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退職金のルールは労働基準法で決まっている?知らないと損する基本ルールを解説

更新日
このコラムを監修
東日本総合法律会計事務所
加藤 惇
弁護士
退職金のルールは労働基準法で決まっている?知らないと損する基本ルールを解説
  • 「今の会社で長く働いてきたけれど、退職金がもらえるかわからない」
  • 「就業規則を見ても、内容が難しくてよく理解できない」

退職するにあたって、このような不安を感じていませんか?

退職金は、これからの生活を支える大切なお金です。だからこそ、退職金の支給条件をしっかりと確認しておきましょう。

本記事では、退職金に関する労働基準法のルールや、退職金を受け取るための主な要件、就業規則でチェックすべきポイントをわかりやすく解説します。

また、もし退職金が支払われない場合の対処法も紹介します。自分が退職金をもらえるのかを正しく判断し、損をしない行動を取るための参考にしてください。

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目次

退職金に関するルールは労働基準法で決まっている?

まずは、労働基準法と退職金の関係性について、正しく理解しておきましょう。

労働基準法には退職金について直接規定するルールはない

労働基準法には、退職金の支払い義務や金額に関する規定はありません。

そのため、退職金制度そのものがない会社も存在します。

「退職金は、働けば当然もらえるものではない」という点を覚えておいてください。

退職金についてのルールは就業規則で規定されている

法律では支給義務がない退職金ですが、会社が「退職金制度を作る」と決めた場合は話が別です。

労働基準法には「退職金制度を設ける場合は、その内容を就業規則に記載しなければならない」というルールがあります。

就業規則とは、従業員が遵守すべきルールや給料などの労働条件をまとめたものです。

会社が就業規則や退職金規程で退職金制度を定めた場合、原則としてその定めに従って支払う必要があります。具体的には、以下のような内容が記載されます。

  • 支給要件
  • 計算方法
  • 支払い時期

そのため、退職金について知りたいときは、まずは自分の会社の就業規則を確認してみましょう。

退職金の制度がある企業は7割を超える

厚生労働省の調査データによると、退職金制度を導入している会社は全体の約75%です。

4社のうち3社は制度を持っている計算になりますが、5年前のデータと比較すると、その割合は減少傾向にあります。

以下の表で、2018年と2023年のデータを比較してみましょう。

退職金制度の導入状況の変化
項目 2018年(平成30年) 2023年(令和5年)
退職金制度がある 80.5% 74.9%
(内訳)退職一時金制度のみ 73.3% 69.0%
(内訳)退職年金制度のみ 8.6% 9.6%
退職金制度がない 19.5% 24.8%
(内訳)両制度併用 18.1% 21.4%

このように、退職金制度を導入している会社は約80%から約75%へと減少しています。この背景には、働き方の変化があります。

かつては、新卒で入社した会社で定年まで働く終身雇用が一般的でした。

しかし現在は、転職をしてキャリアアップを目指すことが当たり前の時代です。

そのため、終身雇用を前提とした昔ながらの退職金制度は、今の働き方に合わなくなってきています。

こうした変化を受け、退職金制度を廃止したり、時代に合わせた別の仕組みに変更したりする企業が増えているのが現状です。

現在でも多くの企業が退職金制度を導入している理由

法律上の義務がないにもかかわらず、現在でも多くの企業があえて退職金制度を導入している背景には、「優秀な人材を確保し、長く働いてもらう」という目的があります。

退職金には、大きく以下3つの目的があります。

  • 退職後の生活保障
  • 長期間勤務に対する報奨
  • 賃金の後払い

長く働くほど退職金が多くもらえる仕組みにすれば、社員は「この会社で頑張ろう」と思いやすくなります。会社にとっては、人が辞めにくい環境を作れるメリットがあるのです。

一方で、退職金制度を維持するためには、会社は将来のために多額の資金を積み立てなければなりません。

そこで、資金に余裕のない創業間もないベンチャー企業などでは、将来の退職金を約束する代わりに、毎月の給料やボーナスを高く設定して、今の働きに対してすぐに還元する方針をとるところも増えています。

