯を一から説明し直す手間がかかりません。
出典:日本弁護士連合会「弁護士会別会員数」(2026年9月1日現在)
弁護士費用は事務所ごとに決められますが、日本弁護士連合会のアンケートと法テラスの基準から相場の見当はつけられます。埼玉では、浦和の埼玉弁護士会法律相談センターで受ける労働問題の相談が2回まで無料なので、依頼先を決める前の見立てに相談料はかかりません。依頼する前に、着手金・報酬金・実費を分けた見積もりを書面でもらってください。
| 費用の種類 | 目安 | 根拠・補足 |
|---|---|---|
| 法律相談料 | 労働問題は30分×2回まで無料(埼玉弁護士会・浦和) | 埼玉弁護士会の法律相談センター(浦和)は労働者側・使用者側とも2回まで無料。3回目以降や支部の一般相談は30分5,500円。日弁連アンケートでは相談料「1万円」56%・「5,000円」36% |
| 着手金 | 20万〜30万円、または請求見込み額の約8%。着手金無料の事務所もある | 日弁連アンケートの労働事件の設例で20万円が45%・30万円が31%。訴訟に移ったときに追加の着手金がかかるかを契約前に聞く |
| 報酬金 | 30万〜50万円、または回収額の16〜25% | 同じ設例で30万円が36%・50万円が31%。職場に戻る形で終わったときの計算方法も契約書に入れてもらう |
| 法テラスを使う場合 | 着手金88,000〜132,000円、実費20,000円 | 法テラスの立替基準にある労働審判事件の額。特に難しい事件は165,000円まで。申立手数料は別に立て替える |
| 裁判所への手数料 | 請求300万円で10,000円、金額にできない請求は6,500円 | 収入印紙で納める。同じ額を訴訟で求めるより低い |
| 裁判所への郵便料 | 切手でも現金・電子納付でも4,000円 | さいたま地方裁判所の一覧(本庁・支部共通)。当事者が1人増えるごとに4,000円を加える |
出典:日本弁護士連合会「市民のための弁護士報酬ガイド(2008年度アンケート結果版)」、裁判所「手数料額早見表(労働審判用)」、さいたま地方裁判所「郵便切手及び予納金一覧(令和8年5月21日〜)」、埼玉弁護士会「労働問題」、日本司法支援センター「業務方法書」(別表3 立替基準)
支部で相談したい人は、越谷支部と川越支部の一般の法律相談を使えます。こちらは30分5,500円の有料ですが、越谷支部は平日19時からと土日の午前、川越支部は水曜の夜と土曜・第1日曜にも枠があり、平日の昼に浦和へ行けない人でも弁護士に会えます。
手取りの月収と預貯金が基準を下回っていれば、法テラスが弁護士費用を立て替え、毎月の分割で返していく形にできます。労働審判を考える時期は、解雇などで給与が途切れている人が多く、基準に収まりやすくなります。
さいたま市・川口市など8市が生活保護の一級地にあたり、そこに住む人は次の額までが対象です。
| 家族人数 | 手取り月収の基準(さいたま市・川口市など) | 現金・預貯金の基準 |
|---|---|---|
| 単身 | 200,200円以下 | 180万円以下 |
| 2人家族 | 276,100円以下 | 250万円以下 |
| 3人家族 | 299,200円以下 | 270万円以下 |
| 4人家族 | 328,900円以下 | 300万円以下 |
さいたま市・川口市・所沢市・蕨市・戸田市・朝霞市・和光市・新座市の8市は生活保護の一級地にあたるため、収入基準はこの枠で見ます。川越市や越谷市、熊谷市など県内のほかの市町村に住む人の基準は単身182,000円・2人251,000円・3人272,000円・4人299,000円です。家賃や住宅ローンを負担している場合は単身41,000円・2人53,000円・3人66,000円・4人以上71,000円まで加算できます。窓口は法テラス埼玉(0570-078312)と法テラス川越(0570-078313)です。
出典:法テラス「民事法律扶助のしおり」(2026年3月現在)、厚生労働省「級地一覧」、法テラス「法テラス埼玉」
期日が3回しかない手続きなので、依頼する弁護士が労働審判の進め方にどれだけ慣れているかで、申立書の出来が変わります。浦和や大宮、川口に事務所は集まっていますが、所沢や熊谷、春日部から探す人も、次の条件で絞り込んでください。
浦和の本庁での労働審判を任せる事務所の条件
雇用契約書、就業規則、3か月分の給与明細、解雇や退職勧奨のやり取りの記録、勤怠の記録を持って行ってください。あっせんを使った人は、打ち切りの通知も加えます。これだけそろえば、申し立てる価値があるか、求める金額をいくらに置くかをその場で詰められます。ベンナビ労働問題では、埼玉の事務所を初回相談無料、休日対応、オンライン面談の条件で絞り込めます。都内へ通っていて平日に時間が取れない人は、休日とオンラインの条件から探してください。
