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派遣社員の方でも職場が合わないような場合には、退職を考えることはあるでしょう。しかし、契約期間が決められているなど、一般社員とは少し違った契約内容で簡単には退職しにくいケースもあります。
期間内に退職する申し訳なさや後ろめたさから、退職代行を考えている派遣社員もいるかもしれません。
先にお伝えすると、契約内容や退職代行業者によっては、派遣社員でも代行業務を行ってくれますので、どうしても派遣先を辞めたいとお考えのようであれば、方法の1つとして退職代行も探してみましょう。
今回は、派遣社員の退職代行の利用について、利用できる条件や利用のメリット・デメリットについてお伝えします。
派遣社員は退職代行が利用できるのか気になっている方も多いでしょう。まずは、派遣社員はどのような場合に退職できるのかをお伝えします。
退職代行は基本的に本人の代わりに退職を伝えていきます。
雇用期間の定めがない一般会社員の場合、民法上、『2週間前に退職を伝えればいつでも辞められる』となっていますが、派遣社員の場合は契約期間の決まりもあり、簡単には退職できないケースがあります。
(期間の定めのある雇用の解除)
第六百二十六条 雇用の期間が五年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、五年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。
2 前項の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使用者であるときは三箇月前、労働者であるときは二週間前に、その予告をしなければならない。
引用元:民法第626条
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
引用元:民法第627条
その場合は退職代行が引き受けてくれないか、対応できないこともあり得ます。
原則として契約期間が終了するまで退職できませんが、やむを得ない事由があれば退職が認められる可能性があります。
やむを得ない事由の判定も実際にはそこまで厳しくなく、全体的に“労働者の退職する権利”の方が重視される傾向にあります。
退職代行を使ってまでも退職したいということは、労働環境に問題がある場合も考えられますので、言いようによっては契約期間内での退職も可能になるのです。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
引用元:民法第628条
また、労働基準法第137条(附則)では、1年を超える有期雇用契約の場合,契約から1年以上経過している場合は、いつでも退職することができると明記されています。
第百三十七条
期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
引用元:労働基準法第137条附則
逆を言えば、1年以下の有期雇用契約の場合や,契約からわずかな期間しか経っていない派遣先を辞めたい場合、退職代行が対応してくれないケースも出てくるのです。
退職代行をお考えの方には、「期間内だけど辞めたい…」と考えている方も多いでしょうけど、すぐに辞めたいと考えている方に限って、退職代行の利用も難しくなってくることが言えます。
一方、派遣先が決まってすぐの方でも派遣会社との契約内容によっては退職できる場合があります。
上の『無期雇用派遣(正社員型派遣)』では、派遣会社と社員契約を結んでいるので、退職を2週間前に伝えれば辞められることになります。
一方、下の『登録型派遣』では、派遣会社に登録して派遣先と期間契約を結んでいるので、上記にようにやむを得ない理由でないと退職ができないことになります。
退職代行によっては、あらかじめこの『無期雇用派遣』の方しか対応してくれない業者も多く、登録型派遣の方では退職代行探しも難しくなってくると言えます。
退職代行の料金については以下でも説明しますが、金額的には正社員や全体と同じに設定してあるところがほとんどです。派遣社員だから安くなるということはほぼないようです。
一部の退職代行サービスでは、アルバイト・パートの場合は料金が安くなるという料金設定にしている様です。
図:退職代行EXITの料金
参考:退職代行EXIT