退職金制度に関して間接的に関わる労働基準法の条文

労働基準法では、退職金制度の設定自体を強制していません。

ただし、会社が退職金制度を設計した場合には、労働基準法のさまざまなルールを遵守する必要があります。

ここでは、退職金制度に関して間接的に重要となる労働基準法の主な条文を6つ紹介します。

【労働基準法11条】退職金は賃金のひとつと考えられる

労働基準法では、会社が労働の対価として払うお金は全て「賃金」と呼ばれます。

退職金も、長く働いてくれたことへの報酬として支払われる場合は、賃金の一部とみなされます。

第十一条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
引用元:労働基準法 | e-Gov 法令検索

【労働基準法24条】退職金は直接労働者に通貨で全額支払う義務がある

退職金は賃金の一種なので、支払い方法に関する以下3つのルールが適用されます。

  • 通貨で支払う:商品券や現物ではなく、現金や振込で支払う。
  • 直接支払う:親や家族ではなく、本人の口座や手渡しで支払う。
  • 全額支払う:勝手に手数料などを引かずに、全額を支払う。

なお、賃金は「毎月1回以上払う」のが原則です。

ただし、退職金は臨時の賃金等に該当するので、毎月支払いのルールは当てはまりません。

(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
引用元:労働基準法 | e-Gov 法令検索

【労働基準法23条】退職金は権利者に請求されてから7日以内に支払う義務がある

退職者が退職金を請求した場合、就業規則などに支払い時期の定めがなければ会社は「7日以内」に支払わなければなりません。

これは、退職者の生活を保障するためのルールです。

ただし、就業規則に「退職金は退職してから2ヵ月後の給料日に支払う」といった具体的な支払い日が決まっている場合は、就業規則の定めが優先されます。

(金品の返還)
第二十三条 使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
引用元:労働基準法 | e-Gov 法令検索

【労働基準法115条】退職金請求権の時効は5年

未払いの退職金を請求できる期間は、5年と定められています。

毎月の給料や残業代の時効は通常「3年」ですが、退職金は金額が大きく生活への影響も大きいため、より長い期間が設定されています。

(時効)
第百十五条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
引用元:労働基準法 | e-Gov 法令検索

【労働基準法15条】退職金を支給する場合は労働条件として明記する必要がある

会社が従業員を雇用するときは、契約書などで労働条件を明示しなければなりません。

加えて、退職金を支給する場合には、以下のような事項も明示する必要があります。

  • 支給する労働者の範囲
  • 決定方法や計算方法、支払い方法
  • 支払い時期

「退職金制度があるかわからない」という人は、まずは入社時にもらった労働条件通知書や雇用契約書を見直してみましょう。

(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
引用元:労働基準法 | e-Gov 法令検索

【労働基準法89条】退職金を支給する場合は就業規則に条件を明記する必要がある

社員が10人以上いる会社は、必ず就業規則を作成して労働基準監督署に届け出なければなりません。

また、退職金制度がある会社は、就業規則に以下のような詳細を記載する義務があります。

  • 支給する労働者の範囲
  • 決定方法や計算方法、支払い方法
  • 支払い時期

「勤続年数が長いほど金額を増やす」などのルールを自由に決めることができますが、一度決めたルールは必ず就業規則に明記しなければなりません。

(作成及び届出の義務)
第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
(省略)
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
引用元:労働基準法 | e-Gov 法令検索