取扱分野、初回相談料、夜間・休日の対応、オンライン面談の可否は事務所ごとに違います。さいたま市・川口市・川越市・越谷市・所沢市・熊谷市のどこからでも、雇用契約書と給与明細を手元に置いたまま埼玉の事務所を比べられます。
申し立てる前に、話し合いで片づくかを試せる相談先もあります。労働審判規則は申立書に交渉やあっせんの経過を書くよう求めているので、先に使った相談先の記録は申立てでも役に立ちます。埼玉の県の相談先は浦和の1か所だけで、夜間と土日の常設の枠はありません。平日の昼に動けない人は、国のほっとラインと弁護士会の支部の枠を組み合わせてください。
| 窓口 | できること・受付 | 電話番号 |
|---|---|---|
| さいたま地方裁判所 本庁 民事訟廷事務室(さいたま市浦和区高砂3-16-45 B棟5階) | 労働審判の申立てを受け付ける。県内で労働審判を扱うのはここだけ。手続きの進み方は尋ねられるが、法律相談は受けない | 048-863-8587 |
| 埼玉弁護士会 秩父法律相談センター(秩父市宮側町1-7) | 秩父市・横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町に住むか勤める人は、30分の相談が2回まで無料。毎週金曜13:00〜16:00(祝日を除く) | 048-521-0844(熊谷支部で受付) |
| 埼玉県労働相談センター(さいたま市浦和区高砂3-15-1 県庁第二庁舎1階) | 労働問題全般の相談を受ける県内唯一の県の窓口。電話は平日9:00〜16:30、面接は平日9:00〜16:00に受け付ける。毎週金曜午後は弁護士資格のある特別労働相談員の面接(予約制)もある。無料・秘密厳守 | 048-830-4522 |
| 埼玉県労働委員会(さいたま市浦和区高砂3-15-1 県庁第三庁舎4階) | 公益・労働者・使用者の委員が間に入る無料のあっせん。申請先は労働相談センターではなくこちら。原則として事務局に出向いて話をしたうえで申請書を出す。受付は平日8:30〜17:15 | 048-830-6452 |
| 埼玉労働局 総合労働相談コーナー(県内9か所) | さいたま新都心の埼玉労働局と、さいたま・川口・熊谷・川越・春日部・所沢・行田・秩父の労働基準監督署に設置。労働局長の助言・指導や、紛争調整委員会のあっせんへつなぐ。労働局は平日9:00〜17:00、監督署内は9:00〜16:30 | 048-600-6262(埼玉労働局) |
| 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省) | 県の窓口が閉まっている平日17:00〜22:00と土日祝9:00〜21:00に電話で受ける国の無料相談。埼玉県も夜間・休日の相談先として案内している | 0120-811-610 |
| 埼玉弁護士会 法律相談センター(浦和) | 労働問題の相談は労働者側・使用者側とも30分×2回まで無料。月・金10:00〜11:50、火・木13:00〜16:10。予約制 | 048-710-5666 |
| 埼玉弁護士会 越谷支部・川越支部 | 一般の法律相談(30分5,500円)で、越谷は平日19:00〜20:30と土日10:00〜11:30、川越は水曜18:00〜20:00と土曜・第1日曜にも枠がある | 越谷 048-962-1188 川越 049-225-4279 |
| 法テラス埼玉・法テラス川越 | 収入・資産が基準以下の人向けの無料相談と費用立替。法テラス埼玉はさいたま市浦和区高砂3-17-15、法テラス川越は川越市脇田本町10-10。平日9:00〜17:00 | 埼玉 0570-078312 川越 0570-078313 |
出典:埼玉県「労働相談センターのご案内」、埼玉県労働委員会「労働者個人と使用者のトラブルの解決(個別的労使紛争のあっせん)」、埼玉労働局「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況(埼玉労働局)」、厚生労働省「労働条件相談『ほっとライン』」、埼玉弁護士会「労働問題」、法テラス「法テラス埼玉」
埼玉県労働相談センターは相談を受ける機関で、あっせんはしていません。センターで状況を整理したあとにあっせんを望むなら、県庁第三庁舎4階の埼玉県労働委員会(048-830-6452)へ別に申し込んでください。労働委員会は令和7年に21件のあっせんを受け、そのうち9件は1か月以内に終わっています。会社が話し合いに出てくる見込みがあるなら、労働審判の前に試す価値があります。
