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パワハラ行為を録音するのは違法?証拠集めポイントと弁護士に相談するメリットを解説

更新日
このコラムを監修
藤垣 圭介
弁護士
パワハラ行為を録音するのは違法?証拠集めポイントと弁護士に相談するメリットを解説

上司からの暴言や威圧的な発言に悩まされ、「このやり取りを録音してもいいのだろうか」「勝手に録音したら違法になるのでは」と不安を感じていませんか。

パワハラは目に見えない行為が多く、あとから事実関係を証明するのが難しいため、証拠の残し方に悩む方は多いはずです。

結論からいうと、一定の条件を満たせば、パワハラ行為を録音すること自体が直ちに違法になるとは限りません。

ただし、方法を誤ると証拠として使えなかったり、別のトラブルを招いたりするおそれもあります。

そこで本記事では、パワハラ行為の録音が違法となるケース・ならないケースを整理したうえで、証拠として有効な録音のポイント、録音以外に集めておきたい証拠、弁護士に相談するメリットまでをわかりやすく解説します。

泣き寝入りせず、適切に行動するための参考にしてください。

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職場でおこなわれるパワハラ行為を秘密録音しても問題ない?

パワハラ行為の加害者とはいえ、相手に知られない状態で音声を無断で録音する行為は、プライバシー侵害にあたる不法行為となる可能性があります。

そのため、このような方法で収集した証拠は、民事裁判でも採用されないのではないかと不安に感じる方も多いでしょう。

しかし、実務上は、職場でのパワハラ行為を秘密録音した音声データであっても、民事裁判では原則として証拠能力が認められると考えられています。

その理由は、民事裁判に適用される民事訴訟法において、「自由心証主義」が採用されているためです。

民事訴訟法では、違法に収集された証拠であることのみを理由に、直ちに証拠能力を否定する一般的な規定は設けられていません。

(自由心証主義)
第二百四十七条 裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。
引用元:民事訴訟法|e-Gov法令検索

このように、民事裁判では刑事裁判と異なり、証拠の証拠能力について比較的柔軟な判断がなされるため、秘密録音データであっても証拠として採用される可能性は高いといえるでしょう。

ただし、どのような秘密録音であっても無条件に証拠能力が認められるわけではありません

録音の方法や態様があまりにも悪質で、重大なプライバシー侵害をともなう場合には、信義則に反するとして、例外的に証拠能力が否定される可能性があります。

そのため、職場でのパワハラ行為を録音する場合には、将来的に民事訴訟へ発展する可能性も見据え、違法収集証拠として排除されないよう、事前に弁護士へ相談し、録音方法についてアドバイスを受けておくことが望ましいでしょう。

刑事手続きにおけるパワハラ行為の秘密録音データの扱い

刑事手続きでは、違法な捜査によって得られた証拠について、証拠能力が否定されることがあります(いわゆる違法収集証拠排除)。

しかし、職場の当事者が自ら録音した音声が直ちにこの枠組みで排除されると一概にはいえません

刑事での立件を見据える場合は、録音以外の補強証拠(診断書、メモ、メール等)も含め、提出方法を弁護士と整理しておくことが重要です。

パワハラを無断録音すると生じ得る2つのリスク

パワハラの録音データは、民事訴訟においては有力な証拠となり得ますが、録音行為によって以下のようなリスクが生じる可能性があります。

  • パワハラ行為を秘密録音すると懲戒処分の対象になりかねない
  • 秘密録音をすると慰謝料請求されるリスクがある

それぞれのリスクについて、詳しく見ていきましょう。

パワハラ行為を秘密録音すると懲戒処分の対象になりかねない

職場の就業規則の服務規律において「許可なき録音・撮影」「録音機器・携帯電話の持ち込み」などが禁止行為として掲げられている場合には、服務規律違反を理由に懲戒処分が下される危険性があります。

一般的に、懲戒処分は、戒告、譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇の7種類に分類されますが、就業規則違反に至った経緯や行為態様など、諸般の事情次第では、会社をクビになるリスクも生じかねません。

