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外資系企業では、国内企業よりも、「退職勧奨」により退職に至る事例は多いと一般的には言われているかもしれません。
外資系企業は日本企業とは、その背景とする雇用の文化が異なる部分があり、安定した長期雇用という考え方よりも、ですし、実力主義の側面が強いと言われています。
雇用文化の相異自体は悪いことでは勿論ないのですが、そのため、会社の思惑等にマッチングしない方は、退職を勧められることも相対的に多くなるといえそうです。
本記事では、主に外資系企業にお勤めの方が退職勧奨をされた場合の対処法についてご紹介します。
外資系企業と日本の企業とではどのような捉え方の違いがあるのか、退職勧奨や解雇法制との関連で詳しくみてみましょう。
外資系企業は日本企業とは「雇用」に関する文化、考え方がかなり異なります。
日本企業は伝統的に「終身雇用」の考え方が強く、「いったん雇った従業員は安定雇用される」と考える方が多いでしょうし、実際これまでの歴史に紐解くと、実際の雇用の在り方も、そうであったと思われます。
他方、外資系には終身雇用という発想はなく雇用は流動的であるという意識の方が多いと言えます。そのため、外資系企業では日本企業に比して人の出入りが多いのが一般的です。これにより人材の有効活用が可能となる側面も、当然にあると思われます。
雇用文化の相異は上記のとおりですが、日本で事業を行う以上、日本の法律が適用されます。
日本の労働法制ないし裁判例では、労働者の立場が強く保護される傾向にあり、企業による解雇は厳しく制限されています。例外的に「客観的合理的な理由」があり「社会的相当性」がある場合に限り解雇は許容されます(労働契約法16条)。
「能力が低い」「社風が合わない」「経営者に従わない」などといった、雇用主の一方的な主観的理由や言い分のみでの解雇であれば、日本の法制度に照らした場合、基本的に効力を有しないことが多いでしょう。
※能力不足、業務命令違反が一切解雇事由にならないという意味ではありません。程度問題とお考え下さい。
このように、仮に外資系の本国で自由に解雇できるような場合でも、日本では自由な解雇は認められません。
そのため、「外資系だから日本企業とは違い、簡単に解雇されてしまうのでは?」と、簡単に諦める必要はありません。
退職勧奨は、日系・外資系いずれの企業でも行われる可能性があります。ここでは、外資系企業が退職勧奨を行いやすい場面について簡単に見ていきましょう。
国内企業と比較して、外資系企業では実力主義の側面が強く、業績不良と認められる者の雇用を維持するより退職してもらい他の人間を雇用した方がメリットであると考える傾向にあるとされます。そのため、業績が振るわない者と会社が考えた者に対して退職勧奨が行われることは珍しいことではありません。
退職勧奨は、あくまで労働者に任意退職を勧めるものに過ぎませんので、そこまで強い理由は必要ありません。
そのため、上長とのコミュニケーションが円滑ではなく、業務処理がスムーズに行っていないと評価された場合でも退職勧奨がされることはあり得ます。
外資系の場合、グローバルに事業展開をしているケースが多く、グローバル側の判断で国内法人の組織が大きく変更されるということもよくあります。このような組織再編の結果、ポジションが消滅するような場合に退職勧奨が行われることもよくあります。
上記のように、外資系で働く中で退職勧奨が行われることは決して珍しいことではありません。では、退職勧奨を受けた労働者側はどのように対応すればよいのでしょうか。
最も重要なのは、退職勧奨の意味を理解することです。
退職勧奨の意味は2つであり、1つ目は会社側があなたの業績に満足しておらず、必ずしもあなたを必要としていないということ、2つ目は退職勧奨に同意するか否かの判断はあなたに委ねられていることです。
これを踏まえた上で、あなたとして退職勧奨を受け入れて転職するのか、退職勧奨を拒否して会社に残り続けるかを、冷静な判断で選択することになります。
例えば、多くの企業(特に外資系企業)では、退職勧奨に当たって一定の退職パッケージ(特別退職金)を提示していると思われます。このパッケージの提示は法令の要請に拠るものではなく、あくまで労働者の任意退職を促進するための企業側の自主的取り組みですので、パッケージを提示するかしないか、提示するとしてその金額をいくらにするかは企業側に委ねられています。
もっとも、企業側ではある程度幅のある予算を持っていることも多いので、労働者側からの交渉によりパッケージが増額されることもあり得ます。会社から退職を勧められ、一定のパッケージを提示されたような場合、パッケージの金額について交渉して納得できる金額であるならば、それを受け取って早期退職するという方法も合理的でしょう。
他方、パッケージが提示されないとか、提示されたパッケージが低すぎるという場合には退職勧奨を拒否せざるを得ない場合が多いと思われます。
