パワハラ・セクハラ・未払い残業代・過重労働・リストラなどの労働トラブルが起こった際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。
そんな方々を、いざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。
労働トラブルに限らず、交通事故や離婚トラブル、子供のいじめなど様々な法律トラブルでも利用可能です。
弁護士保険で法律トラブルに備える
近年、何かと注目を集める退職代行ですが、役員の辞任においても利用できないかと考えている方もいるのではないでしょうか。
会社法第330条によれば、『株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。』という規定があり、民法の規定にしたがって、役員は、何時でも自己の意思で辞任することができます。
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。
引用元:民法第651条
しかし、実際はそう簡単な話ではなく、不利な時期に辞任したとしてトラブルに発展するケースも少なくありません。
辞意を企業側に自身で直接伝えると、面倒ごとに発展するのが目に見えている状況であれば、第三者に交渉を頼みたいと考えるのも当然でしょう。
ただし、一般的な退職代行業者は、弁護士法に違反するとの指摘もあり、役員の辞任を依頼して良いものか不安になりますよね。
結論をいうと、退職代行を通じて役員を辞任するのであれば、弁護士・法律事務所運営のサービス一択です。
この記事では、役員の辞任では弁護士運営の退職代行に依頼すべき理由や、辞任時に退職代行を利用するメリット、注意点などについて解説します。
また合わせて、退職代行の流れや費用相場も解説するので参考にしてみてください。
現在、退職代行業者には一般企業が運営するサービスと、弁護士または法律事務所が運営するサービスの2種類があります。
どちらも退職の意思表示を代わりに伝えるという点は同じであることから、どちらを選んでも同じではと思うかもしれません。
しかし、役員の辞任に関しては、弁護士による退職代行サービス一択です。
詳しくは後述しますが、一般企業が運営する退職代行では、役員の辞任についての対応はできません。
間違って依頼してしまうと、お金を無駄にするか、更なるトラブルを招く恐れがあります。
自分たちが退職代行で適法にできる範囲を熟知している企業であれば、受任することはないので心配ありませんが、昨今は知識を持たない企業も続々参入しているので注意が必要です。
普通の退職代行業者では役員の辞任に対応できないのには、以下3つの理由があります。
それぞれ確認していきましょう。
冒頭でもお伝えしましたが、退職代行に対しては弁護士法違反の疑いがあります。
というのも、本来代理人として交渉ごと(法律事件)を取り扱えるのは原則弁護士のみです。
なので、退職代行の本人に代わって、退職意思を企業に伝えることは、本来弁護士にしか許されていない行為であるとの指摘があります。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
引用元:弁護士法第72条
これに対し、退職代行業者は、代理するのではなく意思表示を伝えるだけの使者であって、法律事務にはならないと考えています。
この問題については、現状白黒ついていません。ただしはっきり言えることが一つあり、退職代行業者は依頼者に代わって会社と交渉ができないということです。
あくまでも本人の退職意思をそのまま伝えるだけで、退職に関する交渉を一切行わないことで、法的な問題はないとのスタンスを取っています。
こうした対応が可能となっているのは、民法の規定があってのこと。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:民法627条
役員については、民法651条1項により、いつでも辞任をすることができますが、同条2項により「相手方に不利な時期に委任を解除したとき」に該当するとして損害賠償請求のリスクが生じうることから、辞任届を代わって提出するだけでは全く意味がないことになります。
【関連記事】【弁護士に聞く】退職代行は違法?弁護士法違反・非弁行為の判断基準
前述したように、役員と企業は委任契約の関係であり、民法上の委任に関する規定に従うこととされています。
民法651条1項の規定により、役員はいつでも辞任することが可能で、企業や株主の同意を得る必要はありません。
一方的な解除が可能であれば、一般の退職代行業者でも対応が可能ではと思う方もいるでしょう。
しかしながら、委任契約については損害賠償の規定が存在します。
雇用契約と違い、契約者同士が対等な契約において、一方的な解除を認めると、片方が理不尽な損害を被りかねません。
なので、損害賠償の規定により一定の制限を設けているといえます。
