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退職を考えている公務員の方の中には、「自分一人では退職手続きを進められない」「退職代行サービスを利用したい」という方も多いでしょう。
退職代行サービスは、民間業者だけでなく、弁護士がおこなうものもあります。
ただし、多くの民間業者については、公務員をサービス対象外にしています。国や自治体なども、民間業者のような第三者の退職申請は受け付けないのが通常です。
一方、弁護士であれば、民間であろうと公務員であろうと代理人として手続きをおこなうことが可能です。
どうしても退職手続きを代行してほしい公務員の方は、弁護士に依頼することをおすすめします。
この記事では、公務員が退職代行サービスを利用する際の依頼先や利用時の流れ、退職処理に関する公務員と民間企業の違いや、弁護士に退職代行を依頼するメリットなどを解説します。
まず、「そもそも公務員が第三者に退職代行を依頼できるのか?」という点ですが、公務員が第三者に退職手続きを依頼することは、明確には禁止されていません。
しかし、公務員の雇用については、民間企業とは異なる法律によって規律されており、退職処理についても民間企業とは異なる部分があります。
公務員の場合、退職処理をおこなうのは国や自治体であり、基本的には本人からの申請を前提に退職処理がおこなわれます。
本人以外の第三者が退職処理を代行しようとすると、国や自治体サイドから対応を拒否される可能性があります。
そのような理由から、民間業者による退職代行サービスの多くは、公務員をサービス対象外にしているのです。
ここでは、退職処理に関する民間企業と公務員の違いについて解説します。
【関連記事】公務員を辞めたい|理由別の対処法と転職する際の手引き
民間企業の雇用については、民法や労働関係法令などで規律されています。
退職に関しては、期間の定めのない雇用契約の場合、退職意思さえ表明すればいつでも退職することが可能です(民法第627条)。
退職代行業者としては、依頼者の退職意思を事務的に会社へ伝えるだけでよいため、特に難しい問題はありません。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
引用元:民法第627条
しかし、公務員の雇用については、民法・国家公務員法・地方公務員法及びこれに紐づく人事に関する規則などで規律されています。
退職に関しては、任命権者の許可を得るなどの一定の手続きが必要とされており、公務員が自らの意思で退職する場合も、この手続きを履践する必要があります。
なお、それでも「公務員であるから、退職したくても退職を許可されない」ということはありませんので、退職の意思があれば退職自体は当然できます。
(休職、復職、退職及び免職)
第六十一条 職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。
引用元:国家公務員法第61条
このように、公務員による退職は、民間企業とは異なる制度に基づく一定の手続きが必要となるため、通常の退職代行サービス業者はサービス対象から除外していることが多いと思われます。
また、国や自治体側も退職代行サービス業者から退職の連絡を受けた場合、「得体のしれない第三者からの連絡については対応できない」と断ることも大いに有り得ると思われます。
もっとも、弁護士の場合は、公務員であろうと民間であろうと他人の法律事務を代行することが可能です。
国や自治体も、弁護士を通じて退職手続きを取るように申請された場合、これを拒否することは基本的にありません。
多くの退職代行サービスは、「申請してから2週間で退職できる」と謳っています。
しかし、これは民法に基づく退職処理を前提にした話であり、公務員には該当しません。
公務員の退職時期については、所属する国や自治体の手続きによってケースバイケースです。
ルール上は、担当部署と協議・調整しながら進めることになります。
公務員の中には、さらに追加的な規律がされている職種もあります。
例えば、自衛隊員の場合、以下のような決まりがあります。
(退職の承認)
第四十条 第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。
引用:自衛隊法第40条
これはつまり、「任務に支障が出るような場合、必要最低限の範囲で退職時期を後ろ倒しにすることができる」ということです。
どのような場合に適用されるのかは一概にはいえませんが、「担当している任務によっては、自分の希望時期に退職できないこともある」と頭に入れておきましょう。
公務員の場合、民間企業の労働者とは退職規定が異なるものの、以下のケースに該当する場合は退職代行サービスが効果的です。
ここでは、退職代行サービスを利用するのが効果的なケースについて解説します。
【関連記事】退職代行サービスとは|メリットや利用のリスク・主要な退職代行業者も紹介
退職代行サービスは奉仕活動ではありませんので、利用時には数万円程度の費用がかかります。また、直接自分で退職意思を伝えないことについて、職場からの印象も良くありません。
自分の口から退職することを伝えればお金はかかりませんし、確固たる決意さえあれば退職することができます。
