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セクハラされやすい人に共通する6つの特徴|セクハラを防ぐ方法も解説

更新日
銀座さいとう法律事務所
齋藤健博 弁護士
このコラムを監修
セクハラされやすい人に共通する6つの特徴|セクハラを防ぐ方法も解説

セクシュアル・ハラスメント(以下セクハラ)とは、相手の意思に反してなされ、苦痛や不快感を与える性的な言動を指します。

 

具体的には、性的な関係の要求や身体への接触、性的な話や質問などが挙げられます。

 

同じ職場で働き、同じような年齢や立場だったとしてもセクハラされやすい人とそうでない人がいます。もちろんセクハラはする側が悪いことはいうまでもありません。

 

しかし、セクハラで悩んでいるかたは、セクハラされやすい人の特徴を知ることで現状を変えるヒントになるのではないでしょうか。

 

今回は社会におけるセクハラの現状や具体例を挙げながら、セクハラされやすい人の特徴や防御策、被害を受けた際の対応を紹介します。

会社からのセクハラ被害を受けている方へ

セクハラは卑劣な行為です。

あなたが我慢する必要はありません。

 

セクハラの状況がひどくて精神的なダメージが甚大、社内の窓口に相談しても解決が見込めないなどの場合は、弁護士へ相談・依頼しましょう。

弁護士は次のような活動を通じてサポートをしてくれます。

  • 法的な観点からセクハラの該当性や今後の対応をアドバイスしてくれる
  • 代理人となり、セクハラをやめるよう本人へ要求する、会社に対して具体的な対応を求める
  • 労働審判や裁判を利用し、セクハラ加害者や会社に対して謝罪や慰謝料の支払いなどを求める

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この記事に記載の情報は2023年12月05日時点のものです

データからみるセクハラ被害の実態   

まずは各データをもとにセクハラ被害の実態を確認してみましょう。

 

労働局の雇用環境・均等部(室)に寄せられたセクハラ、妊娠・出産、育児・介護に関するハラスメント等の相談の中で、もっとも多いのはセクハラに関する相談です。

 

平成30年度の相談件数は7,639件と、全体の38.2%を占めています。また、男女雇用機会均等法を根拠とした労働局長による紛争解決の援助申立受理件数のうち、申立内容でもっとも多いのはセクハラに関するもので、全体の44.2%となっています。

 

表:労働局長による紛争解決の援助申立受理件数の推移(件)

 

28年度

29年度

30年度

第5条関係(募集・採用)

2

(0.7%)

1

(0.5%)

2

(0.9%)

第6条関係(配置・昇進・降格・教育訓練等)

5

(1.7%)

2

(1.0%)

4

(1.7%)

第7条関係(間接差別)

0

(0.0%)

0

(0.0%)

0

(0.0%)

第9条関係(婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い)

146

(49.7%)

78

(37.5%)

97

(42.0%)

第11条関係(セクシュアルハラスメント)

125

(42.5%)

101

(48.6%)

102

(44.2%)

第11条の2関係(妊娠・出産等に関するハラスメント)

4

(1.4%)

16

(7.7%)

19

(8.2%)

第12条、13条関係(母性健康管理)

12

(4.1%)

10

(4.8%)

7

(3.0%)

合計

294

(100.0%)

208

(100.0%)

231

(100.0%)

※参照:厚生労働省|平成30年度 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)での法施行状況

 

日本労働組合総連合会(通称:連合)が実施したハラスメントに関するアンケートによれば、職場で受けたハラスメントのうち26.7%がセクハラと、ハラスメントの種類の中で2番目に多くなっています。女性に限ると職場で受けたハラスメントのうち37.7%がセクハラです。

 

 

一方で、職場において男性がセクハラを受けた割合も14.2%と決して少なくありません。就職活動中におけるセクハラについての質問では、セクハラを受けたと答えた男女の中で20代の男性が21.1%ともっとも多く、20代女性の12.5%を上回る結果となりました。

 

※参照:連合|仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019

 

セクハラという言葉が広がったのは、セクハラを理由とした国内初の民事裁判が起こされた1989年(平成元年)だといわれていますが、それから30年が経過した現在でもセクハラがおこなわれている実態がみてとれます。

