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オワハラとは?オワハラの実態と対処法

更新日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
オワハラとは?オワハラの実態と対処法

オワハラとは、「就活終われハラスメント」の略で、企業が就職活動中の学生に対し「内定を出すから他の企業は断ってくれ」と要求する事です。

就活生に選ばれる企業という立場を使い、就職活動生に義務のないことを要求する行為は、ハラスメントの一種と考えられます。
 
なんでもかんでも「◯◯ハラ」とすることもどうかとは思いますが、実際に2015年にはこのオワハラが就職活動生を悩ませたことは事実です。そして、2021年に就職活動を行なう学生も多少なりともオワハラに悩まされるのではないかと考えます。
 
今回は、オワハラの実例などを元に、実態とオワハラの対処法に関して記載していきます。

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この記事に記載の情報は2023年11月10日時点のものです

2015年に『オワハラ』は一気に認知された

冒頭でも説明した通り、オワハラとは、企業が就活生に対し早めに就職活動を終わらせるように要求することです。本来、企業が就活生に就職活動での指示や強要をすることは出来ません。
 
そもそも、昨年オワハラと呼ばれたこの内容は、以前の就活生も経験したことがあるのではないでしょうか。ただ、昨年に関しては「オワハラ」という新しい言葉が使われ、更には流行語大賞にまでノミネートされたため、一気に認知度が上がりました。




そのキーワードがどれくらい検索されたのかをある程度調べられる「Googleトレンド」でも、2015年7月に一気に「オワハラ」が検索されています。

2015年以前は、全く検索されていません。つまり、「オワハラ」は2015年に新たに生まれた言葉です。

今後もオワハラは行なわれる

確かに「オワハラ」という言葉自体は、ただの流行りの言葉でしょう。今後も就活生の間で使われていくのか否かは予想できません。

ただ、オワハラとして行なわれた行為、つまり、企業からの就職活動を早めに終わらせろという要求は来年も再来年も続いていくでしょう。
 

オワハラが認知された理由

ここ数年は、景気も回復傾向にあり、企業はこぞって新しい人材が必要になります。特に若くて将来が見込める優秀な新卒生は、企業にとって喉から手が出るほど欲しい人材でもあります。
 
中には新卒生1人獲得するために100万円の費用を費やす企業もあるとのことです。「優秀な新卒生はなんとしてもウチで雇え」そのような背景が、このオワハラを増やし、問題として浮き上がり、一気に認知されたのではないでしょうか。

また、有効求人倍率を見ることで、雇用動向をうかがい知ることができます。有効求人倍率とは、有効求職者数に対して、どれだけの有効求人数があるのかを表す指標のことです。

1を超えているほど、求職者を探す企業の方が多く、1を下回っているほど仕事を探す人の方が多いことがわかります。

リクルートワークス研究所が出している、大卒者の求人倍率を見ていきましょう。

 

1987年
3月卒

1988年
3月卒

1989年
3月卒

1990年
3月卒

1991年
3月卒

1992年
3月卒

1993年
3月卒

1994年
3月卒

1995年
3月卒

1996年
3月卒

求人総数

608,000人

655,700人

704,100人

779,200人

840,400人

738,100人

617,000人

507,200人

400,400人

390,700人

民間企業就職希望者数

259,500人

264,600人

262,800人

281,000人

293,800人

306,200人

323,200人

326,500人

332,800人

362,200人

求人倍率

2.34

2.48

2.68

2.77

2.86

2.41

1.91

1.55

1.20

1.08

 
 

1997年
3月卒

1998年
3月卒

1999年
3月卒

2000年
3月卒

2001年
3月卒

2002年
3月卒

2003年
3月卒

2004年
3月卒

2005年
3月卒

2006年
3月卒

求人総数

541,500人

675,200人

502,400人

407,800人

461,600人

573,400人

560,100人

583,600人

596,900人

698,800人

民間企業就職希望者数

373,800人

403,000人

403,500人

412,300人

422,000人

430,200人

430,800人

433,700人

435,100人

436,300人

求人倍率

1.45

1.68

1.25

0.99

1.09

1.33

1.30

1.35

1.37

1.60

 
 