図:退職代行jobsの料金(※当サイト経由限定)
参考:退職代行jobs
ここまで派遣社員が退職代行を使う際の特徴についてご説明しました。それらを踏まえて、メリット・デメリットに分けてご説明したいと思います。
派遣会社は派遣社員の方に派遣先を辞められてしまうと、派遣先からの印象も悪くなってしまいます。そこで、基本的に引き止めをしてくることが多くなっています。契約期間内であればなおさらです。
これまで数多くの労働者の退職を代理してきた退職代行であれば、会社側が退職を認めてくれるような伝え方も心得ているでしょう。ご自身で退職を伝えるよりも上手くいくことも多いです。
できればすぐにでも派遣会社に辞めたいと言いたいのですが、まだ現場に入って数週間で伝えるにも短期間過ぎるため、派遣会社の担当者へはとても言える雰囲気ではありません。
派遣社員の方は、特にこのような短期間で辞めることへの心苦しさから退職代行を考えている人も多いかと思います。お伝えしたように『無期雇用派遣』の方であれば、新たな派遣先に決まってすぐでも退職できるケースもあります。
また、契約期間内でも『やむを得ない事由』を的確に伝えることで退職の合意まで貰えるケースもあります。単に職場が合わないという内容でも言い方を変えれば、労働環境の問題としてやむを得ないに該当してくることもあります。
一度退職代行に相談してみる分には問題ありません。何か良い案を提案してくれるかもしれません。
派遣社員の期間内の退職は派遣会社や派遣先とトラブルに発展することも起こり得ます。また、早期退職をしたことに対して給与カットなどの対応を取られるケースもあります。
そのような退職にまつわるトラブルが起きた場合でも、弁護士による退職代行であれば対応も可能になってきます。
さらに、弁護士が代理の退職代行だと分かれば、会社側も下手に抵抗してくることも少ないでしょう。結果的に退職が上手くいく可能性が高くなります。
上でお伝えしましたが、派遣会社との契約内容などによっては、退職代行でも対応が難しいケースがあります。
そういった場合、このような対処方が取れます。
正社員の退職代行でも同じですが、退職代行の利用に対して良い印象を持っていない会社も少なくなく、自分で伝えなかったことで余計なトラブルの火種になってしまうケースがあります。
また、派遣社員は派遣会社の印象にも関わってきますので、引き止めに遭う可能性も高くなってきます。
ある程度承知しているでしょうけど、退職代行を利用した後はその派遣会社や派遣先が使いにくくなってきます。退職してもその後別の職場で働くことになりますが、退職後のこともある程度はしっかり考えておきましょう。
退職代行のメリット・デメリットはすでにお伝えしましたが、以下に挙げる方は特に退職代行が合っていると言えます。
簡単にまとめると、まずは自分で退職を伝えてみることが一番で、それでも受け入れられないような厳しい場合は、退職代行という次なる手段を使う考えが良いかと思います。
自分で退職を伝える行為には勇気がいりますが、それでもできる限り自分で退職まで決めた方が良いです。
退職代行は、利用に数万円の費用がかかりますし、自分で直接退職を伝えない分、派遣先と派遣会社からの印象は良くない部分もあります。
自分で退職を決めれば当然お金はかかりませんし、派遣会社の対応次第では穏便な対応を取ってくれることもあります。なるべくは自分で退職を伝えた方がメリットも多いです。
それでもどうしても退職を認めてくれないという方が退職代行を使っていきましょう。
理由があって派遣社員をしている方には、他にもお仕事をされていたり家庭の時間などで非常に過酷な毎日を過ごされている方もいます。
そのような方が退職を伝えて退職手続きをして…となると、それだけでも大きな負担です。さらに「退職を認める・認めない」の問題に発展していくと、さらに負担が加わります。
退職代行に依頼すれば、退職手続きを代わりに行ってくれて負担の軽減にもなります。肉体的にも精神的にもかなり疲弊していて、ご自身にこれ以上の負担をかけたくない方は、退職代行に頼ってみても良いでしょう。
人間関係が悪化している職場では、退職を伝えることそのものが非常にプレッシャーになりますね。退職を伝えたことにより、よけい厳しい仕打ちを受けてしまうおそれもあります…。
普段からパワハラまがいの行為を受けており、とても退職を伝えられるような状況でない方やこれ以上職場に行くことが苦痛な方もぜひ退職代行を頼ってください。
