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ホーム > 労働問題コラム > パワハラ > モラハラをする上司への賢い対処法7つ|指導とハラスメントの境界線とは

モラハラをする上司への賢い対処法7つ|指導とハラスメントの境界線とは

更新日:2021年05月28日
労働問題弁護士ナビ編集部
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モラハラとは、職場での優越的地位を背景として、業務上適正な範囲を超えて、相手に対し肉体的・精神的苦痛を与えたり、その職場環境を害する行為と考えられています。例えば、上司・部下という関係があれば「優越的地位」は認められやすいでしょう。

 

どのような行為が具体的にモラルハラスメントであるのかについて明確な基準はなく、社会常識に照らして判断せざるを得ません。

 

一般的には上司から以下のような行為がされればモラルハラスメントに該当する可能性があります。

 

  • 「死ね」「辞めろ」「馬鹿」など人格否定のような文句を言われる。
  • 他職員の前で大声で怒鳴りつけられたり、吊るし上げられたりする。

 

モラハラ被害者は「自分が悪い」と思い込んでしまうケースが多いですが、そうではありません。モラハラは受ける側の問題ではなく、モラハラをする側の問題です。モラハラを解決するための第一歩として、問題は自分ではなく相手にあると知ってください。

 

 

必要以上に自分を責めたり誰にも相談できずに思い悩んだりすることが減るでしょう。証拠を集めるなど、より具体的な行動を起こしやすくもなります。

 

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「指導」と「モラハラ 」の境界線

上司の指示・指導が適正な範囲に留まっていれば、これがモラハラ スメントになることはありません。そのため、指示・指導が業務上適正なものかどうかの区別・判断は重要です。

 

(1)業務上適正な範囲に留まるといえるケース

業務に関連して行われ、業務上の必要があり、かつ態様も相当な方法でなされた指導は、基本的には適正なものと評価されるでしょう。例えば、以下のような場合です。

 

  • 仕事でミスをした理由を聞かれ、準備不足が原因だったため「事前に準備するべきであったのにしなかったのは怠慢である」旨叱責された
  • 不注意によるミスが続いたため、「同じミスを繰り返してはならない」旨叱責され、ミスの原因を検討して報告するよう指示された。

 

(2)業務上適正な範囲と言い難いケース 

逆に、業務と関連しない指示・指導、業務上必要性が認め難い指示・指導、態様が不適切・不相当な指導は、業務の適正な範囲を超えていると評価される可能性があります。例えば以下のようなケースです。

 

  • 上司の私物管理や私的用事の手伝いを指示される。
  • 期限が相当に先の仕事を数日中に全て完了するように指示される。
  • 業務上のミスに対して暴力を振るわれたり、「死ね」「辞めろ」「損失を補填しろ」などの暴言を吐かれる。

 

上記はわかりやすい事例を挙げましたが、実際には業務上の適正な範囲を超えているかどうか判断が難しいケースも多々あります。上司側が誤解させるような行為やハラスメントと受け止められかねない行為を控えるべきことは当然です。

 

ただ、労働者側も自分が不快に思った、不満に思ったという主観的理由のみでハラスメントと決めつけることは控えましょう。モラハラ スメントかどうかは、行為者や受け手が主観的に決める問題ではなく、あくまで客観的に決まる問題であることに留意しましょう。

 

 

上司(会社)の指導・指示がハラスメントに当たるとして慰謝料の請求が認められた事例

東芝府中工場事件

製造業の工場に勤める原告が、上司にあたる製造長から受けた注意・指導に対し「人格権を侵害された」などと主張して、上司および会社に対して欠勤中の賃金および慰謝料を請求した事例です。

 

判決では、上司には従業員を指導監督する権限があるのだから、指導監督のために叱責や始末書・反省書等の作成を求めること自体に違法性はないとしています。そのうえで、権限の裁量を超えたり合理性がなかったりする場合には裁量権の濫用にあたり違法性を有するとも述べています。

 

具体的には、原告が業務に関して安全衛生上必要な措置をおこなわなかったとして上司が注意や反省書の提出を求めたことは、指導の目的や様態に合理性があるとしました。

 

