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会社で働く労働者のあなたは「労働基準法」という法律について正しく理解しているでしょうか。
労働基準法とは労働者を守るために作られた法律で、雇用主である企業側にさまざまな義務を課しています。
たとえば、残業代・解雇・有給休暇・休憩・賃金の支払い義務・労災などについて細かく定められています。
もし企業が労働基準法に違反した行為をした場合、行政指導や刑事罰などのペナルティが科される可能性 があります。
現在何らかの不当な扱いを受けている場合は、できるだけ被害を最小限に留めるためにも、適切な対処法や労働基準法違反となる行為などについて押さえておきましょう。
本記事では、労働基準法違反となるケースや罰則、実際の違反事例や労働者側が取るべき対応などを解説 します。
勤務先が労働基準法に違反している疑いがある場合
勤務先で常習的に不当な扱いを受けている場合、いわゆるブラック企業の可能性が非常に高いです。
企業には、労働基準法を遵守する義務があります。
もし労働基準法違反の疑いがある場合は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめ です。
弁護士に相談・依頼すれば、以下のようなサポートが望めます。
勤務先が労働基準法に違反しているかどうかのアドバイス
会社と争う際の手続きの代理
退職代行の手続き など
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労働基準法とは
労働基準法とは、労働条件について最低限の基準を定めた法律のことです。
たとえば「賃金の支払い方法」や「1週間・1日の労働時間」 などが定められており、厚生労働省ホームページでは以下のように記載されています。
・賃金の支払の原則…直接払、通貨払、全額払、毎月払、一定期日払
・労働時間の原則…1週40時間、1日8時間
・時間外・休日労働…労使協定の締結
・割増賃金…時間外・深夜2割5分以上、休日3割5分以上
・解雇予告…労働者を解雇しようとするときは30日以上前の予告又は30日分以上の平均賃金の支払
・有期労働契約…原則3年、専門的労働者は5年
引用元:労働基準に関する法制度|厚生労働省
企業には労働基準法を遵守する義務があり、違反した場合は罰則の対象となります。
具体的な罰則内容や違反行為は「労働基準法に違反する15のケースと罰則」で後述します。
労働基準法に違反する15のケースと罰則
労働基準法に違反する主な行為としては、以下のようなものがあります。
違反行為
罰則
①社会的な身分や性別で差別する
6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑(労働基準法 第119条1号)
②労働者の意思に反して強制労働させる
1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金刑(労働基準法 第117条)
③労働者と雇用主の間に入ってピンハネする
1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑(労働基準法 第118条1項)
④労働契約にて違約金や損害賠償を定める
6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑(労働基準法 第119条1号)
⑤解雇予告をしない・解雇予告手当を支払わない
6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑(労働基準法 第119条1号)
⑥36協定を結ばずに時間外労働させる
6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑(労働基準法 第119条1号)
⑦休憩を適切な間隔で与えない
6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑(労働基準法 第119条1号)
⑧休日を適切な間隔で与えない
6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑(労働基準法 第119条1号)
⑨残業代を適切に支払わない
6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑(労働基準法 第119条1号)
⑩有給休暇を与えない
6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑(労働基準法 第119条1号)
⑪18歳未満の者や妊娠中の女性を坑内で働かせる
1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑(労働基準法 第118条1項)
⑫産休や育休を取得させない
6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑(労働基準法 第119条1号)
⑬療養補償・休業補償・障害補償の対応を怠る
6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑(労働基準法 第119条1号)
⑭労働者が死亡した際の遺族への補償対応を怠る
6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑(労働基準法 第119条1号)
⑮就業規則の作成や届出をしない・労働者に周知しない
30万円以下の罰金刑(労働基準法 第120条1号)
ここでは、労働基準法違反となる代表的なケースや罰則についてそれぞれ解説します。1.社会的な身分や性別で差別する