依頼する代行業者によっても多少の違いはありますが、退職代行の利用の流れは以下のようになります。
まずは、退職代行に直接相談して退職までの手順などを聞いてみましょう。派遣社員の方でも状況や契約内容によっては最短2週間で退職できますし、場合によってはそれ以上職場に行く必要性がなくなる場合もあります。
細かい打ち合わせを行い、基本的には業者に費用が振り込まれてから代行業者も活動を開始します。すぐに退職したい方は、あらかじめ費用の準備をしておきましょう。
依頼を引き受けた後は代行業者が派遣会社に連絡を行います。状況にもよりますが、そのまま出勤せずに退職できるケースもあります。
退職代行と聞くと、一般企業が行う代行業務をイメージしますが、実は弁護士の中にも退職代行を行う弁護士がいます。どちらに依頼するかで若干費用の違いもありますが、相場としては主に以下の通りです。
代行業者 |
弁護士 |
3万円程度 |
5万円程度 |
やはり弁護士の方が少し高くはなりますが、弁護士にしかできない業務も出てきて、さらには弁護士という肩書きから、会社が素直に応じてくれる可能性も高くなってきます。
余計なトラブルを未然に防ぎたいのであれば、弁護士を優先的に探していきましょう。
一方で、退職代行にもピンからキリまであり、新興企業も多いため退職代行とのトラブルに遭うようなケースも起こり得ます。退職代行をお考えの方は、業者選びから真剣に行わなくてはなりません。
退職代行との話では、「退職はしっかり伝えました。明日から出勤しなくて良いです。」などと伝えられ料金の支払いも済ませたにも関わらず、後日会社から出勤を催促されるケースです。
経験が浅く詰めが甘い退職代行業者や、きちんと話が付いていないのに「退職できた」と決めつけるような粗悪な業者にはこのようなトラブルも起こり得るでしょう。
本来は退職代行が本人への連絡は控えるように伝えるのにも関わらず、会社側が本人に直接連絡してくるケースもあります。
こちらは、退職代行の良し悪しだけではなく、会社側の対応も関係してきます。普段からトラブルが起きやすいような職場であれば、このように退職代行を無視してあなたに直接連絡される可能性も出てきます。
料金については、お伝えの通り3~5万円程度で設定している業者が多いのです。しかし、実際に依頼してみると後から追加料金が加算されて、10万円を超えるようなケースも出てきます。
退職代行は普段滅多に利用するようなサービスでもないため、このようなトラブルを受けてしまうと泣き寝入りしてしまう方も少なくありません。
トラブルを未然に防ぐためには、「トータルでいくらかかるのか?」「これ以上かかる場合はあるのか?」などをしっかり確認した上で依頼すると良いです。
弁護士にのみできる業務には主に2つがあり、もし弁護士でない一般企業がこれらの行為を行っているのであれば、非弁行為となり違法です。以下の問題や心配を抱えている方は、退職代行を行ってくる弁護士を探すことをおすすめします。
退職代行が会社に連絡を入れても、素直に退職を受け入れてくれないケースも考えられます。企業が運営する退職代行は、基本的に退職を代わって伝えることのみができる内容です。会社側が反論してきた場合には、交渉することができません。
しかし、弁護士であれば仮に会社側強硬姿勢で退職を拒否してきた場合や、「給与は払わない」「有給はなし」などの話を出さされた場合にも交渉が可能です。
特に契約期間内での退職では、派遣会社から拒否される可能性も高くなってきますので、あらかじめ弁護士による対応も想定しておいた方が良いでしょう。
派遣社員だからと言って、残業代や有休が認められないことはありません。労働環境が粗悪で、普段から未払い賃金などの問題を抱えている場合、退職するための『やむを得ない事由』に十分該当します。
弁護士に退職代行を依頼すれば、未払い残業代発覚することもでき、可能であれば一緒に残業代請求まで行ってくれます(費用は別料金。だいたい回収できる残業代の20%程度)。
一般企業の代行業者には当然残業代請求をすることができません。少しでも未払い残業代などの心配がある方は、弁護士に退職代行から依頼した方が良いケースもあるでしょう。
派遣社員の方は、契約期間などの関係で退職代行の利用が難しいケースも出てきます。そのような場合、根気強く対応してくれる業者を探す必要が出てきます。
