給与支払いが滞る会社は危険?遅延の原因と今すぐできる対策を解説
「給料の支払いが遅れているけど、この会社は大丈夫なのだろうか…」と不安に感じていませんか?
給与の遅延は、単なる手続きミスではなく、会社の資金繰り悪化や経営不安のサインである可能性もあります。
放置してしまうと、未払いが長期化したり、最悪の場合は倒産に巻き込まれるリスクも否定できません。
そこで本記事では、給与支払いが滞る主な原因をわかりやすく整理するとともに、危険な会社を見極めるポイントや、今すぐ取るべき具体的な対策について解説します。
万が一の事態に備えて、早めに行動するための判断材料として、ぜひ参考にしてください。
給料支払いが滞る会社はやばい?考えられる主な原因とは?
まずは、会社の給料の支払いが滞る主な要因を4つ紹介します。
- 担当者が給料の支払い手続きを失念したりミスをしたりしている
- 給料日が土日祝日と重なったために支払いが後ろ倒しになっている
- 労使間のトラブルが原因で給料が支払われていない
- 会社の資金難が原因で給料の支払いが滞っている
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
担当者が支払い手続き・入金手続きに失敗したり忘れたりしている
給料の支払いは会社の担当部署が責任をもっておこないます。
そのため、以下のような担当者によるミスなどが発生すると、給料日に給料が支払われない可能性があります。
- 給料の振り込み担当者が体調不良で不在だった
- 担当者が振り込み手続きを忘れてしまった
- 給与振り込みの手続きの際に入金口座情報の入力ミスが発生した
- 給与計算の際にミスが発生して入金額がゼロのまま処理された
- 業務がひっ迫していて給与の振り込み処理の締め時間に間に合わなかった など
給料日が土日祝日で支払いが後ろ倒しになっている
給料日がカレンダー上の休日に重なってしまった場合には、給与の支払いが遅れる可能性があります。
通常は、給料日が土日祝日と重なると、その前日に振り込まれることが多いです。
しかし、システムメンテナンスの状況や銀行の入出金処理の運用次第では、給料の振り込みが後ろ倒しになる可能性もゼロではありません。
給料日と土日祝日が重なったことが原因で支払いが遅れただけなら、翌営業日には給料が振り込まれるはずです。
労使間のトラブルが給料の未払いに発展している
労使間のトラブルが原因で給料の支払いが滞る可能性もあります。
たとえば、退職時に揉めたり、欠勤日数が多いなどの勤務態度に問題があったりすると、会社側が制裁の意味合いで給料の支払いを拒否するケースも見られます。
そのほか、会社側と労働組合との間で深刻な労使紛争が発生したケースでも、会社側が対抗措置として給料の支払いをおこなわない事態が想定されるでしょう。
ただし、労働者が雇用契約に基づいて就労した事実がある以上、このような理由によって会社側が給与の支払いを拒否することはできません。
資金難で給料を支払えない状態となっている
会社の経営状況が芳しくないせいで給料の支払いが滞っている可能性があります。
たとえば、給料の支払いが滞る経営上のリスクとして、以下のものが挙げられます。
- 急激に売上額が減少した
- 取引先からの入金が遅延した
- 景気後退によって資金繰りが悪化した
- 会社名義の預貯金口座が差し押さえ・凍結される事態になった など
会社は法律に従い給料を支払う義務がある!賃金支払いに関する5つの原則とは?