しかし、自分で退職意思を伝えても無視されているような場合は、今後もずるずると仕事を続けることになる恐れがあります。
退職代行サービスを利用すれば、退職手続きを確実に進めてくれて、気持ちを切り替えて次に進むことができます。
日々忙しすぎて、退職手続きをおこなうことすら難しい場合にも、退職代行サービスがおすすめです。
退職代行サービスを利用すれば、退職に必要な手続きを代わりに対応してくれて、担当者からの報告を待つだけで済みます。
なかには、退職に関する相談などに乗ってくれるところもあり、安心して退職手続きを進められます。
なかには、上司との相性が合わなかったり、トラブルを抱えていたりして、コミュニケーションを取ること自体が辛い場合もあります。
退職代行サービスを利用すれば、会社の人間と顔を合わせることなく退職できます。
「もう上司の顔を見たくない」「出社するのも辛い」という方にも、退職代行サービスがおすすめです。
退職代行サービスを利用した場合、基本的には以下のような流れで手続きが進みます。
まずは、現在退職を考えていることを相談します。
利用先によっても異なりますが、相談方法としては電話・メール・LINEなどがあります。
無料相談可能なところも多くありますので、まずは気軽に相談してみましょう。
次に、「いつまでに退職したいのか」「残っている有給はどうしたいか」など、今後の方針についてすり合わせます。
サービス内容なども確認したうえで、退職手続きを代わってもらいたい場合は、サービス費用を支払います。
基本的には前払いとなり、クレジットカードや銀行振込などで支払います。
その後は、担当者が退職手続きを進めてくれますので、上司などと直接やり取りをすることはありません。
状況にもよりますが、依頼後、出勤することなく退職できる場合もあります。
退職代行サービスは比較的新しいサービスであり、細かく法規制などがされているわけではありません。
退職代行業者は玉石混交であり、場合によっては業者とトラブルになったり、思うように退職手続きが進まないこともあります。
ここでは、民間の退職代行業者に依頼した場合、起こりうるトラブルについて解説します。
【関連記事】退職代行が失敗するケースとは?失敗時のリスクを極力抑える3つの方法
退職代行業者の中には、いわゆる悪徳業者と呼ばれるような業者も存在します。
悪徳業者に任せてしまった場合、「会社とのやり取りは済みましたので、明日から出勤しなくて大丈夫です」などと伝えられたにもかかわらず、実際には何もしていなかったということもありえます。
そのような場合、会社から「退職するなんて聞いていない」と連絡が入ったり、場合によっては無断欠勤について損害賠償請求されたりする恐れがあります。
退職代行サービスを利用する際、「会社には直接連絡してこないように伝えてほしい」と頼むことも可能です。
しかし、要望通りに退職代行業者が伝えたとしても、強制的に連絡を禁止するほどの効力はありません。会社としては、本人に連絡しようと思えば連絡することが可能です。
そのため、退職代行業者から連絡を受けた会社が、「一体どういうことなのか」「なぜ無関係の第三者が介入するのか」などの連絡が本人に入ることもあります。
民間業者の場合、退職代行サービスの費用は3~5万円程度が一般的な相場です。
しかし、業者によっては「特別な対応が必要だった」などと主張されて、追加料金を請求される恐れもあります。
退職代行サービスを利用する際は、「トータルでいくらかかるのか?」「これ以上かかる場合はあるのか?」など、しっかり確認しましょう。
民間の退職代行業者の場合、あくまでも依頼できるのは、退職意思の伝達と退職の事務処理のみです。
退職する際は、退職時期・有給消化・賃金・費用の精算などについて会社とトラブルになることもあります。
しかし、民間の退職代行業者では、そのようなトラブルに関する協議や交渉などは対応してくれません。
また、これまでハラスメントを受けていて、会社の責任を追及したい場合など、法律問題に関する対応なども依頼することはできません。
このような場合には、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
退職手続きは弁護士にも依頼でき、弁護士であれば、民間であろうと公務員であろうと代理人として対応することが可能です。
ここでは、弁護士に退職代行を依頼した場合のメリットや、依頼時の費用などについて解説します。
弁護士は、法律の専門家として、他人の法律事務を代理することが可能です。
退職意思の伝達や退職の事務処理だけでなく、以下のような対応を依頼することも可能です。
退職条件について希望がある場合や、会社とトラブルに発展する恐れがある場合などは、弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に退職代行を依頼した場合、費用相場としては以下のとおりです。
民間業者 |
弁護士 |
3万円程度 |
5万円程度 |
民間業者よりも弁護士の方が若干高いものの、弁護士であれば幅広いサポートが受けられます。
事務処理を依頼するだけでは不安で、トラブルなくスムーズに退職したいのであれば、弁護士に依頼しましょう。
【関連記事】退職代行業者と弁護士を徹底比較|信用できるのはどちらか?選ぶべき業者は?
