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弁護士費用はどのくらいかかる? 内訳・計算例・安く抑える方法などを解説

更新日
ゆら総合法律事務所
阿部由羅
このコラムを監修
弁護士費用はどのくらいかかる? 内訳・計算例・安く抑える方法などを解説

弁護士に依頼する際には、弁護士費用を支払う必要があります。

弁護士費用には相談料・着手金・報酬金・日当・実費などが含まれており、高額になることも多いです。

しかし、複数の弁護士を比較したり、法テラスを利用したりすることで、弁護士費用を抑えられる可能性があります。

本記事では弁護士費用について、内訳・計算例・安く抑える方法などを解説します。

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弁護士費用の種類(内訳)

法律トラブルへの対応などを弁護士に依頼する際には、弁護士費用がかかります。

弁護士費用の主な内訳は、以下のとおりです。

  1. 相談料
  2. 着手金
  3. 報酬金
  4. 日当
  5. 実費

上記のほか、顧問料やタイムチャージなどの方式で弁護士費用の請求がなされることもあります。

相談料

「相談料」とは、正式な依頼の前に法律相談を利用した際の費用です。

相談料は30分当たり5,500円程度(税込)が標準的ですが、無料の場合もあります。

また、正式に依頼した場合は相談料がかからないなどのパターンもあります。

法律相談を利用する際には、相談料の仕組みや金額を事前に確認しましょう。

着手金

「着手金」とは、弁護士と委任契約を締結し、正式に依頼した際に支払う初期費用です。

着手金の計算方法は事件の種類によって異なりますが、請求額(または請求を受けている額)を基準に算定するのが一般的です。

請求額(または請求を受けている額)が高ければ高いほど、着手金も高額になります。

着手金は一括払いが原則ですが、弁護士に相談すれば分割払いや後払いが認められることもあります。

報酬金

「報酬金」とは、弁護士による事件処理が終了した段階で、その成果に応じて支払う報酬です。

報酬金の計算方法も事件の種類によって異なりますが、獲得した経済的利益の額(請求を受けていた場合は、支払いを免れた金額)を基準に算定するのが一般的です。

経済的利益の額(支払いを免れた額)が高ければ高いほど、報酬金も高額になります。

報酬金は、相手方から支払いを受けた金銭の中から支払うのが一般的です。

ただし請求を受ける側の場合、経済的利益の額が報酬額に満たない場合、相手方が無資力で金銭を回収できない場合などには、弁護士との取り決めによって精算方法が変わります。

日当

「日当」とは、弁護士の出張に対して発生する報酬です。

たとえば裁判期日への出席や、依頼者の自宅での打ち合わせなど、事件処理に関して弁護士が出張する場合には日当が発生します。

「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)では、日当額の目安が以下のとおり示されています。

半日出張(往復2時間超4時間以内)

3万3,000円以上5万5,000円以下

一日出張(往復4時間超)

5万5,000円以上11万円以下

実費

弁護士が事件処理の過程で費用を支出した場合、その実額が依頼者負担となります。

どのような実費が発生するかは、事件の内容や手続きの種類によって異なりますが、以下に挙げるのは実費の一例です。

  • 郵送費
  • 印刷費
  • 公的書類の取得費
  • 弁護士の交通費
  • 訴訟費用
  • 調停申立ての費用 など

その他|顧問料・タイムチャージなど

弁護士と顧問契約を締結する場合は、毎月顧問料が発生するのが一般的です。

顧問料は定額制の場合もあれば、相談実績に応じて変動する場合もあるなど、さまざまなパターンがあります。

また、企業法務系の法律事務所では、着手金・報酬金制ではなくタイムチャージ制を採用しているところも多いです。

タイムチャージ制の場合は、弁護士の稼働時間に応じて弁護士費用が発生します(例:1時間当たり3万3,000円、10時間稼働すれば33万円など)。

弁護士費用の計算例

弁護士費用のうち、金額の大部分を占めるのは着手金と報酬金です。

「日本弁護士連合会弁護士報酬基準」(現在は廃止)を参考に、以下の事件について弁護士費用の目安額を紹介します。

実際の弁護士費用は依頼先によって異なるので、正式な依頼の前に必ず弁護士へご確認ください。

  1. 未払い残業代請求
  2. 離婚事件
  3. 自己破産
  4. 交通事故
  5. 遺産相続
  6. 刑事事件

未払い残業代請求の着手金・報酬金の目安

<未払い残業代請求の着手金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の8.8%

300万円を超え3000万円以下の場合

経済的利益の額の5.5%+9万9000円

3000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の3.3%+75万円9000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の2.2%+405万9000円