 

またセクハラは性別にかかわらずおこなわれている行為ということもわかります。

※参照:法務省|セクシュアル・ハラスメント

 

セクハラの具体例

セクハラは大きく「対価型」と「環境型」の2つに分類されます。ただしこれらは、明確にこの事案はこの類型にあてはまります、とは言えないことに注意が必要です。

 

対価型セクハラ

職務上の地位を利用したセクハラに対して拒否や抵抗などをしたことにより、セクハラを受けた人が解雇や降格、配置転換など客観的にみて不利益な取り扱いを受けることです。

 

たとえば次のようなケースです。

 

  1. 上司が部下の身体をさわったところ抵抗されたため配置転換を命じた
  2. 社長が従業員に対して性的関係を要求したが断られたため解雇した
  3. 人事部長が職場での性的発言を抗議した人の人事評価を下げた

 

環境型セクハラ      

セクハラにより労働者の就業環境が不快なものとなり、労働者が就業するのに看過できない程度の支障が生じることです。たとえば次のようなケースです。

 

  1. 上司が部下に対して執拗に交際を迫るため部下が会社に行きたくないと感じている
  2. 同僚が職場のパソコンで性的な動画を閲覧しているため不快に感じて業務に専念できない
  3. 若手の男性社員が仕事関係の飲み会で裸踊りを強要されるため苦痛に感じている

 

 

セクハラを防ぐための法律とは

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(通称:男女雇用機会均等法)では第11条で、事業主が職場におけるセクハラについて雇用管理上の措置を講じることを義務づけています。

 

この措置義務を企業が適切に実施できるように厚生労働省が定めた指針(通称:セクハラ防止指針)で、次の4つの措置が具体例とともに示されています。

 

  • 事業主の方針を明確にして全労働者に周知・啓発する
  • 相談や苦情に対して適切に対応するための体制を整える
  • セクハラが起きた後にも迅速かつ適切に対応する
  • 上記3つとあわせて適切な措置をおこなう(例:プライバシーの保護、不利益取り扱いの禁止など)

 

事業主が必要な措置をとらず、厚生労働大臣の勧告にしたがわなかった場合には企業名の公表がおこなわれます。また2020年6月にスタートするパワハラ防止法とあわせて、指針にはセクハラ防止対策の強化が盛り込まれることになっています。

 

このほかにも刑法(暴行罪や強制わいせつ罪、強制性交等罪など)、ストーカー規制法などがセクハラに関係する可能性がある法律です。

 

 

セクハラ問題に詳しい弁護士に聞いたセクハラされやすい人の特徴

 

 

齋藤弁護士


セクハラされやすい人の特徴を6つ紹介します。

 

おとなしい人

おとなしくて気が優しい人は誰かに相談すると迷惑をかけると思う傾向にあります。セクハラをされても「自分が我慢すれば済む」と思い、誰にも相談できません。

 

セクハラ加害者が「少しくらいセクハラしても黙っているだろう」とつけ上がり、セクハラ被害が悪化してしまいます。

 

人付き合いのよい人

人からの誘いは基本的に断らないような人付き合いのよい人は、多くの人と接する分、確率的にセクハラをする人に出会いやすいといえます。とくにお酒が入る席では理性が働かずにセクハラをしてしまう人が増えるため、セクハラ被害に遭う可能性も上がります。

 

付き合いがいいことで「ガードが緩い」「人に依存するタイプ」などと思われてしまうのもセクハラに遭いやすい理由です。

 

プライベートな話をよくする人

自分の家族や友人、恋人の有無などプライベートな話をよくする人はセクハラされる可能性が高くなります。聞いたことには何でも答えてくれる人や、聞いていないのに自らプライベートの話をよくするタイプの人です。

 

このような人も「ガードが緩い」「壁がない」と思われやすく、セクハラ被害に遭う可能性が高くなります。

 

相手をたてる人

よく褒めたり優先したりして相手をたてる人です。ビジネス的な意味で相手をたてているわけですが、相手が「自分に好意がある」と勘違いして調子に乗ってしまうのです。取引先や顧客などからセクハラを受けやすい傾向にあります。

 

