深夜残業とは?割増率・深夜手当の計算方法・計算時の注意点を解説
深夜残業とは、22時00分から5時00分までの深夜時間帯に残業することです。
深夜残業では、通常の賃金に加えて深夜手当や時間外手当などの割増賃金が発生します。
ただし、実際の勤務状況によって割増賃金の計算の仕方は細かく異なり、正確な金額を計算するためには十分な知識が必要です。
会社によっては未払いが発生している可能性もあり、「未払いが発生していないか不安」「未払い残業代を回収したい」という方は、弁護士への相談を検討しましょう。
本記事では、深夜残業の定義や割増率、割増賃金の計算方法やケース別の計算例、割増賃金を計算する場合の注意点などを解説します。
深夜残業とは
ここでは、深夜残業の定義や割増率、深夜労働との違いなどを解説します。
深夜残業の定義
深夜残業とは、22時00分から5時00分までの深夜時間帯に残業することです。
以下のとおり、残業は「法定内残業」と「時間外労働」の2種類に大きく分けられます。
- 法定内残業:所定労働時間を超え、法定労働時間は超えない残業
- 時間外労働(法定外残業):所定労働時間も法定労働時間も超える残業
所定労働時間とは「会社が定める労働時間」、法定労働時間とは「労働基準法で定める労働時間の上限(1日8時間・週40時間)」のことです(労働基準法第32条)。
会社は所定労働時間を自由に設定できますが、法定労働時間を超える時間は設定できず、「所定労働時間<法定労働時間」か「所定労働時間=法定労働時間」とする必要があります。
法定内残業と時間外労働では「時間外手当の有無」が異なり、基本的に法定内残業の場合は時間外手当が発生しないのに対し、時間外労働の場合は時間外手当が発生します。
深夜残業の割増率
深夜残業では、基本的に通常の賃金に対して50%以上(深夜手当25%以上+時間外手当25%以上)の割増率が適用されます(労働基準法第37条第1項、第4項)。
ただし、法定休日に働いた場合は休日手当が発生したり、時間外労働が月60時間を超える場合は割増率が引き上げられたりなど、勤務状況によっても扱いは異なります。
主な手当の種類や割増率は以下のとおりです。
| 手当の種類 | 支給対象 | 割増率 |
| 深夜手当 | 22時00分~5時00分の深夜時間帯に働いた場合 | 25%以上 |
| 時間外手当 | 1日8時間、週40時間を超えて働いた場合 | 25%以上 |
| 休日手当 | 法定休日に働いた場合 | 35%以上 |
| 時間外手当 (1ヵ月60時間超え) |
月60時間を超える時間外労働が発生した場合 | 50%以上 |
| 時間外手当+深夜手当 | 時間外労働+深夜労働の場合 | 50%以上(25%以上+25%以上) |
| 休日手当+深夜手当 | 休日労働+深夜労働の場合 | 60%以上(35%以上+25%以上) |
たとえば「所定労働時間:9時00分~17時00分(休憩1時間)」というケースで23時00分まで残業した場合、時間帯ごとの手当の有無や割増率は以下のとおりです。
| 労働時間 | 労働の種類 | 手当の種類 | 割増率 |
| 9:00~17:00(休憩1時間) | 所定労働 | 手当なし | - |
| 17:00~18:00 | 法定内残業 | 手当なし | - |
| 18:00~22:00 | 時間外労働(法定外残業) | 時間外手当 | 25%以上 |
| 22:00~23:00 | 深夜残業 | 時間外手当+深夜手当 | 50%以上(25%以上+25%以上) |
深夜残業と深夜労働の違い
深夜残業と混同されやすいものとして「深夜労働」という用語もあります。
深夜労働とは、22時00分から5時00分までの深夜時間帯に働くことです。
深夜残業と深夜労働の大きな違いは「法定労働時間を超えているかどうか」という点です。
基本的に深夜残業の場合は法定労働時間を超えているため、通常の賃金に対して50%以上(深夜手当25%以上+時間外手当25%以上)の割増率が適用されます。
一方、深夜労働の場合は法定労働時間を超えていないため、深夜手当のみが発生し、時間外手当は発生しません。
たとえば「所定労働時間が22時00分~5時00分(休憩1時間)」というような所定労働時間が深夜時間帯の場合は、深夜残業ではなく深夜労働に該当します。
深夜残業の割増賃金の計算方法
深夜残業での賃金を計算する場合、基本的に以下のような流れで算出します。
- 1時間あたりの賃金を計算する
- 深夜残業時間を計算する
- 時給に割増率と深夜残業時間をかける
ここでは、深夜残業の割増賃金の計算方法について解説します。
1.1時間あたりの賃金を計算する
