証拠保全(しょうこほぜん)とは、裁判で使う時の証拠をあらかじめ確保しておくことを言います。民事訴訟・刑事訴訟どちらの事件でも、あらかじめ証拠を調べて集めておき、その証拠を使わなければ裁判が困難になる場合、証拠保全を行ないます。
証拠保全を行なうには手続きが必要になってきますので、今回は、証拠保全の概要についてと、証拠保全手続きの流れについて解説していきます。
会社との交渉で証拠集めに困っているあなたへ
会社との交渉で証拠が必要になるけど、会社が証拠を開示してくれずに悩んでいませんか?
結論からいうと、裁判所を介して証拠保全手続きをすることで、相手に証拠の開示命令が下されます。しかし、中には証拠の開示命令が無視されてしまうケースもあります。
もし、相手が素直に証拠を開示してくれない場合、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします。
弁護士に相談すると以下のようなメリットを得ることができます。
- 証拠の集め方を教えてもらえる
- 依頼すれば、代理人として会社と交渉してもらえる
- 依頼すれば、裁判手続きを任せられる
ベンナビ労働問題では、労働問題の解決を得意とする弁護士を多数掲載しています。
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残業代請求の無料法律相談
個人としてではなく会社に対して対象者全員の残業代の再計算と請求は出来ますか?
20店舗展開している飲食店に勤務しています。変形労働時間を採用しているので、週40時間以上の勤務に該当する人も多数、月間法定労働時間を超えないと、残業代は支給していないとの会社の対応、シフトは毎週金曜に翌週分を作成、前日にシフトが変更になることもしばしば、そもそもの変形労働時間の運用のルールか守られておらず。対象者すべて(おそらく300名以上)3年間の時効まで遡り残業代の再計算を会社に対して要求することは可能でしょうか?
ちなみに就業規則はありません。入社時に変形労働時間制採用の説明もありません。
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業務終了後のメール対応について
お世話になります。
以下2つのケースにつきまして、時間外労働に該当するかどうかご教授ください。
1.仕事を終え、帰宅した後に上司より翌日のアポイントの時間が変更になったとのメールがあり
確認した旨を返信した。
2.就寝前に業務メールをチェックしたところ、本日中に返信するようにとの指示があったので
対応した。
いずれも業務時間外のメールチェックは義務付けられておりません。
緊急案件が無いか、自分の意志でチェックしました。
(特に1のケースは翌日のアポイントに変更が無いか気になったため)
上記、時間外労働に該当するという場合は何時間と考えられますでしょうか。
実際対応した時間のみでしょうか。
もしくは、本日中の回答を指示されている=退社後も指揮命令の範囲にあったということで
退社後~対応完了までの総時間になるのでしょうか。
以上、よろしくお願いいたします。
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未払いの残業代の請求、うつ病に対する損害賠償請求について
お世話になります。
現在飲食店で店長として勤務しております。
1日の労働時間はどれだけ少なく見積もっても12時間以上働いており、間に休憩を取ることはほとんど出来ていません。
歯磨きや入浴、洗濯などの日常生活がまともに出来なくなってしまい、また、趣味など娯楽への関心も失ってしまいました。
精神科への受診したところ、うつ病と診断されました。
残業代は5万円程度支給されておりますが到底その金額でおさまるような労働時間ではありません。
これ以上会社のために尽くしても自身の人生が壊されるだけだと思い退職しようと思うのですが、その際にうつ病に対する損害賠償請求と残業代の請求、また、会社都合退職で失業保険も受給したいと思っています。
相談としては
①うつ病の損害賠償はしてもらえるのか?
②残業代は支払われているがそれ以上の金額を請求できるのか?
③会社都合退職として失業保険の申請ができるのか?
