名ばかり管理職は違法性が高い|管理監督者との見分け方

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2016.2.1

名ばかり管理職は違法性が高い|管理監督者との見分け方

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名ばかり管理職とは、会社独自の基準で管理職と決められ、労働基準法にある「管理監督者は割増賃金の適応外」という語句を用いられて、肩書だけで残業代などの割増賃金が支払われていない従業員のことです。
 
しかし、実際のところ、この会社基準の管理職と、労働基準法の管理監督者には大きな違いがあり、違法に割増賃金を支払っていなかった場合、名ばかり管理職となってしまうのです。
 
今回は、名ばかり管理職の実態と、本来の管理監督者と名ばかり管理職の違いについて解説します。もし、今現在名ばかり管理職として働かれている方は、違法に残業代が支払われていないことも十分に考えられますので、然るべき行動を取るようにしましょう。

 
【目次】
管理監督者には残業代を支払わなくていい
名ばかり管理職と管理監督者の違い
名ばかり管理職の事例
名ばかり管理職でよくあるパターン
未払いの残業代を請求する方法

まとめ

管理監督者には残業代を支払わなくていい

冒頭でご説明しましたが、会社基準の管理職と、管理監督者には相違があります。本来、労働基準法41条2項には、「管理監督者には割増賃金の支払は適応外」とあります。つまり、残業代や休日手当の割増賃金は支払わなくてもいいのです。(深夜手当は支払い義務があります。)
 
経営のために人件費をコントロールしなくてはならない、会社の立場からしてみれば、従業員を管理監督者にすることで人件費を削減できるので、一部の会社にとって、この項目は見逃せないものでした。
 
そこで、社内の立場的にも責任が強く、それに伴い労働時間も長い傾向にある人物を会社独自の基準で管理職としたのです。しかし、実際のところ、労働基準法で明記してある管理監督者と会社独自の管理職とでは相違があり、名ばかり管理職となってしまったのです。
 

従業員に割増賃金を支払わない事は違法

一方、普通の従業員は時間外労働(残業や休日出勤)したのであれば、それ相応の賃金を支払わなくてはなりません。残業代や休日手当のことです。もし、支払っていなければ労働基準法37条の「時間外労働、休日に労働した場合は割増賃金を支払わなくてはならない」を守っていないことになり、違法となります。
 
更には、労働基準法37条違反で「懲役6ヶ月以下又は30万円以下の罰金」という罰則まであります。つまり、会社基準の管理職と管理監督者に相違があり、そもそも管理監督者と認められなければ違法に割増賃金を支払わっていないということになるのです。
 

名ばかり管理職と管理監督者の違い

それでは、実際に会社基準の管理職と労働基準法の管理監督者にはどのような違いがあるのでしょうか。企業では一般的に課長クラスから管理職と呼ばれることが多いのですが、一方、通常の課長の働き方では、管理監督者に程遠いような事実も現状です。
 
労働基準法で定めてある管理監督者には、以下の4点にあてはまっている必要があります。もし、あなたが管理職と呼ばれ、更には割増賃金を支払ってもらえていないようであれば、その後の内容も更に読み進めていって下さい。
 

各部署・部門を統括する立場にある

まず、管理監督者と言われるくらいなので、部署を管理・監督する立場がなくてはなりません。部署内での権限がなければ、管理監督者とは言えないでしょう。ここで言う立場とは、部署内において採用・解雇に関する人事権や、決済権があることです。
 

企業の経営に関与している

管理監督者は、部署内の管理だけではなく、部署内の状況や従業員の声を吸い上げ、社長や経営陣に対し意見する権限があります。なので、社内の経営会議などにも参加せず、トップダウンで会社の意向が言い渡されるようであれば、管理監督者とは言い難いでしょう。
 

自身の業務量・労働時間を裁量的にコントロールできる

管理監督者は、自身の業務量・労働時間を自分の裁量で決めることが出来ます。業務量については部下に振り分けることも出来ますし、労働時間については、出退勤時間に拘束がありません。
 
よって、他の従業員より遅く出勤したから、部下に仕事を振り分けて何もしていない日があったからと言って査定に響くようでしたら、管理監督者とは言い難いものがあります。勤怠管理がされていたり、他の従業員と変わらない業務をしているような場合も、管理監督者とは考えにくいでしょう。
 

賃金面で十分な待遇がされている

管理監督者は、その立場上、賃金についても他の従業員より優遇されていなければなりません。どれほどの違いかは一概には言えませんが、「管理職になった途端残業代が出なくなり手取りが減った」というような方は、確実に当てはまらないでしょう。
 
管理職に抜擢されれば、何かしらの手当を支給される会社も多いでしょうが、それらの手当が支給されているからといって、一概に優遇されているとは言えません。問題は他の従業員と比べ十分な優遇がされているかどうかです。手当を貰っているからといって、他の残業代が支給されている従業員と大差が無いようでしたら、管理監督者に当てはまりません。
 