また、契約期間内での退職は派遣会社や派遣先から反対される可能性も高くなります。トラブルが起こり得ることも想定して、より対応力が高い弁護士による退職代行を検討することをおすすめします。
基本的には一般社員よりも退職しにくい状況ですが、それでも過酷だと思う職場に無理に働き続ける必要はありません。過酷な職場ということは、『やむを得ない事由』で退職できる可能性があります。
一人で悩まずまずは退職代行の相談窓口や弁護士に相談してみてください。
弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます
労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。
・未払い残業代を請求したい
・パワハラ問題をなんとかしたい
・給料未払い問題を解決したい
など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。
お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。
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退職代行業者と、弁護士による退職代行業務に大差はありません。いずれも、労働者の代わりに退職の意思を伝えるサービス概要において、両者に違いはないと言えます。ただ、退職代行業者が自社の持つ権限内で適切にサービスを運用しているとは限りません。退職代行業務の中には『弁護士資格』を持つ弁護士にしかできない業務も多分にございます。
その点、弁護士を通すことで上記違反(弁護士法違反・非弁行為)のリスクはありませんし、確実に適法範囲で対応できます。また、未払い残業代や不当解雇、万が一懲戒解雇等の扱いを受けたとしても、弁護士がおりますので、相談によって具体的な解決策の提示を受けられる可能性は高いと思います。
退職代行を利用したことが損害賠償の理由となることはありません。しかし、在職時の労働者の行いや退職の仕方によっては労働者側に損害賠償義務が認められる可能性もゼロではありません。退職にあたって、会社から損害賠償を請求されるのは、退職にあたって労働者側に何らかの義務(注意義務)違反があり、同違反により会社に具体的損害が生じている場合に限られます。
たとえば、労働者が退職に至るまでの間、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、退職にあたっても何ら必要な引継ぎ・連絡をせず代行業者を通じて本人が一切出てこないという場合、労働者の会社に対する義務違反を構成することはあり得ます。
代行業者、弁護士のどちらに依頼した場合でも「退職できなかった」というトラブル報告はほとんどみられません。会社も退職代行会社が連絡してくると、退職に応じてはいるようです。つまり、よほどのことがない限り、退職した従業員に対して損害賠償ということは考えられません。(従業員1名が退職したとしても、直ちに損害が生じることは考えにくいです。)ただし、これも絶対ではありません。
過去、入社1週間で退職し、退職の効果が発生するまでの期間も出勤しなかった従業員が勤務先から損害賠償を受け、70万円の支払命令が出た事案があります。(ケイズインターナショナル事件)そのため、どのような辞め方でも絶対に労働者側に責任が問われないというわけでもない、という点は注意すべきです。
とはいえ、通常は退職したことで直ちに会社に損害が生じることはありませんので、過度の心配は不要かと思います。
状況にもよるかと思いますが、引き継ぎをせずに退職することは多くの場合は可能と思われます。例えば、引継ぎをしないことが会社に対する義務違反とならないような場合や、引継ぎをしないことで会社に具体的な実害が生じないような場合は、引継ぎは必須ではないといえそうです。ただし、『労働者が退職前から、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、会社の出頭要請にも応じていない』『そのまま退職した結果、会社業務に具体的な支障が生じ、取引先を失うなどの実害が生じている』というケースであれば、労働者が退職代行を入れて引継ぎもなく退職したことについて、損害賠償を求められるリスクはまったくないとはいえないでしょう。
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