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退職願の取り下げは可能?認められるケースや方法までわかりやすく解説

更新日
このコラムを監修
東日本総合法律会計事務所
加藤 惇
弁護士
退職願の取り下げは可能?認められるケースや方法までわかりやすく解説

退職願や退職届を出したあとに、「やっぱり会社に残りたい」「勢いで出してしまったけれど、取り下げたい」と悩んでいませんか?

一度提出した書類をなかったことにできるのか、不安に思う人は意外と多いものです。

本記事では、退職願や退職届を取り下げられる具体的な条件や、取り下げる方法について解説します。

また、会社へ連絡するときの例文や、もし取り下げを断られたときの対処法もあわせて紹介します。

適切に手続きを進めるための参考にしてください。

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退職願(退職届)の取り下げ・撤回は可能?できるとしたらいつまで?

一度提出してしまった退職書類を取り下げられるかどうかは、その書類が持つ法的意味合いによって決まります。

まずは、退職書類が以下2つのどちらに該当するかを確認しましょう。

  • 辞職の意思表示(一方的な退職の宣言)
  • 依願退職(会社への退職のお願い)

それぞれのケースで、取り下げができる期間やルールが異なります。

ここから、それぞれ詳しく解説します。

「辞職の意思表示」であれば原則として取り下げできない

辞職の意思表示とは、会社の承諾に関係なく「私は辞めます」と一方的に宣言することです。

この場合、退職届が会社に届いた時点で、退職の効力が発生します。そのため、あとから「やっぱり辞めるのをやめたい」と伝えても、原則として撤回はできません。

ただし、会社側が辞職の撤回に合意してくれた場合は、例外的に退職を取り消せるケースもあります。

この場合、法的には撤回ではなく、新しい契約を結び直したという扱いになります。

「依願退職」であれば決裁権限者が承認するまで取り下げが可能

依願退職とは、「退職させていただけませんか?」と会社にお願いすることです。

この場合、会社が退職を承諾するまでは、労働契約は終了しません。

そのため、決裁権限者が正式に承諾する前であれば、自分の意思で申込みを撤回できます。

ここで重要なのが、決裁権限者は誰かという点です。小さな会社であれば社長、大きな会社であれば人事部長などが決裁権限者にあたります。

書類がまだ直属の上司の手元にある段階や、決裁権限者に届く前であれば、取り下げが認められる可能性が高いです。

そもそも退職願と退職届の違いは?

一般的に、退職願と退職届は以下のように使い分けられます。

項目 退職願 退職届
概要 合意退職の申し込み
(依願退職)
辞職の意思表示
利用シーン 会社との協議を前提として退職を希望する場合 自主的に退職の意思を会社に示す場合
効力が発生するタイミング 決裁権限者が承認するまで 会社に到達した時点

表のように、一般的には「退職願=依願退職」「退職届=辞職の意思表示」と区別されます。

ただし、書類のタイトルが「退職届」であっても、すぐに辞職扱いになるとは限りません。

実務では、書類のタイトルだけでなく、書類の内容や提出までの経緯も重視されます。

合意退職の申し込みなのか辞職の意思表示なのかが曖昧な場合は、経緯などに照らして依願退職と判断されることもあります。

そのため、「退職届と書いて提出してしまったから、絶対に取り消せない」と諦める必要はありません。

例外的に退職願(退職届)の取り下げや無効の主張ができる3つのケース

原則として、一度会社に提出した退職届の撤回はできません。

しかし、民法に定められた「一定の事情」があれば、例外的に取り消しや無効を主張できます。

主なケースは、以下の3つです。

  • 強迫によって退職を迫られた場合
  • 錯誤(勘違い)や詐欺(騙し)によって退職願・退職届を提出した場合
  • 退職の意思表示が本心でないことを会社が知った場合

ここからは、それぞれのケースについて解説します。

強迫によって退職を迫られた場合

以下のように会社の人から脅されて無理やり退職届を書かされた場合などは、強迫にあたるとして取り消しが認められます。

  • 個室に閉じ込められて、退職届を書くまで帰してもらえなかった
  • 大声で怒鳴られたり、机を叩かれたりして恐怖を感じた
  • 「辞めないなら家族に危害を加える」などと脅された

錯誤(勘違い)や詐欺(騙し)によって退職願・退職届を提出した場合

以下のように会社に嘘をつかれたり、大きな勘違いをしたりして提出した場合も、錯誤や詐欺にあたるとして取り消しが認められます。

  • 「このままだと懲戒解雇になるから、今のうちに自分から辞めたほうがいい」と嘘を言われて、それを信じた退職届を提出した
  • 実際には解雇されるような理由はないのに、あると信じ込まされた
  • 「退職届を出せば退職金が出るが、出さないとゼロになる」と嘘をつかれた

退職の意思表示が本心でないことを会社が知った場合

本当は辞めるつもりがないのに退職届を提出した場合です。これを、法律用語で心裡留保といいます。

嘘だったとしても、「辞める」という退職の意思表示は有効となるのが原則です。

ただし、会社側が「本心では辞める気がない」と知っていた場合は、意思表示は無効となります。

  • 上司から「反省文の代わりに、形だけでいいから退職届を出して」と言われた
  • 「絶対に辞めさせないから、ケジメとして一応出してほしい」と指示された

お互いに形だけという共通の認識があったのなら、退職は成立しません。

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退職願(退職届)を取り下げる方法

すでに退職願や退職届を提出してしまっていても、まだ取り消せる場合があるので諦めないでください。

主に以下の3つの方法で、会社へ連絡してみましょう。

  • 口頭もしくは電話で取り下げの意思を伝える
  • メールやチャットで決裁者に取り下げの意思を伝える
  • 退職撤回通知書を送付する

会社にしっかりと自分の意思を伝えるには、一つの方法だけでなく、複数の方法を重ねて使うのが効果的です。

ここでは、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

口頭もしくは電話で取り下げの意思を伝える

まずは会社の人事責任者に、口頭または電話で「退職を撤回したい」と伝えてください。

メールや書面を送付する方法もありますが、相手が気づくまでに時間がかかってしまいます。

その間に、会社側で退職の承認が済んでしまうと、あとから取り消すことができなくなってしまうかもしれません。

口頭や電話では、以下の3点を伝えるのがポイントです。

  • 謝罪: 迷惑をかけたことを詫びる
  • 事実: もう一度よく考えた結果、働き続けたいと決めたことを伝える
  • 確認: 今後の働き方に関して意思を表明する