退職金を受け取れる要件

退職金の支給は法律上の義務ではありません。

しかし、一定の条件を満たすと、会社には「必ず支払わなければならない義務」が生まれます。

大きく分けて、以下の2つのケースでは退職金を受け取る権利が発生します。

  • 退職金について就業規則に記載されているケース
  • 慣例的に退職金が支払われていたケース

ここでは、それぞれのケースについて解説します。

退職金について就業規則に記載されているケース

会社の就業規則や雇用契約書に退職金について記載されている場合、会社は必ず支払わなければなりません。

会社が自ら退職金の支給について記載した時点で、退職金は法律上の賃金として扱われます。

そのため、経営が苦しくても給料を払わないことが許されないのと同じように、退職金もルール通りに支払う義務が生じます。

退職金があるかどうかを確かめる際は、以下の書類に「退職金あり」と書かれていないか確認しましょう。

  • 就業規則(賃金規程・退職金規程)
  • 雇用契約書(労働契約書)
  • 労働条件通知書

書かれていれば、そこに記載された計算方法や支給条件に従って支払われます。

慣例的に退職金が支払われていたケース

就業規則や契約書に退職金について記載されていなくても、これまでの慣習によって支払い義務が生じるケースがあります。

たとえば、これまでに退職した人の全員に退職金が支払われていた場合です。

この場合、「退職金をもらえるのが当たり前」という暗黙のルールがあると判断され、会社は支払いを拒否できなくなる可能性があります。

支払い義務が生じる可能性がある例
  • 過去の実績
    ルールにはないが、先輩や同僚が退職する際には毎回支払われていた
  • 求人票の記載
    募集時の求人票やパンフレットに「退職金制度あり」と書かれていた

就業規則や契約書のルールがなくてもあきらめず、これまでの状況を確認しましょう。

退職金について就業規則で最低限確認すべきチェックポイント

「自分は退職金をもらえるのかな?」と思ったら、まずは就業規則を確認しましょう。

就業規則を見るときに必ずチェックしてほしいポイントは、以下の4つです。

  • そもそも退職金に関する規定があるか/別に定められているか
  • 退職金がもらえる勤続年数や退職理由
  • 退職金の計算方法
  • 退職金がいつ支払われるか

ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。

そもそも退職金に関する規定があるか/別に定められているか

まずは就業規則の目次を見て「退職金(または退職手当)」という項目があるかを探しましょう。

「正社員のみ対象」「パートは除く」など、自分が対象者に含まれているかの確認も必要です。

就業規則に退職金の記載が一切ない場合、退職金をもらう権利は基本的にありません。しかし、「会社の慣習(慣例)」として認められる場合は例外です。

  • 過去、辞めた人のほとんど全員に支払われていた
  • 長期間(たとえば20年以上など)支払われ続けていた
  • 採用時に「退職金あり」と説明されていた

このような実績がある場合、会社には支払う義務があると認められたケースがあります。

「規定がないから絶対にもらえない」とあきらめる前に、慣習を確認してみるのもひとつの方法です。

退職金がもらえる勤続年数や退職理由

退職金制度があるからといって、必ず退職金がもらえるとは限りません。

支給にあたっては勤続年数や退職理由が決まっていることが一般的です。

  • 勤続年数:「勤続3年以上」という条件が多く見られます。
  • 退職理由:「自己都合」「会社都合」「定年」などの理由によって、支給の可否や金額が変わるケースが多いです。会社都合退職のほうが、自己都合退職よりも金額が高くなる傾向があります。なお、「懲戒解雇」の場合は、退職金が減らされたり、もらえなかったりするケースが多いので注意が必要です。

退職金の計算方法

退職金の計算式も確認しておきましょう。

多くの会社で使われている計算方法は、以下のとおりです。

退職金 = 退職時の基本給 × 勤続年数ごとの係数(支給率)

ここで大切なのは、計算に使われるのが基本給だという点です。

毎月の給料(額面)には、残業代や通勤手当などの手当が含まれています。

しかし、退職金の計算ではこれらの手当が含まれないことが多いため、「思ったより少ない」と感じるかもしれません。

そのほかにも、勤続年数によって金額が決まる勤続年数別定額型や、会社への貢献度をポイントにして決定するポイント制などがあります。

自分の会社が退職金をどのように算定しているか、確認してみましょう。

退職金がいつ支払われるか

最後に、退職金が手元に入る時期を確認します。

退職金は、退職してすぐに振り込まれるわけではありません。多くの会社では、退職してから1ヵ月〜2ヵ月後に銀行振込で支払われるのが一般的です。

具体的な時期は、就業規則に以下のように書かれています。

  • 「退職してから1ヵ月以内に支払う」
  • 「退職月の翌々月の給料日に支払う」

もし就業規則に支払い時期が書かれていない場合は、退職後に請求後7日以内に退職金を支払わなければなりません。

なお、退職金を受け取る際、会社から「退職所得の受給に関する申告書」という書類の提出を求められます。

これを提出しないと、約20%の税金が引かれてしまい、手取り額が減ってしまいます。

会社から書類を渡されたら、必ず記入して提出しましょう。

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退職金が未払い!どう請求すればいい?