労働問題について知識がございませんのでご解答いただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
勤務歴は2年1ヶ月
月の労働時間は300時間程度です。
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みなし残業代について
私は営業職で残業代についてみなし残業となっております。
就業規則に、
営業手当 30,000円
営業手当の中には、時間外労働手当相当額を含むと書かれており、具体的に何時間がみなし
残業となるか明確にされていません。
これはみなし残業としては無効になるのではと思い相談にいたりました。
ちなみにおそらく20時間を超えたであろう残業代については別途支払われています。
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冒頭でもご説明しましたが、証拠保全とは、刑事・民事裁判を行なう前に証拠がないと裁判が困難になる際、あらかじめ証拠を調べておくことです。証拠保全を行なうには証拠保全手続きが必要になってきます。
例えば、残業代請求を行なおうとすると、タイムカードなどの証拠が必要になってきます。しかし、会社側が簡単に証拠の提示に応じてくれるとは限りません。そのような会社が任意で残業代請求に応じてくれることも少なく、そうなってくると裁判(訴訟)まで発展していきます。
そうなったときに原告側(労働者側)は証拠が必要になってきますので、証拠保全手続きを行ないます。証拠保全が裁判所から認められれば、裁判官から相手に対して証拠の提示命令が下されます。
証拠保全は裁判所を介する手続き
このように、証拠保全は裁判所を介して行っていく手続きです。ほとんどのケースで手続きは代理人である弁護士が行いますので、一般の方は、「こんな方法があるんだ」と、ご認識いただく程度で問題ないでしょう。証拠保全は裁判所を介するので、申立書や手続きが若干面倒になってきます。手続きについては後述していきます。
証拠保全に強制力はない|証拠保全の拒否は可能
証拠保全を行なうことにより、裁判官が相手側に証拠の提示を求めます。しかし、これには強制力はありません。後述しますが、裁判官から証拠の提示を求められたり、命令されればさすがにほとんどの相手側は証拠保全に応じますが、中にはそれでも証拠保全を拒否する猛者もいます。
証拠保全に強制力がないため、拒否することも可能ではありますが、拒否したことにより裁判でも良い印象が持たれないということは言えるでしょう。拒否する場合、拒否するなりの証拠がないと裁判でも不利になってきます。
証拠保全したいからと言って、勝手に証拠保全を行なっていいわけではなく(相手が証拠を提示してくれないから証拠保全することが多いのですが)、裁判所に申し立てる必要があります。こちらでは、証拠保全を行なう際に必要な証拠保全手続きの流れについて解説をしていきます。
証拠保全申立書
証拠保全を行なう際には、裁判所に対して申立書が必要になってきます。訴訟にまで話が進んでいるので、弁護士をつけていることがほとんどでしょうから、細かい内容は省きますが、「証拠保全申立書-サンプル」のような書面を用意します。
証拠保全申立書には主に、保全したい証拠は何か、証拠保全が必要な理由などを具体的に記載し、必要であれば第三者(裁判官)に対して客観的に確認できる資料(疎明資料)を添付する必要があります。
証拠保全申し立て
申立書が完成したら、申立書を裁判所に提出します。提出の際、収入印紙や郵券が必要になってきます。請求金額や裁判所によって金額が変わってきます。その後、裁判官と代理人による、証拠保全の実施日等の打ち合わせが行われます。
参考:「裁判所-手数料一覧」
証拠保全の実施
打ち合わせで決められた日時に、裁判官と裁判所書記官が証拠があるとされる場所に赴き、証拠の開示を求めます。通常であれば証拠保全を申し立てた本人や代理人も同行します。証拠の入手にカメラが必要な場合、カメラマンが同行することもあります。
証拠開示の求め・命令
裁判管の証拠開示の求めに相手が応じれば、その証拠をカメラで撮影したり、書面の場合コピーを取ります。
万が一相手が証拠開示の求めに応じなかった場合も、裁判官がその場で証拠提示命令を行ないますので、相手側は、簡単に証拠を隠し通すことはできません。
それでは、どのような場合に証拠保全が必要となってくるのでしょうか。根本を言えば「相手側が任意で証拠を提示してくれない」「トラブルが訴訟段階に来ている」場合に証拠保全を行ないますが、さらに事件ごとの証拠保全が必要になるケースを具体的に見ていきましょう。
労働問題(残業代請求・不当解雇・労災認定)における証拠保全
労働問題の場合、労働者と使用者の問題になってきますが、通常、証拠は使用者(会社)が保有していることになります。労働基準法により、就業規則やタイムカードなどを労働者から開示請求がされた場合、開示する義務があります。
しかし、それに使用者が従わない場合、証拠保全を行なっていきます。労働問題(残業代請求や不当解雇)で必要になってくる証拠は以下の通りです。
- 就業規則
- 雇用契約書
- 出退勤時間が分かるもの(タイムカードなど)
- 給与明細
- 解雇理由証明書
- 解雇通知書 など
医療問題(医療過誤・医療事故)での証拠保全
他の民事事件で特に証拠保全を利用する事件が、「医療過誤」や「医療事故」などの医療問題です。この場合、患者(ご家族)が証拠保全を行う側で、病院が証拠保全をされる側です。
病院側からしたら、公にはしたくない内容でしょうから、簡単に証拠開示してくれない事が考えられますので、その場合、証拠保全を行ないます。
保全する証拠としては、カルテなどはもちろんなのですが、レントゲン写真の医療情報も必要になってくることもあるので、カメラマンが同行するケースが多いです。医療事件で必要となってくるケースは以下の通りです。
- カルテ
- レントゲン写真、MRI写真
- 看護記録
- 処方箋 など
刑事事件における証拠保全
刑事事件の場合、被疑者側と捜査官側(警察・検察)に分かれます。捜査側は強制的に証拠を集められるので、証拠保全の必要性はありませんが、被疑者側(弁護側)は、証拠入手に強制力がないため、証拠保全を行なうケースがあります。
例えば、事件現場が室内(誰かの所有地)だった場合、弁護士がその中に入れてもらえるとは限りません。また、被害者や証人に会おうとしても連絡先が入手できなかったり、被害者から面会を拒否されることもあります。そのような場合、証拠保全を行ないます。
いかがでしょうか。証拠保全は、あらかじめ証拠を確保しておくことですが、それには手続きが必要になってきます。証拠保全を行なうことによって、裁判所を通して半ば強制的に相手から証拠を入手することが可能です。
個人で行うことはほとんどない証拠保全ですが、裁判を考えていてどうしても相手から証拠が入手できないような場合は、証拠保全という方法もありますので、頭の片隅に置いておきましょう。