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「就業規則に違反したら退職しないといけないの?」
「就業規則に違反した際の対処法を知りたい!」
会社の就業規則に違反してしまった方で、このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
就業規則は会社のルールであり、違反すると罰則を受けてしまいますが、規則の内容や罰則の内容について理解していない人も少なくありません。
そこでこの記事では、就業規則違反による罰則の種類、退職を勧告された際の対処法などを詳しく解説します。
就業規則の知識を深めたい方、就業規則に違反してしまった方はぜひ最後までご覧ください。
あわせて読みたい⇒仕事を辞めたい方へ|辞めたい理由別の対処法と後悔しない退職/転職の手順
就業規則違反による退職の基礎知識を解説します。
就業規則の特徴や退職に関して確認しておきましょう。
そもそも、退職に関する就業規則は会社によって異なります。
例えば「退職の申し出は1ヵ月前まで」と決められている場合があれば「退職の申し出は3ヵ月前まで」と定められている場合もあります。
規則を守らないとトラブルになる可能性があり、違反すれば給与未払いなど予想外の問題に発展するケースも少なくありません。
スムーズに退職するためにも事前に就業規則を確認し、適切な手続きを踏むことが大切です。
就業規則に違反したからといって、必ずしも退職になるわけではありません。
会社は、違反の内容や程度に応じて注意や減給、出勤停止などの懲戒処分を選択します。
これらの処分は、就業規則にあらかじめ定められており、従業員の問題行為の内容・程度を照らし合わせて決定されます。
違反が重大で、会社に大きな損害を与えた場合などは解雇されるケースもありますが、軽微な違反であれば、注意や指導にとどまるのが一般的です。
就業規則に違反した場合は以下の罰則を受ける可能性があります。
それぞれを詳しく解説します。
就業規則に違反した場合、まずは注意や警告されるのが一般的です。
口頭や書面でおこなわれ、従業員に自らの行為を見直す機会を与えられます。
さらに、違反の程度や頻度によっては、「始末書」の提出を求められることもあります。
注意や警告された際は、その内容を理解して再発しないように努めましょう。
就業規則を繰り返した場合、減給の罰則を受ける可能性があります。
例えば、遅刻や無断欠勤などが続いた場合、給与が一部引かれる場合があります。
ただし、法律では「給与の10分の1以内」までと決められているため、過度な減給は違法です。
(制裁規定の制限)
第九十一条就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。引用:e-GOV法令検索
それでも、減給されると生活に支障をきたす恐れがあるので減給されないように気を付けましょう。
就業規則を何度も繰り返し違反した場合、出勤停止の罰則を受ける可能性があります。
出勤停止とは一定期間、会社への出勤が禁じられる措置で給料も支払われません。仕事を休めるわけではなく、働けない状態が続きます。
金銭的に苦しくなるだけでなく会社からの信用も失うため、復帰後の業務にも影響するでしょう。
重大な就業規則違反が発覚した場合、降格される恐れがあります。
降格は役職や給与が下がるペナルティで、仕事への影響が大きい罰則です。
例えば、リーダーから一般社員になり、権限や責任も減ります。また、給与が減少して生活に支障が出ることもあるでしょう。
違反の理由としては、業務態度の悪化や会社のルール違反などが挙げられます。降格は職場での評価が下がるため、信頼回復も難しくなります。
就業規則違反による退職を回避するためには以下のポイントを押さえることが大切です。
就業規則違反による罰則を受けないためにも理解しておきましょう。
まずは会社の就業規則を正しく理解しましょう。
