セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは|主な行為事例と対策

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セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは|主な行為事例と対策
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2018.5.16
セクハラ 弁護士監修記事

セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは|主な行為事例と対策

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セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、相手の意に反する性的言動によって、働く上で不利益を被ったり、性的な言動によって就業環境が妨げられることを言います。

 

職場の力関係を背景にして行われることから、新入社員や契約更新の不安を抱える非正規雇用がターゲットになるケースが多いとされています。

 

近年のニュースで『財務次官のセクハラ疑惑』で、「女性が輝く社会づくり」に対して歯止めをかける結果となっていることが話題に上がっています。

 

財務省の福田淳一事務次官が女性記者にセクハラ発言を繰り返していたと、週刊新潮が報じた。森友問題に関し質問する記者に、「浮気しよう」「触っていい?」などと露骨な性的表現を度々使ったという。被害者は複数いるとも伝えられる。

引用元:財務次官のセクハラ疑惑 自ら動かない政権の鈍さ

 

では、労働者(特に女性)はこういったセクハラに対してどのような対処をしていけば良いのでしょうか。この記事では、セクハラの種類や主な行為、セクハラに対して労働者はどのような対処・対策をし、働きかけをしていくのが良いのかを解説していきます。

 

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セクシャルハラスメント(セクハラ)の定義

セクハラはどういった定義付けがされているのでしょうか。これに関して「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(通称:男女雇用機会均等法)」では下記のように、2つの行為を明記しています。

 

  1. 職場で「性的な言動」をされ労働条件について不利益を被る
  2. 職場の「性的な言動」により就業環境が害される

 

(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)

第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

引用元:男女雇用機会均等法第11条

 

職場とは?

会社が従業員を雇用し、就業させている場所を指しますが、通常就業以外の場所であっても、労働者が業務の遂行が可能な場所であれば「職場」に含まれるとされています。

 

取引先

打合せをした飲食店(接待席含む)

顧客の自宅

取引先

出張先

営業車の中 など

参考:法務省|職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!

 

労働者として規定しているのは非正規社員に限らず、パート・派遣社員、アルバイトなど、会社に雇用されている全ての人が含まれます。

 

性的な言動とは?

一概に『この発言がセクハラです』とは明記できませんが、こちらも厚生労働省では以下のような発言・行為とされています。

 

性的な言動の例

①性的な内容の発言

性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(噂)を流布すること、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すことなど

②性的な行動

性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、わいせつ図画を配布・掲示すること、強制わいせつ行為、強姦など

引用元:法務省|職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!

 

 

セクシュアルハラスメント(セクハラ)の罰則規定

まず、セクハラという言葉は法律用語ではありません。セクハラという言葉が広まった背景としては、1989年に性的な嫌がらせを理由とした国内初の民事裁判が起こされ、この年の「新語・流行語大賞」新語部門で金賞を受賞したことが、『セクシャル・ハラスメント』という言葉を世の中に広める要因になったとされています。(参考:法務省

 

ではセクシュアルハラスメント(以下セクハラ)とはどういったものなのか、定義や種類、近年の動向などをご紹介します。

 

おすすめ記事: セクハラの定義とは|ボーダーラインと対処法

 

セクハラは人権問題の一種

現在、人種・性別・年齢などを理由とした差別的な発言は、人権問題であると広く認知されており、「セクハラ(性的な発言)」も、相手の人権を無視した不快感を与える行為とした人権問題のひとつとして考えられています。

 

かつては「恋人はいるの?」などの発言などは挨拶代わりで使用されてきましたが、暗にそれは『見過ごされていた』と捉えることもできます。ただ、どんな発言でも個人によって受け止め方が異なるため、『受け手の相手の気持ち』を尊重する傾向が色濃い現代においては、労働者の発言はかなり強いものになりつつあります。

 

引用元:法務省|職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!

