会社に「診断書を出せ」と言われたら?提出が必要な理由や提出までの流れなどを解説
体調が悪い中で、会社から「診断書を出してほしい」と言われて戸惑っていませんか。
急な病気やけがで仕事を休んでいるときに、わざわざ病院へ行って書類をもらうのは負担が大きく、「絶対に出さないといけないの?」と疑問に感じている方は多いのではないでしょうか。
しかし、会社が診断書を求めるのには、明確な理由があります。
提出を怠ると、さまざまなリスクが生じる可能性があるので注意が必要です。
本記事では、会社が診断書を必要とする理由や、提出を拒否した場合のリスク、提出するまでの正しい手順、提出できない場合の対処法を解説します。
会社からの要望に適切に対応するための参考にしてください。
会社に「診断書を出せ」と言われる主な理由3選
会社が診断書の提出を求める主な理由は、以下の3つです。
- 会社側に安全配慮義務があるため
- 従業員の健康状態を確認するため
- 労災の手続きなどで必要になるため
ここでは、具体的な理由をそれぞれ解説します。
1.会社側に安全配慮義務があるため
会社には、従業員が安全で健康に働けるように配慮する義務があります。
これを「安全配慮義務」といいます。
そして、会社側からすると、体調が悪い従業員に無理をさせて症状が悪化した場合、労災として認定されるおそれがあります。
そうならないために、会社は診断書の内容を確認して、従業員の心身の状態を正しく把握する必要があるのです。
具体的には、以下のような判断をするために診断書を使用します。
- 現在の業務を続けても大丈夫か
- 業務負担を軽減すべきか
- 休みを取らせるべきか
つまり、会社は診断書を通じて従業員に対して安全配慮義務を果たしているのです。
2.従業員の健康状態を確認するため
会社は、従業員の健康状態を正確に把握する必要があります。
たとえば「体調が悪いので休みます」と従業員から口頭連絡があったとしても、本当に病気なのか、ただ休みたいだけなのか判断できません。
その点、診断書があれば、病気が事実で、無断欠勤ではないことが証明できます。
また、インフルエンザのように他人に感染する病気の場合、ほかの従業員を守るために出勤を制限しなければなりません。
このような判断を正しく下すために、会社は診断書の提出を求めるのです。
3.労災の手続きなどで必要になるため
仕事中のけが(労災)や、病気で休む期間の給付金(傷病手当金)を申請するには、公的な手続きが必要です。
その際、医師証明欄付きの申請書が必要となるケースが多くあります。
また、会社の就業規則に基づいて、休職や復職の手続きをする際にも診断書が必要になる場合があります。
本人の「大丈夫です」という言葉や、担当者の勘だけで決めるのではなく、医師の判断という医学的な根拠が必要になるからです。
会社から診断書を出すように言われた場合の基本的な流れ
会社から診断書を出すように言われた際に、自己判断で無視したり適切な対応を怠ったりすると、あとでトラブルになる可能性があります。
特別な事情がない限りは、提出に向けて準備を進めましょう。
基本的な流れは、以下の3ステップに分類できます。
- 就業規則の内容を確認する
- 担当医に診断書の作成を依頼する
- 会社や上司などに診断書を提出する
ここでは、それぞれの段階でやるべきことや注意点を具体的に解説します。
1.就業規則の内容を確認する
就業規則には、診断書の提出が必要となるケースや提出期限が書かれている可能性もあります。
そのため、まずは就業規則の内容をチェックしましょう。
確認するポイントは、以下のとおりです。
- 提出の期限
- 診断書の提出が必要になる欠勤日数
- 診断書の費用負担について(会社負担か自己負担か)
もし就業規則が手元にない場合は、上司や担当部署に確認してください。
2.担当医に診断書の作成を依頼する
次に、病院へ行って医師に診断書の作成をお願いします。
受診するときは、医師に「会社へ提出するために診断書が必要であること」をはっきりと伝えましょう。
また、診察の際は医師に以下の点を伝えてください。
- 具体的な症状
- 業務内容や業務負担