雇用主である企業は、社会的な身分や性別などを理由に労働者の労働条件について差別的に取り扱うことが禁じられています。
もし違反した場合には、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第3条、4条
罰則:労働基準法第119条1号
(均等待遇)
第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
引用元:労働基準法第3条
(男女同一賃金の原則)
第四条 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
引用元:労働基準法第4条
2.労働者の意思に反して強制労働させる
雇用主は、労働者の意思に反して強制労働をさせてはなりません。
もし違反した場合、1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第5条
罰則:労働基準法第117条
(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
引用元:労働基準法第5条
3.労働者と雇用主の間に入ってピンハネする
派遣労働などの法律で認められる場合を除き、労働者と雇用主の間に入って中間搾取する行為は禁じられています。
もし違反した場合には、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第6条
罰則:労働基準法第118条1項
(中間搾取の排除)
第六条 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。
引用元:労働基準法第6条
4.労働契約にて違約金や損害賠償を定める
雇用主は、労働者に違約金や賠償金を支払わせることはできません。
たとえ労働者が雇用契約に違反して契約期間中に退職したり迷惑行為をしたりしても、違約金として給料から一方的に差し引くことなどは許されませんし、労働者が借金などをしていても賃金との相殺は認められません。
もし違反した場合には、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第16条
罰則:労働基準法第119条1号
(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
引用元:労働基準法第16条
5.解雇予告をしない・解雇予告手当を支払わない
雇用主は、労働者を解雇するときに30日前に解雇予告をしなければなりません。
解雇予告が不可能な場合には、不足日数分の解雇予告手当を払う必要があります。
もし解雇予告や解雇予告手当の支払いもなかった場合、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第20条
罰則:労働基準法第119条1号
(解雇の予告)
第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
② 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
③ 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。
引用元:労働基準法第20条
6.36協定を結ばずに時間外労働させる
労働基準法では、労働者を働かせてもよい基準となる労働時間を定めています。
一般の労働者の場合、1日8時間・1週間40時間が限度となっており、限度を超えて働かせるのは原則違法 です。
例外として「36協定」という特別な協定を締結していれば、時間外労働をさせることができます。
もし36協定なしに時間外労働をさせた場合、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑が科されます。
規定:労働基準法第32条、第36条
罰則:労働基準法第119条1号
(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
引用元:労働基準法第32条
(時間外及び休日の労働)
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
引用元:労働基準法第36条
7.休憩を適切な間隔で与えない
雇用主は労働者に対し、労働時間が6時間を超えるときには45分、8時間を超えるときには1時間の休憩を与えなければなりません。
もし適切に休憩を与えなかった場合には、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第34条
罰則:労働基準法第119条1号
(休憩)
第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
引用元:労働基準法第34条
8.休日を適切な間隔で与えない
雇用主は労働者に対し、週に1回以上の法定休日を与える必要があります。
もし違反した場合、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第35条
罰則:労働基準法第119条1号
(休日)
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
② 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
引用元:労働基準法第35条
9.残業代を適切に支払わない
労働者に対して時間外労働・休日労働・深夜労働(午後10時~翌午前5時まで)をさせた場合には、所定の割増賃金を支払わなければなりません。
賃金の割増率は、一般の時間外労働では1.25倍、休日労働では1.35倍、深夜労働では0.25倍となります。
