雇われ社長は法律上いつでも辞任できます。しかし雇われ社長は辞めると、
- 代役が見つかるまで辞任できない
- 退任登記手続きをしてもらえない、
- 辞めたことによる損害賠償責任負う
などのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
社会的立場と専門知識のある弁護士であれば、そういった問題を解決した上で、円滑にスピード退職できる可能性が高まります。
雇われ社長を辞めたいと考えている方は、一度労働法と企業法務に詳しい弁護士にご相談ください。
雇われ社長の立場がつらくて辞めたいけど、会社が辞めるのを認めてくれず、今後の対応に頭を悩ませてはいませんか?
最終的な手段として弁護士への依頼が頭に頭に浮かぶものの、会社との関係がこじれ、さらにややこしい事態になるのではと不安に思うかもしれません。
しかし、現実はむしろ逆です。ご自身だけで円満に社長を辞することが難しいようであれば、弁護士の力を借りたほうが話は円滑にまとまるでしょう。
社長職を辞する決心がついているのであれば、すぐにでも弁護士に相談したほうがよいですが、人によっては伝手がないかもしれません。
さすがに会社の顧問弁護士に依頼するわけにはいかないので、自分で探す必要がありますが、どんな弁護士に依頼すべきか分からない方も少なくないでしょう。
この記事では、雇われ社長を辞任する際に弁護士に依頼したほうがよい理由や、社長の辞任に詳しい弁護士の探し方を解説します。
また雇われ社長が辞める際に起こり得るトラブルや、円満に辞める方法も解説するので参考にしてみてください。
雇われ社長は法律上いつでも辞任できます。しかし雇われ社長は辞めると、
などのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
社会的立場と専門知識のある弁護士であれば、そういった問題を解決した上で、円滑にスピード退職できる可能性が高まります。
雇われ社長を辞めたいと考えている方は、一度労働法と企業法務に詳しい弁護士にご相談ください。
社長は会社の顔であり、肩書の重さを考えると、簡単には辞められないと考える人は少なくないでしょう。
ですが、法律の定めではむしろ正反対。役員と会社との関係は民法の委任に関する規定に従うとされています(会社法第330条)。そして、委任契約については、民法651条第1項で各当事者がいつでも自由に解除することができると定められています。
(株式会社と役員等との関係)
第三百三十条 株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。
引用元:会社法330条
(委任の解除)
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
引用元:民法651条
また、辞任にあたっては相手方の同意は必要なく、口頭であっても有効です。このように法律上の決まりだけを見れば、雇われ社長の辞任はハードルが高くないといえます。
前述のように法律上は自由に辞任できるといっても、現実では考慮すべきことが多々あります。
雇われ社長が辞める際に起こり得るトラブルについて、確認していきましょう。
原則、役員の辞任は辞意がしかるべき相手に伝わった時点で効力を生じますが、辞任後は会社に退任登記手続をしてもらわなければなりません。
退任登記手続が未了のままだと、場合によっては第三者に対して責任を負うケースも生じ得ます。
辞任をした場合には、退任登記手続までしっかり行ってもらうように注意しましょう。
雇われの身であるとはいっても、社長という会社にとって替えの利かないポジションであることには変わりません。
いくら法律上は辞任が認められているとはいえ、代役が決まっていない状態で社長がいきなり辞任すれば、会社は大きな痛手を被ることとなるでしょう。
会社法上、辞任が有効である場合でも、会社の役員の員数が法令あるいは定款に定める員数に足りないこととなった場合には、新たな役員が就任するまで、引き続き「権利義務取締役」としてその職務を果たさなければならないとされています。
(役員等に欠員を生じた場合の措置)
第三百四十六条 役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
引用元:会社法346条
しかも、この場合、登記事項にも何ら変更は生じず、外観上も役員のままです。
そのため、辞める際に後任探しを要求されるも見つからないがために、雇われ社長を続けざるを得ない事態が生じる可能性があります。
委任契約の解除が原則は自由であるといっても、制約が何もないわけではありません。
民法651条2項に以下のように定められています。
前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
引用元:民法651条2項
やむを得ない場合を除き、相手に不利なタイミングで契約を解除し与えた損害については、賠償責任を負う可能性があるということです。
雇われ社長の辞任において、不利な時期がどのような場合に該当するかはケースバイケースです。
例えば、代替できない業務を後任に引継ぎも行わず、突然辞任するようなケースは損害賠償請求が認められる可能性があるでしょう。
雇われ社長を辞める際のトラブルを避けたいのであれば、辞任の伝え方に気をつける必要があります。
