
労働組合の結成の手続は思っているほど難しくないことを知っていますか?
労働組合は労働者の賃金・労働環境といった労働条件その他待遇を改善することを目的とした団体です。
労働組合の発足は18世紀の産業革命時代と言われています。
自分たちで労働組合を作るなんて考えたことなかったが、参加したいけど会社に組合がないという方もきっといると思います。
この記事では、そんな労働組合の作り方についてご紹介していきます。
3ステップでできる労働組合の作り方
労働組合そのものを作ることは、決して難しいことではありません。
必要な人員を集め、結成にあたり必要なことを順々に決めていくことで、労働組合は完成されます。
労働問題における企業との交渉時に活躍するのでさぞ大変な手続が必要なのではと思われる方も多いでしょうが、実はそんなこともないのです。
実際に労働組合の作り方をご紹介していきましょう。
1:組合の結成
労働組合は団体であるため、発起人を含めて2人以上の労働者で組合を組織することが必要です。
単独での結成はできませんが、2人以上の労働者がいれば結成自体は可能です。
2:組織の形成
労働組合は組織化された団体であり、単なる集団ではありません。
この組織化を果たすためには、組合規約の作成、規約に基づく意思決定機関の組成、予算の編成と承認といったプロセスを履践する必要があります。
なお、労働組合は労働組合法で規律される団体であり、組合規約には以下のような事項を盛り込む必要があります。
一 名称
二 主たる事務所の所在地
三 連合団体である労働組合以外の労働組合(以下「単位労働組合」という。)の組合員は、その労働組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取扱を受ける権利を有すること
四 何人も、いかなる場合においても、人種、宗教、性別、門地又は身分によつて組合員たる資格を奪われないこと。
五 単位労働組合にあつては、その役員は、組合員の直接無記名投票により選挙されること、及び連合団体である労働組合又は全国的規模を持つ労働組合にあつては、その役員は、単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票に選挙された代議員の直接無記名投票により選挙されること
六 総会は、少くとも毎年一回開催すること
七 すべての財源及び使途、主要な寄付者の氏名並びに現在の経理状況を示す会計報告は、組合員のによつて委嘱された職業的に資格がある会計監査員による正確であることの証明書とともに、少くとも毎年一回組合員に公表されること
八 同盟罷業は、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数による決定を経なければ開始しないこと
九 単位労働組合にあつては、その規約は、組合員の直接無記名投票による過半数の支持を得なければ改正しないこと及び連合団体である労働組合又は全国的規模を持つ労働組合にあつては、その規約は、単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票による過半数の支持を得なければ改正しないこと
(引用:労働組合法第5条2項)
3:結成大会
上記のような組織形成が完了した段階で、規約に基づく意思決定会議(組合大会)を開催し、組合規約や意思決定機関の承認決議を行います。
当該承認を経て初めて組合規約は効力を発揮しますし、組織も法的に意味を持つようになります。
団体交渉を含む活動には組合規則に基づいて行う
結成大会が終了すれば、労働組合が成立しますので、この段階から企業との交渉を行うことが可能となります。
労働組合は、組合員全体を統制する権能を有しますが、その権能も絶対無制限のものではありません。
例えば、団体交渉を含む組合活動は全て組合規約に基づいて実施される必要があります。
また、特定の組合員の賃金等重要な労働条件に関わる決定を行うには当該組合員による特別な授権が必要となることもあります。
労働組合を作るとき気を付けること
労働組合を組織するに当たり、構成員は一定程度同じ方向を向いている方が望ましいといえます。
というのも、当初から意見がバラバラであったり、政治信条が相容れないとういケースでは、まとまるものもまとまらず、団体としての活動が困難となってしまう可能性があるからです。
また、組合活動を行う上では、機密とすべき事項も多々生じてくるものです。
そのため、構成員が情報の取扱いに配慮できる人物かどうかも重要です。
誰でもいいからと選ぶのではなく、それぞれが信頼できる者を募るようにしましょう。