就業規則は会社により異なり、その会社独自のルールが定められているケースもあります。
退職に関しては一般的に「退職希望日の1ヵ月前に申し出ること」と定められていますが、会社によって期間が異なります。
退職時にトラブルにならないよう、事前に就業規則を確認しておきましょう。
就業規則について上司へ相談するのも大切です。
就業規則を確認しても理解できなかったり誤解したりする可能性があります。
そのため、信頼できる上司へ就業規則について相談し、しっかりと規則を理解しましょう。
この際、退職したい旨を伝えれば退職に関してアドバイスを貰える場合もあります。
もし、就業規則に違反してしまったとしても誠実な態度を見せましょう。
具体的には、上司や人事担当者に速やかに事実を報告して謝罪しましょう。
その際、違反の経緯や理由を正直に伝え、再発防止策を提案することで信頼回復につながります。
就業規則に違反してしまっても、その後の対応を間違えなければ罰則を避けられるかもしれません。
就業規則違反による退職を勧告された場合は以下の対処法を実践してみましょう。
それぞれを詳しく解説します。
まずは、本当に就業規則に違反したのか確認しましょう。
就業規則や労働契約書を見直し、自分の行動が規定に反しているか判断します。
確認した結果、違反内容が不明確なら会社に具体的な根拠を求めましょう。
不安なら労働基準監督署や専門家に相談するのも有効です。退職勧告は簡単に受け入れず、冷静に対応しましょう。
就業規則を確認したうえで、不当な勧告だと判断した場合は信頼できる上司へ相談しましょう。
勧告内容を説明し、本当に就業規則に違反しているのか意見を聞くことで状況を把握できます。
自分で判断した場合、自分が誤った判断をしている可能性があるため、第三者の意見を聞いてから行動しましょう。
労働基準監督署や弁護士などの専門家に相談するのも有効な対処法です。
専門家に相談することで本当に就業規則に違反したのか明確になるだけでなく、その後の行動までアドバイスしてくれます。
上司へ相談しても納得しない場合は、専門家へ今の状況を説明して意見を聞いてみましょう。
退職勧告を受けたら、早めに転職活動を始めましょう。
早めに行動することで、退職後の転職をスムーズに進められます。
勧告内容によっては覆らない可能性があるため、万が一に備えて早めに転職活動を始めることで収入の減少を最小限に抑えられます。
また、退職後の転職活動は収入が途絶えることもあり、焦って転職活動を進めがちです。
その点、在籍中の転職活動なら落ち着いて進められるため、満足のいく転職を実現できるでしょう。
退職勧告を受けて、実際に退職や転職をするなら退職代行がおすすめです。
退職代行とは、退職に関する手続き全般を代行してくれるサービスです。
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なお、以下の記事では「退職代行おすすめランキング」として各社のサービスや料金などを詳しくご紹介しています。興味のある方は参考にしてみましょう。
関連記事:【比較】退職代行おすすめ人気ランキング
就業規則違反による退職に関するよくある質問をご紹介します。
就業規則や退職に関する疑問を参考にしてみましょう。
就業規則で定められた期間より早く退職しても問題ありません。
そもそも退職するかどうかは労働者の権利であり、法律でも以下のように定められています。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。引用元:e-GOV 法令検索
退職の意思を伝えてから2週間経過すれば一方的に退職できるとされています。
そのため、就業規則では「退職は1ヵ月前に申し出ること」と記載されていても問題なく退職できます。
就業規則はあくまでも会社のルールであり、法律に接触する内容であれば法律が優先されます。
関連記事:退職の意志を2週間前に伝えるのはなぜ非常識なの?理由や怒られないコツを解説!