就業規則で録音行為などが禁止されているケースでは、パワハラ行為を立証するために秘密録音をする際に相当の注意が必要です。

懲戒処分の対象にならないように、また、外形的には懲戒処分の対象になるとしても相当の理由があったと判断されるために、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

秘密録音をすると慰謝料請求されるリスクがある

パワハラ行為の証拠を収集するためとはいえ、秘密録音は対象者のプライバシーを侵害する場合があります。

また、秘密録音データを公表する行為は名誉毀損に該当する可能性があるものです。

ですから、職場のパワハラ行為を無断で録音すると、不法行為責任を問われて、慰謝料請求されるリスクに晒されます。

このようなケースでは、パワハラ加害者との示談交渉で金額面で調整をするなどの対応が不可欠です。

あなたひとりだけで加害者側との争訟に対応すると、こちらの慰謝料請求は認められないのに、相手方からの慰謝料請求だけは認められるという事態にも陥りかねないので、必ず弁護士にサポートを受けてください。

職場でおこなわれるパワハラ行為を秘密録音する際のポイント5つ

職場でのパワハラ被害の実態を秘密録音するときのポイントを5つ紹介します。

  1. ボイスレコーダーで録音する
  2. 事前に録音の練習をしておく
  3. 日時を正しく設定しておく
  4. 相手の承諾を取らずに録音する
  5. 全ての録音データを保存する

それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

1.ボイスレコーダーを使用する

パワハラ行為時の音声を記録する場合、通常は特定の機材を用いたことで直ちに違法となるわけではありません。

ただし、パワハラの証拠を集めるときには、機材を服や鞄などに隠して、相手方にバレずに秘密録音に及ぶのが一般的でしょう。

そのため、パワハラの秘密録音をする際には、以下のような性能・特徴を備えたボイスレコーダーを活用するのがおすすめです。

  • 相手方にバレにくくどこにでも隠せる小型のボイスレコーダー
  • 相手方とある程度距離があったり、服などの遮蔽物があったりしても、しっかり録音できる集音機能が優れたボイスレコーダー
  • 録音データをパソコンなどでバックアップできる機能が備わったボイスレコーダー
  • ペン型や腕時計型など、ボイスレコーダーとは判別できない外形のボイスレコーダー など

スマートフォンを使って秘密録音するのも間違いではありませんが、最近のスマートフォンは大型化しているために隠しにくいですし、胸ポケットなどに忍び込ませたときに服ずれの音などが入り込んで適切に集音できない可能性があります。

また、少し画面に触れただけで録音機能が停止しかねません。

そのため、将来的な示談交渉や民事訴訟で活用できる有効な証拠を確保したいなら、適切な機能が備わったボイスレコーダーを用意してください。

2.事前に録音の練習をしておく

パワハラの証拠確保のために秘密録音をする場合には、録音の予行練習をしておくのがおすすめです。

なぜなら、ボイスレコーダーの操作に慣れておかなければ、ボタンの押し間違いで録音できなかったなどの事態になりかねないからです。

また、ボイスレコーダーを仕込む場所によって録音データの明瞭さが変わってくる点も把握しておく必要があります。

事前にシミュレーションをしておかなければ、服ずれなどの異音が混入したり、相手方と距離が遠すぎて音声が不鮮明だったりして、慰謝料請求の際の証拠として活用できないこともありえます。

どこにボイスレコーダーを隠したらバレにくいか、どの距離ならどの程度の音声が録音できるのかなど、当日を想定して最適な録音環境を見つけましょう。

3.日時の設定を正しく設定しておく

パワハラ行為を秘密録音するときには、ボイスレコーダーの日時設定を正確におこないましょう

なぜなら、録音データがいつのものか正確でなければ、録音時期が不明なものと判断されて、証明力が失われかねないからです。

場合によっては、秘密録音データの改ざん・偽造などが疑われる可能性もあります。

ボイスレコーダーの日時設定を正確にしておけば、いつどこで誰がどのようなパワハラ行為に及んだかを示す証拠として扱われるので、慰謝料請求などが認められる可能性が高まるでしょう。