このとき、発信履歴や会話の内容をメモに残しておきましょう。手続きの状況をあらかじめ聞いておけば、会社に「もう手続きが終わっていた」と嘘をつかれるのを防げます。

メールやチャットで決裁者に取り下げの意思を伝える

電話で連絡を入れたら、すぐに同じ内容をメールやチャットでも送りましょう。電話だけでは「言った・言わない」のトラブルになる可能性があるからです。

送信先は、直属の上司だけでなく、人事部長などの決裁者を含めると確実です。

文面には、「先ほどお電話でお伝えした通り、退職の意思を撤回いたします」と明記してください。

また、撤回を申し入れたという証拠になるので、送信したメールやチャットの画面はスクリーンショットや印刷などで保存しておきましょう。

退職撤回通知書を送付する

会社側が口頭やメールでの撤回に応じてくれない場合は、退職撤回通知書を郵送しましょう。

これにより、退職を撤回する意思表示を、正式な書面として相手に届けられます。

さらに確実性を高めるなら、郵便局の内容証明郵便を使いましょう。

内容証明郵便を利用すれば、「いつ」「誰が」「どんな内容の」手紙を送ったかを郵便局が証明してくれます。

そのため、会社は「届いていない」と言い逃れができなくなります。

以下に、シンプルな通知書の形式を用意しました。

退職撤回通知書テンプレート

退職撤回通知書

令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇 様
氏名:〇〇〇〇
住所:〇〇〇〇

件名:退職の撤回について

このたび、令和〇年〇月〇日付で提出いたしました退職届につきまして、諸般の事情により撤回させていただきたく、ここに通知いたします。
つきましては、引き続き勤務を希望いたしますので、何卒ご理解とご承認を賜りますようお願い申し上げます。

住所:〇〇〇〇
氏名:〇〇〇〇

もし、会社からの嫌がらせ(強迫)や勘違い(錯誤)が理由で取り消したい場合は、都度その旨も書き加える必要があります。

書き方に不安があれば、労働問題に強い弁護士に相談したうえで書面を作成しましょう。

退職願(退職届)の取り下げが認められなかったら?

「もう手続きが終わったから無理だ」と会社から断られても、すぐに諦める必要はありません。

一度は断られても、交渉次第で結果が変わる可能性があるからです。

ここでは、取り下げを拒否されたあとに取るべき3つの行動を紹介します。

会社と改めて交渉する

自分から退職願(退職届)を提出した場合でも、再度会社と交渉する方法も考えられます。

会社側としても、新しく人を雇って育てるには多くのお金と時間がかかります。

もしあなたに実力があり、会社にとって必要な人材であれば、「辞めずに残ってくれるなら助かる」と考えてくれるかもしれません。

誠実な態度で話し合えば、会社が考え直してくれる可能性があります。

「やはりこの会社で働きたい」という強い気持ちを、改めて伝えてみてください。

無効の主張が認められるべきケースなら改めて取り消しを主張する

退職願を提出した背景に、詐欺・強迫・錯誤などの事情があれば、退職の意思表示を取り消せます。

会社が「もう退職願(退職届)を受理したから無理だ」と主張しても、そもそも退職願(退職届)自体が無効であれば、受理も成立しません。

強気な態度で断られても、「法律に基づいて取り消します」と明確に伝えましょう。

会社に伝える際は、会話の録音やメールの履歴など、証拠を提示しながら主張すると効果的です。

労働問題に強い弁護士に相談・依頼する

ひとりで会社と交渉しても、相手にされないかもしれません。中には嘘をついて、強引に退職させようとするケースもあります。

自力での解決が難しいと感じたら、弁護士に相談・依頼しましょう。

労働問題に強い弁護士に依頼すれば、法的な根拠を示しながら、あなたの代わりに会社と交渉してくれます。

労働問題に強い弁護士を探すときは、「ベンナビ労働問題」の利用がおすすめです。

ベンナビ労働問題では、お住まいの地域や相談内容に応じて、状況に応じた弁護士を簡単に検索できます。

「誰に頼めばいいかわからない」と迷ったら、まずはベンナビ労働問題を使って弁護士を探しましょう。

さいごに|退職願を取り下げられる条件と方法を確認しておこう!

本記事では、退職願や退職届を取り下げられる具体的な条件や、取り下げる方法についてわかりやすく解説しました。

退職願なら「会社が承認する前」、退職届なら「会社に届く前」であれば、取り下げられる可能性があります。

また、脅されたり騙されたりして書かされた場合は、提出した後でも取り消しを主張できます。

取り下げる際は、まず電話ですぐに伝えてから、メールや書面で証拠を残すのが確実です。

それでも会社が認めてくれない場合は、弁護士への相談を検討しましょう。

労働問題を得意とする弁護士は、「ベンナビ労働問題」を使えば簡単に探せます。

迷っている間にも、会社の手続きはどんどん進んでしまいます。取り下げたい場合は、早めに動き出しましょう。

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