会社に対して退職金を請求する主な方法は、以下の6つです。

  • まずは退職金が未払いである証拠を集める
  • 内容証明郵便で会社に支払いを求める
  • 裁判外紛争解決手続 (ADR)を利用する
  • 退職金が60万円以下なら少額訴訟を検討する
  • 労働審判や訴訟での解決を目指す
  • 労働問題に強い弁護士に相談・依頼する

金額の大きさや会社の態度に応じて、最適な方法を選びましょう。

ここから、それぞれの方法を詳しく解説します。

まずは退職金が未払いである証拠を集める

退職金を請求するには、退職金の支給条件を満たすにもかかわらず支払われていないことを証明する証拠が重要です。

証拠がないと、会社から「うちは退職金を払う制度はない」「あなたは支給条件を満たしていない」と言い逃れされるおそれがあります。

集めるべき証拠は、大きく分けて「会社に退職金を支払う義務があること」を示す証拠と、「退職金の支給要件を満たしていること」を示す証拠の2種類です。

集めるべき証拠リスト
要件 会社に退職金を支払う義務があること 退職金の支給要件を満たしていること
主な証拠 就業規則(退職金規程)
労働契約書・労働条件通知書
採用時の資料やメール
給与明細・源泉徴収票
勤続証明書
健康保険証・社員証

まずは、手元にある書類を確認してください。もし手元になければ、会社に開示を求めましょう。

内容証明郵便で会社に支払いを求める

証拠が揃ったら、会社に請求書を送ります。

このとき、普通の手紙やメールではなく内容証明郵便を使いましょう。

内容証明郵便とは、郵便局が「いつ」「誰が誰宛に」「どんな内容の手紙を」送ったかを証明してくれるサービスです。あとから「言った・言ってない」というトラブルを防げるでしょう。

さらに、配達証明をつけると、相手が受け取ったことまで証明できます。

これにより、「そんな書面は届いていない」と言われるリスクを回避できます。

内容証明郵便の書き方には細かいルールがあるため、郵便局のホームページなどで確認しながら作成しましょう。

内容証明郵便に書くべき事項
  • 請求の理由:就業規則に基づき退職金を請求すること
  • 金額:計算した退職金の総額
  • 振込先:自分の銀行口座
  • 支払期限:「◯月◯日までに支払ってください」と指定します
  • 法的措置の予告:支払わない場合は裁判なども辞さないと伝えます

裁判外紛争解決手続 (ADR)を利用する

手紙を送付しても無視されたり、話し合いがまとまらなかったりする場合は裁判外紛争解決手続(ADR)を利用する方法もあります。

ADRは、裁判を起こさずにトラブルを解決する手続きで、弁護士や社会保険労務士などの専門家が間に入り、会社との話し合いをサポートしてくれます。

裁判に比べると費用が安く、解決までの期間も短いのが特徴です。

手続きは非公開なので、プライバシーも守られます。「裁判まではしたくないけれど、第三者に間に入ってほしい」という人に適しています。

ただし、強制力はないため、会社側が話し合いを拒否すると手続きは終了します。あくまで話し合いでの解決を目指す方法です。

退職金が60万円以下なら少額訴訟を検討する

未払い退職金が60万円以下であれば少額訴訟を利用できます。

少額訴訟は、金銭トラブルを素早く解決するために制定された制度で、原則たった1回の審理で判決が出ます。何度も裁判所に通う必要がないため、時間や負担を大幅に減らせます。

