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みなし残業は、会社の運営方法によっては違法になりやすい労働制度です。みなし残業では、基本給や残業代の取り扱いなどの条件が満たされないと、長時間労働や未払い賃金が発生することがあります。
この記事では、みなし残業が違法になるパターンや、注意したい労働問題などについてご紹介します。
みなし残業は、あらかじめ一定時間働いたとみなして固定残業代を支払う制度です。みなし残業の場合、『月○時間分のみなし残業手当(○万円)を含む』と求人票に記載します。
みなし残業制度は適切な金額設定を行い、規定時間以上働いた場合の追加支給などを行っていれば問題ないのですが、会社によっては、制度を誤解しているケースもあります。
この記事では、みなし残業が違法になる3つのパターンについてご紹介します。
おすすめ記事: みなし労働時間制とは何か?わかりやすく解説
みなし残業は、残業代をあらかじめ支払う制度です。そのため、時間外労働は残業代が支払われている範囲内で行うことになります。
残業(実働)時間がみなし残業分と比較して明らかに多い場合、未払い残業代が発生していることになり、違法となる恐れがあります。
もしも、みなし残業時間と実働時間がかけ離れていた場合、会社は労働者に対して賃金の追加支給をしなければなりません。
「みなし残業なのに、給料が異常に低い…」と感じた場合は、基本給が最低賃金を下回っていないか確認しましょう。
最低賃金は各都道府県によって変動します。基本給を時給換算した際に最低賃金を下回るのは、違法なみなし残業といえるでしょう。
関連リンク: 厚生労働省|地域別最低賃金の全国一覧
みなし残業で悪質なのは、求人票や給与明細などでみなし残業代を基本給に含めて表記することです。
厚生労働省では、みなし残業を採用する会社に対し、求人などの賃金表記で、基本給とみなし残業代を分けて明記するよう喚起しています。
労働基準法では、『1日8時間、週40時間』以上の労働については、時間外労働と定めています。それ以上の労働については労使で36協定を結んだ上、割増賃金を支払わなければなりません。
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
引用元: 労働基準法
ただし、みなし残業代が定額(固定)残業代である場合、この割増賃金から除外されると考えられています。
もちろん、みなし残業分を超えた時間外労働については、割増した賃金を追加支給しなければなりません。
この項目では、みなし残業が違法なものだった場合の対処法についてご紹介します。
みなし残業は長時間労働の温床になりやすい労働制度です。働きすぎて身体に影響が出ている場合は、無理せず休みをとったり、上司に相談したりして労働時間を短縮させましょう。
みなし残業分を明らかに超過して働いたのに残業代が支払われない場合は、残業を拒否することもできます。『賃金が支払われない残業はしない』という姿勢を持つことは、労働者としても大切なことです。
みなし残業で残業代が支払われていない場合は、未払い残業代の請求をすることも可能です。
ただし、残業代の請求権は3年を過ぎてしまうと時効消滅してしまいます。請求を検討している場合は、早い段階で証拠を集めるなどの行動を起こす必要があります。
違法なみなし残業の運営が会社で常態化している場合は、労働基準監督署の『総合労働相談コーナー』を利用するのも1つの方法です。
労働基準監督署では、労働者と会社の歩み寄りによる解決を目指します。
関連リンク: 厚生労働省|総合労働相談コーナーのご案内
みなし残業は残業代に関する問題のほかにも、ハラスメントや労働制度の違法適用などが懸念されます。
この項目では、みなし残業を採用する職場で働いている人が気をつけるべき、そのほかの問題についてご紹介します。
みなし残業を利用して、労働者に対し明らかに終わらない量の業務を要求することは、パワハラにあたる恐れがあります。また、労働者に理不尽な業務命令をした場合も同様です。
パワハラなどのハラスメントが起きている場合は、早い段階で社内の相談窓口にその事実を報告しましょう。
みなし残業と同じく注意が必要なのが、管理監督者の適応です。管理監督者とは、経営陣と一体となって事業を行う立場にある役職が該当します。
上記の方の中には、本来は管理監督者に該当しないのにもかかわらず、管理監督者として残業代の対象外となっている『名ばかり管理職』という問題が起きています。
名ばかり管理職は、管理監督者に該当しないことを労働基準監督署や裁判所を通じて証明することで、支払われなかった分の残業代を取り戻せる可能性があります。
裁量労働制は、一部の職種で適用することができる制度で、労働時間や仕事の進め方などを労働者側の裁量で行わせることです。
これまで裁量労働制は一部の職種のみが対象でしたが、『働き方改革』の一環として適用職種が拡大される可能性があります。
高度プロフェッショナル制度とは、労働賃金を時間ではなく、成果で評価して決める制度です。こちらも働き方改革の一環として導入が検討されています。高度プロフェッショナル制度は、今のところ金融商品の開発業務や研究職などの職種で、年収1,075万円以上の方が対象となっています。
みなし残業は、「固定残業を支払っているのだから、労働者を残業させてもよい」といったことから過大解釈されやすく、違法な運営が行われることもある労働制度です。この記事が、違法なみなし残業に悩んでいる方にとって、問題解決のヒントとなれば幸いです。
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この場合は会社側が労働基準法違反となり、残業代を支払う義務を負います。このような名ばかり管理職問題についてまとめた記事がございますので、詳しくはそちらをご覧ください。
固定残業時間以上の残業を行った場合、その分の残業代は適切に支払われる必要があります。また、36協定の都合上、基本的に固定残業時間の上限は45時間とされております。
固定残業時間を上回る残業を行ったり、会社が違法な固定残業代制度をとっていた場合はもれなく残業代請求が可能です。直ちに弁護士に相談しましょう。
残業代請求に対する企業からの報復行為は、そのほとんどが違法とみなされているため積極的にされることはありません。
ただし、少なからず居心地が悪くなる懸念もあります。一般的には在職中に証拠を集めるだけ集め、その後の生活を守るために転職先を決めてから残業代請求を行うのがベターと言えるでしょう。
残業代請求の時効は3年となっております。
退職してからゆっくり残業代請求を行う場合、どんどん請求可能期間が短くなってしまいますので、一早く請求に対して動き始めましょう。
また、弁護士に依頼して内容証明を会社に送ることで、時効を一時的にストップさせることが出来ます。