労働組合結成に伴うメリット
労働組合を作ることにより、それに対してメリットがあります。
会社との交渉がスムーズに進む
一番に、その活動が法律によって守られているので会社の交渉をスムーズに進めやすくなります。
それ以外にメリットとして挙げられるのは、次のような点です。
・賃金及び労働条件の向上へと方針を向けてくれる
・働きやすい職場づくりを手助けしてくれる
会社にも恩恵を与える部分もある
労働組合の結成に対して、会社としてはいい顔をしないのが通常です。
しかし、見方によっては労働組合を結成したからこそ、会社にとってもメリットといえる部分も出てきます。
どんなメリットが出てくるのかというと、それは次のようなものです。
・現場の声が聞こえてくるので、組織全体の風通しがよくなる
・会社が一致団結しやすい
労働組合結成に伴うデメリット
では逆に、労働組合を作ることにより生じるデメリットについて見てみましょう。
労働組合の結成のデメリットの最たる側面は、非組合員の理解を得られず職場で孤立してしまう可能性があるという点です。
このようなケースは、労働組合自体は会社の違法・不当な対応への対抗措置と考えていても、他職員から利己的・ワガママと見られてしまうギャップから生じます。
したがって、組合結成にあたっては、組合員だけでなく非組合員への理解・協力を得られるような組織づくりを意識することも重要かもしれません。
まとめ
労働組合の作り方そのものは単純ですが、実際に組織して活動するのは容易ではありません。
ただ、労働組合を作ることにより生じるメリットもありますので、会社に労働組合がない、そんなときこそ自分たちで労働組合を作ってみてはいかがでしょうか?
労働組合に関連する記事一覧
- 「36協定(サブロク協定)の仕組み|残業が多いときの対処法」
- 「労働時間の根本的な考え方と、労働時間を取り巻く様々な問題」
- 「働きすぎと思う3つの原因と今から出来る改善方法」
- 「サービス残業を無くすために労働者ができる2つのこと」
弁護士への相談で残業代請求などの解決が望めます
労働問題に関する専門知識を持つ弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。
・未払い残業代を請求したい
・パワハラ問題をなんとかしたい
・給料未払い問題を解決したい
など、労働問題でお困りの事を、【労働問題を得意とする弁護士】に相談することで、あなたの望む結果となる可能性が高まります。
お一人で悩まず、まずはご相談ください。あなたの相談に、必ず役立つことをお約束します。

【残業代を取り戻そう!】残業代請求・不当解雇は相談料0円◆成功報酬制◆残業代が取り戻せなかったら後払いの費用(弁護士報酬)はいただきません!※事務手数料・実費についてはお支払いを頂きます。※詳しい料金は詳細ページへ※外出不要で相談可能【電話・オンライン相談(予約制)】
事務所詳細を見る
【残業代を取り戻そう!】残業代請求・不当解雇は相談料0円◆成功報酬制◆残業代が取り戻せなかったら後払いの費用(弁護士報酬)はいただきません!※事務手数料・実費についてはお支払いを頂きます。※詳しい料金は詳細ページへ※外出不要で相談可能【電話・オンライン相談(予約制)】
事務所詳細を見る
【不当解雇・残業代請求/初期費用0円の完全成功報酬制】「突然解雇された」「PIPの対象となった」など解雇に関するお悩みや、残業代未払いのご相談は当事務所へ!不当解雇・残業代請求の実績多数。年間の残業代回収実績7.8億円!【全国対応|LINEお問い合わせ◎】
事務所詳細を見る
【未払い残業代の回収/不当解雇/退職代行に対応】◆正当な残業代を弁護士に依頼で簡単に請求◆会社の人と話す必要なし【勤続年数半年以上/月の残業時間が40時間超の方必見!】<料金表は詳細ページに>
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡


その他に関する新着コラム
-
会社役員を辞めるのは原則自由です。ただし、タイミングによっては損害賠償を請求されることがあるため、しっかり見極めなければなりません。本記事では、会社役員の辞め方...
-
本記事では、法律トラブルを依頼中の弁護士に不信感を抱く6つのケースについて紹介します。それらの原因と対処法についても詳しく解説し、ほかの弁護士に変えたいと思った...
-
本記事では、会社との労働問題を通常訴訟で解決したいと考えている方に向けて、労働問題で会社を訴える際の手順、会社を訴えるメリット、会社との訴訟を弁護士に依頼すべき...