給料の支払い遅延への対応方法について考える前に、給料の支払いに関するルールを押さえておきましょう。
まず、給料(賃金)とは、賃金・給料・手当・賞与などの名称にかかわらず、労働の対償として、使用者から労働者に対して支払われるもののことです。
第十一条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
引用元:労働基準法|e-Gov法令検索
会社と労働者が締結している雇用契約に基づき、労働者は労務を提供する義務などを負担しますし、会社は給料の支払い義務を果たさなければいけません。
そして、給料の支払いについては、労働基準法で厳格な4つの原則が定められています。
なぜなら、組織である会社と単なる個人でしかない労働者とではパワーバランスが不均衡である以上、会社が不利な給料支払い条件を従業員に就労を強要する事態を予防する必要があるからです。
- 通貨払いの原則:給料は通貨で支払わなければいけない
- 直接払いの原則:給料は労働者本人に対して直接支払わなければいけない
- 全額払いの原則:給料は全額を支払わなければいけない
- 毎月1回以上一定期日払いの原則:給料は毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければいけない
万が一、給料の支払いが滞った場合、毎月1回以上払いの原則と一定期日払いの原則に違反する可能性があります。
給与の支払いが滞ると会社に「遅延損害金」も請求できる
給与の支払いが滞った場合、労働者は会社に対して、未払い賃金とあわせて遅延損害金も請求できます。
遅延損害金とは、支払い期限までに本来支払われるべき金銭が支払われなかったときに科される金銭的ペナルティのことです。
雇用契約で定められた給料日に給与の支払いが滞った場合には、会社側が債務不履行におちいっていると考えられるので、給料に加えて遅延損害金も支払わなければいけません。
遅延損害金の利率と計算方法
給料未払い事案の遅延損害金の計算方法は、労働者の退職前と退職後で異なります。
まず、従業員が在職中の未払い賃金の遅延損害金は、以下の計算式で算出されます。
| 在職中の未払い賃金の遅延損害金 |
|---|
| 在職期間中の遅延損害金 = 未払い賃金の金額 × 遅延損害金年利率 × 給料日の翌日から未払い賃金が支払われた日までの日数 ÷ 365日(366日) |
令和5年4月1日から令和8年3月31日までの、遅延損害金の年利率は年利率3%で算出されます。
ただし、令和8年4月1日以降は、景気などの動向を踏まえたうえで遅延損害金の年利率が見直される可能性があります。
次に、従業員が退職したあとも給与の支払いが滞りつづけている場合の遅延損害金の計算式です。
| 退職後の未払い賃金の遅延損害金 |
|---|
| 退職後の遅延損害金 = 未払い賃金の金額 × 遅延損害金年利率 × 退職日の翌日から未払い賃金が支払われた日までの日数 ÷ 365日(366日) |
退職後も給料の未払いが続いている場合の遅延損害金年利率は年利率14.6%です。
会社の給与支払いが滞っている場合の対処法
ここからは、会社から給料の支払いが滞ったときの対処法を6つ紹介します。
- 給料の支払い予定日やほかの従業員への振り込み状況を確認する
- 会社に給料の支払い状況を確認する
- 給料の未払いが発生している事実を示す証拠を収集する
- 遅延損害金を計算する
- 会社に内容証明郵便で未払い賃金の支払いを求める
- 民事訴訟を提起する
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
1.給料の支払い予定日やほかの従業員への振り込み状況を確認する
まずは、給料の支払い状況を確認してください。
給料の支払い日を勘違いしている可能性もあるからです。
給料の支払い日は給与明細書に記載されています。
また、就業規則を確認すれば、給料の支払い日が土日祝日と重なっている場合の取り扱いもわかります。
給料の支払い日にお金が振り込まれていないなら、ほかの従業員の振り込み状況をチェックしてください。
自分だけの給料が支払われていないなら、振り込み手続きのミスの可能性が高まります。
一方、ほかの従業員にも給料が支払われていないなら、業績不振などの大きなトラブルに発展していると想像できるでしょう。
2.会社に給料の支払い状況を確認する
給料の未払いがわかったら、上司や経理担当者・総務課などに問い合わせをします。
その際には、給与が支払われていない理由、振り込み予定日などを確認してください。
将来的に民事訴訟を提起しなければいけない可能性もあるので、担当者から説明を受けるときには、そのときの音声を録音しておくと有力な証拠として活用できる可能性があります。
3.給料の未払いが発生している事実を示す証拠を収集する