もし適切な額を支払わなかった場合、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第37条
罰則:労働基準法第119条1号
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
② 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
③ 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。
④ 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
⑤ 第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
引用元:労働基準法第37条
10.有給休暇を与えない
雇用主は労働者に対し、労働期間や労働時間数に応じて有給休暇を付与する必要があります。
もし適切に有給休暇を付与しなかった場合、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第39条
罰則:労働基準法第119条1号
(年次有給休暇)
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
引用元:労働基準法第39条
11.18歳未満の者や妊娠中の女性を坑内で働かせる
労働基準法では、18歳未満の未成年者や妊娠中の女性を坑内で労働させることは禁止されています。
もし違反した場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第63条、64条の2
罰則:労働基準法第118条1項
(坑内労働の禁止)
第六十三条 使用者は、満十八才に満たない者を坑内で労働させてはならない。
引用元:労働基準法第63条
(坑内業務の就業制限)第六十四条の二 使用者は、次の各号に掲げる女性を当該各号に定める業務に就かせてはならない。
一 妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後一年を経過しない女性 坑内で行われるすべての業務
二 前号に掲げる女性以外の満十八歳以上の女性 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの
引用元:労働基準法第64条の2
12.産休や育休を取得させない
労働者から産前産後休暇や育児休暇の申出があった際、雇用主は必ず認めなければなりません。
もし違反した場合、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第65条、66条、67条
罰則:労働基準法第119条1号
(産前産後)
第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
② 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
③ 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
第六十六条 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十二条の二第一項、第三十二条の四第一項及び第三十二条の五第一項の規定にかかわらず、一週間について第三十二条第一項の労働時間、一日について同条第二項の労働時間を超えて労働させてはならない。
② 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十三条第一項及び第三項並びに第三十六条第一項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。
③ 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。
(育児時間)
第六十七条 生後満一年に達しない生児を育てる女性は、第三十四条の休憩時間のほか、一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
② 使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。
引用元:労働基準法第65条~第67条
13.療養補償・休業補償・障害補償の対応を怠る
労働者が労災に遭って療養する場合、雇用主側は治療費や休業補償、後遺障害が残った場合には障害に対する補償などを負担するべきとされています。
もし十分な対応を怠った場合、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第75条1項
罰則:労働基準法第119条1号
(療養補償)
第七十五条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
引用元:労働基準法第75条1項
14.労働者が死亡した際の遺族への補償対応を怠る
労災によって労働者が死亡してしまった場合、雇用主は遺族に葬祭費の支払いや生活補償などをしなければなりません。
もし十分な対応を怠った場合、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第79条
罰則:労働基準法第119条1号
(遺族補償)
第七十九条 労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、遺族に対して、平均賃金の千日分の遺族補償を行わなければならない。
引用元:労働基準法第79条
15.就業規則の作成や届出をしない・労働者に周知しない
雇用主は、労働者を雇い入れる際に雇用条件を明示しなければなりません。