公務員の方でも、退職手続きを代行してもらうことは可能です。
その場合の選択肢としては、民間業者や弁護士などがありますが、より確実に退職手続きを進めてもらいたい場合は弁護士がおすすめです。
弁護士であれば、依頼者の代理人として法律事務を対応してくれて、残業代請求や訴訟対応などのサポートも依頼できます。
初回相談無料の法律事務所もありますので、まずは一度相談してみましょう。
【関連サイト】公務員から民間企業への転職は可能|公務員転職の実情と成功のポイント
退職代行業者の選び方がわからない、どの業者を使うか迷っている方へ
辞めたくても辞められない、代わりに退職の連絡をしてほしいというニーズの高まりで流行っている『退職代行』ですが、『代わりに退職の意思を伝える』という代行業者としての領分を超えた行為『有給消化の調整』『残業代の請求』『損害賠償請求された方への代理窓口』などを行ってしまう非弁業者、違法業者が多くなっているのも事実です。
そもそも『退職するのにお金はいりません』。通常2週間前に退職したいと言えば退職は可能です。それでも言えないからこそ利用した退職代行会社が非弁行為を行っていた場合、被害はあなたにも及んでしまう可能性があります。
退職代行をしたい、でもどの業者を選んで良いのかわからないとお困りの方は、リスクの高い代行業者を使うより、弁護士による退職代行をおすすめします。
円満退社の実現はできなくても、せめて退職後のリスクを最小限に抑えるために、残業代請求などの法的交渉が確実にできる、弁護士への依頼を検討してみましょう。労災申請、損害賠償請求、失敗の恐れがないなど、様々なメリットがあります。
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退職代行とは?ブラック企業から抜け出すための救世主サービス
退職代行業者と、弁護士による退職代行業務に大差はありません。いずれも、労働者の代わりに退職の意思を伝えるサービス概要において、両者に違いはないと言えます。ただ、退職代行業者が自社の持つ権限内で適切にサービスを運用しているとは限りません。退職代行業務の中には『弁護士資格』を持つ弁護士にしかできない業務も多分にございます。
その点、弁護士を通すことで上記違反(弁護士法違反・非弁行為)のリスクはありませんし、確実に適法範囲で対応できます。また、未払い残業代や不当解雇、万が一懲戒解雇等の扱いを受けたとしても、弁護士がおりますので、相談によって具体的な解決策の提示を受けられる可能性は高いと思います。
退職代行を利用したことが損害賠償の理由となることはありません。しかし、在職時の労働者の行いや退職の仕方によっては労働者側に損害賠償義務が認められる可能性もゼロではありません。退職にあたって、会社から損害賠償を請求されるのは、退職にあたって労働者側に何らかの義務(注意義務)違反があり、同違反により会社に具体的損害が生じている場合に限られます。
たとえば、労働者が退職に至るまでの間、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、退職にあたっても何ら必要な引継ぎ・連絡をせず代行業者を通じて本人が一切出てこないという場合、労働者の会社に対する義務違反を構成することはあり得ます。
代行業者、弁護士のどちらに依頼した場合でも「退職できなかった」というトラブル報告はほとんどみられません。会社も退職代行会社が連絡してくると、退職に応じてはいるようです。つまり、よほどのことがない限り、退職した従業員に対して損害賠償ということは考えられません。(従業員1名が退職したとしても、直ちに損害が生じることは考えにくいです。)ただし、これも絶対ではありません。
過去、入社1週間で退職し、退職の効果が発生するまでの期間も出勤しなかった従業員が勤務先から損害賠償を受け、70万円の支払命令が出た事案があります。(ケイズインターナショナル事件)そのため、どのような辞め方でも絶対に労働者側に責任が問われないというわけでもない、という点は注意すべきです。
とはいえ、通常は退職したことで直ちに会社に損害が生じることはありませんので、過度の心配は不要かと思います。
状況にもよるかと思いますが、引き継ぎをせずに退職することは多くの場合は可能と思われます。例えば、引継ぎをしないことが会社に対する義務違反とならないような場合や、引継ぎをしないことで会社に具体的な実害が生じないような場合は、引継ぎは必須ではないといえそうです。ただし、『労働者が退職前から、長期間の無断・無連絡の欠勤を続けており、会社の出頭要請にも応じていない』『そのまま退職した結果、会社業務に具体的な支障が生じ、取引先を失うなどの実害が生じている』というケースであれば、労働者が退職代行を入れて引継ぎもなく退職したことについて、損害賠償を求められるリスクはまったくないとはいえないでしょう。
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