給料の支払いが滞っており、会社に問い合わせをしてもスムーズな支払いを期待できない状況なら、将来的に紛争になることを想定して、給料未払いの証拠確保をおこないましょう。
給料の支払いが滞っていることを示すのに役立つ証拠として、以下のものが挙げられます。
- 給与明細書
- 預貯金通帳
- タイムカード
- 勤怠管理システムのデータ
- 就業規則
- 賃金台帳
- 日報
- 雇用契約書
- シフト表
- 給料の未払いを会社側が認めた音声データ
- 会社から送られてきたメールや書面 など
4.遅延損害金を計算する
会社に対して未払い賃金を請求する際には、請求する側が請求額を明示しなければいけません。
そのため、給料の支払いが滞っている状況が継続しているなら、未払いの給料がいくら存在するのか、遅延損害金は現段階でいくらになるのかを計算してください。
5.会社に内容証明郵便で未払い賃金の支払いを求める
いつまでも給料の未払いが続くなら、会社に対して未払い賃金の請求をおこないます。
請求方法について特別な決まりはありませんが、内容証明郵便を送付する方式で請求するのが一般的です。
内容証明郵便は、いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送付したのかを郵便局が証明してくれるものなので、民事訴訟の際に、労働者側から会社に対して未払い賃金を請求した事実を証明する証拠として役立ちます。
6.民事訴訟を提起する
内容証明郵便を送付しても会社側が任意で未払い賃金を支払ってくれないときには、労働審判や民事訴訟といった法的手続きに踏み出さざるを得ません。
労働審判や民事訴訟は労働者本人で申し立てをすることも可能ですが、主張や証拠を整理したり期日に出廷したりするなどの負担が重いので、弁護士への依頼が推奨されます。
未払い賃金の請求を認める判断を引き出すことに成功すれば、会社から未払い賃金が支払われます。
ただし、判決が確定しても会社が未払い賃金の支払いに応じないケースでは、強制執行によって会社名義の財産を差し押さえる必要があります。
給与支払いが滞っている場合の相談先は?
会社から給料の支払いが滞っている場合の相談先を4つ紹介します。
- 労働組合
- 労働条件相談ほっとライン
- 労働基準監督署
- 弁護士
それぞれの相談先について、詳しく見ていきましょう。
1.労働組合|代わりに会社と交渉してくれる可能性がある
勤務先に労働組合が組織されているなら、労働組合に給料の未払いトラブルを相談できます。
労働組合とは、労働条件の維持・改善や労働者の経済的地位の向上などを目的として労働者が主体となって組織する団体のことです。
賃金や労働時間などの労働条件に関するトラブルが発生した場合、労働者の代わりに会社側と交渉をしてくれる可能性があります。
たとえば、「弁護士のような外部の専門家に相談するのは抵抗感がある」「給料の未払いトラブルが大事になって会社に在籍しにくくなるのは困る」などという場合には、労働組合への相談が適しているでしょう。
2.労働条件相談「ほっとライン」| 電話・匿名で相談できる
労働条件相談「ほっとライン」は、労働条件をめぐる不安や悩みを受け付けてくれる電話相談窓口です。
厚生労働省が管理・運営しており、違法な時間外労働・賃金未払い・労災トラブルなどのさまざまな労働基準関係法令に関する問題について、専門知識を有する相談員が電話で対応してくれます。
労働条件相談「ほっとライン」は匿名での相談も可能なので、身元を知られずに専門家に相談したいという人におすすめです。
ただし、労働条件相談「ほっとライン」では、会社に対する直接的な指導・勧告や、未払い賃金の請求手続きの代理などは対応してくれません。
トラブル解決に向けた本格的なサポートを期待するなら、労働基準監督署や弁護士への相談が適しているでしょう。
| 電話番号(日本語案内) | 0120-811-610 |
|---|---|
| 営業時間 | ・月曜日〜金曜日:午後5時〜午後10時 ・土曜日、日曜日、祝日:午前9時〜午後9時 ※12月29日〜1月3日を除く |
| 公式ホームページ | 労働条件相談「ほっとライン」(Working Hotline)|厚生労働省 |
3.労働基準監督署| 立入調査や是正勧告をしてくれる可能性がある
会社からの給料の支払いが滞っているときの有力な相談先が、労働基準監督署です。
労働基準監督署とは、厚生労働省管轄の組織で、企業が労働基準法などの労働関係法制を遵守しているかを監督する機関のことです。
企業で働く従業員からの相談に対応したり、労働基準法違反などの疑いがある企業に対して立入調査・行政指導・是正勧告をしてくれたりします。
給料の未払いは労働基準法違反なので、労働者からの申告があれば、会社に対して調査を実施したうえで、未払い賃金を適切に支払うように求めてくれます。