また、常に10人以上の労働者のいる事業所では、就業規則を作成・届出しつつ、労働者に周知する義務があります。
もし上記のような対応を怠った場合、30万円以下の罰金刑 が科されます。
規定:労働基準法第15条、89条、106条
罰則:労働基準法第120条1号
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
引用元:労働基準法第15条
(作成及び届出の義務)
第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
引用元:労働基準法第89条
(法令等の周知義務)
第百六条 使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
引用元:労働基準法第106条
【令和7年版】労働基準法違反で問題になった事例
実際に労働基準法違反などで問題となり、送検されたケースは多くあります。
ここでは、東京労働局の担当事案をピックアップし、企業名は伏せた形で紹介します。
会社所在地
公表日・送検日
違反法条
事案概要
埼玉県草加市
2024年12月10日
労働安全衛生法第45条
労働安全衛生規則第169条の2
車両系建設機械の特定自主検査を1年以内ごとに1回定期に実施していなかった
埼玉県入間市
2024年12月13日
労働安全衛生法第20条
労働安全衛生規則第163条
車両系建設機械を用いて作業をおこなう際、構造上定められた最大使用荷重を守らなかった
埼玉県草加市
2025年1月20日
労働安全衛生法第21条
労働安全衛生規則第362条
明り掘削作業において近接するコンクリートブロック塀の損壊等の危険を防止するための措置を講じなかった
東京都西多摩郡瑞穂町
2025年1月24日
労働基準法第32条
36協定の延長時間を超えて違法な時間外労働をおこなわせた
東京都足立区
2025年2月4日
労働安全衛生法第21条
労働安全衛生規則第517条の14
高さが5m以上のコンクリート造の工作物の解体の作業において、作業計画により作業をおこなわなかった
東京都足立区
2025年2月5日
労働安全衛生法第20条
労働安全衛生規則第131条
プレス機械に安全装置を取り付けていなかった
東京都豊島区
2025年3月12日
労働安全衛生法第20条
労働安全衛生規則第107条
廃棄物圧縮機械の清掃作業時に機械を停止させていなかった
神奈川県相模原市中央区
2025年3月13日
労働安全衛生法第100条
労働安全衛生規則第97条
4日以上の休業を要する労働災害が発生したのに、遅滞なく労働者死傷病報告を報告しなかった
東京都品川区
2025年3月14日
労働安全衛生法第20条
労働安全衛生規則第194条の9
高所作業車を使用しての作業において作業計画を定めていなかった
東京都墨田区
2025年3月19日
労働安全衛生法第20条
労働安全衛生規則第130条の5
食品加工用粉砕機に蓋や囲いなどを設けていなかった
東京都八王子市
2025年6月17日
労働安全衛生法第45条
労働安全衛生規則第151条の24
フォークリフトの特定自主検査をおこなっていなかった
東京都豊島区
2025年6月24日
労働基準法第24条
労働者5名に、1ヵ月間の定期賃金合計約364万円を支払わなかった
埼玉県川口市
2025年7月23日
労働安全衛生法第21条
労働安全衛生規則第518条
高さ2m以上の箇所でのエアコン取替作業において、要求性能墜落制止用器具を使用させていなかった
東京都西多摩郡瑞穂町
2025年9月11日
労働安全衛生法第66条特定化学物質障害予防規則
有害業務に従事する労働者に、定期に特殊健康診断をおこなっていなかった
埼玉県川越市
2025年9月25日
労働安全衛生法第21条
労働安全衛生規則第537条
家屋の解体工事において、物体の落下による危険を防止する措置を講じなかった
千葉県千葉市若葉区
2025年11月28日
労働安全衛生法第100条
労働安全衛生規則第97条
4日以上の休業を要する労働災害が発生したのに、遅滞なく労働者死傷病報告をしなかった
労働基準法違反が発覚して罰則が科されるまでの流れ
企業による労働基準法違反が発覚し、罰則が科されるまでの基本的な流れは以下のとおりです。
労働基準監督署が立ち入り調査をおこなう
労働基準監督署が是正勧告をおこなう
刑事事件に移行して刑事罰となる
ここでは、それぞれの流れについて解説します。
1.労働基準監督署が立ち入り調査をおこなう
通報を受けた労働基準監督署によって、企業に対して立ち入り調査がおこなわれます。
立ち入り調査では、企業が労働基準法に違反しているかどうか判断するために、経営者や従業員への聞き取りや出勤表などの書類確認がおこなわれます。
なお、企業は労働基準監督署による立ち入り調査を原則拒否できません。
正当な理由なく拒否や妨害した場合、労働基準法違反として30万円以下の罰金刑が科される可能性があります(労働基準法第120条第4号 )。
2.労働基準監督署が是正勧告をおこなう
立ち入り調査によって法令違反が確認された場合、労働基準監督署によって是正勧告などがおこなわれます。
是正勧告とは、企業に対して違反状態の改善を求める行政指導のことです。
改善内容や期限などを記載した「是正勧告書」が交付され、企業は指定期日までに対応を済ませて「是正報告書」を提出する必要があります。
なお、社会的影響力が大きく、複数の事業場で違法な長時間労働などが相当数認められる企業の場合、是正勧告を受けた時点で企業名が公表される可能性 があります(違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について|厚生労働省労働基準局長 )。
3.刑事事件に移行して刑事罰となる
是正勧告後も違反状態が改善されない場合、刑事事件に発展する可能性があります。