まずは、1時間あたりの賃金を求めましょう。
時給制の場合は時給額が適用されますが、月給制の場合は以下の手順で計算が必要です。
| ①年間の月平均所定労働時間=(365日ー年間所定休日)×1日の所定労働時間÷12ヵ月 ②1時間あたりの賃金=月給÷月平均所定労働時間 |
たとえば「基本給:30万円、役職手当:1万780円、年間所定休日:119日、1日の所定労働時間:8時間」というケースでは、以下のように計算します。
| ①年間の月平均所定労働時間=(365日ー119日)×8時間÷12ヵ月=164時間 ②1時間あたりの賃金=(30万円+1万780円)÷164時間=1,895円 |
なお、②の月給を算出する際は、以下のような「月給に含まない手当」は除外する必要があります。
- 月給に含む手当
-
- 役付手当
- 役職手当
- 業務手当
- 地域手当
- 調整手当 など
- 月給に含まない手当
-
- 賞与
- 通勤手当
- 家族手当
- 結婚手当
- 出産手当
- 住宅手当
- 別居手当
- 残業手当
- 深夜手当
- 臨時手当 など
2.深夜残業時間を計算する
次に、22時00分から5時00分までの残業時間を計算しましょう。
タイムカードや出勤簿などを集めて、実際に何時間働いたのか確認します。
なお「法定休日に働いているかどうか」「時間外労働が月60時間を超えているかどうか」などによっても割増率は変わるため、勤務状況の詳細まで確認しておきましょう。
3.時給に割増率と深夜残業時間をかける
最後に、以下の計算式で深夜残業の賃金を求めます。
| 深夜残業の賃金=1時間あたりの賃金×割増率×深夜残業時間 |
たとえば「1時間あたりの賃金:1,500円、所定労働時間:9時00分~17時00分(休憩1時間)」というケースで23時00分まで残業した場合、金額は以下のとおりです。
| 労働時間 | 手当の種類 | 計算式(時給×時間数×割増率) | 賃金 |
| 9:00~17:00(休憩1時間) | 手当なし(所定労働) | 1,500円×7時間 | 1万500円 |
| 17:00~18:00 | 手当なし(法定内残業) | 1,500円×1時間 | 1,500円 |
| 18:00~22:00 | 時間外手当 | 1,500円×4時間×1.25 | 7,500円 |
| 22:00~23:00 | 時間外手当+深夜手当 | 1,500円×1時間×1.5 | 2,250円 |
| 合計 | - | - | 2万1,750円 |
【ケース別】深夜残業の割増賃金の計算例
深夜残業での賃金の計算の仕方は、実際の勤務状況によっても細かく異なります。
ここでは、以下のようなケースでの計算方法を解説します。
- 法定休日に深夜残業をした場合
- 所定労働時間が深夜時間帯の場合
- 固定残業代制度を導入している場合
1.法定休日に深夜残業をした場合
法定休日とは、会社が従業員に必ず与える必要がある休日のことです。
会社は従業員に対して「週1日」か「4週間で4日以上」を付与する義務があります(労働基準法第35条)。
法定休日に深夜残業をした場合、通常の賃金に対して60%以上(深夜手当25%以上+休日手当35%以上)の割増率が適用されます。
たとえば「1時間あたりの賃金:1,500円、法定休日の労働時間:9時00分~23時00分(休憩1時間)」というケースでは、計算方法は以下のとおりです。
| 労働時間 | 手当の種類 | 計算式(時給×時間数×割増率) | 賃金 |
| 9:00~22:00(休憩1時間) | 休日手当 | 1,500円×12時間×1.35 | 2万4,300円 |
| 22:00~23:00 | 休日手当+深夜手当 | 1,500円×1時間×1.6 | 2,400円 |
| 合計 | - | - | 2万6,700円 |
2.所定労働時間が深夜時間帯の場合
所定労働時間が深夜時間帯の場合、通常の賃金に対して深夜手当として25%以上の割増率が適用されます。
たとえば「1時間あたりの賃金:1,500円、所定労働時間:23時00分~7時00分(休憩1時間)」というケースでは、計算方法は以下のとおりです。
| 労働時間 | 手当の種類 | 計算式(時給×時間数×割増率) | 賃金 |
| 23:00~5:00(休憩1時間) | 深夜手当 | 1,500円×5時間×1.25 | 9,375円 |
| 5:00~7:00 | 手当なし(所定労働) | 1,500円×2時間 | 3,000円 |
| 合計 | - | - | 1万2,375円 |
3.固定残業代制度を導入している場合
固定残業代制度とは、一定時間分の残業代を毎月固定で支給する制度のことです。