※着手金の最低額は11万円

※経済的利益の額は、請求額(請求された額)

<未払い残業代請求の報酬金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の17.6%

300万円を超え3000万円以下の場合

経済的利益の額の11%+19万8000円

3000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の6.6%+151万8000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の4.4%+811万8000円

※経済的利益の額は、獲得額(支払額の減額分)

離婚事件の着手金・報酬金の目安

<離婚事件の着手金額の目安>

基本報酬

調停・交渉:22万円~55万円

※離婚協議から離婚調停を受任するときの着手金は、上記の額の2分の1

訴訟:33万円~66万円

※離婚調停から離婚訴訟を受任するときの着手金は、上記の額の2分の1

財産分与・慰謝料等の請求

下表のとおり

<財産分与・慰謝料等の請求に関する着手金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の8.8%

300万円を超え3,000万円以下の場合

経済的利益の額の5.5%+9万9,000円

3,000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の3.3%+75万円9,000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の2.2%+405万9,000円

※着手金の最低額は11万円

※経済的利益の額は、請求額(請求された額)の時価相当額

<離婚事件の報酬金額の目安>

基本報酬

調停・交渉:22万円~55万円

訴訟:33万円~66万円

財産分与・慰謝料等の請求

下表のとおり

<財産分与・慰謝料等の請求に関する報酬金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の17.6%

300万円を超え3,000万円以下の場合

経済的利益の額の11%+19万8,000円

3,000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の6.6%+151万円8,000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の4.4%+811万8,000円

※経済的利益の額は、獲得額(支払額の減額分)の時価相当額

自己破産の着手金・報酬金の目安

<自己破産の着手金額の目安>

事業者の自己破産

55万円以上

非事業者の自己破産

22万円以上

<自己破産の報酬金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の17.6%

300万円を超え3,000万円以下の場合

経済的利益の額の11%+19万8,000円

3,000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の6.6%+151万円8,000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の4.4%+811万8,000円

※裁判所の免責決定を受けた場合に限り、報酬金が発生する

※経済的利益の額は、免除債権額などを考慮して算定する

交通事故の損害賠償請求の着手金・報酬金の目安

<交通事故の損害賠償請求の着手金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の8.8%

300万円を超え3000万円以下の場合

経済的利益の額の5.5%+9万9000円

3000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の3.3%+75万円9000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の2.2%+405万9000円

※着手金の最低額は11万円

※経済的利益の額は、請求額

<交通事故の損害賠償請求の報酬金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の17.6%

300万円を超え3000万円以下の場合

経済的利益の額の11%+19万8000円

3000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の6.6%+151万8000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の4.4%+811万8000円

※経済的利益の額は、獲得額

遺産相続の着手金・報酬金の目安

<遺産分割の着手金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の8.8%

300万円を超え3000万円以下の場合

経済的利益の額の5.5%+9万9,000円

3000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の3.3%+75万円9,000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の2.2%+405万9,000円

※着手金の最低額は11万円

※経済的利益の額は、請求額(請求された額)の時価相当額。ただし、争いのない部分については相続分の時価の3分の1

<遺留分侵害額請求の着手金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の8.8%

300万円を超え3000万円以下の場合

経済的利益の額の5.5%+9万9000円

3000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の3.3%+75万円9000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の2.2%+405万9000円

※着手金の最低額は11万円

※経済的利益の額は、請求額(請求された額)の時価相当額

<遺産分割の報酬金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の17.6%

300万円を超え3000万円以下の場合

経済的利益の額の11%+19万8000円

3000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の6.6%+151万8000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の4.4%+811万8000円

※経済的利益の額は、獲得額(支払額の減額分)の時価相当額。ただし、争いのない部分については相続分の時価の3分の1

<遺留分侵害額請求の報酬金額の目安>

経済的利益の額が300万円以下の場合

経済的利益の額の17.6%

300万円を超え3000万円以下の場合

経済的利益の額の11%+19万8000円

3000万円を超え3億円以下の場合

経済的利益の額の6.6%+151万8000円

3億円を超える場合

経済的利益の額の4.4%+811万8000円

※経済的利益の額は、獲得額(支払額の減額分)の時価相当額

刑事事件の着手金・報酬金の目安

<刑事事件に関する着手金額の目安>

起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審)