空気を読む人

セクハラを拒絶することで場の空気を悪くしないようにと、笑って済ませるタイプです。いつも笑顔を絶やさない人はとても感じがよいですが、セクハラに関しては被害に遭いやすくなってしまいます。

 

本人としては職場の雰囲気をよくするため、あるいは業務として笑顔でいるのに、相手が勘違いするからです。

 

ボディータッチが多い人

ボディータッチが多い人も「誘っている」「自分に好意がある」と思われてしまいセクハラ被害を受けやすくなります。帰国子女や海外勤務経験がある人もセクハラを受けることがあります。諸外国では当たり前のハグも日本ではなじみがないため、勘違いする人がいるからです。

 

なお「女性からのボディータッチなら絶対に男性が喜ぶ」というのは間違いです。男性が女性に体をさわられて不快に感じればセクハラになります。

 

最後に、問題を抱え込みやすい人という点も一つの特徴です。嫌ですとか、不快感を感じても、なかなか自分を離れて相談がしにくいと、セクハラに拍車がかかるケースが多いように思います。

 

セクハラ問題をどうにかしたい!

セクハラは弁護士に依頼しても費用倒れとなる可能性が高く、依頼者の経済的利益に繋がりにくいことから引き受けてくれる弁護士も決して多くはありません。ただ、弁護士費用を補償してくれる保険もありますので、トラブルに備えて今のうちに加入しておくのも良いでしょう。

 

セクハラされやすい人から脱却する方法

セクハラをする人がいる以上は防御策を講じる必要があります。セクハラされやすい人からの脱却を目指しましょう。

 

不快感を示す

 

齋藤弁護士


セクハラをする人の中には自分がセクハラをしていると気づいていない人もいます。笑顔で返されるから悪いことをしている認識がないのです。「やめてください」と真顔で拒否し、不快感を示すことがとても大切です。それでもやめない人には「それセクハラですよ」とはっきりいってもよいでしょう

 

その場の雰囲気を悪くしたくないからという理由で不快感を示せなくても、上司を経由するなどして後からでも「嫌だった」と伝えることができます。

 

セクハラをする人は上下関係や職権を使うことでしか相手に向き合えないので、しっかりと嫌だといえるタイプを苦手とします。セクハラをしても反撃にあうだけで怖いので、そのような人をターゲットにはしにくいのです。

 

1対1の付き合いは徹底して断る

いくらこちらが「異性として意識していないから1対1でも平気」と思っても、相手はそうは思っていないかもしれません。

 

自分がどう思うのかではなく相手がセクハラをする可能性があるかどうかの視点は忘れないようにしましょう。相手が好意で贈り物をしてくる、食事に誘ってくるといった場合でも、交際する意思がない限りは断るのが無難です。

 

 

齋藤弁護士


上司や取引先からの誘いなど、どうしても断りにくい場合も対処法があります。たとえば「会社から取引先との1対1の食事を禁止されている」と伝えて断る、「他のスタッフもご一緒したいと思うので」と複数人での集まりにするなどの方法です。

 

「君にしかいえない相談がある」などといわれてどうしても断れなかった場合は、隣に座るのではなく、向かい合って座ることで身体への直接的なセクハラを防止する効果があります。

 

個人情報を教えない

仕事関係の人でも個人情報は教えないことが大切です。用があれば職場に連絡してもらう、営業職など携帯電話を使ってやり取りする職種なら仕事用と個人用を分けることも必要です。

 

個人用の携帯電話を仕事で使わされているのなら、個人情報保護やセクハラ防止などを理由に上司や人事部にかけあってみてもよいでしょう。

 

ビジネスライクな話し方を意識する

家族や恋人、友人などプライベートな間柄の人と話すときと職場の人と話すときには話し方を変えましょう。職場の人とは意識的にビジネスライクな話し方をすることが効果的です。しっかりしていて隙のない印象を与えることができ、セクハラのターゲットになりにくくなります。

 

服装を工夫する

 

 

齋藤弁護士


短いスカートやノースリーブ、胸元が開いた服を避けるだけでも違います。最近は身体のラインを直にひろわない、適度にゆったりした服も流行りですので、上手にとりいれるようにしてください。

 

ファッションはビジネスの場以外で楽しむものだと割り切り、職場ではセクハラを受けない人になるほうが建設的だと考えてみてはいかがでしょうか。

 