一方で、有給休暇を申請する方法(電話のかけ方)などの軽微な過誤について執拗に反省書等の作成を求めたり後片付け行為の再現を求めたりした点については、裁量の範囲を逸脱しており違法性を有するとして原告の請求を一部認めました。

 

※参照:厚生労働省|あかるい職場応援団

※参照:全基連|判例検索

 

バンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件

外資系銀行で課長職にあった原告が課長補佐職相当へ降格、さらに受付業務担当へ降格させられたことが人格権の侵害にあたるとして慰謝料を求めた事例です。

 

判決では、使用者による人事権の行使は社会通念上著しく妥当を欠き、権利の濫用にあたると認められない限り違法ではないと述べています。そのうえで裁量権の範囲は業務上・組織上の必要性、労働者の能力や適性、労働者が受ける不利益の性質・程度といったさまざまな点が考慮されるべきだとしています。

 

具体的には、課長補佐職相当への降格は業務上・組織上、高度の必要性があったと認められるため裁量権の範囲を逸脱するとはいえないとしました。一方で、受付業務への降格は勤続33年におよび課長職まで経験した原告にふさわしい職務だとは到底いえず、原告の人格権を侵害し裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとして慰謝料の請求を一部認めました。

※参照:全基連|判例検索

 

 

モラハラ上司を何とかしたいと思ったときの対処法

                                                                                  

冷静に対応する

あなたが下を向いて萎縮するほどモラハラ上司は「この人を支配できている」と認識し、攻撃性を強めてきます。一方、モラハラ上司に対して反抗的な態度をとっても逆効果になるだけです。

 

そこで大切なのは、上司の発言を冷静に聞き、なぜ自分がそのような行動をしたのか(経緯や理由)を淡々と説明することです。モラハラに動じない様子を見れば、上司はあなたを攻撃する意味を失い態度が軟化する可能性があります。

 

モラハラ上司をけん制するポイント

対応する際は上司の目を見ることが大切です。人は目を見られるとどこかで後ろめたい気持ちが生じ、攻撃しにくい心理がはたらくからです。また、モラハラ行為を認識していない上司に対しては次のような言動も効果があります。

 

  • できるだけほかの社員がいる前で「そこまでいわれるとこちらも辛いです」と述べる
  • プライベートの干渉に対して「プライベートなことですので…」とやんわりと断る

 

正当な理由があれば拒否することも必要

はっきりと意思を伝え、嫌なものは嫌だと伝えることも必要です。我慢すればその場しのぎにはなりますが、状況が改善されることはありません。

 

労働契約を締結すると、会社には「業務命令権」が発生すると解されています。一般的には部長や課長などの役職者が業務命令権をもつため、正当な理由のある業務命令には従う必要があります。

 

一方で、次のような業務命令には従う必要はありません。

 

  1. 労働関連法やそのほかの法律に違反するもの
  2. 労働契約や就業規則に反するもの
  3. 人権や個人的自由の侵害や差別的(性別・国籍など)な命令にあたるもの
  4. 命令に従うと命の危険が生じるなど労働者に多大な不利益が被るもの
  5. そのほか合理的な理由のないもの(例:プライベートの付き合いを強要する、上司の私的な買い物を命令されるなど)

 

同じ職場で味方を探す

味方になってくれる可能性があるのは信頼できる先輩や同僚です。モラハラそのものを相談するのが難しければ、仕事のやり方などを相談してもよいでしょう。上司から否定的な言葉ばかりを投げ掛けられていると自分を信じられなくなってしまいます。

 

しかし職場でモラハラ上司以外の人と密にコミュニケーションをとっていると、自分は悪くないと信じることができます。味方を増やしておくことで、モラハラ上司が孤立させようとしてきても対応できるでしょう。

 

上司からモラハラを受けた証拠を集める

モラハラは被害に遭った事実や状況が周囲から見て分かりにくいため、証拠を集めることが重要です。

 

(証拠収集の具体例)

  • ・モラハラの様子を録音する
  • ・上司からのメールやLINEの履歴を残す
  • ・モラハラの詳細をノートに記録する

 