22万円~55万円

上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審)

再審事件

22万円~55万円以上

<刑事事件に関する報酬金額の目安>

起訴前・起訴後の事案簡明な刑事事件(一審・上訴審)

<起訴前>

不起訴:22万円~55万円

求略式命令:不起訴の報酬金額を超えない額

<起訴後>

刑の執行猶予:22万円~55万円

求刑された刑が軽減された場合:刑の執行猶予の報酬金額を超えない額

上記以外の起訴前・起訴後の刑事事件(一審・上訴審)

再審事件

<起訴前>

不起訴:22万円~55万円以上

求略式命令:22万円~55万円以上

<起訴後>

無罪:55万円以上

刑の執行猶予:22万円~55万円以上

求刑された刑が軽減された場合:軽減の程度による相当額

検察官上訴が棄却された場合:22万円~55万円以上

※「事案簡明な刑事事件」とは、以下の①②を満たす刑事事件をいいます。

  1. 特段の事件の複雑さ・困難さ・煩雑さが予想されず、委任事務処理に特段の労力または時間を要しないと見込まれる事件であること
  2. 起訴前については事実関係に争いがない情状事件、起訴後については公開法廷数が2,3回程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く)であること

弁護士費用を抑える方法

費用を抑えて弁護士に依頼したい方は、以下の方法を検討しましょう。

  1. 無料法律相談を利用する
  2. 複数の弁護士に相談して、見積もりを比較する
  3. 法テラスを利用する

無料法律相談を利用する

無料法律相談を受け付けている弁護士に相談すれば、相談料を節約できます。

特に、複数の弁護士に相談して意見を聴きたいと考えている場合には、相談料が有料だと負担が重くなることがあります。

「ベンナビ」などのポータルサイトを利用して、無料相談を受け付けている弁護士を探しましょう

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複数の弁護士に相談して、見積もりを比較する

弁護士費用の金額は、依頼する弁護士によって異なります。

同じ案件であっても、弁護士によって費用額が大きく差が出ることも珍しくありません。

弁護士費用をできるだけ抑えたい方は、複数の弁護士に相談して見積もりを比較しましょう。

ただしその際には、費用の高さ・安さだけに注目するのではなく、弁護士の能力・得意分野・人柄などを見極めることも大切です。

弁護士費用を比較したい場合は、「ベンナビ」などのポータルサイトを利用するのが便利です。

「ベンナビ」では、地域や相談内容に応じて弁護士を一覧的に検索し、電話やメールで直接問い合わせることができます

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法テラスを利用する

収入や資産が一定水準以下の方は、法テラス(日本司法支援センター)の無料法律相談や、弁護士費用の立替払い制度を利用できます。

立替金は後で返済する必要がありますが、通常の弁護士費用よりも安く済むことが多いです。

法テラスは、各都道府県に地方事務所を設置しています。

法テラスの利用を希望する方は、お近くの地方事務所にご相談ください。

なお、法テラスの契約弁護士を自分で探して依頼し、その弁護士を通じて法テラスの利用を申し込むこともできます。

この場合、依頼する弁護士を自分で選べるメリットがあります。

「ベンナビ」には、法テラスの契約弁護士も多数登録されています。

電話やメールなどで弁護士に連絡をとり、法テラスを利用できるかどうかご確認ください。

まとめ

弁護士費用の金額や計算方法は、事件の内容・種類や依頼先の弁護士によって異なります。

弁護士費用の確認が不十分なまま委任契約を締結すると、弁護士との間でトラブルになるおそれがあります。

そのため依頼前の段階で、必ず弁護士費用について詳しく説明してもらいましょう。

「ベンナビ」を利用すれば、複数の弁護士の無料相談を受けることができ、さらに弁護士費用の見積もりも取得できます。

費用などについて弁護士を比較したい方は、「ベンナビ」をご利用ください。

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この記事の監修者
ゆら総合法律事務所
阿部由羅 (埼玉弁護士会)
西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て、ゆら総合法律事務所代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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