労働基準監督官は「司法警察官」としての権限を有しており、重大・悪質なケースでは経営者などを逮捕・送検することが可能 です(労働基準法第102条 )。
送検後は刑事裁判が開かれ、裁判官によって有罪無罪や量刑が判断されます。
労働基準法違反があった場合に労働者が取るべき5つの対応
勤務先で労働基準法違反があった場合、以下のような対応を検討しましょう。
社内通報窓口に相談する
弁護士に相談する
労働基準監督署に通報する
労働審判をおこなう
通常訴訟をおこなう
ここでは、労働者が取るべき対応についてそれぞれ解説します。
1.社内通報窓口に相談する
労働基準法違反などの労働問題の場合、1人で悩んでいても解決に至らない可能性があるため、まずは誰かに相談してみましょう。
相談先の候補としては、人事部・総務部・コンプライアンス部 などの社内窓口があります。
担当部署に相談してみることで、相談者側のプライバシーにも配慮しつつ、必要に応じて事実関係の調査などに動いてくれて解決に至る可能性があります。
ただし、必ずしも問題解決に向けて動いてくれるとはかぎらず、なかには意図せず相談内容が漏れたりするなどのリスクもあります。
2.弁護士に相談する
「問題解決に向けて具体的なアドバイスやサポートを受けたい」という場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士なら、労働基準法に違反しているかどうか法的視点から判断してくれて、状況に応じた最適な解決策をアドバイスしてくれます。
もし「労働基準法に違反している」と判断された場合には、交渉・労働審判・訴訟などの問題解決に向けた手続きを一任することも可能です。
代理人として会社とのやり取りを進めてくれるため、手続きにかかる精神的負担を大幅に軽減でき、法律知識や交渉ノウハウを有する弁護士が対応することで迅速な解決が望めます。
弁護士は依頼者の利益を最優先に考えて動いてくれて、特に自力での対応が不安な方にとっては心強い味方としてサポート してくれます。
多くの法律事務所では初回無料相談に対応しているため、弁護士への依頼を迷っている方も一度相談してみることをおすすめします。
3.労働基準監督署に通報する
労働基準監督署に通報するのも有効です。
「労働基準法違反が発覚して罰則が科されるまでの流れ」でも解説したとおり、労働基準監督署に通報することで、立ち入り調査や是正勧告などを進めてくれる可能性があります。
ただし、労働基準監督署の場合、自分の主張内容を証明する客観的な証拠がなければ動いてくれないこともあります。
たとえ動いてくれたとしても、是正勧告などには法的拘束力がないため、トラブル内容によっては最終的に会社との直接交渉などが必要となるケースもあります。
4.労働審判をおこなう
上記のほかにも、裁判所にて労働審判の申立てをおこなうという方法もあります。
労働審判とは、労働問題を迅速に解決するための裁判手続きのことです。
裁判官1名と労働審判員2名による労働審判委員会の仲介のもとで話し合いをおこない、原則3回以内の期日で解決を目指します。
十分な証拠を準備したうえで的確に問題点を主張できれば、主張が認められて解決に至る可能性があります。
なお、話し合いがまとまらない場合は労働審判委員会によって審判が下されますが、審判結果に対しては異議を申し立てることも可能です。
一方が異議を申し立てた場合、労働審判の効力は失われて訴訟に移ることになります。
5.通常訴訟をおこなう
ほかの方法では解決が難しい場合は、最終手段として通常訴訟にて解決を目指しましょう。
通常訴訟では、裁判所にて当事者双方が証拠とともに主張立証をおこない、十分に尽くされたところで裁判官による判決や和解によって決着が付くことになります。
ただし、手続きは複雑で手間がかかるため、素人が自力で対応するのは困難 です。
できるだけ有利な形で進めるためには、弁護士のサポートが必要不可欠です。
さいごに|労働基準法違反の疑いがあるなら、ベンナビ労働問題で相談を
勤務先が労働基準法に違反している疑いがある場合、1人で戦うのは不安でしょう。
労働問題の相談先はいくつかありますが、問題解決に向けた具体的なアドバイスやサポートを受けたい場合は弁護士がおすすめです。
弁護士なら、最適な解決方法をアドバイスしてくれるだけでなく、代理人として会社とのやり取りも一任できるなど、心強い味方として尽力してくれます。
当サイト「ベンナビ労働問題」では、都道府県・市区町村・最寄り駅などの地域検索や、初回相談無料・電話相談可能・土日祝日対応などの条件検索も可能 です。
法律相談だけの利用でも問題ありませんので、ぜひご利用ください。
退職代行サービスのご紹介
「会社が仕事を辞めさせてくれない」「今すぐに仕事を辞めたい」「職場環境が劣悪すぎる」というような状況なら、退職代行サービスの利用も検討 しましょう。
以下に代表的な退職代行サービスをまとめているので、ぜひ参考にしてください。
勤務先が労働基準法に違反している疑いがある場合
勤務先で常習的に不当な扱いを受けている場合、いわゆるブラック企業の可能性が非常に高いです。
企業には、労働基準法を遵守する義務があります。
もし労働基準法違反の疑いがある場合は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめ です。
弁護士に相談・依頼すれば、以下のようなサポートが望めます。
勤務先が労働基準法に違反しているかどうかのアドバイス
会社と争う際の手続きの代理
退職代行の手続き など
当サイト「ベンナビ労働問題」では、労働問題が得意な全国の弁護士を掲載しています。
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失敗しない退職代行サービス | 信頼と実績で選んだおすすめ3選