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残業代請求の勝率とは|勝率の考え方と未払い残業代の回収見込みが高いケース

更新日
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
このコラムを監修
残業代請求の勝率とは|勝率の考え方と未払い残業代の回収見込みが高いケース

残業代請求の依頼を弁護士にする場合、費用も気になりますが、その事務所の勝率も気になる方は多いと思います。会社に対する残業代請求が認められれば、未払い残業代を回収できますが、もし訴訟まで行って負けてしまった場合、弁護士費用分の赤字になります。

 

着手金だけでも、5万~10万円ほどかかることを考えれば、何としてでも勝ちたい、勝率の高い事務所へ依頼したいと思うのは当然かと思います

 

しかし、勝率の具体的な数値を調べることも、弁護士本人に聞いて正確に答えて頂くことも難しいのが現実です。そもそも、何を持って『勝ち』とし、負けるとはどういうことなのかを定義すること自体が難しいのです。

 

例えば裁判まで行ったものの、途中で和解案が出され、未払い残業代の全額ではないものの、9割ほどが請求できたとしたら、果たしてそれは『負け』と言えるでしょうか。勝ちと言えるでしょうか?

 

そこで本記事では、弁護士に残業代請求を依頼する際に『勝率』を気にしすぎる必要がない理由と、少しでも未払い残業代を回収できる可能性を上げるために、集めるべき証拠について解説します。

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残業代請求において弁護士の勝率を気にするのは無意味?

弁護士の勝率を気にするのがあまり意味がない理由は2つあります。

 

  • 残業代請求には未払い分がいくらあるという証拠さえ揃っていれば良い
  • 何をもってして勝ち負けなのかの定義があいまいだから です。

 

証拠さえあれば残業代の回収は高い確率で可能になる

残業代請求において、最も大事なのが証拠です。時間外労働を何時間しており、その時間分の残業代が支払われていないこと、極論この2点が証明できる証拠があれば、高い確率で残業代は回収することができます。

 

反対に、証拠がまったくないという状態では、どれだけ未払い残業代があっても回収は難しいといえます。

 

勝ち負けの定義が曖昧だから

また、残業代請求での勝ち負けの定義はあいまいです。残業代の請求に必要な証拠が揃っている場合であれば、全額回収ができたときに『勝った』と言えるかもしれません。

 

ですが、証拠がない状態では、依頼主の希望通りの金額が回収できるとは限りません。そのような状況の中で、少しでも残業代を回収できた場合は、『勝った』ということができます。

 

そのため、弁護士探しをする際は、勝率という目線ではなく、実績や経験に着目しましょう。残業代請求に関して、実績や経験を豊富に持つ弁護士であれば、効果的な交渉の仕方などを熟知しているからです。

 

 

未払い残業代を回収できる可能性が高いケース

未払い残業代が発生してしまうのは、正しく制度を運用できていない企業があるからです。

 

この項目では、未払い残業代が発生しやすい状況について解説します。自身が下記ケースに当てはまる場合は、未払い残業代が回収できる可能性が高いかもしれません。

 

みなし残業(固定残業)の場合|みなし分以上の残業代が支払われていない

みなし残業代(固定残業代)制度を導入している会社は多く、適切な運用がされている限りは問題ありません。

 

ですが、一部の会社では、みなし残業代の支給を理由に、何時間でも残業させられると考えていことがあります。

 

みなし残業代とは、あらかじめ、月給に一定時間分の時間外労働に対する残業代を含んでおくことを言います。

 

あくまで、一定時間分の残業代について支給しているだけです。決められた時間を超えて残業した場合には、別途残業代が支払われなくてはなりません。

 

【例】みなし残業代20時間分を含む月給が20万円の場合

ある月の残業時間が20時間未満だった場合→追加の残業代は発生しない

ある月の残業時間が20時間以上だった場合→別途残業代の支給が必要→月給20万円+20時間を超えた部分の残業代

 

また、みなし残業制度を正しく運用できていないケースも多くあります。みなし残業代は、就業規則や雇用契約書などで通常の賃金部分と割増賃金部分が明確に区別されていることや、固定手当が割増賃金対価として支払われていることが必要です。

 

このような運用がされていない場合、みなし残業代と銘打っても割増賃金の支払とは認められませんので、別途割増賃金請求が可能です。

 

【関連記事】

固定残業代(みなし残業)の仕組み|適正な残業代の計算方法

 