- (休職が必要な場合)休養が必要と思われる期間
診断書は発行までに時間がかかる場合があるため、早めの受診がおすすめです。
診断書を受け取ったら、内容に間違いがないか丁寧に確認しましょう。
3.会社や上司などに診断書を提出する
診断書を受け取ったら、速やかに会社へ提出します。
直接手渡しするのが一般的ですが、体調が悪くて出社できない場合は、郵送やメールでの提出が認められることもあります。
提出方法は事前に上司に確認しておくと安心です。
必要に応じて業務改善がされたかなどを確認する
診断書を出したあとは、会社が業務改善をしてくれているか確認しましょう。
たとえば、診断書に「残業を控える」「重労働の制限」といった記載がある場合、会社はその内容に配慮する必要が生じやすいです。
もし配慮がなく、無理な働き方を求められるようなら、上司や人事担当者に改めて相談してください。
会社に診断書を提出できない場合に取るべき2つの対処法
診断書を出したくても、すぐには用意できない場合があるでしょう。
しかし、診断書を出せないからといって、何も連絡せずに放置するのは危険です。
無断欠勤とみなされたり、会社からの信用を失ったりする原因になります。
ここでは、どうしても診断書を提出できないときに取るべき2つの対処法を紹介します。
1.会社に提出できない理由を正確に伝える
まず大切なのは、会社へ正直に事情を話すことです。
伝えるべき事情には、以下のようなものがあります。
- 病院が混んでいて予約が取れない
- 検査の結果が出るまでに時間がかかる
理由を伝えたうえで、提出時期の目安を伝えます。
黙って提出を遅らせると、会社から「仮病ではないか」「反抗しているのではないか」と疑われてしまいます。
提出ができない理由がわかれば、会社も柔軟に対応してくれるかもしれません。
もし費用が心配なら、そのことも正直に相談してください。
会社が診断書の提出を命じている場合、費用を負担してくれるかもしれません。
2.療養証明書などで代用できないか相談する
初診の予約が取りづらい、検査の結果を待っているなどの理由で、診断書の提出が難しいケースは少なくありません。
また、「病気と断定するにはまだ早い」「休むほどではない」と医師が判断した場合、診断書の作成を断られる場合もあります。
そのようなときは、ほかの書類で代用できないか会社に確認してください。
| 書類の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 診療情報提供書 | 医師がほかの医師へ患者を紹介する書類 |
| 療養証明書 | 治療を受けていることを証明する書類 |
そのうえで、医師に「会社へ提出するための証明がほしい」と相談し、発行可能な書類をもらいます。
会社によっては、通院した事実がわかる領収書だけでも認めてくれることがあります。
諦めずに代わりの方法を探しましょう。
会社への診断書の提出は拒否できる?拒否した場合のリスク
就業規則に「診断書の提出が必要」と書かれている場合、基本的に拒否せず提出することが適切です。
正当な理由なく断ると、以下のようなリスクが発生するので、注意が必要です。
- 会社との信頼関係が悪化する
- 無断欠勤として扱われてしまう
- 場合によっては懲戒処分の対象になる
ここでは、それぞれのリスクを詳しく解説します。
1.会社との信頼関係が悪化する
診断書の提出を拒否すると、会社との信頼関係が悪化するおそれがあります。
会社は従業員の体調を心配して診断書の提出を要求しています。
にもかかわらず提出を拒否すると、「何か隠しているのではないか」「本当は病気ではないのではないか」と疑われてしまうでしょう。
信頼関係が悪くなると、仕事がやりづらくなったり、将来の昇進に響いたりするおそれがあります。
「診断書を出したくない」と思う事情があるなら、ただ拒否するのではなく、正直に理由を話すのが賢明です。
2.無断欠勤として扱われるおそれがある
正当な理由なく診断書を出さないまま欠勤すると、無断欠勤として扱われるおそれがあります。
病気で休む場合、診断書があればやむを得ない欠勤として認められます。