仮に弁護士ではない退職代行に依頼すれば、交渉もできず一方的な解除を押し付ける形になるため、損害賠償のリスクは高まるでしょう。
役員の辞任の意思表示を書面で通知しただけでは完了しないのも、退職代行業者に任せられない理由です。
というのも、役員を選任する場合には登記が行われています。であれば、辞任の際にも登記の変更が必要です。
書面での辞任通知は、企業と本人の当事者間では有効であっても、第三者に対しては効力を生じません。
なので、仮に第三者から責任を追及された場合に登記の変更がなされていないと、すでに自分は役員を辞任しているから無関係とは主張できなくなってしまいます。
基本的に退職代行業者が利用者に代わって行うのは、電話等での退職意思や要望に関する連絡のみなので、会社に対し、辞任を原因とする変更登記の手続をとるよう求めることまでは期待できないでしょう。
役員を辞任する際に退職代行を利用するメリットは以下のとおりです。
それぞれ確認していきましょう。
契約期間途中での役員辞任は、トラブルに発展することも少なくありません。
一度揉めてしまえば、当事者だけでは円満に解決できないのが、容易に想像がつくはずです。
そのため、役員の代理人として弁護士に就任してもらうことで、辞任に向けての話し合いを冷静かつ円滑に進めていけるでしょう。
辞任のタイミングによっては、会社が認めるまでに時間がかかることも考えられます。
その間ずっと、会社との交渉を自身で行うとなると、通常の業務や転職活動などに支障を及ぼすかもしれません。
ですが、弁護士に依頼すれば会社との交渉は一任できるので、通常業務の引継ぎなど自身しかできないことにに集中することができます。
辞任にあたりトラブルとなった場合、会社が役員報酬等を支払わないといった対応をとることも考えられます。
そうした法的な対応が必要な問題も弁護士であれば、難なく処理できるので安心です。
退職代行を弁護士に依頼したいとき、どのような弁護士でも良いわけではありません。
弁護士の選び方で参考になるポイントをご紹介します。
重要なのは労働問題や会社法務に力を入れていることです。
弁護士にはいろいろな取り扱い分野があり、それぞれ得意不得意があるもの。
ホームページの実績の記載などを参考にして、日頃から労働問題や会社法務を取り扱っている弁護士に依頼するとよいでしょう。
また退職代行を行っていない弁護士もたくさんいます。
まずは、役員を辞任したい旨を明確に伝え、労働問題や会社法務を日常的に取り扱っていることを確認した上で、法律相談を予約しましょう。
弁護士のホームページを見ると、労働トラブル解決に関する実績や経験年数などが書かれているケースも多くあります。
労働トラブルを解決した件数が多ければ、その分労働問題への対応に慣れているということなので、有用なアドバイスをもらえますし適切に対応してもらえるでしょう。
弁護士を探すときにはネット上のホームページなどを確認する例が多くなっていますが、それだけでは本当に良い弁護士を選べません。
弁護士も人なので、実際に会ってみないとわからないことが多々あるからです。
実際に会ってみたときに、「話しやすい」「説明がわかりやすい」「この人のアドバイスになら従ってもかまわない」と感じられる弁護士があなたにとって相性の良い弁護士です。
無料法律相談などを活用してコミュニケーションがとりやすい弁護士であるかどうかを確認しましょう。
役員の辞任を退職代行に依頼する際には、いくつか気を付けておくべきことがあります。
一つは一般業者のサービスと法律事務所のサービスを間違えないことです。
退職代行が現状、グレーであると指摘されていることから、弁護士が事務を処理しているように見せている業者も存在します。
法律事務所のサービスを見抜くポイントとして、サイトに法律事務所名、弁護士名、所属弁護士会、登録番号の記載があるかどうかが挙げられます。
弁護士には広告規制が課せられているので、そうした記載がなければ弁護士が行っている可能性は低いでしょう。
もう一つは弁護士に依頼するからといって、過度な期待は禁物で、必ずしも自身に都合のいい結果が得られるとは限らないので、相談した弁護士の説明をよくよく注意して聞いてください。
役員向けの退職代行は、労働者の退職代行とは異なり、定款の規定や業務の状況等検討すべき内容が多く存在し、辞任する時期によっては損害賠償のリスクがあり、会社が新たな役員を選任しなければ依頼者の辞任登記ができない(会社法346条1項)こともあります。
当然、法律事務所または弁護士ごとに金額は異なりますが、業務・対応の複雑さを考えると、示談交渉事件として着手金は少なくとも10万円はかかると考えておいた方がよいでしょう。
ただし、上記費用は、あくまで退職代行時に発生する費用です。
調停や訴訟に発展した、未払報酬や立替金を請求したい、会社から損害賠償請求を受けたなど、別の事件に発展する場合には、別途費用が発生するので注意して下さい。
退職代行を利用する際の流れは、どこのサービスもそれほど大きな違いはありません。
【退職代行の流れ】