万が一、伝え方を誤ってしまえば、オーナーとの関係が悪化すると同時に、辞任の効力について争いが生じてしまうかもしれません。
この項目では、雇われ社長が辞任を伝える際のポイントを解説します。
辞任の意思表示は口頭でも有効ですが、言った言わないで揉める可能性があるのと、登記の際に辞任届の添付が必要となるので、書面を提出するのが無難です。
ただし、いきなり辞任届を提出するにも、オーナーによっては悪い印象を与えるかもしれません。
最初に辞意を伝える際には口頭のみにしておき、オーナー側の意見を聞く耳があるという姿勢を見せて、その後に正式に書面を提出するという段階を経たほうが、円満に辞任できる可能性は高いと思われます。
雇われ社長とはいっても、名目上は会社のトップ。誰に辞任を伝えればよいのか、迷いますよね。
雇われ社長が辞任を伝える相手は、会社の経営状況によって異なります。
会社に代表取締役がいる場合は、その者に辞任の意思表示を行えば、辞任の効力が発生します。
自身が会社唯一の代表取締役である場合、招集した取締役会で辞任の意思表示が必要です。また取締役会を開催せずとも、取締役全員に辞任の意思が了知した場合は、効力が発生するとされています。
自身が会社唯一の代表取締役であるが取締役会設置会社ではない場合、幹部従業員に辞任意思表示の受領権限を与えた上で、その従業員に辞任の意思表示を行えば、効力が発生します。
自身の会社がどの業態か確認したうえで、辞任の手続きを進める必要があるでしょう。
結局のところ、立場が弱い雇われ社長の辞任が円滑に進むかどうかは、オーナー側の出方次第です。
辞任登記手続を行ってくれない場合は、法的措置(退任登記手続請求訴訟)にて対応するしかありません。
手続を進めるために必要であれば、弁護士に相談しましょう。
雇われ社長の辞任で弁護士に相談・依頼をすると、どのようなメリットがあるのか確認していきましょう。
社長を辞任しているにもかかわらず、いつまでも登記が残存していると、無用なリスクを負うことになりかねません。
そのため、雇われ社長を辞任した場合は、登記変更も併せて行うことが必要です。
もし会社が対応しないようであれば、自身が辞任した旨の変更登記手続を請求する訴訟を提起することができます。
前述したように、欠員が生じ後任がいなければ、新たな役員が就任するまで、引き続き「権利義務取締役」としての地位が残ってしまいます。
となると、会社が後任を決めない限り、ずっと役員としての責任を負い続けなくてはならず、不都合が生じてしまいます。
そこで、会社法では、裁判所が必要があると認めるときは、利害関係人の申立てによって、一時的に役員の職務を行う者を選任することができるとしています。
2 前項に規定する場合において、裁判所は、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。
引用元:会社法346条2項
会社が後任を決めないようであれば、裁判所に申立てを行うことで、欠員を解消し、役員としての権利・義務を負う必要がなくなります。
弁護士に辞任手続きに関する交渉を任せれば、自身は他のことに集中できるのもメリットの一つです。
辞任を会社に伝えたからといって、すぐに役員としての義務・責任がなくならない可能性があるのは前述の通り。
権利義務取締役である間は業務をこなさなければならないでしょうし、現実的な問題として後任への引継ぎ作業に加え、自身の転職活動も行わなくてはならないでしょう。
辞任手続きの交渉と並行するには、いささか負担が大きいといえます。
すんなりと交渉がまとまればよいですが、長引くようであれば仮取締役の選任申立てや退任登記手続請求訴訟も検討しなければならないため、弁護士に依頼するのが無難でしょう。
辞任手続きに関する交渉を弁護士に依頼するとして、どのような弁護士を探せばよいのかわからない方は少なくないでしょう。
弁護士といえど、あらゆる分野の法律に精通しているわけではないので、雇われ社長の辞任に詳しい方を探す必要があります。
雇われ社長の辞任手続きにおいて、主に必要となるのは企業法務と労働法の知識です。したがって、企業法務と労働問題を業務で取扱っている法律事務所を探しましょう。
ただ、企業法務をメインに扱う法律事務所だと企業側の案件しか受けていない可能性もあります。そのため、基本的には労働問題がメインで扱っており、加えて企業法務に詳しい法律事務所を探すとよいでしょう。
当サイトでは、労働問題に注力している弁護士・法律事務所だけを掲載しています。相談・依頼する弁護士が見つかっていないという方は活用してみてください。
雇われ社長の辞任は、辞任届を提出するだけで効力が生じるので簡単なように思われます。
しかし、実際には後任探しや登記変更の問題があるため、辞任届を提出して終わりとはなりません。
オーナー側の協力なくして、円滑に辞任手続きを進めるのは難しいといえます。
もしオーナー側が雇われ社長を辞任することに一貫して否定的であれば、仮取締役の選任申立てや退任登記手続請求訴訟も考慮する必要があるでしょう。
そのため、辞任の交渉がまとまりそうにないと感じたら、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
対応が遅れると、取れる手段が限られてしまう場合もあるので、早めに弁護士と相談し、対策を練っていきましょう。
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