2007年
3月卒

2008年
3月卒

2009年
3月卒

2010年
3月卒

2011年
3月卒

2012年
3月卒

2013年
3月卒

2014年
3月卒

2015年
3月卒

2016年
3月卒

求人総数

825,000人

932,600人

948,000人

725,300人

581,900人

559,700人

553,800人

543,500人

682,500人

719,300人

民間企業就職希望者数

436,900人

436,500人

443,100人

447,000人

455,700人

454,900人

434,500人

425,700人

423,200人

416,700人

求人倍率

1.89

2.14

2.14

1.62

1.28

1.23

1.27

1.28

1.61

1.73

 
 

2017年
3月卒

2018年
3月卒

2019年

3月卒

2020年

3月卒

           

求人総数

734,300人

755,100人

813,500

804,700

           

民間企業就職希望者数

421,900人

423,200人

432,200

439,500

           

求人倍率

1.74

1.78

1.88 1.83            

参考:リクルートワークス研究所|大卒求人倍率調査

大手企業の選考開始が8月解禁になった事も大きい

2015年は、経団連に加入している大手企業が8月に選考開始となりました。しかし、経団連に加入していない、中小企業は年明けから選考を開始し、大手企業に人材が流れてしまわないようにオワハラが行なわれたということも考えられます。
 

オワハラの違法性

程度にもよりますが、オワハラは以下の2つの罪に該当する可能性があります。

脅迫罪

脅迫罪は、私生活での安心感や、意思決定の自由を守るための罰則です。例えば、「内定を辞退したら他の企業に言いふらす」「内定を辞退したら損害賠償を請求する」などは脅迫罪に該当する可能性があります。

第二百二十二条  生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

引用元:刑法第三十二章 脅迫の罪 第二百二十二条

強要罪

本来就活生がする必要がないことをさせた場合は、強要罪が成立する可能性があります。例えば、

  • 内定を断ったら土下座させられた
  • 他社の内定を辞退させられた
  • 謝罪文を書かされた

などが当てはまります。

第二百二十三条  生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。

 前二項の罪の未遂は、罰する。

引用元:刑法第三十二章 脅迫の罪 第二百二十三条

オワハラの手口4パターンと対処法

それでは実際に2015年にあったオワハラの実例を解説していきましょう。大きく分けて4つに分かれます。それに対する対処法も記載しましたので、参考として覚えておきましょう。
 

今、この場で他の企業の内定を辞退させる

かなり直接的な方法ですが、「今、他の企業の内定を全部辞退したら内定あげるよ」と利益供与を行なうオワハラです。ひどい場合、役員の目の前で携帯電話から他に内定が決まっている企業に対し内定辞退の電話をかけさせるなど悪質なものもありました。
 

✔対策

就職活動は本人が納得するまで自由に行う権利があります。企業からこのようなオワハラがされたからといって、従う必要はないということを覚えておきましょう。

特にこのような強引な方法を取ってくる企業は、入社後も強引に仕事を押し付けられる可能性も考えられます。「本当にここで働きたい」と決めていない限り、断ったほうが賢明です。
 

研修や課題など、頻繁にやり取りをさせて他の就職活動に支障をきたす

内定が決まると、研修や課題などで頻繁に会社とやり取りを行なわせ、他の企業への就職活動に専念できなくなるようにしてくるオワハラの方法もあります。

また、社長や役員から高級な食事へ連れて行ってもらい情が湧くようにするオワハラもあります。言わば接待のようなものです。
 
具体的に言うと、2015年は大手の面接が始まる8月上旬に強制参加の研修や懇親会などを開き、内定者に他の企業への接触を断つようなスケジュールが組まれました。

また、懇親会などで先輩社員から「ウチで働けば楽しいよ」と、アピールされるのです。
 

✔対策

これらの内容が全てオワハラとは言い切れません。確かに事前にコミュニケーションを図ることは、入社後のモチベーションや円滑な職場作りに必要です。判断が難しく、本人の感じ方による部分が強いでしょう。
 