 

セクハラは安全配慮・職場環境配慮義務違反となる

セクハラがあった際、労働者は安全配慮義務違反、職場環境配慮義務違反について責任を取るよう会社側に求めることが出来ます。さらに、セクハラについては会社側に対して職場における性的な言動による不利益や就業環境の侵害がないよう、雇用管理上必要な措置を講じる義務が課せられています。

 

また、職場でセクハラに遭った場合には会社に防止のための必要な措置を取る事を求めたうえで、加害者に損害賠償を求めるだけでなく、会社がセクハラ防止の為に必要な措置を怠っていたという事に基づいて会社に損害賠償を求めることが出来ます。

 

 

セクハラの2つの種類|対価型と環境型とは

意に反した性行為や体を障るなどの強制わいせつ行為は、当然セクハラですが、これだけではなくセクハラには「対価型」と「環境型」の2パターンがあります。

 

対価型とは

対価型は「契約更新したかったら今夜付き合え」、「降格したくなかったら今夜付き合え」などと、意に反する性的な言動への対応によって、雇用や労働条件に関する不利益を受ける事です。

 

対価型セクハラの例

対価型セクハラとは男女問わず、職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けることです。

 

下記に代表的な例を挙げてみます。

  1. 宴会やお酒の席でお酒をつぐことを強要すること
  2. 職場内で昇進をちらつかせ、代わりに性行為を求めること
  3. 職場内で昇進をちらつかせ、代わりに愛人契約を求めること
  4. 学校で単位取得をちらつかせ、代わりに性行為を求めること
  5. 学校で単位取得をちらつかせ、代わりに愛人契約を求めること
  6. 取引のある企業より契約打ち切りや、契約更新をちらつかせた性行為を求めること
  7. 取引のある企業より契約打ち切りや、契約更新をちらつかせた愛人契約を求めること
  8. 新卒の学生や、転職者に対して、採用をちらつかせ性行為を求めること

 

対価型セクシュアルハラスメントの裁判例

部下に対し行なった行為(食事やデートに誘うなど)がセクハラだとされて解雇された原告が、それは事実誤認だとして会社からの解雇処分は無効であると訴えた事例です。判決では原告は部下の就業環境を害し、また被害者の人数が多いこと、原告の地位や反省の態度を取らないなどの事情を考慮して、解雇は有効とされました。

 

裁判年月日 平成12年 8月29日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平10(ワ)884号
事件名 雇用契約存在確認等請求事件
裁判結果 棄却 上訴等 控訴、和解
文献番号 2000WLJPCA08290011

 

環境型とは

環境型は「身体接触型」、「発言型」、「視覚型」の三つに分けられており、

 

  1. 「上司が通りすがりに胸を触る」という身体接触型
  2. 「社内で不倫しているという噂を執拗に流す」という発言型
  3. 「仕事上必要もないのに同僚が職場内にヌードポスターを貼り続けていることで仕事に専念できない」という視覚型

 

といった、意に反する性的な言動によって仕事をするのに支障が生じることを言います。

 

環境型セクハラの例

環境型セクハラとは男女問わず、性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じることです。

 

  1. 社員旅行や研修旅行で女性に浴衣を着るように求めたり、お酒をつがせたりする事こと
  2. ミニスカートやタンクトップなど肌の露出が多い服を着る事を求めること
  3. 職場内にて女性社員が給湯室や女子トイレ、男性社員の前などでその本人や別の男性社員の容姿、恋愛関係、恋人に関する噂話をする事
  4. ヌードポスターやその他卑猥な画像など、おおよそ会社や学校では必要のない物を掲示し、同環境内にいる人間に不快な思いをさせる事
  5. 性的表現を含む話、ファッションセンス、身体的特徴について話すこと
  6. 性交渉の経験人数、恋愛経験等をしつこく聞くこと
  7. スリーサイズや男性器のサイズを聞くこと
  8. 社内的に地位が高い女性から地位が低い男性社員への誘い
  9. 男女問わず結婚に関しての話を聞くこと
  10. 女性に出産に関しての話を聞くこと
  11. 「男のくせに」という言葉をかけること

 

環境型セクシュアルハラスメントの裁判例

法務教官だった原告が職場の先輩から無視、暴力、暴言を吐かれ、更に陰茎を舐めさせられた結果、PTSDなどの損害を被ったとして3,493万6,287円の損害賠償請求を求めた判例で、判決では被告によるわいせつ行為や暴行が認められ、945万6,508円の損害賠償金が認められました。

 

裁判年月日 平成29年 3月 7日 裁判所名 神戸地裁 裁判区分 判決
事件番号 平25(ワ)1821号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 一部認容、一部棄却 
文献番号 2017WLJPCA03076003