固定残業代制度を導入している場合、深夜残業の割増賃金に関する規定内容や規定の有無によって扱いが異なります。
たとえば「固定残業代には○○時間分の深夜手当を含む」などの明示があり、実際の深夜残業時間が規定時間を超えていなければ、割増賃金の追加支給はありません。
一方、実際の深夜残業時間が規定時間を超えている場合や、そもそも固定残業代に深夜残業の割増賃金が含まれていない場合などは、割増賃金が追加支給されます。
会社によって対応は異なるため、詳しくは勤務先の就業規則や雇用契約書をご確認ください。
深夜残業の割増賃金を計算する場合の3つの注意点
深夜残業での賃金を計算する際は、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
- 50銭未満の端数は切り捨て可能
- 深夜手当は管理監督者でも発生する
- 残業代の未払いが不安な場合は弁護士に相談する
1.50銭未満の端数は切り捨て可能
労働基準法では「賃金全額払いの原則」が定められており、基本的に賃金の端数を切り捨てることは認められていません(労働基準法第24条)。
ただし、深夜手当や時間外手当を計算する際、以下のようなケースでは例外的に50銭未満の端数の切り捨てが認められています。
- 「1時間あたりの賃金額」や「割増賃金額」を求める際に、1円未満の端数が出た場合
- 「1ヵ月分の割増賃金」を求める際に、1円未満の端数が出た場合
なお、実際に端数を切り捨てるためには、賃金の計算方法として事前に就業規則にて定めておく必要があります。
2.深夜手当は管理監督者でも発生する
深夜手当は、管理監督者でも受け取ることができます。
管理監督者とは「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」のことです(労働基準法第41条)。
法律上、管理監督者には労働時間・休憩・休日などの規定が適用されず、一般的な従業員とは扱いが異なります。
原則として時間外手当や休日手当は支給対象外ですが、深夜手当は例外的に支給対象となります。
管理監督者の定義や判断基準を確認しておきたい方は、以下の記事をご覧ください。
3.残業代の未払いが不安な場合は弁護士に相談する
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深夜残業代の未払いを弁護士に相談・依頼する3つのメリット
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- 未払い残業代の請求手続きを一任できる
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ここでは、残業代未払いにおける弁護士のサポート内容について解説します。
1.正確な未払い金額を計算してくれる
弁護士であれば、現在いくら未払いになっているのか計算してくれます。
「【ケース別】深夜残業の割増賃金の計算例」でも解説したとおり、実際の勤務状況によって割増賃金の計算の仕方は細かく異なります。
タイムカードの収集や残業時間の確認などの作業も必要ですし、計算作業に慣れていない素人では計算ミスが起きるおそれもあります。
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2.未払い残業代の請求手続きを一任できる
弁護士であれば、未払い残業代の請求手続きを一任することも可能です。
未払い残業代を回収するためには、未払い残業代の計算・証拠収集・内容証明郵便の送付・交渉など、慣れない多くの手続きに対応する必要があります。
直接やり取りしても解決が難しい場合は、労働審判や訴訟といった裁判手続きに移行することもあり、素人にとっては大きな負担となるおそれがあります。
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3.スムーズな回収が望める
弁護士の力を借りれば、スムーズな回収が望めるというのもメリットです。
法律知識や交渉経験のない素人が動いても、会社側がまともに取り合ってくれなかったり、あれこれ理由を付けて支払いを免れようとしたりする場合もあります。
労働問題が得意な弁護士なら、会社側の言い分にも的確に反論してくれますし、裁判手続きに移行したとしても説得力のある主張を展開してくれます。
なかには、弁護士名義で内容証明郵便を送るだけで支払いに応じてくれるケースもあり、素人が自力で請求するよりも迅速な解決が期待できます。
深夜残業に関するよくある質問5選
ここでは、深夜残業に関するよくある質問について解説します。
1.深夜残業は何時から何時まで?