ただし、労働基準監督署は相談者を代理して会社側と交渉をしてくれるわけではありません。
また、労働基準監督署の人的リソースにも限界があるので、相談時に客観的証拠を用意できなかったり、会社の違反状態が軽微であると判断されたりすると、踏み込んだ対応を期待できない可能性があります。
4.弁護士|会社との交渉など手続きの大部分を任せられる
賃金未払いトラブルの相談先としてもっとも適しているのが、法律の専門家である弁護士です。
弁護士は、相談者・依頼者の利益を最大化することを職責としており、あらゆる法律トラブルに対応してくれます。
「自分で会社と未払い賃金について話し合うのが難しい」「経営状況が悪そうでいつ給料が支払われるかわからない」などの状況なら、弁護士への相談・依頼が適しているでしょう。
会社が倒産した場合は「未払賃金立替制度」が利用できる
給料の支払いが滞ったときには、未払賃金立替制度の利用を検討してください。
未払賃金立替制度とは、企業倒産によって賃金未払いのまま退職を余儀なくされた労働者に対して、独立行政法人労働者健康安全機構が未払い賃金の一部を立替払いする制度のことです。
退職日における労働者の年齢ごとに定められた立替限度額の範囲内に限られますが、退職した日の6ヵ月前から立替払い請求日の前日までに支払い期日が到来した未払いの定期賃金と退職手当の8割に相当する額を受け取ることができます。
未払賃金立替制度を利用する際の要件や手続きの流れなどについては、以下の記事を参考にしてください。
さいごに|給与支払いが滞って不安であれば弁護士に相談を!
事務処理のミスなどが原因で給料日に振り込みがないだけなら、会社に事情を確認するだけで大きなトラブルは生じないでしょう。
これに対して、経営不振や業績悪化を理由に給与の支払いが滞っているなら、早期に対策に踏み出す必要があります。
速やかに賃金未払いに関する証拠を確保し、弁護士に相談・依頼しながら、未払い賃金の回収に向けて動き出してください。
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下地法律事務所
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会社が倒産状態にあるということは、複数の従業員に給料が支払われない可能性が高まります。その場合は、労働組合を結成する、すでに労働組合がある場合は加入するようにしましょう。労働組合として行動することで、団体交渉権も出てくるので、効果的に話を進めることが可能です。
また、すでに会社が倒産していることが前提ですが、「未払賃金立替払制度」の利用を検討しましょう。この制度を利用することで、最大8割の未払い賃金を政府が立て替えてくれます。
まずは会社に確認しましょう。本来であれば、給料は毎月1回以上決まった日に支払わなければならないことが、法律で定められています。
したがって、給与支給日が不定期という時点で、会社の対応は法令に違反している可能性が高です。そのため、まずは会社に、会社のルール上、いつが給与支払日であるのか確認して下さい。
確認の結果、会社が給与支給日を明確にしないような場合や給与支給日とされる日に給与が支払われないような場合は、会社にその理由を明確にし、それを踏まえて第三者機関に証拠を用意して相談することをおすすめします。
労働基準監督署に相談して対応してくれるのは、企業による違反事実が相当明白なケースに限られます。
労働基準監督署は、企業の労基法違反の責任を追及する機関ですので、明白な給与未払いなどの違反行為があれば対応しますが証拠がないことには動いてくれない傾向があります。
ですので、給与未払いに関する証拠を集め、会社に対しても未払い請求を行うなど行動をおこしましょう。そして、労働基準監督署には相談ではなく「会社を処罰してください」という申告をするスタンスで臨むことで、対応してくれる可能性が高まります。
休業の原因が大災害の場合には、雇用保険の「激甚災害の特例」を利用できる可能性があります。これは台風や地震など甚大な被害をもたらす災害があった場合に「激甚災害」として国が特別に指定することにより、労働者を救済する制度です。激甚災害によって休業を余儀なくされる場合は、この制度が適用になるかを確認してみましょう。
労働基準法第24条とは?賃金支払い5原則をわかりやすく解説
残業代を含めた、未払い給料の計算は非常に複雑です。また、給与未払いの時効は2年となっていますので迅速な行動も必要です。このような場合はすぐにでも弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、未払いの給料も正確に計算してくれますし、未払いの給料の回収だけではなく、支払いが遅れた分の遅延損害金も合わせて回収できる可能性があります。