 

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セクハラが原因の病気は労災になる

雇用されて働く労働者が、仕事の為にけがをしたり病気になったりしたときに、必要な給付を受けられる保険制度を労災保険(労働者災害補償保険)です。職場のセクハラやパワハラによってメンタルな病気にかかってしまった場合も、労災だと認められれば労災保険を利用できます。

 

おすすめ記事: 労災とは?労働災害があった場合の補償内容

 

労災保険とは

事業者は1人でも労働者を雇用する場合に労災保険に加入する義務があり、保険料は会社側が全額支払うのがルールです。

 

労災保険は「仕事のため」にけがをしたり、病気になったりした場合に対応する保険であり、通勤途中のけがも労災保険での補償が認められます。

 

労災に認められれば給付金が受け取れる

一度労災と認定されると療養給付(治療費・手術費・入院費など)、休業給付(休業の4日目から平均賃金の8割を支給)、障害給付(けがや病気が治った後一定以上の障害が残った場合に障害の程度に応じた年金や一時金を支給)の補償給付が受けられます。

 

障害年金や傷病年金の受給者で、介護が必要な人には介護給付も支払われます。また、もし仕事上のけがや病気によってその人が亡くなってしまった場合には遺族給付(遺族に年金や一時金を支給)、葬祭料(亡くなった人の葬儀を行った人に支給)が給付されます。

 

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職場でセクシュアルハラスメントを受けたときにできること

セクハラを受けたときにはどのような対処法があるのか、解説していきます。

 

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本人に嫌であることをはっきりと伝える

セクハラをしてくる加害者本人にその行為が嫌であることをはっきりと伝えましょう。

 

相手はあなたが嫌がっていることに気づいていない可能性もあります。はっきりと伝えることであなたがどう思っているかについて初めて気づき、セクハラ行為をやめてくれるかもしれません。

 

会社または加害者の上司に報告する

会社や加害者よりも立場が上位の上司にセクハラを受けている旨を報告し、上の人を通して本人に注意をしてもらうことも手です。

 

加害者も勤め人である以上、自身のセクハラ行為が社内に広がり、事態が大きくなってしまうことは避けたいはずで、社内の上の人間からセクハラの注意を受ければ行為をやめてくれる可能性があります。

 

社内のセクハラに関する相談窓口が存在するならば、そちらに相談しましょう。慰謝料請求する際にはセクハラ報告後の会社の対応によっても額が変わるため必ず会社に報告するべきで、会社が黙認した場合などで結果が変わってきます。

 

社内外の相談窓口を利用する

本人や上司のほかセクハラの相談ができる場所がありますので、そちらも検討しましょう。

 

個人で労働組合に加入する

通常、職場でトラブルが起きた際は社内の労働組合に助けを求めることになりますが、中小企業の場合は労組を設置していないことが多いです。そのようなときは個人で労働組合に加入しておくことで、セクハラにも対応してくれます。

 

総合労働相談コーナー

総合労働相談コーナーでは、解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどのあらゆる分野の労働問題を対象としています。全国に380ヶ所あるので、お近くのところをこちらから探しましょう。

参考リンク: 総合労働相談コーナー

 

セクハラのない職場への転職を考える

セクハラ被害に対して、会社が摘発に動いてくれない場合、今の会社から離れて別の会社に移った方がよい可能性があります。

 

自分の身は自分で守らなくてはなりません。今の会社に頼らず、働きやすい職場を自分で探し出していくことも考えていきましょう。

 

参考リンクで、女性の気持ちに寄り添ってくれる転職エージェントを紹介しておりますので、一度こちらのエージェントのカウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。

参考リンク: 女性の転職|転職経験者が本当に価値があると感じた転職エージェント6選

 

 

まとめ

もしもセクハラ行為を受けて被害が深刻なものであれば、会社や上司に相談をして解決の道を探りましょう。裁判となるとセクハラ行為を立証するための証拠(録音記録や写真、メール、セクハラ行為があったことを知る人の証言)が必要です。

 

場合によっては証拠を得ることが難しいこともありますが、法律の専門家である弁護士に相談をすれば事態が好転する可能性もあります。

この記事を監修した法律事務所

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プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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