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仕事を辞めたい人がうつになる前に読む休職・退職の全知識

更新日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
仕事を辞めたい人がうつになる前に読む休職・退職の全知識
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仕事を辞めたい方の中には、「うつ病になりそう。」「すでに心身に不調をきたしている。」というケースもあると思います。

厚生労働省の調査(2018年)によると、過去1年間にうつ病などのメンタルヘルス不調で1ヶ月以上休職した人がいる事業所は6.7%、退職した人がいる事業所は5.8%という結果になっています(平成30年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況|厚生労働省)。

うつ病などのメンタルヘルスは、心身に支障をきたし、業務だけでなくその人の日常生活にも深刻な影響をもたらす可能性があります。

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仕事を辞めたい原因と対処法

2018年に厚生労働省が行なった調査では、以下の結果が発表されています。

退職理由

参考:平成30年若年者雇用実態調査の概況|厚生労働省

上記の結果から、この項目では仕事内容、労働条件、人間関係にしぼって対処方法をご紹介します。

仕事が合わない・向いてないときは1年考える

失業保険などの退職後の保障制度は1年以上働かなければ利用できません。それに、1年間仕事を続けることで、仕事の楽しさや深みなど新しい発見ができるかもしれません。

仮に、自己都合による退職をした場合、基本手当(失業保険)の給付日数は以下のようになります。

被保険者期間ごとの基本手当(失業手当)給付日数

参考:ハローワークインターネットサービス|基本手当の所定給付日数

おすすめ記事:雇用保険の失業等給付(基本手当)とは|給付金額と申請方法

賃金・労働条件のミスマッチは社外に相談

  • サービス残業などの賃金未払い残業
  • 長時間労働でつらい など

労働に対して賃金が見合わない、労働条件が良くない場合は社外に相談しましょう。

なお、賃金や労働条件で疑問に思った場合は、相談ホットラインなどを利用することもできます。

 労働条件相談ホットライン

  • 受付時間
    月~金 / 17:00~22:00
    土・日 / 10:00~17:00
  • 連絡先
    0120-811-610

関連リンク:厚生労働省|労働条件相談ほっとライン

また、未払い賃金があった場合は、会社に請求することで取り戻せるケースもあるため、弁護士に相談してみましょう。

人間関係で悩んだらハラスメントの知識を身につける

人間関係で悩んでいる場合は、パワハラなどハラスメントの知識を身につけましょう。

ハラスメントは、過剰に反応すると逆ハラスメントになってしまうので、知識を身につけた上で『今置かれている状況がハラスメントにあてはまるか』を冷静に判断することが重要です。

  • 大人数の前で過剰に叱責される
  • 経験に見合わない仕事を押し付けられる
  • 休暇などの制度利用を阻害される

上記のような場合はパワハラの可能性もあるため注意が必要です。

ハラスメントは社内や社外の相談窓口を利用することで解決できることもあるため、まずは信頼できる上司や社内のコンプライアンス窓口に相談しましょう。

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仕事を辞めたくてうつ病になる前にとるべき行動

仕事を辞めたい場合に重要なことは、うつ病などのメンタルヘルスになる前に行動を起こすことです。

いつでも休職・退職ができる状態にしておくことで、『辞められない』プレッシャーが解消できることもあります。

この項目では、対処法や休職・退職などを踏まえた準備などについてご紹介します。

まずは相談

上司や社内窓口に相談

仕事を辞めたいときは、早い段階で上司や社内相談窓口に相談しましょう。

上司や社内への相談は辞めたい意志を表明したり、原因となる問題を解決したりするのに重要なことです。

休職や退職意志の表明、自分の状態やトラブルの報告のためにも必ず相談しましょう。

社外の相談窓口を利用

社内の人に相談するのが難しい場合は、社外の相談窓口を利用するのもひとつです。

窓口によっては、電話相談やメール相談も可能です。

  • 匿名で相談したい
  • 人と会うことがストレス
  • 相談していることを誰にも知られたくない

上記のような場合は、社外の相談窓口を利用してみましょう。

関連リンク:厚生労働省|働く人の「こころの耳メール相談」

病院で診断

うつ病などのメンタルヘルスに自己判断は危険です。

そのため、不調が続いた時点で心療内科や精神科などを受診することをおすすめします。

また、医師の診断書は休職や退職後の労災申請にも必要になりますので、おかしいな?と感じたら一度診察を受けるようにしましょう。

休職手続きをする

医師の指示で、休職したほうがいいと判断された場合は、上司にその旨を伝えて休職の手続きをしましょう。

休職制度がない会社の場合は会社の許可を得て一定期間休業する、休職制度がある会社の場合は当該制度に基づいて所定の申請書を提出するなどして、治療に専念するための期間を確保することが大切です。