 

最近はペン型のボイスレコーダーなども市販されていますので上手に使ってください。

 

通報窓口へ相談する(社内・社外)

社内の通報窓口としては、コンプライアンス部門や人事部門などが考えられます。いじめやハラスメントなどの問題を匿名で相談できる窓口が設けられている会社もあります。

 

もともと会社には「職場環境配慮義務」があるため、ハラスメントを放置するのは許されないと解されています。そのためまともな会社であれば対応にも期待できるでしょう。

 

社内の通報窓口への相談が難しい場合は社外の相談先として労働局、労基署、弁護士などが挙げられます。

 

パワハラとして相談するのが有効

相談する際はモラハラというよりパワハラ事案として相談するのが有効です。というのも、令和元年にパワハラ対策の法制化(労働施策総合推進法の改正)がおこなわれており、事業主がパワハラ防止のために必要な措置を講じることが義務づけられたからです。

 

通称パワハラ防止法と呼ばれ、施行日は令和2年6月1日、中小企業は公布日(令和元年6月5日)後3年以内の政令で定める日まで努力義務です。改正法によれば、パワハラとは以下の3つをすべて満たすものと定義づけられています。

 

  • 優越的な関係を背景とした
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
  • 就業環境を害すること(身体的もしくは精神的な苦痛を与えること)

 

※参照:厚生労働省|リーフレット「パワーハラスメント対策が事業主の義務となります!」

※参照:東京労働局|パワーハラスメント対策

 

上司からのモラハラは、上司と部下という優越的な関係が背景となっていることは明らかです。さらにそれが指導の範囲を超えた言動であり、精神的な苦痛を生じさせるものであれば上記のパワハラの定義に該当する可能性が高いでしょう。

 

もともとモラハラはパワハラの一種だと解されていますが、パワハラ事案として相談したほうがよりスピーディーな対応に期待できます。

 

上司にモラハラをやめるように要求する

モラハラの証拠をそろえたら上司に「こんな行為はやめてほしい」と要求することができます。とはいえ、モラハラ被害者が加害者である上司と直接対峙するのは簡単ではありません。

 

そこで会社に対して「ハラスメント差止要求書」を送付し、解決を図る方法があります。いつ誰がどんな内容で送ったのかを証拠として残すために、内容証明郵便を利用するのが一般的です。

 

法的な手段に訴える

法的な手段には「犯罪が成立するとして刑事告訴する」か「民事上の損害賠償を請求する」のかの2種類があります。

 

刑事の場合は次のような犯罪が考えられます。        

 

・脅迫罪(刑法第222条)

・強要罪(刑法第223条)

・侮辱罪(刑法第231条)

・名誉毀損罪(刑法第230条)

 

上司のモラハラが非常に悪質であれば、刑事責任を問うために刑事告訴するのも選択肢のひとつでしょう。ただし犯罪の成立要件を満たす必要があるため、告訴状が受理されるためのハードルは高いという点も知っておいてください。

 

民事訴訟の場合は、主にモラハラを受けた精神的苦痛に対する慰謝料や欠勤中の賃金などを請求することになります。

 

法的手段を検討の場合、まずは弁護士へ相談を

いずれの場合も、モラハラ行為における違法性の有無や今後取り得る法的手段について弁護士へ相談されたほうがよいでしょう。自分だけでやみくもに動いても思うような結果にならないだけでなく、モラハラが激しくなる、職場で孤立させられてしまうなどのリスクがあります。

 

弁護士へ早めに相談しておくと証拠の集め方や有効性などについてアドバイスが受けられますし、精神的な安心感にもつながるでしょう。実際に法的手段を利用する際にもスムーズです。

 

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まとめ

モラハラ について簡単に解説しました。本記事がモラハラ で悩んでいる人にとって少しでも参考となれば幸いです。

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この記事の執筆者
労働問題弁護士ナビ編集部
職場の労働問題・法律分野に深く関わるチームが『職場の不満解決法』や『労働問題の具体的なアドバイス』を、弁護士協力のもと正しい情報提供を行います。
編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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