労災の申請は「聞いたことはあるけど、よく知らない。」という方が多いと思います。仕事や通勤中に怪我や病気をした際に労災を申請すると治療費や生活費の補償などを受給することができます。
引用元:厚生労働省|令和元年度「過労死等の労災補償状況」を公表
労災申請や給付需給は近年、増加しつつあります。
もしもの時が起こる前に、申請方法や給付制度について理解しておきましょう。
労災申請をしようとしている方へ
- 会社の命令通りに作業を行ったのにケガをした
- 労災認定をしたが補填が不十分である
- 労災で後遺症が残ってしまった
- 仕事上の事故でケガをしたのに会社が十分に対応してくれない など
上記のようなお悩みを抱えている方は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
労災の被害にあわれた方は、労災保険とは別に会社へ損害賠償請求をすることができる可能性があります。
弁護士に相談をすれば、あなたの労災の状況で、会社へ損害賠償請求ができるか分かる事でしょう。
さらに依頼をすれば、会社への請求から後遺障害等級などの各種手続きまで任せることが可能です。
初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはお気軽にご相談ください。
この記事に記載の情報は2023年12月05日時点のものです
労災にあったときに知っておくべき申請方法
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通勤中に事故にあった
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仕事の作業中に怪我をした
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パワハラや長時間労働でうつ病になった
上記のような場合は、労災や通災になるので労災・通災補償給付・年金制度を利用することができます。この項目は申請までの大まかな流れや申請書類についてご紹介します。
労災は労災保険指定医療機関か取扱病院で受診する
労働災害・通勤災害は業務外の私傷病とはまったく別の扱いになるため、治療を受ける際に健康保険が使えません。
この場合、厚生労働省が定めた労災保険指定医療機関か最寄りの取り扱い病院で治療を受けるか、指定外の病院で受けた治療の治療費を後日請求することになります。なお、診察を受ける際は、あらかじめ労働災害であることを伝えましょう。
関連リンク:厚生労働省|労災保険指定医療機関検索
申請書は労働基準監督署で入手する
治療などを受けた際は、給付申請書類を提出する必要があります。申請書類は、会社で申請用紙を用意してくれることもありますが、労働基準監督署のホームページからダウンロードすることも可能です。
関連リンク:厚生労働省|労災保険給付関係請求書等ダウンロード
申請書の書き方・記入例
引用元:厚生労働省|療養(補償)給付の請求手続
労災の申請書類は上記のようになっています。ここでは、記入時につまずきやすいポイントについてまとめました。
『労働保険番号』の調べ方
労働保険番号は、一般的に会社の人事総務で管理されています。もしも会社が労災に協力的でない場合は、公共職業安定所(ハローワーク)に来所して調べてもらうことも可能です。
労災を申請する際、中段に会社側が証明として記入する欄があります。事業主からの証明がもらえなかった場合は、「会社からの協力が得られなかった」旨を記載した書面と医師の診断書を添付して提出しましょう。
添付資料をつけることで、会社記入欄を白紙のまま提出することが可能になります。
管轄の労働基準監督署の調べ方
管轄の労働基準監督署は、厚生労働省のホームページから検索することができます。
下記リンク先から会社が所在している都道府県を選択すると各地域を管轄している労働局、労働基準監督署、公共職業安定所(ハローワーク)が確認できます。東京都や大阪府など、市区町村が細かく別れている都道府県では管轄も分かれるため、必ず調べましょう。
関連リンク:厚生労働省|都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧
申請書類を会社・労働基準監督署に提出
必要な書類が揃ったら、会社を通じて労働基準監督署に提出します。ただし、会社が協力的でない場合や退職してしまった場合は労働者が労働基準監督署に直接提出することも可能です。
労災認定で受け取れる給付制度と申請方法
労災保険は認定された場合、以下のような給付を受け取ることができます。この項目では主な給付制度と申請方法などについてご紹介します。
仕事や通勤中に怪我・病気をしたときの給付制度
仕事や通勤中に怪我・病気をした場合は、療養(補償)給付を受けることができます。療養(補償)給付では、労災保険指定医療機関での医療サービス(現物支給)や治療にかかった費用が補償(現金支給)されます。
労災での怪我や病気の治療費用は、全額支払われるため労働者が負担することはありません。給付は、表にある申請書類の中であてはまるものを労働基準監督署に提出すれば申請できます。
関連リンク:厚生労働省|療養(補償給付)の請求手続
申請に必要な書類
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共通
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(非指定医療機関用)
(診機様式第1号の3)
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業務災害