しかし、証明がないと「勝手に仕事をサボった」とみなされる可能性があるでしょう。
そして、無断欠勤と扱われると、以下のようなデメリットが発生します。
- 休んだ分の給料が支払われない
- 勤務態度が悪いと評価され、ボーナスの査定に響く
自分では体調が悪いために休んでいると思っていても、会社からみれば「連絡も証明もなく休んでいる人」です。
そのため、無断欠勤が続くと、会社にいられなくなるリスクが生じます。
あとで後悔しないように、休む理由を証明する診断書を早めに提出しましょう。
3.場合によっては懲戒処分の対象になる
診断書の提出命令に従わないと、業務命令違反とみなされて懲戒処分の対象になる可能性があります。
何度も言われているのに無視し続けると、会社はペナルティを与えざるを得ません。
懲戒処分の重さは状況によりますが、長期間にわたって改善されない場合は重い処分になる可能性もあります。
| 懲戒処分 | 具体例 |
|---|---|
| 戒告 | 口頭や文書で注意を受ける |
| 減給 | 給料の一部を減らされる |
| 出勤停止 | 一定期間出勤の停止を命じられる |
| 懲戒解雇 | 解雇される |
もし懲戒処分に納得できなければ、無視してはいけません。
弁護士などに相談して、解決策を探すようにしてください。
会社から診断書を出せと言われた場合のよくある質問
ここでは、会社から診断書を出せと言われた場合のよくある質問とその回答をQ&A形式でまとめました。
似たような疑問をお持ちの方は、ぜひここで疑問を解消してみてください。
Q.診断書の費用は誰が支払うのか?
基本的には、診断書をもらう本人が全額を支払います。
費用負担者に関する決まりはありませんが、休職を申請するために必要な書類なので、自己負担になるケースがほとんどです。
発行費用は、2,000円〜5,000円程度です。
診断書の発行には健康保険が使えません。
ただし、会社側が「仕事のためにどうしても必要だ」と強く命令した場合や、労災の場合には、会社が払ってくれることもあります。
お金がなくて困っているときは、病院へ行く前に「費用を負担してもらえませんか」と会社に相談してみましょう。
Q.どのようなときに診断書の提出が必要になるか?
診断書の提出を求められる場面はさまざまですが、主に、以下の4つの場面で提出が必要になることが多いです。
- 病気で数日以上休むとき
- 長期間の休職が必要なとき
- 会社に業務上の配慮をお願いしたいとき
- 復職するとき
会社は、診断書を見て「本当に休む必要があるか」「今の仕事を続けても大丈夫か」などを判断します。
Q.診断書にはどのような内容が書かれているのか?
診断書には、主に以下の内容が記載されています。
- 病気の名前(診断名)
- どのくらいの期間、休養が必要か(例:〇月〇日まで自宅療養)
- 仕事をするうえでの注意点(例:残業は禁止、座ってできる作業のみ可)
もし、具体的な指示が書かれていないと、会社はどのように配慮すればよいかわかりません。
そのため、医師には「仕事の負担を減らしてほしい」といった希望を伝え、具体的な内容を書いてもらうことが大切です。
会社は診断書の内容を見て、勤務時間を短くしたり、仕事の量を調整したりなどの対応を決定します。
さいごに|明らかに会社からの不当な要求でなければ診断書を提出しよう
本記事では、会社に診断書を出せと言われたときの対応についてわかりやすく解説しました。
安全配慮義務がある、従業員の健康状態を確認する、労災の手続きに必要といった理由で、会社は診断書の提出を必要としています。
理由なく断ると、周囲からの信頼を失ったり、無断欠勤として扱われたりするリスクがあります。
どうしても提出できないときは、正直に理由を伝えてください。
別の書類で代用できないか相談するのも一つの手です。
もし診断書の提出に関して悩んでいるなら、労働問題が得意な弁護士への相談がおすすめです。
弁護士に相談すれば、状況に応じた適切な方法をアドバイスしてくれます。
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