深夜残業とは、22時00分から5時00分までの深夜時間帯に残業することです。
深夜残業では、通常の賃金に対して50%以上(深夜手当25%以上+時間外手当25%以上)の割増率が適用されます。
なお「所定労働時間が22時00分~5時00分(休憩1時間)」などの所定労働時間が深夜時間帯の場合は、深夜残業ではなく深夜労働に該当します。
深夜労働では法定労働時間を超えていないため、割増率は深夜手当25%以上のみの適用となり、時間外手当は適用されません。
2.アルバイトやパートでも深夜残業の対象になる?
アルバイトであろうとパートであろうと扱いは変わりません。
深夜時間帯に働いた際は深夜手当が発生しますし、時間外労働をした際は時間外手当が発生します。
もし残業代が未払いになっている場合は、正社員と同様に交渉や裁判手続きなどの手段で請求できます。
3.管理職でも深夜手当は請求できる?
深夜手当は、管理監督者でも受け取ることができます。
法律上、管理監督者には労働時間・休憩・休日などの規定が適用されず、一般的な従業員とは扱いが異なります。
原則として時間外手当や休日手当は支給対象外ですが、深夜手当については例外的に支給対象となります。
4.深夜残業は違法になる?
全ての深夜残業が違法というわけではありませんが、なかには違法となる場合もあります。
会社が従業員を時間外労働させるためには、「36協定」という労使協定を締結していなければいけません(労働基準法第36条)。
たとえば、36協定を結ばないまま深夜残業した場合や、36協定の上限である「月45時間・年360時間」を超えた場合などは、労働基準法違反で罰則が科される可能性があります。
ほかにも、18歳未満の年少者に深夜残業させたり、妊娠中の女性や出産後1年経っていない女性などに深夜残業を強制させたりした場合も罰則が科される可能性があります。
5.女性や未成年者でも深夜残業は可能?
18歳未満の年少者については深夜残業が原則禁止されています。
ただし、以下のようなケースに該当する場合は、例外的に深夜残業が認められます。
- 災害などの非常事態で時間外・休日労働が必要であり、労働基準監督署による許可を得ている場合
- 交代制で働く16歳以上の男性で、労働基準監督署による許可を得ている場合
- 農林水産業・保健衛生事業・電話交換の業務などの業種に該当する場合 など
なお、女性の場合は深夜残業が認められています。
ただし、妊娠中の女性や出産後1年経っていない女性については、深夜残業の免除を請求することが可能です(労働基準法第66条3項)。
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相談者様ご自身で保管していなくても、弁護士に依頼することで会社に開示請求を行う事ができます。
タイムカードはもちろん、PCの起動ログから残業時間を立証できた事例もございますので、証拠が手元に無くても泣き寝入りせず弁護士に相談しましょう。
確かに労働基準法では、「管理監督者」には残業代を支払わなくても良いと明記されておりますが、会社で定める「管理職」が労働基準法で言う「管理監督者」に当たらないケースもあります。
この場合は会社側が労働基準法違反となり、残業代を支払う義務を負います。このような名ばかり管理職問題についてまとめた記事がございますので、詳しくはそちらをご覧ください。
固定残業時間以上の残業を行った場合、その分の残業代は適切に支払われる必要があります。また、36協定の都合上、基本的に固定残業時間の上限は45時間とされております。
固定残業時間を上回る残業を行ったり、会社が違法な固定残業代制度をとっていた場合はもれなく残業代請求が可能です。直ちに弁護士に相談しましょう。
残業代請求に対する企業からの報復行為は、そのほとんどが違法とみなされているため積極的にされることはありません。
ただし、少なからず居心地が悪くなる懸念もあります。一般的には在職中に証拠を集めるだけ集め、その後の生活を守るために転職先を決めてから残業代請求を行うのがベターと言えるでしょう。
残業代請求の時効は3年となっております。
退職してからゆっくり残業代請求を行う場合、どんどん請求可能期間が短くなってしまいますので、一早く請求に対して動き始めましょう。
また、弁護士に依頼して内容証明を会社に送ることで、時効を一時的にストップさせることが出来ます。