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(様式第7号(1))
(薬局)_業務災害用(様式第7号(2))
(柔整)_業務災害用(様式第7号(3))
(はり・きゅう)_業務災害用(様式第7号(4))
(訪看)_業務災害用(様式第7号(5))
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通勤災害
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(様式第16号の5(1))
(薬局)_通勤災害用(様式第16号の5(2))
(柔整)_通勤災害用(様式第16号の5(3))
(はり・きゅう)_通勤災害用(様式第16号の5(4))
(訪看)_通勤災害用(様式第16号の5(5))
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怪我・病気で仕事を休むときの給付制度
怪我、病気で自宅療養や入院し働くことができなくなった際は、休業(補償)給付・休業特別支給金を受けることができます。休業(補償)給付と休業特別支給金は、休業してから4日目以降から支給されます。なお、3日目までの収入に関しては、会社から支払われることになります。
休業(補償)給付、休業特別支給金で支給されるお金は以下の通りです。ちなみに、『1日あたりの労働賃金』は、賞与を除く直前3ヶ月に支払われた労働賃金を、その日数で割ったものになります。
休業(補償)給付 = (1日あたりの労働賃金) × 60% × 休業日数
休業特別支給金 = (1日あたりの労働賃金) × 20% × 休業日数
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休業(補償)給付・休業特別支給金は、以下の書類を管轄の労働基準監督署に提出すれば申請できます。
申請に必要な書類
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共通
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(様式第8号)
(様式第8号(別紙2))
(様式第16号の6)
(様式第16号の6(別紙2))
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障害が残ってしまったときの給付制度
労災による怪我で治療を開始してから1年6ヶ月経った時点で傷病が軽快せず、これが一定の障害と認められる場合は収入の保障として傷病(補償)年金を受け取ることができます。
傷病(補償)年金は申請した翌月から支給が開始され、偶数月に支給されます。給付金額は障害の程度などによって異なりますが、245日〜313日分の労働賃金と100万円〜114万円の一時金が支払われます。
申請に必要な書類
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共通
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(年金申請様式第10号)
(様式第37号の2)
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また、障害の程度によっては障害(補償)一時金が支払われることもあります。支給額は、56日〜503日分の労働賃金と8万円〜65万円の一時金です。
介護が必要になった場合
傷病(補償)年金と障害(補償)一時金を受給している方の中で、以下のように重度障害が残ってしまった場合には介護(補償)給付という制度もあります。
介護(補償)給付は、常時介護の場合は最大10万4,950円、随時介護の場合は最大5万2,480円までの上限範囲内で受給できます。
労働者が死亡した場合に遺族が受け取れる給付制度
労働災害で労働者が死亡してしまった場合、遺族は遺族(補償)給付と葬祭料が支払われます。遺族(補償)給付は遺族の人数に応じて、153日〜245日分の労働賃金と一律300万円の一時金が支払われます。
引用元:厚生労働省|遺族(補償)給付 葬祭料(葬祭給付)の請求手続
申請に必要な書類
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共通
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(年金申請様式第1号)
(様式第13号)
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業務災害
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(様式第12号)
(様式第15号)
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通勤災害
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(様式第16号の8)
(様式第16号の7~10(別紙))
(様式第16号の9)
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また、葬祭料(葬祭給付)は葬祭料の一部をまなかえるだけのお金が支払われます。
葬祭料(葬祭給付) = 31.5万円 + (1日あたりの労働賃金) × 30日分
※上記金額が60日分の労働賃金に満たない場合は差額分が追加支給