なお女性が露出の多い服装をしていると、セクハラ被害に遭いやすいだけでなく、男性へのセクハラ加害者になってしまうリスクもあります。男性が目のやり場に困ることで性的に不快な思いをするからです。

 

 

職場でセクハラされたときの対処法

職場でセクハラ被害に遭った際の対処法を紹介します。

 

他の社員にセクハラの事実をわかってもらう

誰にも相談しないとセクハラを助長しかねません。あまり大ごとにしたくないなどの理由から相談先が限られるケースでも、他の社員にはセクハラの事実をわかってもらうと随分助かります。

 

たとえば上司からのセクハラであれば、飲み会で上司の隣にならないようにかばってくれたり、取引先からのセクハラであれば担当を変わってくれたりします。

 

上司の上司へ相談する

同僚や先輩、取引先からのセクハラをやめさせるには上司への相談が有効です。上司からのセクハラの場合は上司の上司へ相談しましょう。セクハラをやめさせるためのポイントは、セクハラ相手よりも優位的な立場にある人へ相談することです。

 

一方、取引先や顧客からのセクハラの場合、どうしても相手の立場が優位になってしまいます。この場合は、上司と相談して対応を複数人体制にしてもらう、担当替えをするなどの対処法を検討しましょう。

 

社内の窓口に相談する

人事やコンプライアンス部門、社内の労働組合などへ相談する方法です。同じ部署の社員や上司への相談が難しくても、これらの窓口であれば第三者の立場で問題解決に動いてくれます。会社には労働環境を整える義務があるので、相談を受けて何も対処しないことは許されません

 

社外の窓口に相談する

社内に相談できる窓口がない、相談すると不利益な扱いを受けそうで怖いなどの場合には社外の窓口に相談しましょう。次のような相談窓口があります。

 

・総合労働相談コーナー※参照:厚生労働省|総合労働相談コーナーのご案内

・ハラスメント悩み相談室※参照:厚生労働省委託事業|ハラスメント悩み相談室

・みんなの人権110番※参照:法務省|常設相談所(法務局・地方法務局・支局内)

・法テラス※参照:法テラス|法テラス・サポートダイヤル

弁護士のサポートを受ける

セクハラの状況がひどくて精神的なダメージが甚大、社内の窓口に相談しても解決が見込めないなどの場合は弁護士へ相談しましょう。弁護士は次のような活動を通じてサポートしてくれます。

 

  • 法的な観点からセクハラの該当性や今後の対応をアドバイスしてくれる
  • 代理人となり、セクハラをやめるよう本人へ要求する、会社に対して具体的な対応を求める
  • 労働審判や裁判を利用し、セクハラ加害者や会社に対して謝罪や慰謝料の支払いなどを求める

まとめ

セクハラ被害に苦しんでいるかたは、セクハラがなくなればストレスが軽減され、安心して日常を送れるようになります。今やるべきことに専念でき、能力を発揮できるようになるため、今後の活躍にもつながるでしょう。

 

今回ご紹介した内容をセクハラを防ぐためのヒントとしてお役立てください。

会社からのセクハラ被害を受けている方へ

セクハラは卑劣な行為です。

あなたが我慢する必要はありません。

 

セクハラの状況がひどくて精神的なダメージが甚大、社内の窓口に相談しても解決が見込めないなどの場合は、弁護士へ相談・依頼しましょう。

弁護士は次のような活動を通じてサポートをしてくれます。

  • 法的な観点からセクハラの該当性や今後の対応をアドバイスしてくれる
  • 代理人となり、セクハラをやめるよう本人へ要求する、会社に対して具体的な対応を求める
  • 労働審判や裁判を利用し、セクハラ加害者や会社に対して謝罪や慰謝料の支払いなどを求める

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この記事の監修者
銀座さいとう法律事務所
齋藤健博 弁護士 (東京弁護士会)
女性のセクハラ被害解決を得意とする弁護士。慰謝料請求や退職を余儀なくされた際の逸失利益の獲得に注力。泣き寝入りしがちなセクハラ問題、職場の女性問題に親身に対応し、丁寧かつ迅速な解決を心がけている。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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