管理監督者の条件に当てはまらなければ名ばかり管理職

いかがでしょうか。管理監督者は、これら上記の4つの条件全てに当てはまっていなければなりません。お察しの通り、管理監督者はそう簡単に認定されるものではないのです。これらに1つでも当てはまらず、管理職として割増賃金が支給されていないようであれば、高い確率で名ばかり管理職として違法に賃金が支払われていないことが考えられます。
 

名ばかり管理職の事例

特に名ばかり管理職は、他の労働問題(不当解雇・パワハラ)などに比べて、明確な判例が出ています。基準が分かりやすいというのもありますが、あまりにも管理監督者と管理職の相違がある企業が多いということも言えます。こちらでは、過去の判例を東京労働局の報告書を元にいくつか見てみましょう。
 

サンド事件

昭和58年に工場内の課長職の従業員が管理監督者に当たらないとして時間外手当の支払いについて起こした訴訟です。
 
❏判決:管理監督者には当たらない
 
❏要因:・工場内の人事に関与することはあっても、独自の権限は無かった。
    ・勤務時間の拘束を受けていた。
    ・工場の代表として、会社の利益を処理するような権限は無かった。
 

ほるぷ事件

平成9年出版会社支店の販売主任が同じく管理監督者に当たらないとして、時間外手当の支払い義務の有無についての裁判です。
 
❏判決:管理監督者には当たらない
 
❏要因:・タイムカードによる勤怠管理が行なわれていた。
    ・支店営業会議において、決定権が無かった。
 

レストランビュッフェ事件

昭和61年レストランの店長が時間外労働の賃金について管理監督者に該当しないとして裁判を起こした事件です。
 
❏判決:管理監督者には当たらない
 
❏要因:・営業時間は完全拘束の上、タイムカードで勤怠管理がされていた
    ・店長手当は月2~3万円と、十分な優遇がされていない
    ・店長業務以外に、調理・ウェイター・レジなど、とても経営者と
            同じ立場にあるとは言えない
 

名ばかり管理職でよくあるパターン

いかがでしょうか。上記の例を見てみても、他の判例を見てみても、会社基準の名ばかり管理職は、管理監督者と認められないケースがほとんどです。特にパターンとして以下の内容が多く見受けられました。
 

支店長・店長

支店長、店長として、一事業所を任せられている従業員に名ばかり管理職は多い傾向がありました。確かに、各店舗内では、人事の決定権などはありますが、とても会社の方針に関与できるほどの権力を持ち合わせていません。
 
特に、1つの会社で事業所数の多い、飲食・小売販売などに多く、雇われ店長などとも呼ばれています。
 

他の従業員と勤怠管理が変わらない

管理職としての立場を貰っていながら、出退勤時間に拘束がある名ばかり管理職の方も多く見られました。また、実際には出退勤の制限は無いものの、立場上、誰よりも早く来て、誰よりも遅く帰らざるを得ない働き方も見受けられました。
 

諸手当が残業時間に対して吊り合わない

役職手当として何かしらの手当が支給されているケースは、名ばかり管理職でも見られました。しかし、実情は雀の涙ほどの手当で、とても管理監督者としての優遇が見られません。実際に残業代を真っ当に支払ってもらった方が手取り金額も上がるような方がほとんどです。
 

未払いの残業代を請求する方法

実際にここまで読んでいただいて、名ばかり管理職の疑いがある方の中には、相当な残業代が支払われていないことも十分に考えられます。特に社内で管理職と認定された人には、重要な責任があり、結果的に長時間労働になっている人も多いでしょう。
 
数百万単位の未払賃金、特に残業代が残っていることが考えられます。この場合、きちんとした手順を取ればかなりの確率で、残業代が返ってきます。残業代の請求方法は「未払い残業代のある人が知っておくべき残業代請求の全手順」を詳しくご覧ください。
 

まとめ

確かに、このまま社内の管理職として頑張っていくことで、将来的に大きく返ってくることも考えられないとは言い切れません。将来的な出世のために、今は名ばかり管理職を受け入れることも方法の一つです。
 
名ばかり管理職だったからといって、残業代を請求するかは労働者の自由になります。特に、このまま円満に会社勤めを続けたいとお考えの方は、真っ向から未払賃金を請求してしまうと、会社と対立してしまうことになります。まずは、会社と話し合いの場を設けてみるのも方法のひとつです。
 
ただ、企業によっては、管理職としての立場を都合よく利用し、労働者に対して長時間労働と、それによって生じる割増賃金を不正に削減しているという背景もあります。労働者がいつまで頑張っても報われないような仕組みです。
 
労働者自身で会社が自分の事をどのように扱っているのか一度客観的に考えてみることも良いでしょう。その結果、会社に良いように使われているようでしたら、繰り返しますが、名ばかり管理職での未払い賃金は高い確率で返還できるでしょう。
 

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編集部

本記事は労働問題弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※労働問題弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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