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では豊中市で労働相談が可能な4つの窓口と...
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では練馬区で労働相談が可能な4つの窓口と...
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では松戸市で労働相談が可能な4つの窓口と...
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では世田谷区で労働相談が可能な4つの窓口...
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では豊田市で労働相談が可能な4つの窓口と...
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では西宮市で労働相談が可能な4つの窓口と...
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では神戸市で労働相談が可能な4つの窓口と...
その他に関する人気コラム
-
この記事では、労働基準監督署でパワハラの相談をして解決できることや、パワハラ問題の解決フローについて紹介します。
-
うつ病と診断されたら無理をせず、休職するのも大切です。本記事では、うつ病で休職する際の手続き方法や相談先、休職期間の過ごし方や傷病手当金の申請方法などを紹介しま...
-
有給休暇の取得理由は、法律上必要ありません。有給の休暇取得は、労働者に与えられた権利ですし、休暇中の過ごし方は労働者の自由です。しかし、実際は会社で上司から取得...
-
企業が労働基準法に違反した行為をすると罰則が与えられます。以下で労働基準法違反となるのはどういったケースなのか、その場合の罰則はどのくらいになるのかご説明してい...
-
本記事では「源泉徴収票を紛失してしまった」「複数枚必要になった」など、さまざまな理由で再発行が必要な場合に知っておくべき知識と対処法を解説します。
-
試用期間中に「この会社合わないかも…。」と思って退職を考える人もいるでしょう。試用期間中の退職は正社員同様、退職日の申し出や退職届などが決まっています。この記事...
-
マイナンバーカードは郵便またはインターネットから作ることができます。まだ作成していない場合はこれからの利用拡大に備えて作っておきましょう。この記事では、マイナン...
-
うつ病にかかり退職を考えている方は、退職の流れや生活費などが気になると思います。この記事では、うつ病で退職する場合の流れや保険、支援制度についてご紹介します。
-
マイナンバー制度は利用する機会が少ないため、通知カード・マイナンバーカードを紛失した方もいるのではないでしょうか。通知カード・マイナンバーカードを紛失した場合、...
-
労働組合の作り方について、実は難しいことはありません。煩わしい手続きを取ることなく結成することができるのです。そんな労働組合の作り方について、記事にてご紹介して...
その他の関連コラム
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では神戸市で労働相談が可能な4つの窓口と...
-
中途採用時のリファレンスチェックで、候補者に問題が発覚した場合、企業側が内定を取り消すケースがあります。しかし、安易な内定取り消しは違法になりかねません。リファ...
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では松本市で労働相談が可能な4つの窓口と...
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では江戸川区で労働相談が可能な4つの窓口...
-
会社との労働問題を労働基準監督署に通報しても、すぐに動いてもらえるとは限りません。できるだけ速やかに対応してもらうためには、通報前の準備や通報の仕方などがポイン...
-
マイナンバー制度は利用する機会が少ないため、通知カード・マイナンバーカードを紛失した方もいるのではないでしょうか。通知カード・マイナンバーカードを紛失した場合、...
-
本記事では、会社から訴えられた方に向けて、会社から訴えられる可能性があるケース、会社から訴えられてから判決が下されるまでの流れ、会社から訴えられた際に労働者がと...
-
長時間労働によって、心身の健康に悪影響をきたしている方は少なくありません。けれど自分の働き方が長時間労働と言えるかわからず、適切な対処をできず悩んでいる方もいる...
-
労働者協同組合法が2020年12月に成立しました。この法律は出資・経営・労働を一体化する協同労働の組織に法人格を与えます。労働者協同組合法によって実現すること、...
-
試用期間中に「この会社合わないかも…。」と思って退職を考える人もいるでしょう。試用期間中の退職は正社員同様、退職日の申し出や退職届などが決まっています。この記事...
-
弁護士は、困ったときに頼りになる専門家。その費用は決して安くはありませんから、強くて評判の良い弁護士を選びたいものです。そこで今回は、良い弁護士を選ぶ基準やポイ...
-
長時間労働やハラスメントなどの労働問題に直面しているにも関わらず、どこに相談すればいいか分からず悩んでいませんか。本記事では練馬区で労働相談が可能な4つの窓口と...