4.相手方の承諾を取らずに録音をする

パワハラの証拠としてボイスレコーダーなどで録音をするときには、相手方の承諾がなくても直ちに違法となるものではありません

相手方の目につくところにボイスレコーダーを置いていたり、録音している旨を事前に伝えたりすると、相手方がパワハラ行為に及ぶ可能性はほとんどゼロになりますし、パワハラを立証する証拠を収集できなくなってしまいます。

そのため、慰謝料請求などを想定してパワハラの録音をするときには、相手に事前告知せず、相手方が察知できない方法を選択するのがおすすめです。

ただし、秘密裏な録音行為には、刑事裁判で証拠として扱われない可能性が高い、賠償責任を問われかねない、懲戒処分の対象になる可能性があるなど、いくつものリスクやデメリットが生じる点に注意が必要です。

法的リスクが少ない方法で録音をするには、弁護士のアドバイスが不可欠でしょう。

5.全ての音声をそのまま保存しておく

パワハラ行為を秘密録音したときには、収集した証拠は編集・切り取りをせず、そのままの状態で保存をしておきましょう。

部分的にでも編集や切り取りの痕跡があると、改竄や偽造の疑いが生じるため、証明力が低くなってしまうからです。

どれだけ長時間の元素材であったとしても、そのままの状態で裁判所に提出することで、有利な判断を引き出しやすくなるでしょう。

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職場でパワハラをされている場合に録音以外に集めたい証拠4選

録音データ以外に、職場のパワハラ被害を立証するときに役立つ証拠として、以下のものが挙げられます。

  1. メール、LINE、チャットなどのやりとり
  2. 日記やメモ
  3. 診断書
  4. 動画

録音が難しい場合でも、これらの証拠を集めることで訴訟を有利に進められる可能性があります。

それぞれの証拠について、詳しく見ていきましょう。

1.メールなど加害者とのやり取り

メールやLINE、チャットなどでパワハラがおこなわれたときには、不安や恐怖心があったとしても、削除やブロック対応などをせずにそのまま残しておきましょう

LINEなどのメッセージアプリのように、送信者がメッセージを削除できる機能が備わっているケースでは、送信されてきた文面をスクリーンショットして証拠として確保しておくのがおすすめです。

2.パワハラ被害をまとめた日記やメモ

日常的にパワハラ被害を受けているケースでは、何月何日何時頃、誰からどのようなパワハラを受けたのかについて、その都度日記やメモに残しておくと効果的です。

パワハラ事案の慰謝料額を決定する際には、パワハラがおこなわれた期間やパワハラの行為態様などの個別事情が細かく考慮されます。

そのため、日記やメモに記録する場合には、ただ単に「パワハラをされた」と抽象的に記載するのではなく、できるだけ具体的に被害内容を記すとよいでしょう。

3.病院を受診した際の診断書(けがなどがある場合)

パワハラ事案では、物を投げつけられたり暴力をふるわれてけがをしたり、うつ病などの精神疾患を患ったりするケースが少なくありません。

パワハラによってけがや病気などを負わされた場合には、必ず病院を受診して、医師に診断書を出してもらいましょう

専門家による公的な文書があることで、慰謝料請求や労災認定などで有利な解決を期待しやすくなります。

4.パワハラ行為を撮影した動画

パワハラ行為の様子を撮影した動画データがあれば、録音よりもパワハラを立証しやすくなります。

たとえば、録音だけでは、暴言を発している人物が誰かを特定しきるのが難しい場合があります。

また、物を投げつけられたり暴力をふるわれたりするケースでは、音声だけでは暴行行為の詳細を特定できません。

場合によっては、「録音されている音声は自分のものではない」「確かに物が壊れる音がしたが、投げつけたのではなく落としただけ」などの言い訳・反論をされるリスクが生じます。

一方、パワハラ行為当時の様子がそのまま動画として記録されていれば、パワハラ加害者の言い逃れを簡単に封じることができます。

ただし、ボイスレコーダーは胸ポケットなどに簡単に仕込めますが、動画を撮影するのは簡単ではありません

社内にスマートフォンを設置したり、同僚に撮影を依頼したりする必要があるので、動画撮影をする場合には、慎重に事前準備をしてください。

職場でパワハラ被害に遭っている場合は弁護士に相談しよう

職場でパワハラ被害を受けているときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談をしてください。

労使紛争への対応が得意な弁護士に相談・依頼することで、以下のメリットを得ることができるからです。

  1. 録音など証拠集めに関するアドバイスをもらえる
  2. 録音データを精査したうえでパワハラへの該当性を判断してもらえる
  3. 慰謝料請求などの法的措置を全て任せることができる
  4. 懲戒処分などの措置に対抗してくれる