出典:埼玉県「労働相談センターのご案内」、埼玉県労働委員会「労働者個人と使用者のトラブルの解決(個別的労使紛争のあっせん)」、埼玉県労働委員会「個別的労使紛争のあっせん事件の処理状況」、厚生労働省「労働条件相談『ほっとライン』」、さいたま地方裁判所「埼玉県の裁判所の窓口」、埼玉弁護士会「労働問題」
さいたま市浦和区高砂3-16-45のさいたま地方裁判所本庁です。窓口はB棟5階の民事訟廷事務室(048-863-8587)です。最後に働いた事業所が埼玉にあれば、会社の本社が東京など県外にあっても、さいたま地裁に申し立てられます(労働審判法2条)。
浦和まで行きます。さいたま地方裁判所の川越・熊谷・越谷・秩父の4支部は、どこも労働審判を受け付けていません。支部で労働審判を扱っているのは全国でも立川・浜松・松本・福山・小倉の5か所に限られ、埼玉県内には1つもありません。熊谷からはJR高崎線で浦和駅まで乗り換えずに行けます。
会社も最後の勤務先も都内なら、申立先は原則として東京地裁です。申立先を決めるのは会社の所在地と最後に働いた事業所の所在地で、自宅の住所は根拠になりません。会社がさいたま地裁で行うことに合意すれば、さいたま地裁も使えます。県外で働く県民の割合は全国1位なので、雇用契約書で最後の勤務先を確認してから申立先を決めてください。
東京地裁立川支部が候補になります。立川支部は労働審判を扱う全国5支部の1つで、東村山市・清瀬市・東久留米市・西東京市などを受け持っています。会社の本社が埼玉にあるなら、さいたま地裁本庁も選べます。
JR浦和駅の西口から徒歩約15分、JR埼京線の中浦和駅からも徒歩約15分です。浦和駅西口と中浦和駅からは国際興業バスで「県庁前」まで行けます。川越からはJR川越線から埼京線に乗り継いで中浦和駅に出られます。
令和7年に受け付けたのは147件で、東京・大阪・名古屋・横浜に次ぐ全国5番目です。令和5年の134件、令和6年の136件から3年続けて増えています。令和7年の末には53件の審理が続いていました。
切手なら4,000円分(500円4枚・100円13枚・50円6枚・20円14枚・10円12枚)で、現金か電子納付でも4,000円です。相手方が1人増えるごとに4,000円を加えます。印紙代は求める金額で決まり、地位確認だけなら6,500円です。
浦和の埼玉弁護士会法律相談センターなら、労働問題は30分の相談が2回まで無料です。月・金曜は10時から11時50分、火・木曜は13時から16時10分に受け付けているので、048-710-5666で予約してください。越谷・川越・熊谷の各支部の一般相談は30分5,500円の有料です。
国の労働条件相談ほっとライン(0120-811-610)が、平日17時から22時、土日祝日の9時から21時に無料で電話相談を受けます。弁護士と会って話したいなら、埼玉弁護士会の越谷支部が平日19時からと土日の午前、川越支部が水曜の夜と土曜・第1日曜に枠を設けています(30分5,500円)。
会社が話し合いに出てくる見込みがあるなら、無料のあっせんから始められます。埼玉では埼玉県労働委員会(048-830-6452)と埼玉労働局の総合労働相談コーナーがあっせんを受け付けます。埼玉労働局のあっせんは56.8%が会社の不参加で打ち切られているので、会社がすでに話し合いを拒んでいるなら、さいたま地裁へ申し立ててください。
写しの通数は労働審判規則9条4項が「相手方の数+3」と決めているので、会社1社だけを相手にするなら正本のほかに写しを4通用意します。証拠書類の写しは、申立書に付ける分と相手方の数の分が要ります。書式は裁判所の全国共通ページにある地位確認・退職金の申立書と記載例を使ってください。
いまはできません。民事訴訟では2026年5月21日からオンライン申立てが使えますが、労働審判はまだ外れていて、令和10年6月までに加わる予定です。紙の申立書を浦和の民事訟廷事務室に持参するか郵送し、郵便料は電子納付を選べます。
さいたま地方裁判所で続きます。異議が出ると、申し立てた時点でさいたま地裁に訴えを起こしたものとみなされ、申立書が訴状の代わりになります(労働審判法22条)。手数料は、訴えの額から労働審判で納めた額を引いた差額だけを追加で納めます。
雇用終了をめぐる労働審判の解決金は、中央値150万円、平均285万2,637円という調査があります。埼玉の一般労働者の所定内給与は月32万5,400円なので、中央値は約4.6か月分です。自分の月給で何か月分にあたるかを出し、調停案を受けるかどうかの物差しにしてください。
参考資料・更新情報