上記一連の流れにかかる時間は利用したタイミングや案件の内容にもよりますが、通常の退職代行であれば一日も立たずに完了することもあります。
役員辞任の場合には、おそらくもう少し時間がかかりますが、スムーズに話が進めば辞任及び変更登記の完了まで一月もかからないでしょう。
退職代行は役員を辞任する際にも活用することが可能です。特に辞任時に揉めることが目に見えている場合には、うってつけだといえます。
ただし役員の辞任に関しては、どこの退職代行でも対応が可能なわけではありません。役員辞任で利用できる退職代行は、弁護士が直接サービスの提供を行っているもののみです。
「EXIT」や「SARABA」といった企業が主体となって運営する退職代行では、対応してもらえないので注意しましょう。
弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます
労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。
・未払い残業代を請求したい
・パワハラ問題をなんとかしたい
・給料未払い問題を解決したい
など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。
お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。
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可能です。企業に勤めており、雇用契約の中で働いている一般労働者から、自衛隊、警察等の期間で働いている方でも、弁護士の退職代行はご利用できます。
退職代行とは?ブラック企業から抜け出すための救世主サービス
退職代行業者と、弁護士による退職代行業務に大差はありません。いずれも、労働者の代わりに退職の意思を伝えるサービス概要において、両者に違いはないと言えます。ただ、退職代行業者が自社の持つ権限内で適切にサービスを運用しているとは限りません。退職代行業務の中には『弁護士資格』を持つ弁護士にしかできない業務も多分にございます。
その点、弁護士を通すことで上記違反(弁護士法違反・非弁行為)のリスクはありませんし、確実に適法範囲で対応できます。また、未払い残業代や不当解雇、万が一懲戒解雇等の扱いを受けたとしても、弁護士がおりますので、相談によって具体的な解決策の提示を受けられる可能性は高いと思います。
退職代行を利用したことが損害賠償の理由となることはありません。しかし、在職時の労働者の行いや退職の仕方によっては労働者側に損害賠償義務が認められる可能性もゼロではありません。退職にあたって、会社から損害賠償を請求されるのは、退職にあたって労働者側に何らかの義務(注意義務)違反があり、同違反により会社に具体的損害が生じている場合に限られます。
たとえば、労働者が退職に至るまでの間、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、退職にあたっても何ら必要な引継ぎ・連絡をせず代行業者を通じて本人が一切出てこないという場合、労働者の会社に対する義務違反を構成することはあり得ます。
代行業者、弁護士のどちらに依頼した場合でも「退職できなかった」というトラブル報告はほとんどみられません。会社も退職代行会社が連絡してくると、退職に応じてはいるようです。つまり、よほどのことがない限り、退職した従業員に対して損害賠償ということは考えられません。(従業員1名が退職したとしても、直ちに損害が生じることは考えにくいです。)ただし、これも絶対ではありません。
過去、入社1週間で退職し、退職の効果が発生するまでの期間も出勤しなかった従業員が勤務先から損害賠償を受け、70万円の支払命令が出た事案があります。(ケイズインターナショナル事件)そのため、どのような辞め方でも絶対に労働者側に責任が問われないというわけでもない、という点は注意すべきです。
とはいえ、通常は退職したことで直ちに会社に損害が生じることはありませんので、過度の心配は不要かと思います。
状況にもよるかと思いますが、引き継ぎをせずに退職することは多くの場合は可能と思われます。例えば、引継ぎをしないことが会社に対する義務違反とならないような場合や、引継ぎをしないことで会社に具体的な実害が生じないような場合は、引継ぎは必須ではないといえそうです。ただし、『労働者が退職前から、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、会社の出頭要請にも応じていない』『そのまま退職した結果、会社業務に具体的な支障が生じ、取引先を失うなどの実害が生じている』というケースであれば、労働者が退職代行を入れて引継ぎもなく退職したことについて、損害賠償を求められるリスクはまったくないとはいえないでしょう。
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