1.録音など証拠集めに関するアドバイスがもらえる

パワハラ行為の録音をする際には、証拠の収集方法に注意が必要です。

なぜなら、あまりに悪質な証拠収集方法でパワハラの録音データを入手してしまうと、刑事裁判だけではなく民事裁判でも証拠能力が否定されかねないからです。

その点、弁護士に相談すれば、証拠能力が否定されずに済む録音方法などについてアドバイスをくれるでしょう。

また、パワハラを理由に加害者や会社を訴える場合には、録音データ以外の証拠が必要になるケースも少なくありません。

弁護士は、パワハラ事案の具体的な内容を聴取したうえで、確保するべき証拠の内容・種類についての助言も期待できます。

2.録音データをもとにパワハラになるか判断してくれる

パワハラ加害者に対する慰謝料請求などの法的措置が認められるためには、パワハラとされる行為が民法上の不法行為に該当する必要があります。

あなたがどれだけ「パワハラをされた」と感じていたとしても、不法行為責任が問われるような行為態様でなければ、相手方の賠償責任が認められることはありません。

そして、パワハラが民法上の不法行為に該当するかどうかの判断は簡単ではないのが実情です。

弁護士に相談・依頼をすれば、確保した録音データを確認したうえで、加害者の法的責任を追求できるかを判断してくれるでしょう。

【参考】賠償責任が発生するパワハラとは

パワハラの定義については、以下の規定が参考になります。

(雇用管理上の措置等)
第三十条の二 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
引用元:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律|e-Gov法令検索

ここから、民法上の不法行為責任が発生するパワハラは、以下の3要件全てを満たす行為だと導かれます。

  • 優越的な関係を背景とした言動であること
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  • 労働者の就業環境が害されるものであること

たとえば、以下のような行為が、典型的なパワハラとされています。

  • 身体的な攻撃(暴行、傷害)
  • 精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言)
  • 人間関係からの切り離し(隔離、仲間外し、無視)
  • 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
  • 過小な要求(業務上の合理性なく能力・経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じること、仕事を与えないこと)
  • 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

3.パワハラを理由とする損害賠償請求などを一任できる

パワハラを理由に慰謝料請求をする際には、会社側や加害者側との交渉、民事訴訟への対応が必要です。

弁護士に依頼をすれば、証拠資料や裁判所に提出する書類の準備や、相手方との話し合い、裁判手続きなど、全ての手続きを代理してもらえます

また、弁護士に示談交渉や訴訟対応を任せることで、慰謝料の増額などの有利な解決を期待しやすくなるでしょう。

4.懲戒処分などの措置に対しても適切に対応してくれる

就業規則で職場での録音行為が禁止されているケースでは、パワハラ行為の立証目的で録音行為に及んだとしても、懲戒処分が下される危険性があります。

弁護士に相談・依頼をすれば、聴聞の機会や労働審判などの場面で、就業規則に違反してでも録音行為に及ばざるを得なかった理由やパワハラ被害の実態などを丁寧に主張して、懲戒処分の回避や軽減を目指してくれるでしょう。

さいごに|パワハラ被害に遭っている場合は録音しておくのがおすすめ!

パワハラ被害を受けているときには、できるだけ早いタイミングでたくさんの録音データを確保するのがおすすめです。

パワハラ被害の状況を示す明瞭な録音データがあれば慰謝料請求が認められる可能性が高まりますし、相手方との交渉も有利に進めやすくなるでしょう。

なお、ベンナビ労働問題では、パワハラ被害などの労使紛争への対応が得意な弁護士を多数紹介中です。

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藤垣 圭介
弁護士
(埼玉弁護士会)
「ご依頼者さまの不安を少しでも軽減したい」という思いから、レスポンスの早さにこだわりをもって対応し、速やかな解決を目指している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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