また、高額のパッケージを提示されているものの、転職先が決まっておらず、転職の見込みがないという場合はどうしても退職勧奨は受けられないということもあるでしょう。
このように、退職勧奨に対する対応はケース・バイ・ケースです。大切なのは、退職勧奨の意味を十分に理解しつつ、自身にとって優先するべき事項を整理して、冷静に対応することです。
退職勧奨は、労働者の自由意思による退職を勧めるものであれば、単なるオファーであり違法の問題は生じません。しかし、退職勧奨が労働者の自由意思を制圧するような態様でされた場合、これは退職強要として違法となる余地があります。
例えば、退職勧奨を拒否したのに、さらに継続的に、かつ執拗に退職を求められるような場合、退職勧奨を拒否したところ閑職に追いやられるなど嫌がらせを受けているような場合には、退職強要として許容されず、違法と言えるレベルとなっている可能性もあります。
この場合は自分一人で抱え込んでいても解決が難しいので弁護士に相談することも検討してください。
退職勧奨が適正に行われる場合には必ずしも弁護士に依頼する必要は高くありません。しかし、弁護士に依頼することに全くメリットがないかと言われればそんなこともありません。
例えば以下のようなメリットが考えられます。
勤務先から突然退職勧奨を受けたら「何が悪かったのか」「今後どうすれば良いのか」「退職しなければならないのか」など、不安に思うこともあるでしょう。冷静に対応したくても、独りでは困難なこともあるかもしれません。
このようなとき、労働問題の経験豊富な弁護士に相談すれば状況に応じたアドバイスを受けられます。退職を受け入れるメリットとデメリットを聞いて自分で判断することもできますし、専門知識を持つ弁護士に「退職した方が良いか」客観的に判断してもらうことも可能です。
また会社から提示されたパッケージの当否についても意見を聴くことができるでしょう。専門家に相談することで不安を払拭し、頭を冷やすことができるというのは、大きなメリットです。
企業が退職勧奨を行うに当たり、パッケージを提示するかどうかは企業側が判断するものであり、たとえ弁護士が介入しても労働者側でコントロールできるものではありません。そのため、弁護士が介入すれば必ず退職パッケージが出るとか、パッケージが増額するということはありません。
もっとも、退職勧奨に至るまでの企業側の処理に問題があったり、企業側の退職勧奨が退職強要と評価する余地があったりなど、企業側の行為の適法性について争う余地がある場合、これを材料の一つとして交渉を有利に進められることもあります。
このような交渉が可能かどうかは、ケース・バイ・ケースですが、これが可能な場合は弁護士が介入することで退職パッケージが提示・増額されるということもあります。
したがって、退職勧奨に至るまでの経過や退職勧奨のやり方に疑問を感じるのであれば、一度弁護士に相談しても損はないと思われます。
会社が退職勧奨で留まっていれば特に問題はないでしょうが、退職勧奨を拒否したところ解雇されたという場合は、法的対応も検討せざるを得ないと思われます。
このような場合には、弁護士のサポートは必須です。早い段階から弁護士に相談していれば、このような事態に発展した場合でも迅速・的確に対応することが期待できます。
退職勧奨についての基礎知識と基本的対応について紹介しました。退職勧奨を受けることは決して珍しいことではありません。
万一あなたが退職勧奨を受けたような場合、本記事を参考にして冷静にご対応頂ければ幸いです。
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その際請求が出来るのは、解雇されたことにより受け取れなかった期待賃金になります。
ただし、解雇の不当性は弁護士を通じて正しく立証する必要があります。
不当解雇を防ぐために自己都合退職を迫る、「退職勧奨」の手口です。
会社から退職を勧められたとしても、それに従う必要はありません。今の会社に残りたいと考えるならば、拒み続けても問題ありませんので、安易に退職届にサインをするのは控えましょう。
それでもパワハラなどを絡めて退職を強要してきた場合には、損害賠償を請求できる可能性が生じますので弁護士に相談するのも一つの手です。
リストラ(整理解雇)を行うためには、選定の合理的理由や、解雇回避努力の履行など、企業側が満たすべき要件が複数あります。
上層部の私情によるものや、勤務態度や成績に依存しないリストラは認められないと定められています。
就業規則に明記されていない限り、会社が何らかの事由によって懲戒解雇処分を通知することは出来ません。まずは会社の就業規則を確認しましょう。
また、重大な犯罪行為や重大な経歴詐称など、著しく重要な問題に抵触しない限り懲戒解雇を受けることはありません。
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もし解雇に妥当性がないと言い張る場合は、解雇の撤回を要求するか、解雇されなかった場合に受け取れるであろう期待未払い賃金の請求が可能です。