管理職を理由にした残業代の未払い|管理監督者の要件を満たしているか

労働基準法41条第2項では、「管理監督者に対して割増賃金を支払わなくてもよい」としていることから、管理職に当たる社員すべてに残業代を支払わない会社があります

 

しかし、管理職=管理監督者というわけではありません

 

労基法上の管理監督者と認められるかどうかの基準は曖昧であり、経営者と一体的立場であるかどうかによります。これを職務内容や責任・権限、待遇など総合的考慮で判断しますので、役職についているからという理由だけで、直ちに「管理監督者」といえるかは不透明です。

 

管理監督者に当たるかどうかの判断には専門的な知識が必要となりますので、労働基準監督署や弁護士などに相談してみましょう。

 

【関連記事】

名ばかり管理職とは|違法性や管理監督者との違い・未払い賃金への対処法まで

 

タイムカードの実態|実労働時間通りに押していない場合

タイムカード上は時間外労働や休日労働をしていることが表示されていなくても、タイムカードよりも信用性の高い証拠で実労働時間を証明できれば、残業代を回収できます

 

タイムカード以外で労働時間を証明する証拠となり得るのが、業務日報やパソコンのログイン記録、メールの送受信履歴などです。

 

さまざまな証拠を合わせて提出することができれば、タイムカードがなくても、正確な実労働時間を証明することができます。

 

請求時効である3年以上経過していない場合 

残業代の請求権には3年の時効があるため、支払期日から3年以上経過している場合はそもそも権利が消滅していて、回収は難しいでしょう。

 

反対に、3年を経過していないのであれば、未払い残業代を回収できるということです。

 

もし、残業代が時効にかかりそうということであれば、残業代を支払ってほしい旨請求だけしていれば、半年間は時効完成を阻止できます。

 

残業代の消滅時効は、給料日の翌日からカウントされますので、残業代の回収を考えている方はすみやかに行動を起こしたほうがよいでしょう。

 

【関連記事】

【2020年4月から】残業代請求の時効は3年に延長|時効を中断させる方法まで

 

残業手当を適切に表示していない場合

一部の会社では、残業代を営業手当や販売手当といった別の形で支給している場合があります。

 

これも固定割増賃金の部分と同じ議論が妥当します。正しく運用がされている場合には問題ありませんが、そうでなければ、別途請求が可能です。

 

残業代請求の勝率を上げるために集めておきたい証拠

『勝率』と表記しましたが、残業代の請求には証拠が全てですから、残業代請求の成功率を上げるために、できるだけ有効な証拠を集めておきましょう。

 

証拠が多いほど、未払いの残業代が発生していることを客観的に証明できますし、正確な金額を計算するのに役立ちます。

 

下記に挙げた証拠を早いうちから集めておきましょう。

 

残業代請求に役立つ証拠一覧

  • タイムカード
  • 就業規則
  • 雇用契約書
  • 給与明細
  • シフト表
  • 業務日報
  • パソコンのログイン記録
  • メールの送受信履歴 など

 

こうした証拠以外にも、自身で作成したメモや同僚の証言なども、未払い残業代の証明に役立ちます。もし手元に証拠がまったくない場合でも、諦めてしまう前に一度専門家に相談してみましょう。

 

残業代請求を弁護士に依頼するメリット

残業代請求を弁護士に依頼することで得られるメリットは以下の通りです。

 

  1. 回収できる金額が増える
  2. 解決までの時間を短縮できる
  3. 手元に証拠がない場合の対策が取れる
  4. 手続きから交渉まで任せられる など

 

未払い残業代の正しい金額を計算するのは、意外と大変です。また、残業代が支払われていないことに対する遅延損害金や遅延利息も合わせて請求できます。

 

手元に証拠がない場合に、対応してもらえるのも大きなメリットです。会社に対して、開示請求や証拠保全の手続きを行うことで、証拠を集めることができます。

 

まとめ

残業代請求を弁護士に依頼する際、勝率は確かに気になるところです。

 

ですが、残業代請求において大事なのは、弁護士の力量ではなく、残業代が支払われていないことを証明する証拠がどれだけ集められるかが重要な場合も多いです。

 

未払い残業代を何とかして回収したいと考えているならば、まずは証拠集めから始めましょう。

 

特に、この記事で紹介した5つのパターンでは、残業代について会社が誤った理解の下、運用している可能性が高いので、必要な証拠さえ集めることができれば、未払い残業代を回収できるはずです。

 

残業代の請求には時効もありますので、早い段階から弁護士に相談に行くことをおすすめします。

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ労働問題(旧:労働問題弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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