費用も通常の裁判より安く済むのも特徴です。

手続きは、会社がある地域を管轄する簡易裁判所でおこなわれます。

ただし、被告が希望した場合は通常の裁判に移行します。判決に対して控訴ができない点にも注意が必要です。

労働審判や訴訟での解決を目指す

話し合いで解決せず、訴額も大きい場合は、裁判所の手続きを利用できます。

裁判所の手続きには、主に労働審判と訴訟の2種類があります。

労働審判は、裁判官と労働問題に詳しい専門家がチームを組み、解決を目指す手続きです。

原則3回以内の話し合いで結論が出るため、早く解決できるのが特徴です。

話し合いがまとまらなければ、裁判所が審判を下します。

労働審判でも解決しない、または最初から徹底的に争う場合は、訴訟を提起します。

時間はかかりますが、裁判所による法的な判決が下されるため、トラブルを根本的に解決できます。

労働問題に強い弁護士に相談・依頼する

会社との交渉や法的な手続きを自分だけで進めるのは、精神的にも大きな負担がかかります。「難しそう」「自分でやる自信がない」と感じたら、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。

弁護士に依頼する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 退職金がもらえる見込みがあるか判断してくれる
  • 正しい金額を計算してくれる
  • 会社との交渉や裁判の手続きを全て任せられる

弁護士が出てくるだけで、会社側の態度が変わり、支払いに応じるケースも珍しくありません。

弁護士は、なるべく労働問題に強い弁護士を選ぶことがポイントです。

なお、「ベンナビ労働問題」を利用すれば、お住まいの地域や相談内容に応じて、弁護士を簡単に見つけられます。

退職金についてよくある質問

ここでは、退職金についてよく寄せられる疑問とその回答をまとめました。似たような不安をお持ちの方は、ぜひここで解消してください。

就業規則に退職金規定がない場合は退職金がもらえない?

就業規則に記載がなければ、会社は原則として退職金を支払う義務はありません。

退職金は労働基準法で決まった制度ではなく、導入するかどうかは会社が自由に決定できるからです。

しかし、これまで退職した人に対して、長年にわたり退職金が支払われ続けていた場合には、例外的に退職金を請求できるケースがあります。

実際に、「20年以上も慣習として支払っていたなら、ルールがなくても支払う義務がある」という判決が出た裁判(宍戸商会事件)もあります。

就業規則に書いていないからといって諦めずに、以下のポイントも確認してみましょう。

  • 過去の実績:先輩たちは退職金をもらっていたか
  • 採用時の説明:入社時に「退職金あり」と説明されていないか
  • 求人票の記載:求人情報に退職金の記載があったか

退職金規定を見せてもらえない場合はどうすればいい?

退職金に関するルールは、就業規則そのものではなく、「退職金規程」という別の書類に記載されているケースもあります。

この場合、会社は退職金規程も従業員へ周知しなければなりません。

もし見せてもらえない場合は、以下の3つの方法を試してください。

  • 同僚と協力して閲覧を請求する
    ひとりではなく、複数の同僚と一緒に署名を集めるなどして開示請求しましょう。人数が集まれば会社も無視できなくなるはずです。
  • 労働基準監督署に相談する
    会社が頑なに見せてくれないときは、労働基準監督署に相談するのが有効です。社員証などを持って相談に行けば、監督署から会社に対して、退職金規定を周知するよう指導してもらえる場合があります。
  • 弁護士に相談する
    労働基準監督署の指導でも解決しない場合は、弁護士に依頼しましょう。弁護士費用はかかりますが、会社との交渉や法的な手続きを代行してくれるため、会社が規程を開示してくれる可能性が高まります。

さいごに|退職金のルールについては就業規則を確認しよう!

本記事では、退職金に関する労働基準法のルールや、退職金を受け取るための主な要件についてわかりやすく解説しました。

退職金の支給は法律の義務ではなく、支給されるかどうかは会社の就業規則で決まっています。「もらえるか不安」と思ったら、まずは就業規則や契約書を確認することから始めましょう。そこにルールが書いてあれば、会社には支払う義務があります。

もし会社が「支払わない」と言い張る場合でも、あきらめないでください。証拠を集めて正しい手順で請求すれば、受け取れる可能性は残っています。

とはいえ、たったひとりで会社と交渉するのは、とても勇気がいることです。「難しそう」と感じたら、無理をせず弁護士を頼りましょう。

「相談先がわからない」という方は、「ベンナビ労働問題」を活用してみてください。地域や相談内容を選ぶだけで、退職金トラブルの解決が得意な弁護士をすぐに見つけられます。

泣き寝入りして後悔する前に、まずは相談をして、大切な退職金を受け取りましょう。

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