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申請に必要な書類
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共通
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(様式第16号)
(様式第16号の10)
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労災の給付申請には時効がある
労災の給付申請には時効があります。療養(補償)給付や休業(補償)給付に関しては2年、障害(補償)給付や遺族(補償)給付は5年経過すると時効によって請求権がなくなってしまいます。
第四十二条 療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、療養給付、休業給付、葬祭給付、介護給付及び二次健康診断等給付を受ける権利は、二年を経過したとき、障害補償給付、遺族補償給付、障害給付及び遺族給付を受ける権利は、五年を経過したときは、時効によつて消滅す
引用元:労働者災害補償保険法
請求できる給付
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時効
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療養(補償)給付
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休業(補償)給付
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介護(補償)給付
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葬祭給付
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二次健康診断等給付
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2年
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5年
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労災申請のときに気になる未加入・拒否・棄却トラブル
この項目では、労災申請の際によくあるトラブルと対処法についてご紹介します。
労災保険に未加入だった場合
労災保険は、労働者であれば原則『強制加入』なので、未加入の場合会社側には保険料や給付金の追加徴収などがあります。
一方、労働者に関しては、未加入でも保障を受けることができます。未加入であることを労働基準監督署に伝えて必要な手続きを行いましょう。
会社が労災申請を拒否した場合
会社が労災の申請を拒否した場合は診断書などを用意すれば、会社が記入すべき箇所を白紙のまま申請することができます。
会社が労災申請に協力してくれなかった場合の対処法は、『事業主の証明』をもらえない場合でもご紹介していますので合わせてご覧ください。
労働基準監督署に棄却されてしまった場合
労災申請をして労働基準監督署に認定されなかった(棄却された)場合は、労働局に『審査請求』『再審査請求』ができます。
審査請求を希望する場合は、労働基準監督署に棄却されてから3ヶ月以内に各都道府県労働局に書面を提出しましょう。
関連リンク:厚生労働省|再審査請求書等の様式
労災の申請を弁護士に依頼するメリット
労災の申請は弁護士からのサポートを受けることもできます。『会社が労災を認めない』『労働基準監督署からの認定がおりなかった』という場合は、弁護士への相談も考えましょう。
労災申請のための証拠集めをしてもらえる
『労働基準監督署に棄却されてしまった場合』でも述べましたが、労災認定は審査請求や再審査請求などを行うことができます。
弁護士に労災申請を依頼した場合、怪我や病気と業務の関連性を示す証拠集めを行うなどでサポートを受けることが可能です。
会社が協力してくれない場合のサポートをしてもらえる
会社が労災を認めない『労災隠し』は違法行為です。労災隠しは労働基準法違反として、事業主に罰金や懲役刑などが課されることもあります。このような場合は、早い段階で弁護士に相談するようにしましょう。
まとめ
労働災害が起こってしまった場合、やはり気になるのは治療費や生活費などお金のことでしょう。労災の給付申請などでわからないことがあった場合は、被災労働者本人や家族が労働基準監督署に来所し確認することも可能です。
受け取れる給付はしっかり申請して、お金の心配を少しでも取り去って怪我や病気の治療に専念しましょう。
この記事で、労災の申請方法に関する疑問が解消されれば幸いです。
労災申請をしようとしている方へ
- 会社の命令通りに作業を行ったのにケガをした
- 労災認定をしたが補填が不十分である
- 労災で後遺症が残ってしまった
- 仕事上の事故でケガをしたのに会社が十分に対応してくれない など
上記のようなお悩みを抱えている方は、一度弁護士に相談することをおすすめします。
労災の被害にあわれた方は、労災保険とは別に会社へ損害賠償請求をすることができる可能性があります。
弁護士に相談をすれば、あなたの労災の状況で、会社へ損害賠償請求ができるか分かる事でしょう。
さらに依頼をすれば、会社への請求から後遺障害等級などの各種手続きまで任せることが可能です。
初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはお気軽にご相談ください。