ただ、他の企業も受けてみたいという気持ちが強ければ、スケジュールを調整するように話を聞いてもらうことが出来ますし、企業が強制的に研修や懇親会に参加させる権限はありません。
 
また、正当な理由(ここで言う他の企業への就職活動)で参加を断ったことで、内定取り消しになってしまえば、違法性も考えられます。

内定を辞退しようとすると「義理がない」「嘘つきだ」と高圧的に当たられる

上記の2つのパターンで「あれ?なんかおかしいぞ」と思い、オワハラを行っていた会社の内定を辞退すると一転して態度が変わり、「ふざけるな」「義理がない」などと高圧的な態度を取られるオワハラもあります。
 
かなり悪質なオワハラと言えるでしょう。中には、「もし、内定辞退したら今後君の大学からは採用しない」などと脅されるケースもあったようです。
 

✔対策

会社を辞める時は退職届を提出すれば従業員の意思によって決められることと同様、内定の辞退も本人の意思で簡単に辞退できます。ただ、いい加減に辞退は出来ませんので、内定を辞退した理由をしっかりと担当者に伝えましょう。
 
企業は「考え直してくれ」という説得程度は出来ますが、「ダメだ」と強要することは出来ません。もしも頑なに内定辞退を拒まれているようでしたら、大学の就職支援センターなどに相談して下さい。
 

面接を先延ばしにされて他社を受けにくくされる

面接の回数が4次や5次までと多かったり、次の面接までの期間が長かったりと他社を受けにくくなるようなスケジュールを組んでくる方法です。

✔対策

他社の面接を受ける日に関しては、「○月○日は私用があります」などとあらかじめ伝えておき、時間を確実にあけておくようにしましょう。

オワハラに対して過剰に反応するのは控えよう

ここまでオワハラについてご説明をしてきました。他の記事を見ると、中には「オワハラを絶対回避しよう」「オワハラには法的にも戦える」といったニュアンスの記事も目にします。

確かに行き過ぎたオワハラは避けたいところですし、就職活動中の学生は法的にも守られています。
 
しかし、就職活動、更にはその後の会社生活において、労働者と使用者(会社)の間にはある程度の信頼関係がなければなりません。“オワハラに近い”行為を全て拒絶していたのであれば、自らの道を狭めてしまいかねません。
 
就職活動は、企業とのお見合いみたいなもので、就職活動生と企業のある程度の合意と信頼関係が必要です。全て完璧を求めようとしても、そのような企業はありません。過剰に「オワハラだ」と反応することはいかがなものかと考えます。
 
大切なことは、会社で、自分が何をしたくて、結果的にそれがどのように会社の役に立つかです。法律が守ってくれるからと言って、就職活動生が大手を振れる訳ではありませんし、立場を利用して企業があからさまなオワハラを行なうことも良くありません。バランスが大事です。
 

ハラスメント問題は基準が曖昧

また、オワハラを始めとするハラスメント問題は、判断基準が曖昧な事も言えます。代表的なパワハラ・セクハラも「教育の一環」「コミュニケーションの一環」として、判断をし難い事も事実です。
 
オワハラも基準が曖昧で、入社しない限り1度きりの関わりで終わりますので、大きな問題までには発展しません。
 

就職活動は1度きり

しかし、新卒での就職活動は1度切りです。オワハラに負けてしまい、今後の人生を簡単に考えないように気を付けましょう。本当に自分が働きたいという会社を突き詰めていく必要があります。

また、2020年の有効求人倍率1.83と求職者にとっては売り手市場です。求職者が求人を選ぶ立場ですから、複数内定をいただけそうなのであれば、オワハラでしか新卒生を繋ぎ止められない企業よりも、学生の側から入社したくなるような強みを持つ企業を選んだ方が良いと思います。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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