転職活動を始める

仕事を辞めたいときは、転職などで他社に目を向けることで現状を見つめ直すことができます。

転職サイトに登録するなど、気軽に取り組めることからはじめましょう。

退職の準備をする

仕事を辞めたくても、退職後の生活費に不安を感じて辞められないという方もいるでしょう。

退職後の生活は以下の2つの選択肢があります。

  • 労災の休養給付で治療に専念する
  • 基本手当(失業保険)で転職活動をする

労災を申請する場合は労働基準監督署、基本手当(失業保険)を申請する場合はハローワークで手続きすることができます。

職場環境を変えることで改善される場合は、基本手当(失業保険)を申請しながら転職活動を行うのもひとつです。

人間関係の良い職場へ転職したい方へ

ブラック企業に勤め続けることは、いずれ肉体・精神共に大きなダメージを受けることに繋がります。自分がブラック企業に勤めていると分かった場合は早々に転職することをおすすめします。

少しでも『今の環境を変えたい』という気持ちがあれば、以下の『転職エージェント診断ツール』を利用してあなたに合った転職エージェントを探しながら、よりホワイト企業への転職を勝ち取るために転職活動を始めてみてはいかがでしょうか。

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うつ病になったときに考える退職後のこと

この項目では退職後の生活費などについてご紹介します。

うつ病は労災申請をして治療費を補償

うつ病などのメンタルヘルスは退職後に発症することも考えられるため、退職後に労災を申請することも可能です。

労災が認定された場合は、治療費や休業損害について補償を受けることができます。

ただし、労働災害と認定されるかどうかは、傷病が業務に起因すると認められる必要があります。

精神疾患の場合、労災認定が比較的厳格に審査されますので、申請したから必ずもらえるというわけではありません。

働ける場合は失業手当を申請する

うつ病などから回復し就労可能な状態であるが、職がないので失業中であるという場合は、ハローワークで失業手当を申請し、失業給付を受けて生活費をまかないながら求職活動を行うことができます。

ただし、失業手当は、あくまでも失業者が生活費の心配をしないで求職活動をするための給付制度です。

そのため、今すぐには働ける状態ではない場合は申請することができません。

未払い賃金などがないか確認する

サービス出勤や休日出勤などで未払いの労働賃金がある場合は、退職後も請求することができます。

ただし、未払い賃金の請求権は2年間の消滅時効期間があるため、請求を考えている場合はなるべく早い段階で請求しましょう。

会社にうつ病の治療費や慰謝料を請求する

パワハラなどのハラスメントでうつ病になって働けなくなった場合は、裁判などで会社や上司を訴えることも可能です。

なお、パワハラを訴える場合は証拠を揃えたり、会社との交渉が必要になるため弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

もう何も考えられないという方へ

ここまで、休職や退職に関する知識をご紹介してきましたが

  • うまく頭に入ってこない
  • 何も考えられない

という場合は、無理に物事を進めようとはせず、ただ休むことだけを考えましょう。

手段を選ばないで休む

会社を休むには、以下の方法がありますよね。

  • 病欠
  • 有給休暇
  • 退職

どの手段でも構いません。(入社したばかりで)有給がない・残っていない場合でも無理して出勤するとますます症状が悪化する可能性があります。

なによりも心身の健康が第一です。その場合は病欠して欠勤しましょう。ひとまず休養をとって、体調を整えることが最優先です。

困り果ててしまったら専門家に頼る

ストレスの原因は分からないけど、心身の不調や職場トラブルで困ったという場合は医師や弁護士などの専門家を頼りましょう。

心身の不調は医師、職場のトラブルは弁護士に相談することで解決が図れる可能性があります。

回復すれば働くことはいつでもできる

心身の不調を感じていても「メンタルヘルスで仕事を休んだら復職が難しくなるんじゃないか?」と考え方もいるでしょう。

メンタルヘルスは回復すればまた以前のように働けるようになります。

ただし、完治しないまま無理をして復職してしまえば再発することもあります。休むときはしっかりと休んで治療に専念しましょう。

仕事を辞めたいと思ったら自分最優先!

仕事を辞めるべきかということで悩むことは珍しいことではありません。

周囲のこと、家族のこと、今自分が着手している仕事のこと…辞められないと感じる理由はたくさんあると思います。

しかし、最優先すべきことはあなた自身のことです。精神的につらいと感じている場合は、自分最優先で考えるようにしてください。

この記事が仕事を辞めたいと悩んでいる方にとって解決のヒントとなれば幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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