就業規則を無視しても退職は可能です。
前述のとおり、退職の意思を伝えれば2週間で退職できると法律で定められているからです。
ただし、就業規則を無視した場合、状況次第では会社から損害賠償請求される可能性もゼロではありません。
また、職場の人にも迷惑がかかるため、退職まで気まずい状況にもなるでしょう。
このような理由から、就業規則に従ったうえで退職した方がよいです。
就業規則に違反して退職しても、退職金が全くもらえないとは限りません。
ただし、会社の規定や状況によっては、退職金が減額されたり支給されなかったりする可能性があります。
一般的に、退職金の支給条件や金額は、各会社の就業規則や労働契約で定められています。
これらの規定に従わずに退職すると会社側が「就業規則違反」と判断し、退職金の減額や不支給を検討することがあります。
特に、懲戒解雇など重大な規則違反の場合、退職金が支給されないケースも見られます。
就業規則違反による退職について解説しました。
就業規則は会社によって異なり、就業規則に違反すると減給や出勤停止、場合によっては降格を受ける可能性があります。
退職に関する規則も会社によって規則が異なり、規則違反すると退職金が貰えなかったり損害賠償請求されたりすることもあるでしょう。
それでも、退職は労働者の権利であり、法律上は就業規則に従わなくても問題なく退職できます。
今の会社に不満を抱いて退職を検討している方、就業規則に違反して退職を勧告された方は、この記事でご紹介した基礎知識や対処法を参考にしてみましょう。
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可能です。企業に勤めており、雇用契約の中で働いている一般労働者から、自衛隊、警察等の期間で働いている方でも、弁護士の退職代行はご利用できます。
退職代行とは?ブラック企業から抜け出すための救世主サービス
退職代行業者と、弁護士による退職代行業務に大差はありません。いずれも、労働者の代わりに退職の意思を伝えるサービス概要において、両者に違いはないと言えます。ただ、退職代行業者が自社の持つ権限内で適切にサービスを運用しているとは限りません。退職代行業務の中には『弁護士資格』を持つ弁護士にしかできない業務も多分にございます。
その点、弁護士を通すことで上記違反(弁護士法違反・非弁行為)のリスクはありませんし、確実に適法範囲で対応できます。また、未払い残業代や不当解雇、万が一懲戒解雇等の扱いを受けたとしても、弁護士がおりますので、相談によって具体的な解決策の提示を受けられる可能性は高いと思います。
退職代行を利用したことが損害賠償の理由となることはありません。しかし、在職時の労働者の行いや退職の仕方によっては労働者側に損害賠償義務が認められる可能性もゼロではありません。退職にあたって、会社から損害賠償を請求されるのは、退職にあたって労働者側に何らかの義務(注意義務)違反があり、同違反により会社に具体的損害が生じている場合に限られます。
たとえば、労働者が退職に至るまでの間、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、退職にあたっても何ら必要な引継ぎ・連絡をせず代行業者を通じて本人が一切出てこないという場合、労働者の会社に対する義務違反を構成することはあり得ます。
代行業者、弁護士のどちらに依頼した場合でも「退職できなかった」というトラブル報告はほとんどみられません。会社も退職代行会社が連絡してくると、退職に応じてはいるようです。つまり、よほどのことがない限り、退職した従業員に対して損害賠償ということは考えられません。(従業員1名が退職したとしても、直ちに損害が生じることは考えにくいです。)ただし、これも絶対ではありません。
過去、入社1週間で退職し、退職の効果が発生するまでの期間も出勤しなかった従業員が勤務先から損害賠償を受け、70万円の支払命令が出た事案があります。(ケイズインターナショナル事件)そのため、どのような辞め方でも絶対に労働者側に責任が問われないというわけでもない、という点は注意すべきです。
とはいえ、通常は退職したことで直ちに会社に損害が生じることはありませんので、過度の心配は不要かと思います。
状況にもよるかと思いますが、引き継ぎをせずに退職することは多くの場合は可能と思われます。例えば、引継ぎをしないことが会社に対する義務違反とならないような場合や、引継ぎをしないことで会社に具体的な実害が生じないような場合は、引継ぎは必須ではないといえそうです。ただし、『労働者が退職前から、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、会社の出頭要請にも応じていない』『そのまま退職した結果、会社業務に具体的な支障が生じ、取引先を失うなどの実害が生じている』というケースであれば、労働者が退職代行を入れて引継ぎもなく退職したことについて、損害賠償を求められるリスクはまったくないとはいえないでしょう。
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